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著者自身によるワンポイント紹介です

■国際情勢に強くなる英語キーワード(岩波ジュニア新書)

明石 和康(時事通信社解説委員)

▽世界情勢理解の教材にも

特派員時代には、常に英語で苦労した。しかし、国際情勢をフォローするには、やはり英語の腕を磨くことが必須だ。本書は、大学生や高校生、それに若いビジネスマンを念頭に、国際情勢を理解するために必要な英語の単語や表現を厳選して、解説を試みた。若い人たちにはぜひ、海外ニュースに関心を持ってもらいたい。また、英語でニュースを理解できるようになれば、必ず発信力にも良い影響が出るはずだ。そんな思いも執筆の背景にはある。


岩波書店 / 864円 / ISBN 4005008259

■プーチンとG8の終焉(岩波新書)

佐藤 親賢(共同通信社外信部)

▽「米主導」と対極の世界観

ロシアのプーチン大統領は覇権主義者でもなければ、伝統的な意味での「独裁者」でもない。クリミア半島を実力で「取り戻した」手法は支持できないが、リスクを冒してこの決断をしたのはなぜなのかは、あまり理解されていない。本書では、この疑問に自分なりの答えを見いだそうとした。偏見を持たずにプーチンの主張に耳を傾ければ、「米国主導」に慣らされた日本での一般的な見方とは対極の世界観を知ることができる。


岩波書店 / 864円 / ISBN 4004315948

■核に魅入られた国家 知られざる拡散の実態

会川 晴之(毎日新聞社北米総局長)

▽連載「核回廊を歩く」を再構成

パキスタン、イラン、そして日本の核開発現場を丹念に歩き取材した書。取材開始から2年。毎日新聞に連載した「核回廊を歩く」を加筆・修正した。核兵器開発の実態から、秘密のベールに包まれている核拡散の手口、さらに、これまで書かれることがなかった日本の意図せざる拡散にも踏み込んだ。日本の核拡散の実態に初めて切り込んだ「日本編」は、科学ジャーナリスト賞2016の受賞が決まった。


毎日新聞出版 / 1782円 / ISBN 4620323764

■水俣病を知っていますか(岩波ブックレット)

高峰 武(熊本日日新聞社論説主幹)

▽60年の「実相」知ってほしい

編集者の提案に少々戸惑った。本のタイトルである。「水俣病を知っていますか」というのは、熊本では何を今さら、という感じがするからだ。しかしよくよく考えてみれば、どれほど水俣病のことを知っているか、本書が入門書的な狙いがあるとすれば案外、いいタイトルではないかと思えてきた。水俣病事件は2016年5月1日で公式確認から60年。人で言えば還暦だ。これほど長い期間が経過したのになぜ未解決なのか。今も第1号の患者は懸命に命を刻んでいる。多くの人に60年の「実相」を知ってほしいと思う。


岩波書店 / 626円 / ISBN 4002709485

■大変を生きる 日本の災害と文学

小山 鉄郎(共同通信社編集委員兼論説委員)

▽文学作品でみる「日本人と災害」
 2011年の東日本大震災の後、同年4月7日、東京電力福島第1原子力発電所に近い南相馬市に入った。悲惨な海岸線。見えない放射線への不安…。
 文学担当の記者として、何をなすべきかを考え、日本人が大災害(大変)と、どう闘い、いかに生きて、どのように復興してきたかを文学作品を通して書いてみたいと思い、1年間新聞連載した。それを全面的に書き直して書籍化したものだ。
 古代から現代までの大変を生きた人びとの中で、あえて1人の人物を挙げれば、濃尾地震、関東大震災と2度の大変に遭いながら、したたかに柔軟に自分を貫いて生きた西村伊作の人生に深く動かされるものがあった。


作品社 / 2808円 / ISBN 4861824257

■心の華1 「思いを集めて」42人のメッセージ

坪田 知己(日本経済新聞出身)

▽文章講座受講生のチャレンジ
 5年前から各地で開いた文章講座の受講生に、作品発表の機会を提供したいと、一人1万円の参加費で2000字程度の文章を載せる企画を立てた。42人が参加し、家族への思い、人生への思い、仕事への思いなど秀作が集まった。デザインも良く、しっかり添削したので、書店販売の本に負けない出来になった。参加者には「一生の宝物」になったと思う。読みながら泣いた筆者もいる。普通の人のチャレンジの対象として毎年作っていきたい。


自費出版

■地方創生まちづくり大事典―地方の未来、日本の未来―

竹本 昌史(日本経済新聞出身)

▽珠玉のまちづくり193選
 全国各地で繰り広げられている最新の地域再生事業を総点検し、特筆すべき活動を選んで193の事例に集大成したものが本書である。衰退する地域をよみがえらせ、生き生きとしたまちづくり、キラリと輝くむらづくりに挑戦する現場を身近に体感できる「珠玉のまちづくり193選」といえる。
 北海道から九州まで全ての市町村を10年かけて訪れ、各地で取り組まれている地域活性化事業の最前線に足を運んだ。地域の特性を生かしたユニークで多彩な活動があちこちで展開されており、本書を読めば、これから地方創生事業に取り組む人々にとって多くのヒントが得られる。


国書刊行会 / 12960円 / ISBN 4336059756

■報道写真集 軌跡 大津波からの5年

八重樫卓也(岩手日報社報道部第二部長)

2011年3月11日、岩手県沿岸部を襲った大津波は5千人を超す人々の命を奪った。いまだ1124人の行方は分からぬまま。岩手県警は現在も月1回、不明者捜索を続けている。
 本写真集は、震災直後から岩手日報の記者が被災地で撮影した写真を基に、震災から5年の軌跡をたどっている。歩み、恵み、絆、祈り―の4テーマに沿って、震災直後からの被災地の変わりゆくさまを切り取った。
 紙面連載した記者ルポ「被災地を歩く」も掲載。震災後から被災地に入ったルポの第5弾で、同じ場所を訪れた記者たちの主観が盛り込まれている。
 明日の暮らしも見えず途方に暮れた人々に、年を追うごとに笑顔がのぞく。一方、5年を重ね、さらに悲しみに沈む人、いまだ家族が見つからず、心の整理ができない人もいる。はや5年、まだ5年―。復興は道半ばだ。


岩手日報社 / 1620円 / ISBN 4872014162

■増補 実践的新聞ジャーナリズム入門(猪股征一著)

小市 昭夫(信濃毎日新聞社報道部長)

 2006年刊行『実践的新聞ジャーナリズム入門』の増補版だ。信濃毎日新聞社編集局長も務めた猪股征一氏(現監査役)が、特定秘密保護法や安全保障関連法の成立もあったこの10年間を見つめ直し、提起する。「平和と民主主義の危機の前に、メディアがなすべきことは多い」と。
 「ジャーナリズムの創造」を加えた。現実社会への関わりが薄くなって、短絡的な思考がまん延しかねないインターネット時代の課題を指摘。新聞は東日本大震災を機に、人々に情報を伝え、生活に寄り添う報道が再評価されたとし、国民からの信頼が「新聞の命」と訴える。
 権力側のメディアへの介入、記者クラブ制度の問題点などに向ける目は厳しい。「今の取材や報道が政治や権力による戦略に埋め込まれていないかどうか、日常から見直すことが必要」。新聞をめざす若者も記者自身も胸に刻むべき戒めだ。


信濃毎日新聞社 / 1512円 / ISBN 4784072780

■なぜ私は韓国に勝てたか 朴槿惠政権との500日戦争(加藤達也・産経新聞前ソウル支局長)

三笠 博志(産経新聞東京本社社会部長)

韓国の朴槿惠大統領の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴され、昨年12月に無罪が確定した産経新聞の加藤達也前ソウル支局長がまとめた初の手記である。
 現在は社会部編集委員として拉致問題や警察庁を担当しており、そもそも警視庁で公安・警備部門や拉致問題を追っていたタフな「事件記者」だ。とはいえ、今回の8カ月にわたった出国禁止措置など約1年半に及んだ裁判は、相当な心労だったと思う。
 本書は、前代未聞の在宅起訴から劇的な無罪判決に至るまでの一連の経緯に加え、取調室での検事との生々しいやり取りや、緊迫した法廷内の様子が詳述される。朴政権が「産経に謝罪させる」ことを刑事訴追の目的にしていたとみられることや、大統領周辺の思惑と国民感情で法が恣意的にねじ曲げられていく様子を「情治主義」という韓国特有の言葉で迫るなど、内容は衝撃的だ。


産経新聞出版 / 1512円 / ISBN 4819112740

■イスラム化するヨーロッパ

三井 美奈(読売新聞社国際部)

▽イスラムとの共存に悩む欧州

多発するテロ、押し寄せる難民、ポピュリスト政党の台頭――今の欧州はイスラム抜きには語れない。昨年1月まで約4年間、特派員としてパリに駐在し、そう実感した。過激派に加わる若者やテロ対策専門家を取材した経験を1冊にまとめた。見えてきたのは、イスラム移民の同化に失敗し、苦悩する欧州の姿だ。とりわけ、2度テロの標的となったフランスの闇は深い。日本にとっても、決して他人事ではない。


新潮新書 / 778円 / ISBN 4106106493

■愛しのドラゴンズ! ファンとして歩んだ半世紀

北辻 利寿(CBCテレビ報道局長)

▽ドラゴンズ80周年でファンが書く本を!

出版社からの依頼を受けて、中日球場(現ナゴヤ球場)近くで生まれ育ったファンとして半世紀の歴史を綴りました。球団史そしてその時代の社会や世相も紹介しています。ぜひお読みいただきたいのは、テレビ報道の世界に進んでからの取材経験談の「落合博満選手との1年」の章です。スポーツ記者でない〝落合家庭番記者〟としての日々を、初披露しました。現在は球団GMである三冠男・落合さんの素顔は?


ゆいぽおと / 1296円 / ISBN 4877584552

■二つのコリア 第三版 国際政治の中の朝鮮半島(ドン・オーバードーファー、ロバート・カーリン著、菱木一美訳)

菱木 一美(共同通信出身)

▽金正恩時代に至る迫真の現代史

毎日新聞社の「アジア・太平洋賞大賞」を受賞した訳書「二つのコリア」の抜本的な増補改訂版である。北朝鮮問題に精通する元米外交官、ロバート・カーリンを共著者に加えた新版は、米朝核交渉や小泉訪朝の舞台裏をはじめ金正恩登場に至るまでの数々の衝撃的な新事実を明らかにしている。ドン・オーバードーファーが執筆した旧版部分も最新の学術研究を基に500箇所以上の大改訂が行われ、朝鮮半島問題の理解に必須の新著となった。


共同通信社 / 3996円 / ISBN 4764106825

■危機と決断 前FRB議長ベン・バーナンキ回顧録(上下)(ベン・バーナンキ著、小此木潔訳)

小此木 潔(朝日新聞出身)

▽「マニア」が語る恐慌論

リーマン・ショックに始まる2008年の世界金融危機は、実は史上最悪の「金融恐慌」であった。経済に詳しい人たちの反応は、「やはり」と「まさか」に二分されるだろう。自らを「大恐慌マニア」と呼ぶバーナンキ氏は、危機を大げさに恐慌だと騒ぎ立てるような手法とは無縁の人であり、そうであるがゆえに、あの危機を金融恐慌と呼んだ根拠を明快に示している。本書こそグローバル化時代の恐慌論であり、危機克服の経済学でもある。


角川書店 / 各2052円 / ISBN 4041023653

■キューバ 超大国を屈服させたラテンの魂

伊藤 千尋(朝日新聞出身)

▽米国との国交回復の背景にあるもの

学生時代の1970年代にサトウキビ刈り労働で半年間住んで以来、80年代から特派員や雑誌の取材などで計40年以上にわたり、キューバを体当たり取材した。ソ連を解体に追い込んだ米国がなぜ身近な小国をつぶせず、逆に自らの政策を転換することになったのか。超大国の圧力に踊って抵抗し、ついに自立を貫いた陽気なキューバ気質、「社会主義」から「社会正義」に衣替えするカストロ後の社会を描く。


高文研 / 1620円 / ISBN 4874985866

■戦場記者「危険地取材」サバイバル秘話

石合 力(朝日新聞社国際報道部長)

▽危険地取材を考える

「大臣の指示です。即刻出国してください」――後藤健二さん拘束のさなか、外務省幹部から私にかかってきた電話が執筆の動機です。政府の海外安全情報(危険度)に従って取材規制することは妥当なのか。朝日新聞のシリア取材を批判的に報じた一部メディアの動きも踏まえ、報道の自由と邦人保護の関係、記者の安全確保の方策について考えてみました。「爆弾テロ現場には急ぐな」といった危険地取材のエピソードにも触れています。


朝日新書 / 842円 / ISBN 4022736445

■湛山読本 いまこそ、自由主義、再興せよ。

船橋洋一(日本再建イニシアティブ理事長)

▽湛山と対話したくてこの本を書きました

石橋湛山は、両大戦期、「東洋経済新報」を拠点に、自由主義の立場から論陣を張ったジャーナリストです。その論考から、今もなお、いや、今まさに、日本の直面する国家的課題を考察する上で、数多くの洞察を導き出すことができます。デフレ、中国、海洋安全保障、アジア太平洋秩序、TPP、政党デモクラシー、リーダーシップ、ジャーナリズムの使命…湛山と無性に対話をしたくなってこの本を書きました。


東洋経済新報社 / 2592円 / ISBN 4492061975

■「中国の尻馬」にしがみつく韓国

鈴置高史(日本経済新聞編集委員)

▽「離米従中」に米国がついに怒った

タイトルは過激に見えますが、読んでいただければ納得してもらえると思います。西側首脳としては北京の軍事パレードを唯一、参観した朴槿恵大統領。中国に傾く一方の韓国に対し、ついにオバマ大統領が「どっちの味方か」と迫りました。米韓首脳会談後の共同会見のことです。しかし、朴大統領は毎日新聞などのインタビューに答え「そうした認識自体が域内協力を阻害する」と居直りました。米韓同盟がいつまでもつのか、怪しくなってきました。


