2004年04月07日 00:00 〜 00:00
田代眞人・国立感染症研究所ウイルス第三部長

会見メモ

使用した資料です。
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会見リポート

新型ウイルスの脅威を警告

南  直樹 (日本放送協会解説主幹)

鳥インフルエンザが、日本を含めたアジア各国で集団発生し、さらに鳥インフルエンザウイルスが、人から人へと感染する新型インフルエンザウイルスに変異する可能性が心配されている。この時期に開催した、感染症学の専門家、田代眞人さんの研究会は、多くの会員の、深い関心を集めた。

まず、インフルエンザウイルスが感染し、病気を引き起こすのはどのような仕組みによるのか、それはウイルスの表面のHA(赤血球凝集素)と、感染を受ける宿主側の細胞の、双方の条件にかかっているという。この重要なポイントは、田代さんを含めた、日本人の研究グループが解明したもので、わかりやすく紹介された。

その上で、新型インフルエンザが出現した場合、病気を起こす強い毒性と、人に感染する性質を併せ持つことになり、人類にとって恐ろしい事態が予想される。そのような可能性は、今後常にあると考えなければならない、と田代さんは警告した。

この危機に対応するためには、まず事前準備が重要で、国際的な監視体制を強化し、ワクチンと抗ウイルス剤を確保できるようにしなければならない。

さらに実際に世界的な大流行が起きたとき、医療サービスの確保など行動計画もたてておく必要がある。供給量が限られているワクチンと治療薬を、誰から使うかという優先順位も大きな問題だ。「最悪のケースを想定して対応を考えておくことが、健康被害を最小限に抑えることにつながる」。田代さんの意見は明解だった。

ゲスト / Guest

  • 田代眞人 / Masato Tashiro

    国立感染症研究所ウイルス第三部長 / Manager of Immunization Program Division, National Institute Of Infectious Diseases

研究テーマ:新型インフルエンザ 危機に備える

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