2005年12月16日 00:00 〜 00:00
根来泰周・プロ野球コミッショナー

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会見リポート

協調から競争、そして共生へ

佐藤 次郎 (東京新聞編集委員兼論説委員)

史上初の選手ストの衝撃をきっかけに、にわかに熱を帯びたプロ野球改革の流れ。改革元年といわれたことしは、セ・パ両リーグの交流戦が初めて行われ、ドラフトも新方式に変わるなどの動きが出た。その一年を野球組織のトップに総括してもらおうという会である。

ただ根来氏は、立場によって異なるとしてこれまでの改革の評価については触れず、テーマを一点に絞った。委員会による作業が始まったばかりの野球協約の改定である。

半世紀以上も前に制定された野球協約には不備が多く、時代の変化に対応できていないというのが、かねての主張。そこで「あいまいなところや矛盾のある協約をきちんとして、新たな時代にふさわしいルールとする」のが、コミッショナーの描く改革の柱となっている。

根来氏が示した今後へのキーワードは「協調から競争、そして共生へ」。その競争を公平公正なものとするためには、きちんとしたルールの整備がまず必須だとの考えだ。

協約改定とともに強調したのは、コミッショナーを名実ともに中心に据えてプロ野球の運営にあたっていく態勢を整えるとする点。現行の協約のもとでは、コミッショナーの役割は「司法」に限られているというのが根来氏の持論だが、それを「行政」へも広げて、CEO的な役割を担わせようということだ。

これらは確かに変革のひとつの柱になり得る。ことにコミッショナーの権限強化は改革の実現に大きな意味を持つことになるだろう。

とはいえ、なすべき改革の幅は広く、深い。他にも問題は山積している。何よりコミッショナーには、プロ野球のあるべき将来像とその理念を聞きたかったところだ。

ゲスト / Guest

  • 根来泰周 / Yasuchika Negoro

    プロ野球コミッショナー / Commissioner of Baseball

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