2006年03月07日 00:00 〜 00:00
ネリー・クルース・EU競争政策担当委員

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会見リポート

市場の透明性確立に奔走

藤生 竹志 (毎日新聞外信部)

「欧州単一市場をつくっても、談合などで価格が作為的につり上げられたのでは無意味だ」。04年11月に就任以来、市場の透明性確立に奔走してきた。

競争政策に関するハイレベル協議で来日。今年1月、日本で改正独禁法が施行され、談合やカルテル防止のため違反行為を公取委に自主報告した企業には課徴金を減免する制度などが新たに導入されたことについて「消費者にとっても産業界にとっても重要な動きだ」と評価した。

ソフトウエア分野の競争政策に力を入れていることでも知られる。欧州委は独禁法違反で04年3月、米マイクロソフトに対してソフトウエア市場の競争確保に関する是正命令を出した。この日の会見でも、改善が見られなければ同社に1日当たり最高約200万ユーロの罰金を課すことを検討していることを明らかにし、強い姿勢を示した。

米経済誌「フォーブス」が発表した昨年の「世界で最も影響力のある女性100人」番付で44位。「一国家の王者という考え方は時代遅れで、欧州王者、世界王者を育てるべきだ」と語る、“欧州人”である。

ところが、出身国オランダは昨年6月、同国初の国民投票で欧州連合(EU)憲法の批准を否決。一気に25カ国加盟となったEUは、新規加盟国の安い労働力の受け入れなどをめぐって対立が表面化、統合にブレーキがかかっている。しかし、「憲法の中身が国民にきちんと伝わらなかったことが否決の理由。オランダ国民の80%はEUに反対しているわけではない」との見方を示した。

EU首脳会議は00年3月、10年までに米国をしのぐ競争力のある経済圏創設を目指す「リスボン戦略」を採択。「競争政策は同戦略の中核」と位置づけている。

ゲスト / Guest

  • ネリー・クルース / Neelie Kroes

    EU競争政策担当委員 / European Commissioner for Competition

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