2005年04月25日 00:00 〜 00:00
クラウス・シュワブ・世界経済フォーラム理事長

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会見リポート

ダボス・創設者のチャレンジ

竹居照芳 (個人会員(日本経済新聞出身))

スイスのダボスで毎年1月に開催される世界経済フォーラム(WEF)は通称、ダボス会議の名で知られる。今年はマイクロソフト社のビル・ゲイツ会長、英国のトニー・ブレア首相ら、世界中からビジネス、政治、学術、メディアのリーダーが参加した。世界は貧困、気候変動、グローバル化の影響、大量破壊兵器、世界経済の持続可能性などさまざまな課題に直面している。ダボス会議はそうした問題を自由に議論し、解決の方向を見いだそうとするユニークな民間組織である。

1971年に若くしてWEFを創設したクラウス・シュワブ理事長はまだ67歳。会見で、世界が直面する緊急性の高いリスク(言い換えるとチャレンジ)を「(1)機能不全に陥っている諸国家、(2)テロリズム、(3)金融危機および財政危機、……」と挙げ、これらに対応して解決策をまとめ、実行する国際的な組織がないと指摘した。

そして、相互依存の度合いが高い今日の世界で、課題にグローバルなアプローチで取り組むプラットフォームおよびプロセスが必要だとし、そこにWEFの役割があると述べた。

また、世界が抱える課題は多元的、多面的なので、アプローチの仕方として①グローバルな視点、②マルチ・ステークホルダーを介すること、③長期的かつ戦略的・システミックであること、④未来志向であること、が必要だと語った。

会見の最後に「このままでは、世界を最悪の状態で次世代に引き継ぐことになりかねない」と述べた。反グローバル化を掲げ、WEFを攻撃する世界社会フォーラムに対しては「イデオロギー的」と批判したが、双方の危機意識が根底ではつながっているように思えた。

ゲスト / Guest

  • クラウス・シュワブ / Klaus Schwab

    世界経済フォーラム理事長 / President, World Economic Forum

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