日経BP社 / 1512円 / ISBN 4822279448

■仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実

春名 幹男(共同通信出身)
▽米国は日本を守ってくれるか
8年前に「在日米軍は日本防衛のために駐留しているわけではない」と明記した米機密文書を発見した時は正直驚いた。あえて今、この古文書を紹介したのは、新しい「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)に作為的翻訳の事実が隠されていたからだ。実は、新安保法制で自衛隊の活動が拡大しても、米軍の日本防衛への関与は後退する。なぜか。
「沖縄返還」や「繊維交渉」、「ニクソン・ショック」の秘話を紹介し、同盟の仮面をはがして、その理由を明らかにする。


文春新書 / 864円 / ISBN 4166610538

■日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた

嶌 信彦(毎日新聞出身)
▽ウズベキスタンに伝わる日本兵抑留の奇跡
私が日本ウズベキスタン協会を設立した1997年以降、10年以上にわたり取材、調査し、書いたノンフィクションである。
中央アジアの収容所で過ごした10代から30歳までの457人の日本人捕虜は、旧ソ連の4大オペラハウスの1つとなる「ナボイ劇場」をロシア革命30年にあたる47年に完成させた。よく知られた悲惨なシベリア抑留とは異なる波乱万丈の建設秘話で、完成時、ロシア人にもウズベク人にも感謝されたという特殊な胸温まる話である。66年のタシケント市を襲った大地震でもこの劇場だけはビクともせず親日の象徴となり、先日、安倍首相夫妻も訪れた。
若き日本の抑留者たちの労苦と協力・和の精神が中央アジア全体に多くの親日国を作ったことに繋がったことを知っていただき、満州抑留兵のもう1つの秘話を広めてほしいと思っている。


KADOKAWA / 1728円 / ISBN 4041035376

■ザ・クロニクル 戦後日本の70年

細田 正和(共同通信デジタル推進局長)
▽14巻でたどる戦後ニッポン年代記
私たちはどこから来て、どこへ行こうとしているのか?―ジャーナリズムに携わる者が忘れてはならない問いだろう。戦後70年の節目に足掛け2年にわたって刊行された写真集は、この問いを手放すことなく報道を続けてきた通信社の〝中間報告〟といえる。
共同通信が所蔵する2000万枚もの報道写真から約5000枚を厳選、全国の加盟社の秘蔵写真も提供いただいて編纂された。「1945―49 廃墟からの出発」と「1960―64 熱気の中で」を昨年10月に刊行、今年10月の最終巻「2010―14 未来への選択」をもって完結した。戦火の焼け野原から重い膝を上げた私たちは、幾多の試練と高揚と哀楽を経て、再び大震災の惨禍から立ち上がろうともがいている。その歩みが、曲がりなりにも「平和史」としての70年であったことに、深く思いをはせたい。


幻冬舎 / 各巻2700円 / ISBN 4344952529

■働き場(Ba)革新

坪田 知己(日本経済新聞出身)
▽オフィス激変の時代
昨年6月、アマゾンから『サービス文明論』を電子出版した。私も参加している京都工芸繊維大学のオフィス研究グループが「おもてなしのオフィス」という研究をしていて、そこで本を作ることになり、『サービス文明論』のあらましを第1部とした。効率優先の作業場だったオフィスが、「知的創造の場」として大変身を遂げつつある。「世界の先端企業に負けるな」という檄を飛ばした本である。事例紹介が豊富。マスコミ企業も見習うべきだ。


白揚社 / 2376円 / ISBN 482699057X

■謎と恐怖の楽園で ミステリー批評55年

権田 萬治(日本新聞協会出身)
▽二足のワラジの集大成
『松本清張 時代の闇を見つめた作家』(文藝春秋)を出してから6年。二足のワラジで続けていたミステリー批評も今年で55年になる。そろそろ〈終活〉の時期と考えて、これまで書いた現代ミステリー論、作家論、論争、対談、作品論、自筆年譜などをまとめて1冊にしてみた。
松本清張、佐野洋をはじめ最近の堂場瞬一など、新聞界出身の作家も多いが、ミステリーにご関心のある会員各位にもぜひ読んでいただきたいと願っている。


光文社 / 3240円 / ISBN 433497838X

■ドイツリスク 「夢見る政治」が引き起こす混乱

三好 範英(読売新聞編集委員)
▽何事も表があれば裏がある
当クラブの会見に時々おじゃましているが、ゲストがドイツの人間だと必ず出る質問が、「ドイツは模範。日本に何かアドバイスを」。最近読んだ本には、「ドイツの労働効率性は高い。日本も学ぶべき」とあった。「何があっても午後5時ぴったりに帰宅する」社会は、サービス不在の不快社会を意味することは、ちょっと想像すれば分かりそうなものだが。何事も表があれば裏がある。本書で取り上げた、ドイツの脱原発、ユーロ問題、歴史認識問題なども同じ。世界のどこにも理想の国などない、という日本人の自覚の一助になれば幸いである。


光文社新書 / 907円 / ISBN 4334038794

■大村智 2億人を病魔から守った化学者

馬場 錬成(読売新聞出身)
▽ノーベル賞受賞を予言して的中させた本
 新聞記者の勘が当たった。大村智博士がノーベル賞受賞者になると確信したのは2011年である。文藝春秋社の「2013年の論点」の中で「オンコセルカ症の特効薬の貢献ということなら単独で生理学・医学賞受賞もあり得る」とズバリ予言していた。
 取材の端緒は荒井寿光・元特許庁長官の示唆だった。大村博士の産学連携活動を世の中に紹介するのが、ジャーナリストの仕事だと言う。大村博士が特許ロイヤルティーで250億円を研究現場に持ってきた実績もすごいが、取材を掘り下げていくうち天然有機化合物の研究でもっとすごい業績を挙げていることを知った。これはノーベル賞ものだ。
 ノーベル賞を研究してきた筆者は、業績内容を知ると受賞できるかどうかが分かる。勘である。荒井さんに認めてもらうため『大村智』を上梓し勘を世に問うた。受賞後に大村博士のすごい業績だけでなく、魅力あふれる人柄が世に知れ渡った。そのほうがもっとうれしかった。


中央公論新社 / 2268円 / ISBN 4120043266

■インドの社会と名誉殺人(チャンダー・スータ・ドグラ著、鳥居千代香訳)

鳥居 千代香(帝京大学外国語学部教授)
▽私的制裁を追う
名誉殺人とは、親が決めた相手との結婚を拒んだり、共同体の掟に反する相手と結婚を希望したり、結婚した女性や相手の男性が「名誉を汚した」と家族や部族の長老の決定で殺される私的制裁のことである。インドでこの種の事件は多いが、初の有罪判決が下され、現在なお最高裁判所で係争中の事件をジャーナリスト(女性)が身を危険に晒しながら追う。
 インド最大の通信社PTIでも同様の事件が起きた。同社で働く男性ジャーナリストの婚約者が実家で命を落とした。彼女もジャーナリスト。2人とも最上位のバラモン階級のカーストであったが、その内部の身分が男性の方が低かったのが原因だと言われている。


つげ書房新社 / 2700円 / ISBN 4806806773

■日本はASEANとどう付き合うか:米中攻防時代の新戦略

千野 境子(産経新聞出身)
▽ASEANの流儀を知る
インドネシアの高速鉄道受注合戦で日本は中国に敗れた。でも親日でODA最大の受取国なのにと怒ってもダメ。国益優先は日本も同じなのだから。これは東南アジア諸国連合(ASEAN)にも当てはまる。
 米中攻防の太平洋を舞台に、米中も日本も大事とサバイバルを図るASEANの流儀とは。設立の背景や争わぬ仕掛け、加盟国の対中・対米観の深層などを書きつつ、ますます重要になるASEANと日本の最善の関係構築に向け、提言も試みた。


草思社 / 1944円 / ISBN 4794221576

■美智子さま マナーとお言葉の流儀

渡邉 みどり(日本テレビ出身)
▽人を大切に想う心72のエピソード
 世の女性たちに、美智子さまから眞子さま・佳子さまへ引き継がれる「人を大切に想う心」をお届けしたい。
 そんな思いから本書は生まれた。
皇后美智子さまの立ち居振る舞いはいつでも気品に溢れている。
 諸外国や被災地への訪問で見せられるお相手を気遣ったお言葉、TPOに合わせたファッション、そしてそのお心を伝える子育てなど、エピソードは合わせて72。私たちの生活にも直結するので、一読してぜひ役立てていただきたい。


こう書房 / 1512円 / ISBN 4769611439

■財務省と政治「最強官庁」の虚像と実像

清水 真人(日本経済新聞編集委員)
▽政と官の一筋縄ではいかぬ力学
タイトルを「財務省」ではなく、「財務省と政治」としたことにはこだわりがある。大蔵・財務省の政策の分析や組織の内幕ものとは違う。首相官邸・国会・与党・霞が関などを包含する統治システムは平成以降、「移りゆく40年」(経済学者の故青木昌彦氏)とも呼べる変革の渦中にある。重要なプレーヤーである同省の動きを軸に、一筋縄ではいかない政と官の力学の変容を、見たままに描いた。四半世紀近く取材してきた政治記者の、どこまでも政治書だ。


中公新書 / 950円 / ISBN 4121023382

■検証 バブル失政―エリートたちはなぜ誤ったのか―

軽部 謙介(時事通信解説委員長)
▽経済記者の反省
1992年1月。私と不動産屋の会話。
「地価が下がり始めていますよね。今マンション買っていいのかな」
「何を言っているんですか。下落もこの辺までですよ。第一、これ以上地価が崩れたら日本経済はおしまいじゃないですか。ハハハ」
この言葉に背中を押されて、売買契約書にサインした。その後、地価下落は続き、不動産屋の言うとおり日本経済は崩壊してしまった。バブルの生成と破裂を見抜けなかった愚かしい経済記者の反省。これが執筆動機です。


岩波書店 / 3024円 / ISBN 4000244795

■核と反核の70年 恐怖と幻影のゲームの終焉

金子 敦郎(共同通信出身)
▽核抑止戦略はフィクション
トルーマン米大統領は原爆投下を正当化し続けた。だが実は生涯、後悔にさいなまれて、理性ある人間は核兵器を使うことはできないという言葉を残した。核タブーの始まりとされる。
歴代大統領も、外交・安保政策を担った大統領補佐官や国務省、国防総省・軍部のトップたちの多くも、本心は同じだった。引退後に核廃絶運動に転じた人も珍しくない。
「使えない核」で威嚇する核抑止戦略とは? 広島・長崎の後も核を手放さないためのフィクションだった。


リベルタ出版 / 4320円 / ISBN 490372445X

■〈日本的なもの〉とは何か ジャポニスムからクール・ジャパンへ

柴崎 信三(日本経済新聞出身)
▽グローバル化と「日本らしさ」の相克
プッチーニのオペラ「蝶々夫人」、横山大観が描き続けた富士山、辰野金吾の東京駅と妻木頼黄の日本橋など、20世紀の日本を代表する表象物の成り立ちと受容、反発などをたどって、今日の〈クール・ジャパン〉につながる「日本的なもの」が立ち上がってきた背景を探った。世界遺産の指定や東京五輪の開催をめぐる国内世論の隆盛と、そこに注がれる熱い世界のまなざしの意味を考える上での素材にもなろう。


筑摩書房 / 1728円 / ISBN 448001621X

■「独り相撲」で転げ落ちた韓国

鈴置 高史(日本経済新聞編集委員)
▽「無能」と批判された朴槿恵外交
「日経ビジネスオンライン」の連載の書籍化第6弾です。
「米中両大国の力を背景に日本を叩く」朴槿恵外交が破綻しました。米中は韓国の思惑どおりには動かなかったからです。今春には保守系紙からも「無能」「外交敗北」と批判されるに至りました。しかし韓国は明治の産業遺産登録問題などで日本の足を引っ張り続けます。一方、中国の南シナ海埋め立てには知らん顔。ますますの「離米従中」で米国との関係も険しさを増すばかりです。


日経BP社 / 1512円 / ISBN 4822279294

■今井素牛之日記―幕末維新期・信州小布施の庶民生活(今井素牛之日記編集委員会編)

羽原 清雅(朝日新聞出身)
▽一五〇年前の変化と継続
今井素牛(1805-78)は修験者で、廃仏毀釈政策で住職から神主に転じた小布施界隈の知識人。近隣の相談、私塾から学校への動き、罪人の教誨、漢詩会など、さらに、長岡、会津藩攻撃に向かう新政府軍の動き、維新期の日章旗掲揚や天皇行幸の記録、中野など全国一多かった農民一揆などを描く。それはまさに庶民感覚だ。
収録の日記は明治維新をはさんだ14年分。門外漢の小生のコメント、解説、語釈などは愉快な仕事だった。405頁、B5判。


文藝春秋 / 8000円

■総理の演説

田勢 康弘(日本経済新聞出身)
▽64本から感じた匂い
リンカーンやケネディの演説は知っていても歴代総理の演説を記憶している日本人は珍しいだろう。新聞の社説同様、床の間の天井なのである。すなわち、ないと格好がつかないが誰も見ない。そんな総理の演説を64本読んでみた。むろん、総理が自分で演説を書いたりはしない。いずれの演説も他人が書いているのだが、不思議にその総理の特徴や時代の匂いがしてくる。演説の格調が低くなってくるのは社会の無教養化と無縁ではない。


バジリコ / 2592円 / ISBN 4862382207

■勝った中国・負けた日本―記事が映す断絶八年の転変―(一九四五年~一九五二年)

田畑 光永(TBSテレビ出身)
▽戦後8年、両国民は相手をどう見ていたか
大威張りしていた軍国日本は中国に負けた現実をどう考えたか、両国の国民は相手をどう見たか、どうして日中間には普通の関係が戻らなかったのか、…いつまでたってもややこしい日中関係を戦後の「現場」に立ち戻って、当時の人々に直接語ってもらいました。例えば玉音放送の1カ月後、日本の首相は「中国へ謝罪使を特派したい」と言い、満州事変を起こした石原莞爾は「(満洲の)独立に協力した在満中国人に甚だ済まなかったと考えてゐる」と…。


