会見リポート
2003年12月08日
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フィリップ・ビュスカン・EU研究開発担当委員
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会見リポート
進歩に欠かせぬ協調の精神
上田 俊英 (朝日新聞科学医療部)
折から国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致をめぐり、日本の青森県六ケ所村とEUが推す南仏カダラッシュとの一騎打ちが最終盤にさしかかっていたが、その誘致競争に話題が及ぶと「建設地に焦点が移っているが、参加国が具体的にどう仕事を分担していくかの方が重要だ」とくぎを差した。
科学技術の研究開発は巨大化の一途をたどっている。ITERの総事業費は約1兆3000億円。国際宇宙ステーションに至っては約5兆円とされる。到底、一国でまかないきれる額ではない。
とはいえ、科学技術は「競争」抜きでも語れない。勝者には、知的所有権などによって、莫大な利益が約束されているからだ。
EUが取り組む衛星ナビゲーションシステムの「ガリレオ計画」について、米国の全地球測位システム(GPS)への対抗心をにじませたのは、興味深かった。
「GPSは米国が完全にコントロールしている。GPSのような高度なシステムが世界に一つしかないという状況は危険で、バックアップが必要だ」。欧州は、したたかでもある。
「多様性の中から創造力が生まれ、技術革新が可能になる。バラバラでなく、組織化された多様性が必要なのです」とも語った。モノトーンに陥りがちの日本人として、戒めの言葉としたい。
ゲスト / Guest
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フィリップ・ビュスカン / Philippe BUSQUIN
EU / EU
研究開発担当委員