2004年10月27日 00:00 〜 00:00
李富栄・韓国ウリ党議長

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会見リポート

日韓「不惑の年」に期待

荒木 俊光 (時事通信外信部)

父親が旧日本軍に協力していた事実が発覚した問題で辛基南議長が辞任したことを受け、8月に後任議長として与党ウリ党のトップに就任したばかり。韓国紙・東亜日報元記者で1970年代から民主化運動を率い、投獄も5回経験した元「闘士」だが、そうしたイメージとは違った冷静でソフトな語り口で日韓関係や北朝鮮問題などについて話した。

来年の日韓国交正常化40周年という「不惑の年」を前に政府、民間双方レベルでの両国の交流が進展していると期待を示しつつも、「過去の歴史問題の解決なくして、両国間の強固な信頼関係は難しい」と注文をつけることも忘れなかった。

内政面では違憲と判断された首都移転問題について、ソウル周辺に人口が集中することによる環境や教育などへの障害が生じていると弁明。「均衡の取れた発展と地方分権を進めていく」という与党の方針を改めて主張した。

東アジアの安全保障で最大の懸案である北朝鮮問題では「引き伸ばせば引き伸ばすほど(北朝鮮が)核やミサイルを蓄積する可能性がある」として早期に対応する必要性を強調。「米独がソ連を封鎖し、東欧に経済制裁をしたから崩壊したわけではない。米国はキューバを長年にわたり封じ込めたが崩壊しなかった」と過去の事例を引用しながら日本の経済制裁の動きをけん制、「(制裁という)消極的で閉鎖的な手法を取ることには疑いの目を持っている」と日本政府に慎重な対応を求めた。

一方で「日本がアジアの平和におけるイニシアチブを行使すべき時が訪れた」と述べ、日本が北との国交正常化を実現し、核問題解決と朝鮮半島の平和に向け主導的な役割を果たすべきだと訴えた。

ゲスト / Guest

  • 李富栄

    韓国ウリ党議長

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