2005年11月15日 00:00 〜 00:00
対馬忠明・健康保険組合連合会専務理事「社会保障(7)医療制度改革」3

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会見リポート

厚労省試案は不公平と抗議

石崎 浩 (読売新聞社会保障部)

政府・与党による医療制度改革案の取りまとめ作業が、大詰めを迎えているなかでの研究会。医療費支払い側の代表である健康保険組合連合会の対馬忠明専務理事は、開口一番、「健保連は怒っている。厚生労働省には試案を出し直していただきたい」と言葉に力を込めた。

対馬氏が批判の矛先を向けたのは、厚生労働省が10月19日に公表した「医療制度構造改革試案」。75歳以上を対象に現役世代から独立した医療制度を創設し、給付費の半分を公費、残りを健保組合など各医療保険制度からの「支援金」と高齢者の保険料でまかなうことが大きな柱だ。

対馬氏は「不公平・不透明で、非常に複雑。国民の理解と納得は得られない」と指摘。その理由として、健保組合などから市町村の国民健康保険に対する財政支援が残り、現役世代のサラリーマンは自分の医療費以外に、75歳以上への支援金、財政調整のための費用など、過大な負担を強いられることを挙げた。

健保連が掲げる改革案は、独立した医療制度の対象者を65歳以上に広げ、半分を公費でまかなうという内容。公費負担が増えるため、実現すれば健保組合加入者の負担は軽くなると見られる。

健保連がこうした提案をするのも無理はない。現行制度でも、保険料の約4割を高齢者医療などへの拠出金として差し出すことを余儀なくされている。厚労省の試案が実現した場合、中小企業の政府管掌健康保険と市町村国保の保険料負担が軽くなる一方で、健保組合だけはさらに年約2200億円も保険料負担が増えると試算されている。「取りやすいところから取ろうとしている」という健保組合側の不公平感をどう払しょくするかが、改革の大きな課題だと感じた。

ゲスト / Guest

  • 対馬忠明 / Tadaaki Tsushima

    健康保険組合連合会専務理事 / Executive Director, National Federation of Health Insurance Societies

研究テーマ:社会保障(7)医療制度改革

研究会回数:3

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