御茶の水書房 / 4968円 / ISBN 4275020111

■自分が変わった方がお得という考え方~日本新時代のキーワード

三橋 規宏(日本経済新聞出身)
▽変化を味方につけよう
元気いっぱいだった日本は90年代に入って、突然「失われた20年」と言われるような長期衰退の迷路にはまり込んでしまいました。時代の変化に積極的に対応してこなかったためです。高度成長期の居心地の良さから抜け出すことを恐れ、日本全体がガラパゴス化してしまったわけです。個人も企業も国家も過去に引きずられず思いきって変化に対応すれば、少子高齢化を伴う人口減少でさえ味方につけることが可能です。本書のタイトルにはこんな願いが込められています。


中央公論新社 / 1728円 / ISBN 412004744X

■アメリカに女性大統領は誕生するか

蓮見 博昭(時事通信出身)
▽「女性上位社会」と民主主義
2016年11月に行われるアメリカ大統領選挙では、民主党のヒラリー・ロダム・クリントン女史が史上初の女性大統領に選出され、就任することが確実視されている。女性上位社会の本拠として自他共に認めてきたアメリカで、実際には男性優位がまかり通ってきた実態を多方面から検討し、結局この国では民主主義が十分機能してこなかったのではないか、「その国が発展していくかどうかは女性の扱い方を見ればわかる」というオバマ大統領の言葉の真贋が問われているのではないか、と結んでいる。


日本評論社 / 1944円 / ISBN 4535586748

■朝鮮半島で迎えた敗戦 在留邦人がたどった苦難の軌跡(城内康伸・藤川大樹著)

藤川 大樹(東京新聞外報部)
▽視点を変えて大戦を見る
数多くの証言と膨大な史料で事実を忠実に綴ったノンフィクションです。
 本書では、1945年8月15日を物語の起点としました。ソ連軍の進駐、飢餓と発疹チブスの蔓延、そして決死の脱出行。朝鮮半島や満州で暮らしていた在留邦人の苦難は、日本が「終戦」を迎えた、まさにその日に始まりました。
 絶望的な状況の中、在留邦人の救出に命を懸けた人々も描きました。元政治犯や遊郭出の女性など、無名の人々による無私の献身です。
 戦後70年の節目に、少し違った視点で先の大戦を見ることができると思います。


大月書店 / 1728円 / ISBN 4272521071

■ドルへの挑戦―Gゼロ時代の通貨興亡―

岡部 直明(日本経済新聞出身)
▽浮き沈みする国際通貨
戦後70年、ドル基軸の国際通貨体制は挑戦にさらされる。ベトナム戦争、イラク戦争など米国の戦争がドルの信認を揺るがせた。ドルへの挑戦者も難題を抱える。ユーロはギリシャ危機で構造問題に直面する。中国人民元は国家資本主義の壁にぶつかり、海洋進出で国際不信を招いている。
 国際通貨は戦争で沈み、平和で浮かぶ。通貨と国際政治の接点に立ち、ブレトンウッズ体制以来の歴史の教訓を示し、Gゼロ時代の通貨興亡を展望する。


日本経済新聞出版社 / 1944円 / ISBN 4532356598

■新聞のある町 地域ジャーナリズムの研究

四方 洋(毎日新聞出身)
▽地域紙の灯を絶やすな
2年間にわたって地域紙26社(対談を含む)を訪ねました。北は十勝毎日、南は八重山毎日まで。在り方は一様ではありませんが、共通しているのは地域密着を徹底していること。アメリカではコミュニティーペーパーが盛んで、記者活動もここからスタートするとききます。日本では全国紙、地方(県)紙の力が強く、地域紙は減少傾向です。放っておけばどんどん消えていきそう。灯を絶やしてならないとの思いで全国を歩きました。空白地区は多くあります。「地域紙よ おこれ」の叫びをきいてください。


清水弘文堂書房 / 1620円 / ISBN 4879506184

■芥川賞の謎を解く 全選評完全読破

鵜飼 哲夫(読売新聞編集委員)
▽激論選考会の舞台裏を明かす
人気芸人・又吉直樹さんの『火花』の受賞で、創設80年の芥川賞が熱い。「新人の登竜門」に過ぎない賞がなぜ、これほど注目されるのか。それは「新しい文学」を巡って作家同士が真剣勝負で激論を交わしてきたからだ。第1回芥川賞に落ち、選評に激怒して川端康成を「大悪党」と罵った太宰治、話題作『エーゲ海に捧ぐ』の受賞に断固反対し「戦死」を宣言、委員を辞めた永井龍男…。火花散る選考の舞台裏を全選評を読み、解明しました。


文春新書 / 896円 / ISBN 4166610287

■世界のエリートは人前で話す力をどう身につけるか?

赤阪 清隆(フォーリン・プレスセンター理事長)
▽話し上手への工夫やコツ伝授
日本では、「話す力」よりも「聞く力」のほうが大事なせいか、人前で話すのが苦手な人が断然多数です。人前で上手に話すための学習や訓練も十分ではありません。競争が激化するこれからの世界で、話し下手では、就活や、ビジネス、学究、メディアの世界などで大きなチャンスをものにできないでしょう。幸い、私は外交官、国際公務員としての長い海外生活を通じて、世界の素晴らしい話し上手を身近に観察する機会に恵まれました。クリントン夫妻などもいろいろと工夫を凝らしています。そうした工夫やコツをこの本でお教えします。


河出書房新社 / 1404円 / ISBN 4309247202

■諜報の現代史~政治行動としての情報戦争~

植田 樹(NHK出身)
▽情報と政治を考察
「見ざる、言わざる、聴かざる」は個人にとっては安楽であっても国家にとってはどうか。情報は生き残るためには必須の要件ではないか。情報の収集や防衛を政治の延長線上でとりあげた。
 「スパイは生きている」では近年のスパイ事件をめぐる水面下の政治駆け引き。「政治権力と謀略」ではロシアの国内政治と情報機関の暗闘。「国家権力と情報機関」ではKGBとその継承組織、CIA、FBI、MI6など各国の機関の歴史や組織、活動の概略。「狩りと罠(わな)」では日本を舞台にした事件や各国機関の暗殺や謀略、攻防の実態。「情報戦争の行方」では国家機密と内部告発、情報産業の繁栄、始まっているサイバー戦争、中国のサイバー戦略などをとりあげている。


彩流社 / 3780円 / ISBN 4779121396

■満蒙開拓、夢はるかなり―加藤完治と東宮鐵男(上・下)

牧 久(日本経済新聞出身)
▽開拓の父2人が描いた夢
敗戦の年の夏、ソ満国境を越えて侵攻してきたソ連軍によって、日本人開拓団8万人が命を失い、4千人を超える残留孤児が生まれた。北満の未墾の曠野に鍬を振るい、豊かな農村建設を夢見た農民に、なぜこれほどの犠牲者がでたのか。彼らは戦後「中国侵略の先兵」として否定され続けた。戦前、戦中に「満蒙開拓の父」と呼ばれた2人の人物(農本主義教育者・加藤完治と軍人・東宮鐵男)を通して、日本人の〝満蒙開拓の真実〟に迫る。加藤、東宮両家から戦後、歴史の底に沈んでいた貴重な資料の提供を受けた。


ウェッジ / 各1728円 / ISBN 4863101473

■政の言葉から読み解く戦後70年

宇治 敏彦(中日新聞社)
▽明日の日本を読む
「いま書かないとマスコミ人として一生後悔するに違いない」。そんな思いで本書の終章では「『戦後』を終わらせてはならない」など戦後100年(2045年)に向けて5つの提言をしました。「一億総懺悔」「曲学阿世」「政界一寸先は闇」など戦後70年にわたる100以上の流行語を解説しながら、その背後の政治状況を分析しました。発言者の意図と違って言葉だけが独り歩きした例もありますが、これらの言葉を読み解くことで明日の日本が見える気がします。「平和の屈折点」にある戦後70年の意味を一緒に考えてみませんか。


新評論 / 3024円 / ISBN 4794810105

■CD BOOK 心をなごませる感じのよい英会話(English To Soothe The Mind)

原島 一男(NHK出身)
▽標準かつ上品な英語を
「絵になるじゃない」(Aren’t you a picture?)、「お手柔らかに」(Go easy on me.)、「おみそれしました」(I didn’t recognize you.)
 こうした言葉をかけるだけで、相手はあなたに好印象を持つことでしょう。そんなフレーズを100ばかり集めてみました。フレーズはアルファベット順に並べてあり、長くても7語程度。ですから、暗記しやすいうえ、F,L,Vなど、日本人にとって発音しにくい単語は省きました。
 どれもこれも標準的で上品なフレーズばかりです。身につけておけば世界中で使え、きっと、あなたの英語のレベルアップにつながります。そういう気持ちで書きました。


ベレ出版 / 1728円 / ISBN 4860644417

■銀幕のハーストリー ~映画に生きた女たち~

松本侑壬子(共同通信出身)
▽誕生120年 ひと味違う映画史
ハーストリーは「her story」。映画で描かれる女性像は、女性側からすると現実にはありえない夢の女や理想の女が多い。悪女ですら、男を破滅させるほどの魅力の持ち主だ。それは長らく映画を作るのは主に男性監督だったからではないか―。ちょうど今年は映画誕生120年。ここらで草創期以来の古今東西の映画における女性の存在に光を当て、作品、人物、出来事などを、従来の映画史(his story)とひと味違う視点から見てみようという読み物です。巻末にお勧め映画307本のリスト付き。


パド・ウィメンズ・オフィス / 2700円 / ISBN 4864621012

■韓国知識人との対話Ⅰ 日韓の未来をつくる

若宮 啓文(朝日新聞出身)
▽新しい風を感じた18人の声
自衛隊が竹島を奪いにくると予測する人気作家。慰安婦問題の意欲作で告訴された文学者。50年前の日韓交渉を生々しく語る生き証人。伝説の金大中スピーチを書いた教授。日本人コーチを招いたサッカー代表チーム監督。韓流ブームの前史を作った「歌王」。ピースボートと船旅を共催するNGO事務総長。セウォル号事件で韓国を問う社会学者。日本の拡大志向を憂うる『縮み志向の日本』著者…。彼ら18人との対話は発見の連続でした。


慶應義塾大学出版会 / 2700円 / ISBN 4766422260

■アマチュアオーケストラに乾杯! 素顔の休日音楽家たち

畑農 敏哉(フジテレビ情報制作局)
▽音楽とアマオケの「なるほど」満載
日本にはアマチュアオーケストラが(中学・高校や大学オケを除き)千団体以上あります。筆者は中学時代にアマオケでコントラバスを弾き始め、通信社・テレビ局でのニュース関係の不規則勤務の合間を縫って活動してきました。さらに、ベートーヴェンを演奏するオケを自ら立ち上げ、運営を取り仕切るとともに指揮者も務めています。この本には奏者、指揮者そして運営など、アマオケとクラシック音楽に関する「なるほど」が満載です。


NTT出版 / 1836円 / ISBN 4757170483

■東京新聞の「筆洗」~朝刊名物コラムで読み解く時代の流れ~

瀬口 晴義(東京新聞社会部長)
▽「現場」意識し書いた1面コラム
2009年8月から13年9月までの間、東京新聞1面コラムを担当した。約980本の中から編集者が選んでくれた156本(後任のコラムニストの分も含む)を採録した。よくぞ週5本も書いてきたなあ。思い出すと寒けがする。他社のコラムニストはベテランの知識人ばかり。40代で足腰が動く若さ?を生かし、「現場」に出掛けて書くように心がけた。4年2カ月、よく乗り切ったなと自分をほめてあげたくなりました。


廣済堂出版 / 864円 / ISBN 4331519279

■終戦詔書と日本政治―義命と時運の相克

老川 祥一(読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理)
▽終戦詔書のドラマが明かす政治の病根
昭和天皇の玉音放送として知られる終戦詔書の文言をめぐって、政府と軍部、また閣僚たちの間で、激しい論争が繰り広げられていたことは、あまり知られていません。その緊迫したドラマを物語る原案類が、そっくり国立公文書館に眠っていました。161箇所に及ぶおびただしい原案修正の検証を通じ、政治の無責任さや劣化の軌跡とその原因を、近代日本や欧州諸国の歴史、国際情勢の変化、現代日本社会の変容ぶりを視野に入れながら、考察したものです。


中央公論新社 / 3024円 / ISBN 412004713X

■国際情勢判断・半世紀(岡崎久彦著)

三好 範英(読売新聞編集委員)
岡崎久彦・元駐タイ大使をあらためて紹介する必要はないだろう。昨年10月に死去したが、最晩年、読売新聞「時代の証言者 日本外交とともに」(昨年6~7月掲載)で生涯を振り返った。本書は、死後、この連載を担当した私(三好)が、岡崎研究所、育鵬社編集部と協力し、残された速記録や遺稿を整理してまとめた回想録である。
岡崎氏が生涯をかけて追求した情報分析に関する考え方や、幼年、学生時代の思い出、現役外交官時代の多くのエピソードが語られている。また、歴史認識問題や対中外交に関する氏の主要論文や、生前交際のあった人々の証言も収録している。安倍首相も「岡崎久彦大使と父子三代」と題した追悼文を寄せている。
岡崎氏は外務省の本流を歩いた人ではなかった。とはいえ、情報重視の考え方を省内に根付かせることに貢献したし、集団的自衛権容認も氏の活動がなければ、実現しなかったかもしれない。そんな希代の外交官の本音がかなり率直に語られているので、興味は尽きないと思う。


育鵬社 / 1836円 / ISBN 4594072380

■わが母 最後のたたかい 介護3000日の真実

相田 洋(NHK出身)
この本は13年に及ぶ在宅介護の末に、100歳で旅立った母と、息子である私との会話録です。
1998(平成10)年2月のある日、母は全財産を取引銀行から下ろして作ってもらった小切手を持って、隣の家に「これをどうしたらよいか」と何度も相談に行きました。それが母の認知症が発覚した時でした。それ以来、母が次々に巻き起こす出来事を、テレビ屋の私はビデオカメラで撮影。時間数にして200時間を超えました。
認知症と一口に言ってもその状態は時々で違い、全く正気同然の時もあれば、完全ぼけの時もありました。その会話の中にしばしば出てきたのが、旧朝鮮や満州での暮らしや出来事でした。幼い時から旧朝鮮で育ち、結婚後は満州に移住した母の脳裏には生涯忘れることのできない諸事が詰まっているようでした。
第2章「母の戦争」はそれを書き起こしたパートですが、映像化して戦後70年関連番組として放送する予定で、現在制作中です。 


