2006年01月24日 00:00 〜 00:00
ユスフ・カラ・インドネシア副大統領

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会見リポート

アチェ和平と地震復興への思い

森 忠彦 (毎日新聞外信部副部長)

「多難だった昨年、アチェではふたつの大きな仕事ができた」

話がアチェ州のことになると、どこかしら、誇らしげで、話す口調も生き生きとなった。それほど、思い入れが深いことなのだろう。

一つは言うまでもなく、一昨年暮れに起きたスマトラ沖地震とそれに伴う大津波による被害の対応。最大の被災地となったアチェ州は約16万7000人が死亡し、約12万戸が流出、損壊した。今なお、12万人以上が仮設住宅暮らしを続けている。

国際社会から多くの支援が集まったが、国連などとともに大きな役割を果たしたのが日本。「皆さんには大変感謝している。おかげで復興は順調に進んでいる」と報告した。

もう一つは30年にわたって独立運動を続けてきたアチェの武装組織「自由アチェ運動(GAM)」との和平合意だ。ちょうど1年前にフィンランドの仲介で始まったGAMとの和平交渉を指揮。昨年8月の正式合意を受けて、年末にはGAMの軍事部門が解散し、警戒に当たってきた国軍や警察部隊も撤退した。

人間が長い間かけてできなかった紛争を一気に終結に向かわせたのは、未曾有の大災害だったというのは、何とも皮肉な話ではある。

海外にも知られた政官業界の汚職体質やテロ事件の撲滅運動も「着実に効果を上げている」と自信を示し、好調な経済成長(昨年の成長率は5・5%)と海外企業への投資環境の向上もしっかりとPRした。

「中国と比べてみても、インドネシアには反日感情などはほとんどないし、投資環境も年々、よくなっている。我々は日本を本当に大切なアジアの友好国だと思っている」

さしたる懸案もない両国関係を見事にくすぐる一言を残していった。

ゲスト / Guest

  • ユスフ・カラ / Jusuf Kalla

    インドネシア / Indonesia

    副大統領 / Vice President

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