2004年03月24日 00:00 〜 00:00
ムハンマド・バハル・アル・ウルーム・イラク統治評議会議長

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会見リポート

国連の下で選挙の実施を

渡辺 晋 (読売新聞国際部)

イラク統治評議会メンバーとして初めて来日したウルーム議長は会見で、新生イラクの暫定憲法となる「イラク基本法」をめぐる宗派、民族間の対立について問われ、「意見の違いが生じるのは、民主主義の一つの兆し」と対立の深刻さを否定、「イラクに内戦の危機はまったくない」と強調した。

議長はイスラム教シーア派の有力法学者としてフセイン政権下で弾圧を受けてきた。自由な論議もままならなかった時代を経験した人物だけに、民主化への期待感を高めているのも当然だろう。

だが、イラクの行く末は、とても楽観視できる状況にない。

占領統治する連合軍ばかりか、イラク人警察や一般市民を狙ったテロが続いている。最近は宗派や民族間の憎悪をかきたてるようなテロも目立つ。基本法に対しては、国内人口の六割を占めるイスラム教シーア派の最高権威、アリ・シスタニ師が反対を表明。一方のスンニ派は、フセイン政権下で享受していた支配的な地位を失うまいと、危機感を強める。

議長は「国連の関与の下で選挙を実施したい」と、国連による選挙の早期準備・実施に強い期待感を表明。日本の自衛隊派遣については「多大な貢献をしてもらっている」と高く評価した上で、「様々な分野で日本との協力関係を強化したい」とさらなる支援を求めた。新生イラクが国連や先進諸国など国際社会の手厚い支援なしには立ち行かないことを裏書きしたものと言えよう。

ゲスト / Guest

  • ムハンマド・バハル・アル・ウルーム / Seyyid Muhammad Bahar Al-Uloom

    イラク / Iraq

    イラク統治評議会議長 / President, Iraqi Governing Council

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