NHK出版 / 2268円 / ISBN 4140816694

■福島原発事故と国民世論(柴田鉄治・友清裕昭著)

柴田 鉄治(朝日新聞出身)
▽原発にまつわる世論と政策
原子力ほど国民世論が揺れ動いたものはない。賛成一色から始まって1980年代には反対派が多数と逆転し、世論と政策の乖離が起こったが、どのメディアも無視した。そこまでの動きを追った『原発国民世論』(99年刊)の続編が本書である。福島事故が起こって反対派が急増、再び世論と政策の乖離が始まっているが、今はメディアの論調は二極分化している。福島事故後の外国の世論の変化もできるだけ調べた。


ERC出版 / 1944円 / ISBN 4900622540

■不妊治療と出生前診断 温かな手で(信濃毎日新聞取材班)

小市 昭夫(信濃毎日新聞報道部長)
 女性の晩婚化、出産の高齢化に伴い、不妊治療、出生前診断など生殖医療技術が進歩を続ける。妊婦の血液を調べるだけで、胎児の異常が分かる新出生前診断の臨床研究も始まった。この先にどんな時代が待っているのか―。
 信濃毎日新聞が社会面に連載したルポルタージュ「温かな手で―出産を支える社会へ」(2014年1~6月)は信州を主な舞台に、高度化する医療技術を前にした夫婦らの葛藤を取材。米国の生殖医療ビジネスの実態も伝えながら、命の尊厳を問い、少子化の重荷を女性だけに背負わせない社会への道筋を探った。
 連載は、14年度新聞協会賞(編集部門)と、ファイザー医学記事賞優秀賞を受賞したキャンペーン報道の柱。「不妊治療と出生前診断 温かな手で」のタイトルで、78回のルポを全話収録した。


講談社文庫 / 810円 / ISBN 4062930250

■松陰の妹を妻にした男の明治維新

富澤 秀機(日本経済新聞客員)
▽群馬県が明治を支えた
動乱の幕末から明治末年まで生き抜き、地方創生の立場から近代日本の基盤づくりに力を尽くした男(楫取素彦=旧名・小田村伊之助)の物語である。松陰の妹寿を妻にした楫取は、松陰や仲間の志士が次々に倒れた後、その遺志を継ぐ形で群馬県の初代県令に。最大の輸出品であった生糸産業を振興し、富国の基礎をつくった。富岡製糸場の世界遺産登録が話題となる中、楫取の足跡をたどってみると、あらためて「長州が幕末を動かし、上州が明治を支えた」実像が見えてくる。


徳間書店 / 1944円 / ISBN 4198639191

■全論点 人口急減と自治体消滅(時事通信社編)

北原斗紀彦(時事通信出版局代表取締役)
 日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに急速な減少局面に入った。日本創成会議の推計は、2040年に全国自治体の半数が消滅の危機に直面すると警告する。人口の急減と東京一極集中は地域コミュニティーをどのように変えてしまうのか。行政サービスや教育、福祉はどうなるのか。毎日の暮らしから国の安全保障に至るまで様々な論点を網羅し、「ふるさと生き残り」の条件を探った。
 本書で記者は「消滅危機」の現場を歩き、町や村で何が起きているのか報告。増田寛也元総務相ら有識者37人、山田啓二京都府知事ら24自治体の首長が現状分析と対策の提言をした。この中で、社会学者の水無田気流氏は女性の出産・育児・就労を支援する「子ども優先型」の家族制度への転換を訴え、片山善博元総務相は政府が進める「地方創生」の弱点も指摘している。


時事通信出版局 / 3024円 / ISBN 4788713942

■知財立国が危ない(荒井寿光・馬場錬成著)

馬場 錬成(読売新聞出身)
▽知財ブームを振り返る
「知財立国」が叫ばれ、一種のブームのように言われてから10年たつ。あのころ、知財畑にいたプロ集団は「知財、知財とどこへ行っても叫んでいるが、これは知財バブルだ」とも言っていた。結局、言われたようにバブルだった。知財立国に変革ができないうちに、韓国、中国などはどんどん変革して、部分的には日本を追い抜いていった。なぜそうなったのか。ブームをホンモノにできなかった日本の特殊事情を検証したものであり、解決策も提言した。


日本経済新聞出版社 / 1944円 / ISBN 4532319854

■私は中国の指導者の通訳だった 中日外交 最後の証言(周斌著/加藤千洋・鹿雪瑩訳)

加藤 千洋(朝日新聞出身)
▽日中交流舞台裏の貴重な証言
翻訳書である。著者は1972年日中国交正常化交渉で大平正芳・姫鵬飛外相会談を担当した中国外交部通訳で、共同声明づくりに参加。歴史認識と台湾問題で行き詰まった交渉を打開したのは、大平が提案した万里の長城へ行く車中会談だった。大平が日中戦争中に目撃した中国民衆の惨状を語る言葉が姫の心に届き、声明文言での合意の流れができた。通訳していて著者も胸を打たれたという。周恩来や田中角栄、大平らの素顔、そして立ち会った数々の民間交流の舞台裏に触れる歴史的な証言集だ。


岩波書店 / 4536円 / ISBN 400061021X

■「三面楚歌」にようやく気づいた韓国

鈴置 高史(日本経済新聞編集委員)
▽韓国の気分はもう、中立
対立を深める米中間で、韓国は中立を決め込んでいます。「ミサイル迎撃ミサイル」を韓国に配備しようとした米国には難色を示しています。中国が「核攻撃の対象にする」と脅したからです。一方、中国が計画中のアジアインフラ投資銀行に参加しかけ、怒った米国から「同盟に影響が出るぞ」と止められました。「対中接近は右傾化する日本のせい」との言い訳も、もう効きません。韓国の「離米従中」を描いた第5弾です。


日経BP社 / 1512円 / ISBN 4822279081

■ソーシャル・イノベーション~思いとアイデアの力(小池洋次編著)

小池 洋次(日本経済新聞出身)
▽やる気になれば誰でもできる
ホームレス支援の仕組みを考えた人、がん患者の社会復帰をサポートする人、そうした人々のネットワークを作る人、アドバイスをする人…。社会を良くしたい人たちの挑戦の記録をまとめてみました。ソーシャル・イノベーションは「社会の問題を解決するための革新」といった意味ですが、固く考える必要はありません。自分ができる範囲で少しでも貢献することが大事です。「思いとアイデアの力」を少しでも伝えることができたとすれば、これ以上の幸せはありません。


関西学院大学出版会 / 2592円 / ISBN 4862831826

■福島と原発3 原発事故関連死(福島民報社編集局)

円谷 真路(福島民報社報道部副部長)
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から丸4年が経過した。本書は平成26年度新聞協会賞を受けた福島民報紙上の連載「原発事故関連死 ふくしまからの訴え」を第1部として再構成し、収録した。24(2012)年11月29日付から81回にわたった連載で、県民が原発事故による避難生活などを強いられる中、命を落としていったという関連死の実情に迫った。
 第2部は24年3月1日付からスタートした津波や地震による直接死の犠牲者を追悼する連載「あなたを忘れない」の一部を、第3部は23年4月7日付から始まった連載「今を生きる」の一部を再構成し、収録した。
 本県ゆかりの作詞・作曲家、小椋佳さんは「本書を通じて、原発を抱えたことに起因する具体的で、鮮烈で、悲惨な事実を見よう・聞こう・知ろう、そして考えてみよう」と推薦文を寄せている。


早稲田大学出版部 / 3024円 / ISBN 4657150014

■姫路城100ものがたり

中元 孝迪(神戸新聞出身)
▽気楽な〝お城のコラム〟
趣味が高じて歴史ものばかり書くようになって、足元の姫路城をまた取り上げた。なぜ白すぎるのか、そもそも城とは何かといった自問から発して新聞連載した短文100篇をまとめたもので、いわば〝お城のコラム〟。独特の建築美はもちろん、地政学的環境、城主の政治、城下町の人と暮らし―これらを総合理解することで初めて世界遺産姫路城の全体像が分かるという日ごろの思いを込めて綴った。平成の大修理を終え、3月27日にグランドオープンする姫路城をご覧になる方の軽いガイドにでもなれば…。


神戸新聞総合出版センター / 1728円 / ISBN 4343007804

■食と農を見つめて50年 第4巻 喉元過ぎれば、では困る

中村 靖彦(NHK出身)
▽〝食の安全〟不祥事を斬る
マックが売れ行き不振にあえいでいる。期限切れの食肉を使っていたことが原因である。「また繰り返す食品産業の不祥事」、背景はどこにあるのか?
 経営者が「誰もがやっていること」として「対岸の火事」としか見ていないせいだろう。世間を揺るがすような事件になっても、喉元過ぎればで忘れてしまう。これではいけないと、長年にわたって食の安全・安心を取材してきた筆者が、過去を振り返ってまとめた一冊である。


農林統計協会 / 2376円 / ISBN 4541040077

■捏造の科学者 STAP細胞事件(須田桃子著)

長尾 真輔(毎日新聞科学環境部長)
理化学研究所が昨年1月、華々しく発表したSTAP細胞論文は、さまざまな疑義が上がった末に論文撤回、そして細胞自体の否定という科学史に残るスキャンダルに発展した。毎日新聞で朝夕刊の1面に記事が掲載された数は実に42回に及んだ。STAP騒動に揺れた2014年を振り返り、大きな「負の遺産」を検証するには格好の書と言えるだろう。
 本書では、著者が一度は細胞の存在を信じながら、ネット上での情報をきっかけに同僚記者と共に徹底した関係者への取材や裏付け資料の入手を通じて真相に迫っていく。上梓後、直木賞作家の白石一文氏が自身のツイッターで「新聞の役割を再認識する上で必読」と評し、佐倉統・東大教授は中央公論書評欄で「刮目すべし。これが日本の科学ジャーナリズムの底力」と指摘するなど、新聞人の一人として大いに勇気づけられた。


文藝春秋 / 1728円 / ISBN 4163901914

■ピケティ入門 『21世紀の資本』の読み方

竹信 三恵子(朝日新聞出身)
▽アベノミクス切り口に解説
経済成長すれば格差は自然に縮小する―。フランスの経済学者、トマ・ピケティの『21世紀の資本』は、そんな予定調和的な主流の経済理論に、「格差は放置すれば自然に拡大する」と冷や水を浴びせ、話題になった。ただ最近の日本では、話題の理論が都合よくねじまげられることが増えている。そんなことにならないよう、英語版をもとに、日本語版とほぼ同着の出版を目指した解説書が本書だ。
 友人の女性たちからの「私たちにも理解できる解説を」という声も背中を押した。アベノミクスという身近な問題を切り口に解説してみた。「おかげでピケティ来日の際、その発言の意味がよくわかった」という読者の言葉がなによりうれしかった。


金曜日 / 1296円 / ISBN 4865720006

■ドキュメント平成政治史3 幻滅の政権交代

後藤 謙次(共同通信客員論説委員)
▽〝語り部〟としてまとめた政治史
政治記者の道を歩み始めたのはいまから33年前。右も左も分からない新米記者に社の垣根を越えた先輩記者は実に多くのことを教えてくれた。政変の背景、政治家同士の人間模様。誰もが一流の〝語り部〟だった。そこで学んだことが日々の政治取材にどれほど役立ったことか。その恩はいまも忘れることがない。「そろそろ自分も〝語り部〟の側に回る年齢を迎えたのではないか」。そんな思いも込めて書き上げたのが『平成政治史』全3巻である。一応、2012年12月の第2次安倍晋三内閣発足までを一区切りとしたが、機会があれば続編に挑戦したいと考えている。


岩波書店 / 3024円(税込) / ISBN 4000281690

■戦後70年 保守のアジア観

若宮 啓文(朝日新聞出身)
▽日韓、日中の謎を解く
「なるほど、そういうことだったのか…の連続でした」と、好奇心あふれる若者が面白がってくれた。軍事政権下で結ばれた日韓条約に、民主化がもたらした化学変化。日中の国交に抵抗した右派勢力が、尖閣問題をテコに巻き返した執念。歴史教科書問題というボディーブロー。河野談話や村山談話と安倍首相の根深い確執…。吉田、石橋、岸から田中、大平、中曽根を経て小泉、安倍まで70年、保守政治のアジア観を総括する。


朝日選書 / 1944円(税込) / ISBN 4022630272

■習近平の強権政治で中国はどこへ向かうのか

濱本 良一(読売新聞出身、国際教養大学教授)

▽うごめく巨龍の実像に迫る
隣国・中国の動向を克明に追い続けると、その先にどんな像が浮かび上がるのか。そんな思いで5年前から中国メディアや香港情報などをもとに、政治、外交、経済、社会と中国の現状分析を続けている。大国だけにニュースは事欠かず、毎月、原稿用紙で40枚を超える。シリーズ2冊目は胡錦濤政権末期から習近平政権スタートの2年間の成果をまとめた。「はじめに」と「おわりに」で最新分析も試みた。「習近平の中国」の先行きはまだ見えない。事実を積み上げる作業をコツコツ続けるしかないと考えている。


ミネルヴァ書房 / 4860円 / ISBN 462307174X

■今だから言えること3 歴代総理大臣の姿が語る、日本の光と影

国正 武重(朝日新聞出身)

▽歴代総理の生身の姿に肉薄
電子書籍シリーズ第3弾として配信。朝日新聞政治記者時代の膨大な取材ノートやインタビューを掘り起こし、政権を担った歴代首相の政権運営の根幹を描きました。今回、登場するのは、財界人中山素平、野田佳彦元首相、安倍晋三元首相(2006-07)、土井たか子元社会党委員長、宇野宗佑元首相、森繁久彌(俳優)などの方々です。その時々の政治から現代政治まで、そこで何が起きていたのか、政治家がどのように関わっていたのかを読み知ることで、現代の政治と平和、そして、私たちの暮らしを、もう一度考えるきっかけとなる1冊です。http://www.artislong.jp/works/imadakara.html


