2004年06月22日 00:00 〜 00:00
ロドリゴ・ラト・IMF専務理事

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会見リポート

デフレの終わりは近い

井手 壮平 (共同通信経済部)

6月7日に就任したばかりのラト国際通貨基金(IMF)専務理事=前スペイン経済相=の初訪日。このポストは、国際金融の世界では「米大統領より重要」とさえ言われる。ラト氏の特色は、歴代の専務理事が中央銀行や官僚OBの中で、政治家出身という経歴だ。加盟国の思惑が複雑に絡み合う中で、調整手腕をどこまで発揮できるかに注目が集まる。

ラト氏はまず、日本経済の現状について、政府の構造改革や日銀の金融政策を高く評価し、「デフレの終わりは近い」と総括。世界経済全体も今年は四・六%か、それ以上の成長を遂げるとの見通しを示した。その上で、「好景気の今こそ成長を持続的なものにするための改革が必要」と訴え、各国に財政赤字を削減するよう促した。

経済情勢としてはここ数年で最も良い時期に就任したラト氏だが、組織をめぐる環境は順風満帆とは言い難い。先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では折しも世界銀行と並んで「戦略的見直し」の対象となっており、九〇年代の経済危機でIMFへの不信感を強めたアジアでは、IMFを介さない独自の地域金融協力が進みつつある。

そのためか、東アジアの金融協力について聞かれたラト氏は雄弁だった。「とても有益な動きで、努力を支持する」としつつ、「我々はすべての地域協力に、可能な限り積極的に関わっていく。グローバル経済ではIMFのような国際機関が以前にも増して必要だ」と、自らの存在意義を強調するのを忘れなかった。

ゲスト / Guest

  • ロドリゴ・ラト / Rodrigo Rato

    IMF / IMF

    専務理事 / Managing Director

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