2005年02月04日 00:00 〜 00:00
長島忠美・新潟県山古志村村長

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会見リポート

試練は必ず乗り越えられる

神田英彦 (共同通信社会部)

新潟県中越地震で全村民が村外へ避難して3カ月余り。 「3・8メートルの積雪を記録し、村に残した家の雪下ろしと、仮設住宅の雪下ろしで住民は疲れ切っている」と被災地で冬を越す苦労を切々と語った。

地震直後の村で「山が動いた」のを目の当たりにし「自分の無力さを感じた」と話す。道路が寸断され、通信も途絶えた。「どんな状態でも(自治体の)外に(情報を)発信できる態勢を整えなくては」と全国の自治体に警鐘を鳴らす。

「いつごろ、どんな形で帰れるのか、春には(村民の心に)希望の灯をともしたい」と復興計画策定がヤマ場を迎えていることを強調。「お世話になった全国の皆さんにおいでいただけるような村に必ずして、村でお礼を言いたい」とも。

4月には長岡市と合併し、自治体としての山古志村は消える。「今までは目に見えるところに人(村長や職員)がいた。これからはそっち(山古志村出身者)ばかりを見ていられない人がトップになる」と、村民の間に不安の声があることを認める。

村長の任も3月末で終える。「その日まで、この服を脱がない」と、会見でも紺の防災服姿。その後も「個人として、NPOを立ち上げてでも災害にかかわっていこうと思っている」と、自らが背負う運命の重さを感じさせた。

自らは避難前、無農薬農業にこだわり、自分で食べるコメも卵も作る生活。妻が栽培した野菜が東京・六本木のレストランでパスタの具になっていることに話が及ぶと、表情がほころんだ。

「試練は必ず乗り越えられる」、厳しい認識の中にも、楽観を忘れない─2200村民をまとめているのは、そんな人柄かもしれない。

ゲスト / Guest

  • 長島忠美 / Tadayoshi Nagashima

    新潟県山古志村村長 / Mayor of Yamakoshi, Niigata Prefecture

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