電子書籍版 / 350円

■中国が愛する国、ニッポン

八牧 浩行(時事通信出身)

▽中国庶民の率直な思い

日中両国の相手国に対する国民感情は最悪の状態。こんな時に必要なのは、旅行や留学などによる相互交流であり、正確な情報や本当の考え方が相手に伝わること。「たった5日間の旅行が私を変えた」「日本の小学校で見た忘れられない光景」「日本は窮地に救いの手―この差は何だ!」「世界が驚く日本の〝当たり前〟」など興味深い50のコラムを収載。日本人と同じ悩みや喜びを持つ中国庶民の新鮮な驚きや包み隠しのない心情が込められている。中国の若者世代には日本アニメを好む人が多く、訪日旅行客も急増。本当の日本を知れば知るほど「夢の国、日本」と認識し、日本人と仲良くしたいと思うようです。


竹書房 / 980円(税別) / ISBN 4801900429

■坂本龍一×東京新聞 脱原発とメディアを考える

日本人初のアカデミー作曲賞受賞者で、環境問題にも関心が高い音楽家の坂本龍一さんが、菊池寛賞や日本ジャーナリスト会議(JCJ)大賞などを受賞して定評のある本紙原発報道に携わってきた記者たちと討論した。テーマは、原発や政治をめぐる問題や、相手の心を開かせる伝え方。東京新聞(中日新聞東京本社)で昨年末に行ったその討論の内容に、原発問題の現状が分かる解説を加えてまとめた。「二つの意見があったら、人は信じたい方を信じる」「『正しいことを言ってるんだから聞けよ』という言い方ではダメ」など、討論の中で特に印象深かった坂本さんの言葉もピックアップ。さらに、書籍化に当たって坂本さんが呼び掛け、村上龍、内田樹、國分功一郎、津田大介、堀潤の5氏が寄稿したコラム「メディアに求めるもの」も収録。東日本大震災以降のメディアの在り方を考察し、今後についても展望する1冊となっている。

岩岡 千景 東京新聞文化部


東京新聞編集局 / 900円(税別) / ISBN 4808309963

■韓国人の研究

黒田 勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

▽韓国に〝長居〟できる秘訣

1973年、金大中拉致事件が起きた後、日本の韓国叩きはすごかった。これを第1次反韓ブームとするなら現在は第2次反韓ブームか。前回は「金大中だけが韓国ではないだろう」と韓国留学を思い立ち、今回は「反日だけが韓国ではないよ」と、この本を書いた。「反日」の腹いせに韓国のマイナスばかりあげつらうのは「日本の韓国化」みたいで見苦しい。反韓ストレス解消の流儀を教えます。


角川学芸出版 / 800円(税別) / ISBN 4046534273

■緊急報道写真集「2014・9・27 御嶽山噴火」

紅葉期の週末、御嶽山(長野・岐阜県境、3067㍍)の山頂付近にいた人のうち、誰があの噴火を想像していただろうか。9月27日午前11時52分。突如噴き出した岩、熱風が登山者を襲い、57人の命を奪った。6人の行方不明者を残したまま年内の捜索活動は打ち切られた。緊急報道写真集『御嶽山噴火』は、戦後最悪となった火山災害の現実を約170枚の写真で伝える。立ち上る噴煙、登山者が逃げ込んだ山小屋、火山灰に覆われた山頂一帯…。救助・捜索活動は難航し、隊員たちに疲労がにじむ。捜索隊員に食事を差し入れ、山に祈りを捧げる山麓の人々。日々のドキュメントも載せた。東濃地震科学研究所の木股文昭・副首席主任研究員は巻末の寄稿で、こう指摘した。「いかに御嶽山と共に生きるか。いかに登山者に御嶽山を安全に楽しんでもらうか」。不十分だった観測・研究を検証し、二度と悲劇を起こさない道筋を描く覚悟が問われている。

小市 昭夫 信濃毎日新聞社報道部長


信濃毎日新聞社 / 700円(税別) / ISBN 4784072497

■聖路加病院で働くということ

早瀬 圭一(毎日新聞出身)

▽個性的な4人の医師・看護師を主人公に

「聖路加は午前中に金持ちを診て、午後から隅田川辺りの浮浪者の診察に行く。そういう病院なんだ」。本当にそうなのか―。小児がん治療一筋40年の細谷亮太。訪問看護の押川真喜子。看護師養成に専念する井部俊子。地下鉄サリン事件で陣頭指揮を執り、今も救急の第一線に立つ石松伸一。個性的で突出した4人を主人公に「日本一を目指す病院」の隅々まで徹底取材した。「医療と看護」を探る。12月22日(月)、23日(火)の両日、NHKラジオ深夜便に出演します。


岩波書店 / 2100円(税別) / ISBN 4000259970

■本の底力 ネット・ウェブ時代に本を読む

高橋 文夫(日本経済新聞出身)

▽新しい時代の読書法

本を読むのが商売といってよい大学生の「10人に4人は一日の平均読書時間がゼロ」――こんな調査結果が最近明らかになりました。残念なことです。ネット・ウェブ時代にあってむしろ本はいっそう読まれてよい、と考えるからです。なぜ? それにはクラブのラウンジ書棚などで、本書をお手に取りご瞥見いただくのが一番手っ取り早い、といえます。版元作成の帯の惹句にいわく。「ネット・ウェブ全盛のいまだからこそ、必要とされる新時代の読書法。スマホが手放せないあなたも、本好きのあなたも、必読!!」


新曜社 / 1600円(税別) / ISBN 4788514133

■ジャーナリズムよ メディア批評の15年(藤田博司著)

保田 龍夫(新聞通信調査会)

現役当時は共同通信社のワシントン支局長や論説副委員長、退職後は上智大学などでジャーナリズム論を教えた筆者が1999年から2014年まで新聞通信調査会発行の月刊誌「メディア展望」に書き続けたコラム「メディア談話室」の中から3分の1ほどの65点を選んで438ページにまとめた。「ジャーナリズムの原則」「ジャーナリズムの役割」「劣化するジャーナリズム」「政治報道の足かせ」の4章に分かれ、短い解説やキーワード索引を付している。「『わが国症候群』を見直そう」「主筆と新聞の異様な沈黙」「首相へのメモが示す権力との癒着」「(安倍)首相の言葉には検証が必要だ」など舌鋒は鋭い。


新聞通信調査会 / 2000円(税別) / ISBN 4907087284

■挙国の体当たり 戦時社説150本を書き通した新聞人の独白(森正蔵著)

前坂 俊之(毎日新聞出身)

森氏は1900年滋賀県生まれで東京外大卒業後、毎日新聞に入社。奉天、モスクワ特派員後、40年に外信部ロシア課長、日米開戦時は論説委員。開戦後は最前線に従軍し、社会部長で45年の終戦を迎えた。同年末に厳しい言論統制下での敗戦までの実態を暴露した『旋風二十年』を出版、一大ベストセラーに。その後、取締役を歴任し52歳で急死した。森氏は36年から52年まで1日も欠かさず書いた42冊の日記を残した。戦争、敗戦、占領下の大激動期の政治、社会情勢から新聞社、記者活動の内幕、家庭生活や食糧窮乏の実態まで克明に記録した希有の日記で、本書は開戦から敗戦までの4年間分を出版したもの。日本のジャーナリズム史に残る金字塔の1冊である。


毎日ワンズ / 1700円(税別) / ISBN 490162279X

■日本亡命期の梁啓超

李 海(香港衛星テレビ東京支局特派員)

▽明治日本における中国人ジャーナリストの奮闘

本書は14年にわたる梁啓超の日本亡命時代に焦点を当て、梁啓超その人の思想形成と日本人関係者との交流を通じて、革命思想家梁啓超の求めた世界に迫った。版権問題、教育思想、訳書など、梁啓超の多彩な活動から、明治日中の精神、文明上のかかわり、中国と日本が置かれていた歴史的背景、当時の両国の知識人たちの社会変革に対する意気込みを感じ取ることができる。


桜美林大学北東アジア総合研究所 / 3000円(税別) / ISBN 4904794443

■四〇〇文字の小宇宙

永井 梓(読売新聞東京本社論説委員会特別顧問)

▽日々のニュースを追って27年

今春まで担当していた読売新聞夕刊一面のコラム「よみうり寸評」の抄録です。前任の村尾清一さん(現日本エッセイスト・クラブ会長)から1987年に引き継いで27年。決して短くはない歳月ですが、日々のニュースを追い、いや追われた身にとっては、あっという間のようにも思われます。この抄録は95年6月~2014年3月の20年分から。それ以前の私の担当分は「コラムニストの目」として読売新聞社から出版されていて、今回は2度目の抄録です。


中央公論新社 / 1600円(税別) / ISBN 4120046591

■日本人でよかったと思える 美智子さま38のいい話

渡邉 みどり(日本テレビ出身)

▽傘寿を迎えられる美智子さまの半生

社会進出を含め女性のライフスタイルは変わった。日本一の旧家天皇家の女性も然り。55年前、史上初の民間出身の皇太子妃として天皇家に嫁がれた美智子さま。従来、皇太子妃は皇族・華族出身で、ご結婚に様々な反発があったのも事実だ。陛下のご理解と協力を得て、数々の挑戦をされ国民とともにある皇室を築き上げた。10月20日80歳、傘寿をお迎えになる。弱者に寄り添う皇后美智子さまの半生を振り返り、元気をいただく1冊。


朝日新聞出版 / 1800円(税別) / ISBN 4022512148

■異形国家をつくった男 キム・イルソンの生涯と負の遺産

大島 信三(産経新聞出身)

▽長いスパンで検証する

北朝鮮の核開発や拉致事件にはそれぞれに発端があり、そこに至る経緯があります。稀代の独裁者といっても時代や年齢と共に変化し、そのときどきに多面的な顔を見せます。信頼性に欠けるところもあるといわれる晩年の回顧録も敬遠せず、真正面から取り組みました。キム・イルソンの人生は北朝鮮史そのものであり、「ああ、そういうことだったのか」と読み手がストンと腑に落ちるような内容にしたつもりです。アマチュアの目線でこの人物の意外性の発掘も心がけました。


芙蓉書房出版 / 2300円(税別) / ISBN 482950627X

■ドキュメント平成政治史2 小泉劇場の時代

後藤 謙次(共同通信客員論説委員)

▽長期政権の要因とは

「小泉劇場」の演目は実に多彩だった。刺客候補を繰り出した郵政選挙。電撃的な北朝鮮訪問。米大統領ブッシュとの盟友関係に基づく初の自衛隊の海外派遣。さらに小泉純一郎首相は5年5カ月の任期中に衆参2度ずつ、計4回も国政選挙の指揮を執った。このめまぐるしい動きこそが、小泉長期政権を可能にした大きな要因と言っていいかもしれない。古いメモから政治家の肉声を拾い出して小渕、森、小泉の三代の政権を検証した。次回、第3巻は現在執筆中で「第1次安倍内閣から第2次安倍内閣発足まで」。年内に刊行予定です。


岩波書店 / 2300円(税別) / ISBN 4000281682

■日本と韓国は「米中代理戦争」を闘う

鈴置 高史(日本経済新聞編集委員)

▽米国のレッドラインを越えた韓国

2014年7月、訪韓した中国の習近平国家主席とともに、韓国の朴槿恵大統領は日本の集団的自衛権の行使容認を非難しました。朴政権の「離米従中」に対し、米国が警告を発する最中でした。韓国の親米保守は「中国の使い走りと米国に見なされる」と真っ青に。しかし大統領は聞く耳を持ちません。韓国はどこへ行くのか――。日経ビジネスオンラインに連載中の「早読み 深読み 朝鮮半島」の単行本化、第4弾です。


日経BP社 / 1400円(税別) / ISBN 4822277909

■甦る被災鉄道―東日本大震災を乗り越えて

大澤 賢(東京新聞出身)

▽鉄道にみる大震災からの復旧と教訓

東北新幹線や三陸鉄道が素早く復旧した背景には、鉄道事業者の強い意志とライバル会社を含めた鉄道マンの献身、国民の熱い支持があった。一方、気仙沼線や常磐線など津波被災・原発事故線区は復旧の見通しが立っていない。大震災からの復旧はまだ道半ばであり、多くの教訓を踏まえて、迫る南海トラフ巨大地震と首都直下地震に備えよと訴えている。会員各位のご批評を乞う。


東京新聞出版局 / 1600円(税別) / ISBN 4808309920

■真実の「わだつみ」 学徒兵 木村久夫の二通の遺書(加古陽治編著)

加古 陽治(東京新聞文化部長)

▽いまだからこそ伝えたい戦争の真実

戦没学徒の遺稿を集め、長く読み継がれる『きけ わだつみのこえ』。その中でも特別な遺書として巻末に掲載されている京大生・木村久夫の遺書は、実はもう一通存在した。それだけではない。『わだつみ』の遺書は、2つの遺書を合体させ、大幅に改変したものだった。本書は、昭和史の常識を覆す東京新聞のスクープで明らかになった父親宛ての遺書と、田辺元『哲学通論』の余白に書かれた遺書の全文を収録。記者による90枚の書き下ろし原稿を加え、学問の道に生きようとした木村の生涯と、木村が戦犯として処刑される原因となった「カーニコバル島事件」、遺書改変の真相に迫った。
 政府が、戦後長く続いた平和主義を転換させようとしているいまだからこそ、加工されていない木村の生の声や背景にある事実を通じて、戦争の真実を知ってほしい。


東京新聞出版局 / 900円(税別) / ISBN 4808309955

■科学ジャーナリストの半世紀 自分史から見えてきたこと

牧野 賢治(毎日新聞出身)

▽科学記者の経験伝えたい

科学記者の「遺言」の書のつもりで、足かけ6年がかりでまとめた。科学記者としての半世紀の大半を新聞社で活動したが、個人的な経験は書き残さなければ消えてゆく運命にある。何を書き、何を書けなかったか、何を考え、何を伝えたいのか。筆者の見聞は、概して些細なエピソードが多いが、若い科学ジャーナリストに読んでもらいたいと思う。自分史から普遍的なものを見てもらえれば幸いである。


