2005年12月02日 00:00 〜 00:00
下川正晴・韓国外国語大学言論情報学部客員教授「韓国の新聞法」3

会見メモ

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資料A
資料B


会見リポート

情報「無料」で新聞の危機

角南 源五 (テレビ朝日報道局次長兼報道企画部長)

下川さんについては、僕がソウル特派員時代の先輩であり、よく知っているが、当時から韓国の社会にどっぷり浸かりながらも、韓国を鳥かん的にみることのできる優れた韓国ウオッチャーだ。

3回にわたって韓国の新聞法の問題を中心に韓国の新聞事情をテーマにしてきたが、1回目の朝鮮日報支局長、2回目のハンギョレ新聞支局長の言い分を3回目ですっきりとまとめてくれた。

朝鮮日報の支局長は、「現政権に批判的な新聞に対し、あらゆる手段を使って規制を加える一方、友好的な与党寄りのメディアを育成する意図が隠されている」という。これに対して、ハンギョレ新聞の支局長は、「朝中東(朝鮮、中央、東亜)と呼ばれる3大紙を規制することに賛成だ。なぜなら歪曲した報道で、国民の民主化要求を弾圧してきたからだ」と反論するが、下川さんは「朝鮮日報もハンギョレも言っていることはどちらも正しい。ただ見方(方向)が違うだけだ」と解説する。なるほど、軸足をどこにおいて論を展開するかということだ。

しかし、新聞の戦いも今では駅前などに積み上げられている無料紙に圧倒されているという。さらには、下川さんが講義する大学で、学生に日ごろの情報源を問うと、新聞はゼロだったという。まさに新聞の危機である。

では、なぜ韓国の新聞がだめになってきたのか、それはインターネット先進国である韓国ならではの理由、情報はタダという意識が国民に浸透したためだという。

時代を圧縮して駆け抜けていく韓国の現状は考える材料を与えてくれる。


ゲスト / Guest

  • 下川正晴 / Masaharu Shimokawa

    韓国外国語大学言論情報学部客員教授 / Visiting Professor, Hankuk University of Foreign Studies

研究テーマ:韓国の新聞法

研究会回数:3

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