2005年04月04日 00:00 〜 00:00
ヤープ・デホープスヘッフェル・NATO事務総長

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会見リポート

大きな変革期に新たな脅威

山内聡彦 (NHK解説主幹)

去年3月、バルト3国など7カ国が加盟し、26カ国体制に膨れ上がったNATO・北大西洋条約機構。しかし、冷戦終結で敵がいなくなり、存在意義が問われている。またイラク戦争をめぐって米欧の亀裂が表面化し、NATOは今大きな変革期にある。

その難しい時期に事務総長に就任したのが、オランダの前外相デホープスヘッフェル氏。デホープスヘッフェル氏が記者会見で強調したのは、新たな脅威が生じているということだった。

「世界が直面する脅威は以前とは全く性格が違います。グローバルなもので、テロ、大量破壊兵器の拡散などです。こうした脅威はどこでも起こりうるし、国境はないのです」

では、この脅威にNATOはどう対応しようとしているのか?事務総長は、軍事・政治両面の変革が必要であり、より機動的で脅威に対応できる軍が必要だと強調した。政治面でもNATOや各国には今の脅威に単独で対応できる力はなく、世界が協力して対処すべきだと訴えた。

そして、新たな脅威との戦いにおいて、日本は政治的、資金的に重要なプレーヤーであるとして、日本との政治対話の強化の意向を示した。これに関連し、事務総長は町村外務大臣との会談で、NATOの指揮権のもとでアフガニスタンに派遣されている国際治安支援部隊に日本が協力することに期待を表明した。

また、米欧の亀裂については「すでに過去のことだ」と述べるとともに、アメリカの参加は不可欠だと強調した。しかし、加盟国間の亀裂は修復されておらず、デホープスヘッフェル事務総長はNATOの変革を実現するとともに、利害の調整役としての手腕が一層求められている。

ゲスト / Guest

  • ヤープ・デホープスヘッフェル / Jaap de Hoop Scheffer

    NATO事務総長 / Secretary‐General, NATO

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