化学同人 / 2200円(税別) / ISBN 4759815716

■現代ジャーナリズム事典(武田徹、藤田真文、山田健太監修)

山田 健太(専修大学教授)

▽いまを生き、いまを知る

ジャーナリズムにまつわる事象を網羅的に解説する初の事典。法律家、研究者、現役の新聞記者ら約90人が執筆を分担、思想・倫理・運動・表現・裁判・事件・規制・団体など多岐にわたる内容の約700項目を収録。原発報道などでメディアのあり方が根本から問い直され、表現の自由を制約する社会の動きが目立ってきた。社会の目指すべき方向を一人一人が考え、ジャーナリズムをみんなが理解し、その健全な発展を守っていくために、ぜひ多くの人に手にしてもらいたい。


三省堂 / 4500円(税別) / ISBN 4385151083

■誰も語らなかった〝日米核密約〟の正体 安倍晋三・岸信介をつなぐ日本外交の底流

河内 孝(毎日新聞出身)

▽日米密約の真相解明に迫る

この本を書くきっかけを与えてくれた元毎日新聞社社長の斎藤明氏は、昨年6月死去した。核持ち込みの日米マネジメントを探る「灰色の領域」取材チームに参加したのは1980年暮れ。連載は、古森義久記者の衝撃的なライシャワー・インタビューで幕を閉じた。斎藤記者は81年度の日本新聞協会賞に輝いた。30年後、民主党政権下で核持ち込みについて「密約調査」が行われたが、真相解明には至っていない。なぜか? 一読され、その裏面を知っていただければ幸いだ。


角川書店 / 800円(税別) / ISBN 4041014905

■国際機関で見た「世界のエリート」の正体

赤阪 清隆(特別賛助会員 元・広報担当国連事務次長、現・フォーリンプレスセンター理事長)

▽日本の若者の挑戦に期待

グローバルな人材の育成が叫ばれていますが、国際機関でこそ日本人がもっと活躍してほしいと思ってこの本を書きました。国連本部をはじめ4つの国際機関で勤務しましたが、どこでも日本人職員があまりにも少ないのです。どうしてなのでしょうか。国際公務員の仕事には憂鬱な面もありますが、魅力の方が断然多いので、その正しい姿を知ってもらったうえで、日本の若者にグローバルな職場での活躍に挑戦してもらいたいと思います。


中央公論新社 / 780円(税別) / ISBN 4121505026

■官房長官 側近の政治学

星 浩(朝日新聞特別編集委員)

▽最高権力者にどう仕えるか

毎日といっていいほど、新聞やテレビに登場する内閣官房長官。戦後、58人の政治家が経験している。最高権力者の首相にどう仕えるか。首相を間近に見ているだけに、時には「俺の方が……」といった「欲」も頭をよぎる。
そんな興味深い官房長官という仕事を解明してみた。名長官のベスト3なども、独断で選んでみた。権力者と側近の奮戦の日々、そして彼らの素顔をのぞいてみてください。


朝日新聞出版 / 1200円(税別) / ISBN 4022630213

■「失敗」の経済政策史

川北 隆雄(東京新聞出身)

▽なぜ20年間も失われたのか?

バブル崩壊後の約20年間、日本経済が失われたのは、なぜなのか。大蔵省(現・財務省)も日銀も、自民党も民主党も努力はしたように見える。しかし、それらは結果的に裏目に出たというだけでなく、やってはならない政策を国民に犠牲を強いて実施したケースが多かった。いま、アベノミクスは円高是正と輸出産業の一時的な好調を実現したものの、本当に日本を「取り戻す」かどうかは不明だ。失敗を振り返り、未来の成功を見つめたい。


講談社現代新書 / 800円(税別) / ISBN 4062882671

■ロシアを動かした秘密結社  フリーメーソンと革命家の系譜

植田 樹(NHK出身)

▽知られざる歴史を掘り起こす

ロマノフ王朝の絶対専制の皇帝権力や栄華の舞台裏で繰り返された野望と陰謀。これはロシアの表の国家権力と裏組織との絶えざるせめぎ合いの歴史である。西欧におけるフリーメーソンの起源、ロシアでの変容をたどり、彼らの秘密の活動様式と思想が流血のテロリストや革命家に引き継がれ巨大帝国を瓦解させた。さまざまな理想社会の実現をめざしたロシア・インテリゲンツィアの群像が民族の運命を突き動かした壮大な実験劇としてまとめた。


彩流社 / 2900円(税別) / ISBN 4779120144

■ドキュメント平成政治史1 崩壊する55年体制

後藤 謙次(共同通信客員論説委員)

▽政治家の肉声から日本政治を検証

かつて新聞の政治面には政治家の肉声を拾った囲み記事が必ずあった。ユーモア、風刺、啓蒙―。政治家たちの片言隻句をどうさばくかは政治記者の腕の見せどころだった。
その「囲み記事」が消えて久しい。おそらく政治家が「囲み記事」に堪えられる言葉を発しなくなったことにも原因がある。平成に入って満25年。なぜ政治家の言葉から「力と魂」が消えたのか。政治家のむき出しの言葉で日本政治を振り返ることを試みた。表紙を見れば「学術書」、中身を読めば「赤坂太郎」。全3巻で間もなく第2巻を刊行します。


岩波書店 / 2300円(税別) / ISBN 4000281674

■日本人の覚悟―成熟経済を超える

嶌 信彦(毎日新聞出身)

▽21世紀への「日本人の覚悟」とは

日本にいま一番欠けているものは何か。私は覚悟であり、構想力、志ではないかと思う。幕末・明治維新、敗戦日本は決して大国を目指したのではなく近代国家樹立、敗戦からの復興という強い思いがあった。今の日本は内向き、自信喪失、第3の国難期などといわれるが、再び過去のように新しい日本への覚悟と構想力を持てば、21世紀の世界で存在感のある中核国家になれる。そんな志を持った様々な実例を過去と現在から堀り起こし将来をみつめてみました。


実業之日本社 / 1300円(税別) / ISBN 4408333050

■「踏み絵」迫る米国 「逆切れ」する韓国

鈴置 高史(日本経済新聞編集委員)

▽二股外交の韓国に米国が怒る

急速に米国を離れ中国に接近する韓国。米国はついに怒り始めました。昨年12月、バイデン米副大統領は朴槿恵韓国大統領に「米国側に賭けた方がいい」とまで言ったのです。しかし、韓国は馬耳東風。そこで今年4月、オバマ大統領が韓国を訪問、翻意を促すことにしました。日経ビジネスオンラインに連載中の記事をまとめました。1作目の『中国に立ち向かう日本、つき従う韓国』、2作目の『中国という蟻地獄に落ちた韓国』に続く第3作です。


日経BP社 / 1400円(税別) / ISBN 4822277828

■伊東正義 総理のイスを蹴飛ばした男

国正 武重(朝日新聞出身)

▽会津の頑固者の生き様に迫る

大平正芳首相の盟友として、大平急死後の首相臨時代理や、政界を揺るがしたリクルート事件で竹下登首相が引責辞任した後、「次の総理候補」に推されながら、「本の表紙だけ変わっても、中身が変わらないとダメだ」と固辞した伊東正義さん。宮澤喜一さんをして、「総理が何度も変わる世の中になって、総理を断った人の名前を世間は忘れない」と言わせた伊東さんの生き様に迫る。

「自民党政治の『終わり』の始まり」というサブタイトルを付けた。


岩波書店 / 2500円(税別) / ISBN 4000259709

■日中関係の針路とメディアの役割(高井潔司・保田龍夫編集)

保田 龍夫(共同通信出身)

昨年11月12日に(公益財団法人)新聞通信調査会が開いた同名の公開シンポジウムの模様を再現し、加筆補正しました。

当日は日本記者クラブが開いた小泉純一郎元首相の「大入り満員」会見と正にバッティング。当会にいったん申し込み、小泉会見の方に流れた会員の方に特にお薦めします。

基調報告は丹羽宇一郎・前中国大使と朱鋒・北京大学国際関係学院教授からいただき、日中両国のジャーナリストら4人(共同通信、元北海道新聞、新京報、南方週末)がパネリストとして意見を戦わせました。

そのさわりをいくつかご紹介。「英紙報道で見た日本メディアの勇気のなさ」「等身大の姿見せ合え」「一辺倒、妖怪化する日本の中国報道」「市場が『反日』を求めている」「実は最大の親日派は中国共産党」「中国の愛国教育のトーン下げよ」。付録の年表(ここ11年間の日中関係、中国メディアの動き)も役立ちます。


新聞通信調査会 / 1000円(税別) / ISBN 4907087276

■福島と原発2 放射線との闘い+1000日の記憶(福島民報社編集局著)

紺野正人(福島民報社報道部副部長)

東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から3年がたった。福島県民は一歩ずつ復興への歩みを進めている。

本書は、福島民報紙上で平成25(2013)年1月から11月まで計5部、96回(番外編を含む)に及んだ長期連載「ベクレルの嘆き 放射線との戦い」に加筆し、まとめた。原発事故に直面した県民の放射線への不安や葛藤、リスクコミュニケーションをめぐる政府や専門家の対応、農林水産業の再生の取り組み、除染の現状と課題、福島第一原発の汚染水問題などを追った記録である。原子力災害の本質を伝えようと試みた。

作家の柳田邦男さんが「福島で何が起きたのか、安全への納得につながるリスクコミュニケーションはいかにあるべきか、多岐にわたる記者たちの丁寧な深掘取材から生み出されたこの記録と提言は、判断に不可欠の要素を知るうえで必読の書だ」と推薦文を寄せている。

「3・11」から25年12月4日までの1000日にわたるドキュメントも収録している。


早稲田大学出版部 / 2800円(税別) / ISBN 4657140027

■小選挙区制は日本を滅ぼす 「失われた二十年」の政治抗争

浅川博忠(山形新聞客員論説委員)

▽20年間の内情リポート

竹下登と小沢一郎による「竹小戦争」の副産物として誕生した衆院の小選挙区比例代表並立制。この制度により20年間に6回の総選挙が実施されてきているが、短期での首相交代劇や政治家の小粒化などで国家は迷走の連続。政権交代可能な2大政党誕生どころか一強多弱の多党化。この間の内情を間近で詳細にリポートしたのが本書。いまこそ抜本改革に臨まないと日本は滅びゆくリスクと直面しよう!


講談社 / 1400円(税別) / ISBN 4062188511

■やさしい「経済ニュース」の読み方

岡田晃(テレビ東京出身)

▽日本経済の全体像つかむテキストに

日本経済新聞とテレビ東京での経験をもとに、少しでも多くの人に「経済ニュースは面白い」と感じてもらいたいとの思いから執筆しました。「やさしい」といっても単に経済用語の説明に終わるのではなく、実際の経済ニュースを題材にしながら、経済の仕組みやつながりを理解できるように解説しました。「経済を〝縦〟と〝横〟で見る」など独自の切り口を随所に盛り込み、日本経済の全体像と展望がつかめるような内容にもなっています。


三笠書房 / 1200円(税別) / ISBN 4837925332

■原発敗戦 危機のリーダーシップとは

船橋洋一(元朝日新聞社主筆)

▽第2の敗戦と認識することから

福島第一原発事故を取材して痛感したことは、以下の3点です。

日本は、なぜ、リスクを取るのがこうも苦手なのか。なぜ、ガバナンスが効かないのか。東電の現場ではリーダーシップを発揮したのに、本店にはなぜ、それがなかったのか。

事故収束で終戦? そうではありません。これは第2の敗戦なのです。その認識が欠如しているから日本はフクシマの教訓をいまなお学べないのです。とりわけお薦めは、第2部の対話編です。ここはお見逃しなく。


文春新書 / 800円(税別) / ISBN 4166609564

■憲法と、生きる(東京新聞社会部編)

瀬口晴義(東京新聞社会部長)

憲法のことは書き尽くされている。いまさら新しい視点なんて…。そう思う人も多いだろう。取材経験のある記者ほどそう感じるかもしれない。昨年、東京新聞一面で連載した企画を書籍化した『憲法と、生きる』を読み、そんな浅薄な考えは消えた。憲法を分かりやすく丁寧に伝えることに徹した入門書であると同時に、憲法に新たな命を吹き込もうとする人々の生き生きとした姿を描き出す。

砂川事件で伊達秋雄裁判長とともに陪席裁判官として審理に当たり、駐留米軍を憲法違反とした松本一郎さんは「僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る」という高村光太郎の詩を胸に歴史的な判決を導き出した。GHQが日本政府に手渡した憲法草案に大きな影響を与えたとされる「憲法研究会」の中心人物だった鈴木安蔵の生家は、福島県南相馬市小高区(旧小高町)にある。被災した鈴木の生家の土蔵は昨年8月、取り壊された。憲法の柱である基本的人権の原型を起草した鈴木の故郷で、その基本的人権が失われた事実が胸に突き刺さる。


岩波書店 / 1800円(税別) / ISBN 4000227971

■東海の産業遺産を歩く

安部順一(読売新聞編集委員)

▽ものづくりへの情熱ひもとく

東海3県は、言わずと知れた日本のものづくりの中心だ。なぜ東海のものづくりは強いのか。工場やダム、鉄道、建造物など、幕末・明治から昭和(戦前)にかけての産業遺産を訪ね歩いて考えた。そこで出会ったのは、先人たちのものづくりに対する情熱だった。「坂の上の雲」を目指す熱気は、商工業者や技術者にも満ちあふれていた。この本では、そうした産業遺産(33カ所)にまつわる人々の物語をつづってみた。オールカラーです。


風媒社 / 1680円 / ISBN 4833101521

■野球博覧 Baseball Tencyclopedia(大東京竹橋野球団S・ライターズ編)

原田三朗(毎日新聞出身・第4代監督)

▽ 竹橋野球団の愉快な歴史

大東京竹橋野球団は毎日新聞の論説委員や編集委員が集まってつくった草野球チーム。都内各社の同好の士とゲームを楽しんだが、草野球も衰退、創立30年の今年2月に解散。その記念誌として団員たちが執筆、刊行した(編集委員長は第5代監督・諸岡達一)。アメリカにも遠征した「大毎野球団」など毎日新聞が日本野球の発展に果たした軌跡から日本野球にまつわる人物伝、戦後初来日のサンフランシスコ・シールズ全試合詳報、野球の発祥に関わる最新の知見まで、焼け跡闇市三角ベース派には、読み出したらやめられない。Tencyclopediaは、天才とエンサイクロペディアを合わせた造語。


