2003年12月18日 00:00 〜 00:00
アブドゥッラー・ギュル・トルコ副首相兼外相

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会見リポート

テロの活発化を否定

原田 健男 (山陽放送東京支社報道部長代理(元JNNカイロ支局長))

イラク戦争への対応や、11月にイスタンブールでおきた連続自爆テロなど関心が高まっているときだけに、ギュル副首相兼外相の記者会見は今後のイラク復興や国内の治安にどう臨もうとしているのかが注目を集めた。

ギュル外相は、「日本におけるトルコ年を契機に、伝統的友好関係を戦略的関係にまで発展させることができると信じている」と述べたが、会場からは今後のイラク情勢の見通しや対応、国内過激派のテロ対策などについて質問が出された。これに対し外相は、「イラク国民はサダム体制の下で圧制に苦しんだ。新しい民主的体制の下で復興事業が成功することを確信している。イスタンブールのテロは容疑者を早期に確定・拘束した。これは9月11日以後起きた唯一の事件で、テロがトルコ国内で活発化しているわけではない」と述べた。親トルコのイラク国内クルド族支援の立場を強調する一方で、テロとの戦いで西側に毅然とした立場を示した形だ。

ソ連黒海艦隊の出入り口に位置し、重要な油田地帯にも接することから東西冷戦時代からNATOの重要なメンバーであるトルコ。西洋に遅れまいと近代化をすすめたこの国も、経済的低迷にイスラム原理主義が静かに浸透している。初のイスラム国としてEU加盟交渉も現実のものとなっている今、いかに穏健な路線でかじを取っていけるかが課題のようだ。

ゲスト / Guest

  • アブドゥッラー・ギュル / Abdullah Gül

    トルコ共和国 / Turkey

    副首相兼外相 / Prime Minister and Minister of Foreign Affairs

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