2004年01月13日 00:00 〜 00:00
カメル・モジャーン・国連難民高等弁務官補

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会見リポート

困難さ深まる難民問題

大内 佐紀 (読売新聞国際部)

冷戦終結後、世界の難民問題は逆に悪化している。七〇年代には、UNHCRの支援対象者は約二百万人だったのが、一九九五年には実に二千七百万人以上に膨れあがった。「冷戦時代、難民は相手方(共産圏)陣営が非道であることを体現するPR価値があった。また、各国が経済成長を遂げる中、労働者としても求められていた。それが、今はない」と現状の厳しさを分析する。

難民を避難先で保護し、最終的には出身国に帰還させるか第三国に定住させるかがUNHCRの主要な任務だ。 先進国が内向きになり、難民の受け入れに慎重になり、また援助疲れが目立つ中、 どう受け入れを促し、 活動に必要な資金を得るかは今年も大きな課題となりそうだ。 冷戦まっただ中の一九五一年に採択された 「難民の地位に関する条約」が、経済難民の扱いを規定しないなど、 時代遅れになっている感も否定しない。

昨年八月、バグダッドでのテロで非業の死を遂げたデメロ国連事務総長特別特使は、九〇年代半ばには、モジャーン氏の現職にあった。昨年末にはアフガニスタンでUNHCRの部下をテロで失った。同僚たちの死に、「国連職員の安全は、活動する地域で国連がどれほど信頼されているか、尊重されているか、国連がどれだけ独立した機関だとみなされているかにかかっている」と口元を引き締めた。

二十九歳でUNHCRにつとめる前に、出身国チュニジアの新聞のスイス特派員を二年間務めた経験がある。記者会見に臨むたび、その時代を思い出すのだという。

ゲスト / Guest

  • カメル・モジャーン / Kamel Morjane

    国連難民高等弁務官補 / Assistant High Commissioner for Refugees, UNHCR

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