非売品

■「スイカ」の原理を創った男 特許をめぐる松下昭の闘いの軌跡

馬場錬成(読売新聞出身)

▽日本の知財制度と特許裁判の非合理

JRや地下鉄、コンビニなどで使っているスイカなどの非接触ICカードの原理は、1985年に日本の大学教授が発明して日米に特許出願した。米国ではすぐに特許になったが、日本では19年余かかった。権利が認められたとき、非接触ICカードは普及していた。発明者は特許侵害訴訟を起こすが敗訴する。その過程を克明に追跡し、日本の知財制度と特許裁判の非合理を提起し、発明者がいかに報われないかを示し、今後の制度改革も提言した。


日本評論社 / 2415円 / ISBN 4535519854

■1971年 市場化とネット化の紀元

土谷英夫(日本経済新聞出身)

▽グローバル化の源流を求めて

筆者が新聞記者になった1971年は、2つのニクソンショック①ニクソン米大統領の訪中発表(実行は翌年)と②ドルと金の交換停止があった年だ。「ブレトンウッズ体制」(通貨の固定相場制)が崩れ、中国が国連に迎えられたこの年、情報技術では、ネットワーク化に必須のマイクロプロセッサも生まれた。市場化、ネット化、新興国の台頭と「グローバル化」の主要な要素が出そろった年に、焦点をあてた。


NTT出版 / 1995円 / ISBN 4757123310

■日本人らしさの発見 しなやかな〈凹型文化〉を世界に発信する

芳賀 綏(個人D会員、東京工業大学名誉教授)

▽世界の中の日本人再発見

「眼からウロコ」と評されて心強い。中韓両国はそもそも日本と〝近くない〟国だったと得心してもらえた。世界は、6~7千年も前から、ヨーロッパから中韓にまで及ぶ〈凸型文化圏〉と、日本や東南アジア諸国その他の〈凹型文化圏〉に分かれ始めた。その風土的・歴史的背景を知らない近隣幻想では真の友好へ前進できない。そのことや戦時日本の総括も含め、世界の中の日本人の位置と役割の再発見を、と縦横に、平明・懇切に説きました。


大修館書店 / 2100円 / ISBN 4469213462

■原発災害、その時テレビは… ~終わりの見えない取材の中で~

佐藤 崇(福島中央テレビ取締役報道制作局長)

3年が過ぎようとする中で、あの時の記憶が薄れかけている。映像や番組の形で記録し続けてきたつもりだが、時にこぼれ落ちていく。本書は、応援を継続いただいているNNN各局に防災対応の参考にしてもらうことを目的に、地元メディアとしてどう対応したかを主題にまとめたが、これほどの大災害ではスタッフの個人的な事情も無視できなかった。取材と被ばくの不安、家族の安全との間の葛藤についても寄稿を求め、あるいは聞き取った。ロジスティックスやローカル特番編成、民放ならではのCM対応など、さまざまな混乱とその対応ぶりについても記録した。プライバシーに関わる部分もあり非売品としたが、長く続く福島の闘いの1つの側面が今後の防災減災のためにも記憶されればと願う。


非売品

■リー・クアンユー 未来への提言

小池洋次(日本経済新聞出身)

▽各界の指導者に読んでもらいたい

シンガポールの建国の父で、「アジアのオピニオンリーダー」と言われた政治家のインタビュー集を監訳しました。その危機意識の強さと行動的知性の在り方から日本への教訓を読み取っていただきたいと思います。監訳書とはいえ、日本人向けに構成を変え、さらに、各章ごとの説明と、リー・クアンユー論というべき解説をつけました。自著を刊行したような気分です。この仕事を引き受けたのは、リー氏は私が記者時代に最も刺激を受けた人物だったからでもあります。


日本経済新聞出版社 / 3150円 / ISBN 4532168961

■ミツバチ大量死は警告する

岡田幹治(朝日新聞出身)

▽知らないことほど怖いものはない!

母体や母乳から取り込んだ微量の化学物質(農薬など)が、子どもの脳・神経系の発達を阻害し、発達障害の原因となる──そんな研究がいくつも発表されていることをご存じだろうか。このような、知られることの少ない環境化学物質の危険性を、最新の情報をもとに具体的に明らかにした。とっつきにくいテーマなので、ミツバチという環境の変化に敏感な生き物の助けを借り、わかりやすくするよう心がけた。豊かな社会を支える近代科学技術文明への批判でもある。


集英社新書 / 798円 / ISBN 408720717X

■有害化学物質の話 農薬からプラスチックまで

井田徹治(共同通信編集委員)

▽有害化学物質汚染の入門書

ダイオキシンやPCBなどに関する長年の取材結果をまとめた地球環境問題としての有害化学物質汚染の入門書です。汚染は発展途上国や極地でも深刻化し、妊娠中の母親を通じた胎児への影響の懸念も高まっています。日本では「空騒ぎだった」などと言われている環境ホルモンの問題も、海外ではこの15年ほどの間に研究が進み、近年、さまざまな進展がみられます。ここでも重要なのは「予防原則」と「世代間の公平性」の視点です。


PHP研究所 / 987円 / ISBN 4569814689

■金正恩の北朝鮮 独裁の深層(黒田勝弘・武貞秀士共著)

黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

▽北朝鮮は面白い!

韓国では日本批判として「日本はドイツに学べ」とよく言うが、筆者は「韓国こそドイツに学びなさい」と反論している。早く南北統一して、東ドイツ出身のメルケル首相のように北朝鮮出身の大統領を生みなさい、それが民族的力量じゃないの、と。1970年代のソウル語学留学時代以来の友人である元防衛研究所の武貞秀士氏と、そんなことも含め語り合ってみた。お互いかなり異見はあったが「北は面白い!」では完全一致しました。


KADOKAWA / 840円 / ISBN 4046534249

■EUの知識〈第16版〉

藤井良広(日本経済新聞出身)

▽情報で読み解くEUの素顔

欧州連合(EU)の現状と歴史、多様な諸機関、諸制度等を徹底的に解説したベストセラー書の最新版です。16版を重ねた今回は第1章で欧州債務危機問題を特集しました。ちまたの「EU解体論」「ユーロ崩壊論」とは異なる検証を試みました。それ以外にも、EUの政治・経済を中心に、環境、社会、消費など、幅広い分野を取り扱いました。EUを初めて学ぶ人はもちろん、すでにEUと付き合いのある人にも、最新情報の提供と、関連分野への関心をかきたてることを目指しています。


日本経済新聞出版社 / 966円 / ISBN 4532112907

■なぜ独裁はなくならないのか 世界の動きと独裁者インタビュー

千野境子(産経新聞出身)

▽若い読者に世界を見てほしい

アラブの春で起きた独裁者たちのドミノ倒し。その末路に、ノリエガ将軍やカストロ議長、イメルダ夫人ら独裁的指導者たちとの会見記が久々によみがえった。外信部デスク時代は東欧社会主義の崩壊に、特派員時代はスハルト独裁の崩壊に立ち会った。ベルリンで見たヒトラー大回顧展の衝撃…世界史は独裁者たちが死屍累々だ。歴史への関心をかきたて、世界にもっと目を向けてほしいと、独裁と民主主義を切り口に若い読者に向けて書いた。


国土社 / 1365円 / ISBN 4337187553

■自動車設計革命 TPPに勝つもの作りの原点

長谷川洋三(日本経済新聞出身)

▽世界を席巻したトヨタ生産方式が変わる!

クルマ作りといえば、ジャストインタイムと擦り合わせ型のもの作りを基本にしたトヨタ生産方式というのが世界的常識になって久しい。ところが、自動車業界に「設計革命」の新しい波が押し寄せ、このトヨタ生産方式が大きく変質しつつある。新興国市場が台頭する中で、多様な消費者のニーズに素早く対応する生産方法としてVWなどがモジュール生産方式を前面に押し出し、トヨタ自動車も全体最適にカジ切りを始めた。この影響を受けたのが系列企業で、新規提案やコストダウンなど対応に大わらわだが、系列を抜け出して健闘する企業も少なくない。実はそのたくましさを描くことにこの本の狙いがある。


中央公論新社 / 1785円 / ISBN 4120045609

■テレビ報道職のワーク・ライフ・アンバランス─13局男女30人の聞き取り調査から(林香里・谷岡理香編著)

松本侑壬子(共同通信出身)

▽アンバランスな実態に切り込む

毎日24時間流れ続けるテレビニュースは誰がどのようにして作り、流しているのか。本書は、全国のテレビ報道現場の50代管理職21人と30代の若手9人への公私にわたる多角的なインタビューにより、現在のテレビ業界の実態と課題に迫る。編著者を含む15人の筆者の半数以上は、放送業界から学界へ転身した女性研究者集団。取材対象の人数も肩書も男女平等に丁寧に話を聞いたが、まとめてみるとはっきり男女差が出てくる。とりわけ世界水準に程遠い女性記者の数の少なさは、日本のマスメディアのアンバランスの象徴ではないのか。課題と提言を含め、ジャーナリズム研究として新たな境地に切り込んだ試みである。


大月書店 / 2940円 / ISBN 4272330829

■読まない人に読ませる共感文章術

坪田知己(日本経済新聞出身)

▽「文章の書き方」を知って自律的な人間になってほしい

「日本人はなぜ自律的にふるまえないのか」とずっと疑問を持ってきた。それは「文章の書き方」をしっかり習っていないことが原因だと突き止めた。自分が表現できていないのだ。記者・デスク、本やブログの執筆の経験をベースに「核心文展開法」「三角形文章法」を考案し、2011年から約300人を教え、効果に自信を持った。昨年8月に文例を使った教科書をアマゾンから電子出版した。しかし、「印刷した形で欲しい」という要望が多く、10月末にプリント版を作った。多くの人に、文章の書き方を知ってほしい。通信販売のみ。申し込みは シンフォシティのサイトで。


シンフォシティ / 700円

■愛のダイアナ ウィリアム王子の生母「生と性」の遍歴

渡邉みどり(日本テレビ出身)

▽「一人の女性として」の姿

ジョージ王子の誕生でダイアナ伝説は現実のものとなる。国民と王室に2人の王子を残し、皇太子妃としての義務を果たしたダイアナ妃。王室を去った後、「一人の女性として」社会に関わる姿に焦点を当てた。多くの男性との出会い、別れの中で妃が何を感じ、行動したのか─人道支援などノーブレス・オブリージュの支えだったのは最後の恋人ドディではなく…本当に愛し尊敬していた心臓外科医ハスナット・カーンの存在が明かされる。


講談社 / 1470円 / ISBN 4062186144

■中国という蟻地獄に落ちた韓国

鈴置高史(日本経済新聞編集委員)

▽世界の覇権は「中国」と判断

中国傾斜を強める朴槿恵の韓国は、もう海洋勢力側に戻れない──がテーマです。韓国は米国から求められたミサイル防衛への参加も断り、「歴史」を掲げての日本攻撃もやめません。いずれも中国の歓心を買うためです。元から明、明から清。中華帝国の王朝交代期に朝鮮半島の国は悩みます。次の「中華」にいち早く従わないと存亡の危機に陥るからです。韓国はいま、世界の覇権が米国から中国へ移ると判断したのです。


日経BP社 / 1470円 / ISBN 4822274365

■問答有用 中国改革派19人に聞く

吉岡桂子(朝日新聞編集委員)

▽対話からみえてくるものがある

19人は、「太子党」経済エリートや高級官僚から、学者、ジャーナリスト、若手の市民活動家まで、中国を代表する知識人である。大国化を急ぐ自らの国の「弱点」を率直に語り、憂いながらも向かうべき将来像を示してくれた。対日外交の背後にある中国のいまとともに、知識層の日本観もうかがえる。対立を抱えながらも両国がつながるヒントが、隠れていた。朝日新聞オピニオン面のインタビューを大幅に加筆・復元し、それぞれにコラムを書き下ろしました。


岩波書店 / 2205円 / ISBN 4000253182

■福島と原発 誘致から大震災への五十年(福島民報社編集局著)

佐藤光俊(福島民報取締役編集局長)

東京電力福島第一原発事故から2年7カ月経過した。いまなお、汚染水問題など新たな対応が迫られる事態になっている。国はようやく東電任せにせず、前面に出て事故収束にあたる姿勢をみせているが、福島県民にとってみれば、遅きに失した感が否めない。  本書は平成23年10月から25年2月までの計12部169回にわたった長期連載をまとめた。地域振興のため、原発との共生に未来を託した人々の挫折、電源三法交付金・核燃料税をめぐって県、市町村、東電、国が繰り広げた「電力マネー」の攻防などを描いた。国のエネルギー政策に翻弄され続けた地方の声を感じ取ってほしい。なお、24年度新聞協会賞を受賞した「東日本大震災 東京電力福島第一原発事故 一連の報道」の一部でもある。


早稲田大学出版部 / 2940円 / ISBN 465713017X

■不屈の春雷─十河信二とその時代(上・下)

牧 久(日本経済新聞出身)

▽新幹線生みの親、十河信二の生涯

71歳で国鉄総裁に就任し、一世一代の〝大ウソ〟で東海道新幹線の実現にこぎつけた十河信二という男とは何者だったのか。十河家に残された大量の録音テープや故郷・四国の西条図書館に寄贈された「備忘録」など膨大な資料から彼の生涯を追った。恩師・後藤新平との出会い。関東大震災後の復興局疑獄事件。満鉄理事として石原莞爾らと夢見た王道楽土の「満州国」。東条英機暗殺計画への関与。鉄道界の先人たちの夢だった広軌新幹線の実現。壮大な彼の人生ドラマは、まさに「歴史は物語」であった。


ウェッジ / 上下各1890円 / ISBN 4863101163

■インドネシア9・30クーデターの謎を解く スカルノ、スハルト、CIA、毛沢東の影

千野境子(産経新聞出身)

