2006年01月19日 00:00 〜 00:00
麻生太郎・外相

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会見リポート

ODAの在り方で新機関構想

安尾 芳典 (共同通信編集委員・論説委員)

政府開発援助(ODA)の在り方をめぐる論議が政府、自民党などで大詰めを迎えている。政府は昨年にODAの在り方を検討する「海外経済協力に関する検討会」を発足させた。2月までに答申の予定だ。

麻生外相は、ODAの基本方針を策定する新たな機関の設置構想を明らかにした。麻生氏の構想は、安全保障会議をモデルに「首相を議長とし、事務局は外務担当の官房副長官補がやる形が機能的」と述べた。外相を実質的責任者とし、企画立案は外務省が引き続き行うとしている。ODAの総合戦略を決める「対外経済協力戦略会議」(仮称)を内閣に新設しよういう政府、自民党の方針を受け入れつつ、実質的には外務省主導としたい狙いだ。

ODAの在り方では、昨年11月の経済財政諮問会議で「顔の見える外交」のため首相直属とすべきとの意見が出された。国際協力銀行が担当する円借款を首相直属の機関に任せようという考えだ。ODAの主要部分の円借款が首相直属となると、約1兆円のODA政策の主導権を奪われかねないと外務省は懸念する。

日本外交の「武器」はカネであり、その柱は世界第2位の資金量を誇るODAにある。それを官邸主導の流れの中で奪われかねないと外務省は懸念する。麻生氏の会見の題は「情けは他人のためならず」だったが、「ODAは他国のためならず」という思惑が透けて見える。

小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題では「他国にあそこに行ったらいかんと言われて、従っていたら話がおかしくなる。言い方に気を付けてもらわないといけない」と答えた。日中間の大きな外交問題を打開しようという、外相の積極的姿勢はうかがえない。

ゲスト / Guest

  • 麻生太郎 / Taro Aso

    日本 / Japan

    外相 / Foreign Minister

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