2006年01月06日 00:00 〜 00:00
中島厚志・みずほ総研チーフエコノミスト「経済見通し」2

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会見リポート

中国経済最低でも8%成長

伊藤 三郎 (福山大学客員教授(朝日出身))

地域や所得の格差拡大、景気過熱懸念などの問題を抱えながらも、中国経済はここ当分高度成長を続ける。「その結果、日本経済にとっても引き続き追い風となるでしょう」─わが国きっての中国ウオッチャーは、豊富なデータとグラフを駆使して、確かな分析と展望を語った。

実質GDP成長率は2004年の9・5%に続いて05年1─9月期も9・4%の高水準を維持した。景気過熱警戒から投資抑制策を実施中だが、それでも「06年は最低でも8%成長」と中国政府は予測。製造業中心に投資が拡大し、国内消費の伸び悩みも輸出の拡大がそれを補う、との見通しだ。

ただこうした成長の陰で沿海部と内陸部の開発落差や所得格差が拡大し、社会不安につながりかねない。そこで政府は、西部から中部の内陸部を開発する大型プロジェクトを進めるのだが、これがマクロ政策での投資抑制を妨げる。また、消費主導型経済への転換を掲げ、消費者ローンの改善策などで消費は着実に伸びてはいるものの、急激な生産拡大には追いつかない。そのギャップが今後も根強い輸出圧力となりそうだという。

そこで世界が注目する人民元のレートをどうするか。昨年7月に対ドルで2・1%切り上げたが、米国からの更なる切り上げ圧力は根強い。そんな状況に中国政府は「当面は年間2─3%の切り上げに止め、状況に応じて緊急輸入拡大策などで切り抜けていくのでは」と、中島氏は推測する。

ゲスト / Guest

  • 中島厚志 / Atsushi Nakajima

    日本 / Japan

    みずほ総研チーフエコノミスト / Chief Economist, Mizuho Research Institute Ltd.

研究テーマ:経済見通し

研究会回数:2

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