2006年02月24日 00:00 〜 00:00
平松庚三・ライブドア社長

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会見リポート

暴走した息子への叱責と決意

織田 一 (朝日新聞経済部)

経済事件史に残るスキャンダルを起こしたライブドアのトップに、子会社社長から急きょ登板して1カ月。前々日には堀江貴文容疑者の後任の代表取締役も逮捕され、「取締役不足」の異常事態に陥った。それでも「ブルペンで一球も投げないうちにマウンドにあがり、やっと肩が温まった。再建してやろうという意欲がふつふつとわいてきている」と全力投球を宣言した。

ライブドアを売り上げ780億円の大企業に押し上げた前経営陣の「時価総額世界一」主義。それを「経営のすべての目線が株価に集中しすぎて株価至上主義に傾斜してしまった。株価だけを高めようというのが強すぎたため、社会のルール、社会の見る目に気づかなかった」と切り捨て、「堀江はこれだけの混乱を社会に起こした。戻ってくることはない」と言い切った。

暴走した息子をしかる、そんな口調も交じった。「『世界一の企業』を合言葉に若者たちがひたすら走ってつくりあげた会社。走るのに一生懸命だった」「未熟者。大ばかやろうと言ってもいいのかもしれない」。

60歳の新社長は、27歳年下の前社長が築いたライブドアを「仕事に勢いがある。全員が経営者目線で仕事をしているのは素晴らしい」と褒めていた。裏切られた、でも突き放せない、との思いがあるのだろう。

企業風土の改革は進みそうだが、経営環境は日を追うごとに厳しくなっている。メディア、ファイナンス、ビジネス・ソリューションの3分野を事業の柱にしていく、と表明したものの、具体策は説明できなかった。上場廃止は確定的。株主から巨額の損害賠償を求められる可能性もある。恒例の揮毫は英語で「チャレンジ」。ライブドア再生はまさに途方もない挑戦となりそうだ。

ゲスト / Guest

  • 平松庚三 / Kouzou Hiramatsu

    ライブドア社長 / President, Livedoor Co.,Ltd.

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