2005年02月21日 00:00 〜 00:00
ワンガリ・マータイ・ノーベル平和賞受賞者・ケニア副環境相

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会見リポート

「もったいない」の精神

岸本 邦彦 (時事通信外信部)

単なる環境保護運動ではなく、植林を通じて貧しい人々の社会参加意識を高め、女性の地位向上を含む祖国ケニアの民主化につなげたい─。その思いで非政府組織(NGO)の「グリーンベルト運動」を創設してから4半世紀以上。独裁政権による弾圧や投獄にもめげず、ついに昨年、ノーベル平和賞を受賞したと聞けば、「闘士然」たる風貌、語り口を想像するだろう。

ところが、その「素顔」は実にソフトだった。「京都の清水寺を訪れたが、自然の美しさをめでることの大切さをあらためて思い起こした」と笑顔で話し、その日本でも森林政策の問題からクマの出没が相次いだと聞くと、「ケニアでも生息地の森が破壊され、ゾウが村に出てきてしまう」と身振り手振りを交えて熱心に説明した。

世界最大の二酸化炭素排出国・米国が京都議定書を批准していないことに話を向けられても、「こうした国でも、個人のレベルで(環境保護を)やっている人がいる」と直接的な米国批判にはくみせず、「その国だけに目を向けないように」と諭すように語った。 そのマータイさんが目下、一番気に入っている言葉が日本語の「もったいない」だという。日本には環境を大切にすることにつながる「『もったいない』の精神が文化に根付いている」と称賛し、「世界に向けたメッセージにしたい」と付け加えた。この言葉は日本滞在中に覚えたようで、会見中にも繰り返して使用。お気に入りのほどがうかがえた。

日本発の「もったいない」の精神が「家庭でも職場でもどこでもできる」環境保護の「英知」として、マータイさんを通じて世界に広がることを期待したい。

ゲスト / Guest

  • ワンガリ・マータイ / Wangari Muta Maathai

    ケニア共和国 / Republic of Kenya

    ノーベル平和賞受賞者・ケニア副環境相 / Nobel Peace Prize winner, Deputy Environment Minister in Kenya

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