2006年01月17日 00:00 〜 00:00
谷垣禎一・財務相

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会見リポート

“ポスト小泉”への意欲

藤井 彰夫 (日本経済新聞編集委員兼論説委員)

財務大臣は激務だ。予算編成、国会答弁などの出番は多いし、何といっても大変なのは海外出張だ。通常年3回の七カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の出席は、国会日程の関係で欧米出張でも週末にわずか一泊、ひどい時は機中泊で現地ゼロ泊でトンボ帰りということもある。

昼食会も米国出張の直後だったが、今回の出張は珍しく約1週間にわたり、米政府関係者のほか民間経済人とも意見交換してきた。米政府もスノー財務長官だけではなく、チェイニー副大統領をはじめ政府要人が歓待した。米国が谷垣氏を「ポスト小泉」候補の一人とみなしていることの表れだ。

当クラブでの講演も「ポスト小泉」を意識した内容になった。

持論の財政再建問題では「歳入面の努力を後にすると、いつまでたっても(財政再建は)できない。歳入と歳出の同時並行的な議論が必要だ」と増税の必要性を強調した。社会保障について「日本は中福祉・低負担の国」であり、「負担に比べ過大な便益を受けている現世代も応分の負担をすべきだ」と訴えた。

構造改革の必要性を指摘しながらも改革が目指す先は効率性を追求する弱肉強食の冷たい社会ではなく、国民と国家の信頼に基づく「絆のある社会」というあるべき国家像についても言及した。

スピーチは経済問題が中心だったが、終了後の質疑応答では「ポスト小泉候補」としての政治姿勢についての質問が目立った。首相の靖国参拝問題では、慎重に言葉を選びながらも「中国や韓国との関係をどうしていくべきかということとの相関関係の中で判断せざるを得ない」と小泉首相とは一線を画す立場を明確にした。

ゲスト / Guest

  • 谷垣禎一 / Sadakazu Tanigaki

    日本 / Japan

    財務相 / Minister of Finance

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