2005年12月20日 00:00 〜 00:00
太田昭宏・公明党憲法調査会座長「憲法」4

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会見リポート

条文ごと賛否問う〝個別方式〟を

鈴木 雄一 (読売新聞政治部)

自民党の「新憲法草案」と民主党の「憲法提言」が出そろい、新憲法へ向け、実質的な論議を深める態勢が整った。論議次第では、憲法改正発議に必要な国会議員(衆参両院の3分の2)勢力を作ることも可能だ。自民党と連立を組む公明党の動向にも注目が集まる中、同党のリードオフマンが登場した。

公明党は2002年党大会から、現行憲法の条文などは基本的に残し、新たに必要な条文などを加える「加憲」を提案してきた。ただ、具体的な中身の議論はこれからということもあり、太田氏の発言は、国会の発議後に実施される国民投票を規定する、国民投票法案に集中した。

太田氏はまず、「来国会で国民投票法案の成立を期したい」との意気込みを示すとともに「自民、公明、民主で水面下の議論がこれから始まる」として、法案準備が3党を中心に進むことを示唆した。投票方式は、「全文一括で問いかけても国民理解が深まらない」として、条文ごとに賛否を問う「個別方式」を主張した。

巨大与党が出現した衆院はともかく、参院でも発議にこぎつけるためには、与野党広く一致できる部分から国民投票にかけるのが現実的対応だろう。太田氏は「環境権や犯罪被害者の権利をやりましょう、ということなら、(改正には)そんなに時間はかからない」との見通しを示した。これらテーマは、いずれも同党の「加憲」候補に上っている。

とはいえ、一致しやすいテーマだけでお茶を濁す、ということではない。太田氏は、個別方式で国民投票が行われた場合、第1回目の投票で「9条の問題は当然入る」とし、公明党として「この1年で何らかのものを出す」と宣言した。1項2項を

堅持した上で、国際貢献や自衛隊をどこまで「加憲」案に盛り込むか。3党中、9条改正にもっとも慎重な公明党の結論は、憲法改正論議全体に大きな影響を与えるだろう。

ゲスト / Guest

  • 太田昭宏 / Akihiro Ohta

    公明党憲法調査会座長 / Chairman, Deliberative Council on the Constitution of NEW KOMEITO

研究テーマ:憲法

研究会回数:4

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