1998年06月24日 00:00 〜 00:00 10階ホール
牛尾治朗・経済同友会代表幹事

会見メモ

財界の論客、経済同友会の牛尾治朗代表幹事を日本記者クラブの昼食会に迎えるのはこれが三度目になる。

 

リラックスした雰囲気のうちに登場されると、さっそく参院選の投票率がW杯のテレビ視聴率に遠く及びそうにないことに触れ「政治もサッカーも一種の舞台だから、面白くなければならない」と政治に対する軽いジャブ。長年、劇団「四季」を後援している演劇通らしい軽妙な寸評だ。

 

が、なにせ世界中を騒がせた円売り投機が日米協調介入でやっと収まり、十七カ国蔵相代理級会議で日本が注文を付けられ、政府と自民党が金融再生トータルプランの協議を始めたばかりというタイミング。スピーチでもその後の質疑応答でもおのずと焦眉の関心事が取り上げられ、活気に満ちたものになった。

 

牛尾さんの話は、改革派の一方の旗頭らしく、グローバリゼーション(世界の単一市場化)のすう勢のなかで「日本は一国繁栄主義を脱すべきだ」「国際社会の現実を出発点にモノを決めるやり方に切り替えるべきだ」と終始、構造改革の考え方に貫かれていた。

 

またアジアの経済危機について、「来年一月に欧州通貨ユーロが導入されると、ドルとユーロが国際通貨の中心になり、円はローカルカレンシーの一つに転落する」との危機感を表明。「円、人民元、バーツなどASEAN通貨のバスケットによるアジア共通通貨を作ってはどうか」と具体策も提案。民間からこれだけ大胆な構想が打ち出されたのは恐らく初めてではないだろうか。

 

日本記者クラブ会報1998年7月号6ページより引用)

会見音声


ゲスト / Guest

  • 牛尾治朗 / Jiro Ushio

    日本 / Japan

    経済同友会代表幹事 / President, Japan Association of Corporate Executives

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