2003年09月01日 00:00 〜 00:00
ゴールドマン夫妻・ハーバード大学研究者

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会見リポート

夫妻で語る中国、ロシアの現状

鈴木博信 (個人会員(NHK出身))

夫のマーシャルさんがロシア経済、妻のマールさんが中国現代史専攻という「おしどり夫妻」の登場は、記者クラブ始まって以来とのこと。ひと月にわたる両国視察行の帰路だが、疲れもみせず熱弁をふるった。

エリツィン・ロシアにおける私有化は「史上最大の盗み」だった。一九九七年のフォーブス誌の世界億万長者リストに突然登場した五人のロシア人富豪はそれまではほとんど無一物の人たちだった。 これらひと握りのオリガルヒ誕生のかげで国民の三分の一を貧困線以下におちこませた「改革」には、今も国民の70~90%が不満をもっており、体制の土台は不安定だ。

国民の財産を盗んだオリガルヒには同情できないが、 自分の気に入らないオリガルヒは国外追放にしたり強制捜査する一方、盗聴やマスコミしめつけ等々の復古策を強行しているプーチンに同情するのは、もっとむずかしい。中小企業は創業が困難なうえ、「国家契約とワイロなしでは生存しにくい実状で、 独立自尊の中産層への道はほど遠い」。そう語るマーシャルさんの近著『強奪されたロシア経済』は、 今秋日本でも出版される。

マールさんは言う。 中国最大の政治課題は内陸部と国有部門から流出してくる2億8000万人の働き口をつくり出せるかどうか? 「中国民主党」 は圧殺されたが(98年)、数100万の村落で選挙が行われている。ロシアとちがい変化はボトム・アップで起きるだろう。

ゲスト / Guest

  • ゴールドマン夫妻 / Marshal GOLDMAN

    アメリカ / USA

    ハーバード大学研究者 / Researcher, Harvard University

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