2005年07月11日 00:00 〜 00:00
服部健治・愛知大学教授「中国経済」2

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会見リポート

日本企業はバイタリティー不足  

佐藤 雄希 (時事通信外国経済部)

「おかしいと思ったら文句を言うことが重要。ただし愛情を持って言うのと憎しみを持って言うのは全然違う」─。日中関係の冷却化が進む中、国民世論が嫌中感情と、その対極としての中国への遠慮に二分する状況にあえてクギを刺した。

急速な経済成長を背景に、国際社会で存在感を増す中国。明治維新後アジアの盟主の座に就き、敗戦後も圧倒的な経済力で周辺国から一目置かれてきた日本では、何とかその台頭を抑えたい、ナンバーワンの地位を守りたいとの意識が見え隠れしがちだ。

中国での生活が長く、客観的に日本を観察してきた服部教授は中国の反日感情について「根底には、日本人はまだ歴史を反省せず、中国をバカにしているのではないかという感情がある」と指摘。「日本人の態度からは、どうしても中国の発展を阻止したい、失敗してほしいという意識がにじみ出てくる。どこが一番になろうが構わないという考えをしたらどうか」と提言する。

一方で中国に対する注文も手厳しい。テレビドラマや映画で、日本をべっ視する差別表現が日常的に使用されている問題に言及。「反日教科書よりも、もっと重要で深刻な問題だ。日本人はきちんと発言してやめさせるべきだ」と断言する。

中国に進出する日本企業に対しては、日中友好を意識し過ぎる問題に言及。「企業は競争に勝って、もうけることを追求すればいい。そのことが最終的に地元や住民の利益につながる。バイタリティーが足りない」と警鐘を鳴らす。

日本人がどう願おうと、中国の発展は続く公算が大きい。教授が「これからは教えてもらうという謙虚さが必要」と語るように、日本人も身の丈に合わせた意識改革をしていくことが必要だ。

ゲスト / Guest

  • 服部健治 / Kenji Hattori

    愛知大学教授 / Professor, Aichi University

研究テーマ:中国経済

研究会回数:2

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