2006年03月06日 00:00 〜 00:00
辻元清美・社民党政審会長代理「憲法」6

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会見リポート

「冷徹なハト」の論理

山崎 剛 (共同通信編集委員兼論説委員)

「ごまめの歯ぎしり」と言わば言え。わたしゃ、わたしの道を行く─テンポのいい、大阪弁のスピーチを聞いた印象だ。社民党が政権の一翼から滑り落ちて、はや幾歳月。国会では吹けば飛ぶよな少数勢力、質問時間も満足に確保できない。2月の党大会で「自衛隊の現状は明らかに違憲状態」と宣言すれば「先祖返りか」と冷笑されるなど、いいことは何もない。きっと意気消沈だろうなと思いきや、どうしてどうして。

「あちこち集会に行くと、どこも立ち見が出る。北海道の食堂では『今は昭和10年代ですね』と声を掛けられ、東京・神楽坂の喫茶店では『ここを憲法9条を守る拠点に使って』と激励された」と意気軒高だ。

「護憲を唱えるだけでは平和を構築できない。『9条が大事』と言うだけでは紛争は減らないし、憲法を守っているだけでも人は死ぬ。私は自分自身を『冷徹なハト』と思っている」。護憲党の座にあぐらをかくのでなく、国民の胸に響く「論理と行動」が必要ということだろう。

で、現状をどう認識し、具体的には何をしようというのか。

「敗戦コンプレックスのノスタルジー派と、新自由主義思考の若手がひっついているのが改憲派。アジアとの関係が冷えきり、危険なナショナリズムが首をもたげている今、改憲の動きは国益にならない」「日本は憲法9条を武器に、紛争の仲裁・調停外交、核などの軍縮、人道支援を進めるべきだ。そのリスクを覚悟して引き受けるのが『冷徹なハト』。集団的自衛権を容認して米国の世界戦略にコミットするのと、どちらのリスクが低いのか」

現在、憲法をめぐる政治状況は「なぎ」状態だが、いずれ改憲派が攻勢に出る。それにどう反撃していくのか。ハトの真価が問われる。

ゲスト / Guest

  • 辻元清美 / Kiyomi Tsujimoto

    社民党政審会長代理 / Acting Chairman, SDP Policy Board in the House of Councillors

研究テーマ:憲法

研究会回数:6

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