▽戦後東南アジア史のテキストに

北爆開始、文化大革命勃発、印パ衝突…など世界を揺るがした1965年。もう1つ大事件が起きた。9・30クーデター未遂事件だ。スカルノからスハルトへ。親中・容共路線から親米・反共路線へ。そして孤立から国際協調へ。事件はインドネシアのみならず、東南アジアの政治地図も大きく塗り替えた。  日米公文書などを読みつつ、謎多き事件の解明を試みた。いま米中は同じ地域で再び競う。ASEANなど戦後東南アジア史のテキストとしても読める。


草思社 / 2205円 / ISBN 4794220065

■中国における報道の自由 その展開と命運(孫旭培著・高井潔司ほか翻訳)

高井潔司(読売新聞出身)

▽中国の「報道の自由」どうする

中国の現行憲法でも規定されている報道の自由。しかし、これまで実行されたことはない。筆者は1980年代、その実現に向けた報道法案の制定作業の実質的責任者だった。作業は天安門事件によって頓挫した。だが、市場経済の全面展開で、ますます必要性は増している。国内では禁書扱いの本を日本で先駆けて翻訳出版した。


桜美林大学北東アジア総合研究所 / 3500円 / ISBN 4904794338

■わが街再生──コミュニティ文化の新潮流

鈴木嘉一(読売新聞出身)

▽地域おこしの実情を伝えるルポ

日本のあちこちで地域社会のコミュニティが崩れかけている。地方の疲弊や衰退を人間の体にたとえれば、血液が手足の指先まで行きわたらず、末端から次第に病んでいくことを意味する。  こうした厳しい現状に対し、民間の知恵と活力で「わが街を再生させたい」と奮闘する人々がいる。「わが街のラジオ」のコミュニティFM、「街中の映画館」再生、映画やテレビドラマのロケ隊を誘致するフィルムコミッション、芝居小屋の復興、産業観光の振興……。全国40カ所以上を訪れ、「コミュニティ文化」を担う人たちの活動をとおして、地域おこしの実情を伝えるルポである。


平凡社新書 / 840円 / ISBN 4582857019

■原子力 負の遺産 核のごみから放射能汚染まで(北海道新聞社編)

関口裕士(北海道新聞報道センター)

▽原子力の根源的課題を問う

北海道新聞朝刊1面で連載したJCJ賞受賞企画に加筆しました。「核のごみ どこへ」「核燃半島」「もんじゅという夢」「廃炉時代」「放射能 見えない汚染」と、インタビューの6部構成です。  行き場のない「核のごみ」高レベル放射性廃棄物は、原子力政策の先送りと行き詰まりの象徴です。北海道でも処分場誘致の動きがあるこの問題を起点に、原子力の課題を推進側、反対側双方への取材を通じて探りました。


北海道新聞社 / 1575円 / ISBN 4894537052

■小泉政権一九八〇日(上・下)

倉重篤郎(毎日新聞論説室専門編集委員)

▽小泉時代の記録を残す

なぜ小泉政権が5年半も続いたのか。その後1年交代の短期政権が日本政治をスポイルしてきたのを考えると、どうしても回答が欲しかった。靖国参拝、電撃訪朝、事実上の安倍指名にも踏み込んだ背景描写をしたかった。果たして狙い通りにいったかどうか。読んで評価していただくしかない。小泉純一郎氏本人からの取材ができなかった、という弱点は重々承知しているが、あの時代を取材した者として記録本を残しておきたかった。


行研 / 各2625円 / ISBN 4877320229

■「財界の鞍馬天狗」中山素平さんが言い遺したこと 指導者の条件

国正武重(朝日新聞出身)

▽そっぺいさんロングインタビュー

〝そっぺいさん〟の愛称でも親しまれた中山さん。財界の鞍馬天狗の異名をとった元日本興業銀行頭取であり、「高度成長への神通力」「戦後金融史を体現」「ミスター興銀」「奔放な資本主義に警鐘」と評された。高度成長期の日本の経済界をリードした伝説的な人への生前ロングインタビューを電子書籍にて出版。インターネットストアでどうぞ。http://www.artislong.jp/works/kuramatengu.html


電子書籍版 / 500円

■時代に挑んだ経営者 道面豊信「もう一人の白洲次郎」─経済版─

辻 知秀(日本経済新聞出身)

▽知られざる国際経済人の全容

激動を生き抜いて功績を残した先人・経営者の足跡を史実に沿って掘り起こし、今後のグローバル日本に役立てたい、と約10年かけた。道面豊信は1888年に生まれ、戦後17年間『味の素』(株)の社長を務め、1965年にあっさりと第一線を退いたため一般には知られていない。同年代に政治の舞台で活躍した白洲次郎と対比し、経済・産業分野で戦後復興に貢献大だった国際人を浮き彫りにした。日本再構築が問われているいまこそ、真の挑戦者に学ぶべし、との問題意識である。


創英社/三省堂書店 / 2310円 / ISBN 4881425978

■実写 1955年体制

宇治敏彦(中日新聞社相談役)

▽田中角栄首相の「5つの大切」

今年は自民党一党支配の1955年体制が崩壊してから満20年。政界、官界、経済界、労働界などを取材した体験から戦後日本が一番輝いていた時代の賛歌と挽歌を、論文でなくジャーナリストの目で描きました。首相官邸から頼まれて田中首相の「5つの大切、10の反省」をつくった経緯や日本列島改造論の改定版が田中退陣とともに幻に終わった経緯なども本書で初めて明らかにしています。


第一法規 / 2625円 / ISBN 447402902X

■韓国 反日感情の正体

黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在特別記者兼論説委員)

▽昼は反日、夜は親日

韓国駐在は30年以上になり、これまで歴史認識などをめぐって相当、韓国人と論争し韓国批判を展開し、おかげさまで今や韓国メディアからは「日本を代表する極右言論人」などと非難されていますが、このところ日本の出版界ではやりの韓国バッシング本とは趣を異に「それでも日本の記者にとってこれほど面白くて飽きない国はない」という本を書きました。帯封には象徴的に「昼は反日、夜は親日」とあるように反韓・嫌韓本とはひと味違います。


角川学芸出版 / 840円 / ISBN 4046534214

■「日本経済」はどこへ行くのか 1 危機の二〇年/2 再生へのシナリオ

小島 明(日本経済新聞出身)

▽日本の立ち位置と潜在力を読む

経済停滞20年、デフレ15年の日本をいかに再生させるか。その場限りの対応ばかりを繰り返してきた結果、経済構造、経営構造も変わらないまま政府の借金が膨らむ一方です。日本の立ち位置を検証するとともに、潜在力も点検。キワモノ出版が横行していることへの反発もあり、客観的データをたっぷり活用、600ページを超え、上下2分冊の出版となりました。「失われた○○年」の発想は不要。ポスト参院選で肝心なのは「残された時間」を認識し、やるべきことを断固としてやること。政府だけでなく企業も個人にも覚悟が必要。本書が真剣で実りある議論の触媒になることを期待します。


平凡社 / 各1680円 / ISBN 4582824684

■アメリカ福音派の変容と政治─1960年代からの政党再編成

飯山雅史(読売新聞調査研究本部)

▽米政治を変えた福音派の変容

1980年代に同性愛結婚など宗教の問題がアメリカ政治に持ち込まれてから、共和党と民主党は変わってしまった。外交、財政問題で保守化したうえ、ほとんど宗教政党となった共和党と、世俗化してリベラル色を強めた民主党の、抜き差しならぬ対立の時代が始まったのだ。本書は、この変化の背景を詳細に統計分析し、民主党に忠誠を尽くしてきたプロテスタント福音派の変容が、アメリカ政治を変えてきたことを長期的にフォローした。そこからは、議会を機能不全に追い込んでいる両党のイデオロギー対立が、近い将来に収束する見通しがないことも明らかになる。


名古屋大学出版会 / 6930円 / ISBN 4815807345

■クオータ制の実現をめざす(WIN WIN編著/赤松良子監修)

藤原房子(日本経済新聞出身)

▽女性の社会参画進めるために

2012年末に実施された総選挙で女性国会議員の比率は1946年の選挙時をも下回り、7・9%になった。列国議会同盟の調査では163位と、世界の最下位である。国の政策を決める場に女性が1割以下という現状を変え、女性の社会参画を進めようと、WIN WIN(代表赤松良子=99年発足)という小さな団体が啓発資料として冊子を編集・発行、新聞・通信・出版等の業務経験者ら6人がボランティアで担当した。「クオータ」は4分の1を意味するクオーターとは異なり「割当」のこと。政治のみならず行政、雇用、教育、学術、福祉、文化など各方面に、クオータに関わる問題が多いことも指摘している。


パド・ウィメンズ・オフィス / 1260円 / ISBN 4864620466

■単語で通じる英会話

原島一男(NHK出身)

▽初心者だけでなく経験者にも

単語だけでもある程度の英会話は可能ということを説明しました。「Please」「Thank you.」「Could you?」「Could I?」「Pardon?」から始めて、いくつかの心を和ませる言葉を添えれば、単語英語でも相手に失礼にはなりません。また、誰でも暗記できるような必要最少限の単語7字以内のフレーズ、「とっさの単語&表現300」を紹介し、初心者はもとより、経験のある方々にも、役立つように配慮しました。


ベレ出版 / 1575円 / ISBN 4860643550

■今だから言えること2 歴代総理大臣の姿が語る、日本の光と影

国正武重(朝日新聞出身)

▽歴代総理の生身の姿に肉薄

電子書籍シリーズ第2弾として配信。朝日新聞政治記者時代の膨大な取材ノートやインタビューを掘り起こし、政権を担った歴代首相の政権運営の根幹を描きました。今回、登場するのは、政界引退を決意した時の田中角栄、総理の座を断った男・伊東正義、自民党長期政権に終止符を打った細川護熙です。インターネットストアでどうぞ。
http://www.artislong.jp/works/imadakara.html


電子書籍版 / 400円

■オーストラリア歴史・地理紀行

麻生雍一郎(読売新聞出身)

▽大震災は日豪関係をどう変えたか?

日豪関係は第一次安倍政権の時代に大きく変わった。経済・貿易関係に加えて政治・安全保障面の関係が構築され、両国は準同盟国になった。それが実証されたのが東日本大震災の時だ。豪州は空軍のC─17輸送機を派遣して、物資と要員の輸送を行い、震災翌月にはギラード首相自ら被災地へ飛んだ。震災後、日豪間には資源・エネルギー関連とともに教育や科学関連の多くのプロジェクトが立ち上がった。この本は震災後の日豪関係に加えてシドニー特派員時代の1980年代と昨年末、現地取材した豪州の最新事情を比較、検証した試みです。


新聞情報社 / 1680円 / ISBN 4990709500

■環境金融論 持続可能な社会と経済のためのアプローチ

藤井良広(日本経済新聞出身)

▽環境金融の決定版

本書は筆者が新聞社から大学に転じて以来のテーマの「環境金融」を体系的にまとめたものである。縁遠い存在と思われてきた環境と金融の連携の重要性と必然性を論じている。基本は、環境コストを企業の財務諸表に計上し内部化を促す点にあるが、その手段として、環境格付け、資産除去債務、環境クレジット、気候変動債などの多様な工夫を紹介、原発リスクの評価も盛り込んだ。業際思考の視点に立った、入門書にして決定版と自負している。


青土社 / 2520円 / ISBN 4791767004

■鉞子 世界を魅了した「武士の娘」の生涯

内田義雄(NHK出身)

▽知られざる生涯とその時代

杉本鉞子の『武士の娘』は最初から英語で書かれ、ニューヨークで出版されると、「人生の書」として高く評価されベストセラーになった。1925(大正14)年のことである。その後フランス、イギリス、ドイツなど7カ国で翻訳・出版されている。越後長岡藩の元家老の娘に生まれ結婚のためアメリカへ渡った一女性の半生記に過ぎない本が、海外でなぜ評価され多くの読者を得たのだろうか。その謎を解き明かしたいと思い取材の旅に出た。なお日本語版が出たのは1943(昭和18)年、日米戦争の真っ最中であった。


講談社 / 1680円 / ISBN 4062183188

■フィンランド流イクメンMIKKOの世界一しあわせな子育て

ミッコ・コイヴマー(在日フィンランド大使館参事官)

▽イクメン先進国の子育て事情

日本では教育の質の高さや福祉社会のモデルとしてよく知られているフィンランドの新たな側面を提示する。フィンランドの新たな顔とは「イクメン」。本書では歴史、政治、社会文化など様々な要因がフィンランドをいかにイクメン先進国に育てていったかを解き明かす。著者は在京のフィンランド大使館に勤務し、日本でイクメン生活を送る。実体験を交えながらフィンランドのイクメン事情について語る。


かまくら春秋 / 1470円 / ISBN 4774005886

■映画のなかのちょっといい英語

原島一男(NHK出身)

▽印象深い英語表現101

映画を観ていて、これは・ちょっといいな・と感じた英語表現を101。「市民ケーン」「めまい」「卒業」「タイタニック」などから。それだけでその映画を象徴している表現もありますし、忘れられなくなるような印象的な言い回し、それに日常、誰でもが使う簡単なフレーズまで、いろいろあります。その場面のひとつひとつを、写真を撮るように切り取って、皆さんにお見せします。映画の中で、その瞬間に映画監督が皆さんに何を伝えたいと思ったか、を再現したつもりです。


麗澤大学出版会 / 2520円 / ISBN 4892056189

■ナメクジの言い分

足立則夫(日本経済新聞出身)

▽嫌われる動物の?を探る

15年前に我が家のナメクジ騒動を夕刊のコラムに書いたのをきっかけに、この軟体動物のことが気になる存在になってしまった。2億年前に身を護る殻を捨てたひ弱な動物が、何度も押し寄せる地球上の危機を、なぜ乗り越えられたのか? 太平洋戦争後に上陸した外来種が50年ほどで、なぜ全国を席巻できたのか? 文学ではどのように扱われてきたのか? 次々に湧く疑問を自分なりに調べ、科学エッセーとしてまとめた。


岩波科学ライブラリー / 1260円 / ISBN 4000295985

■3・11とメディア──徹底検証 新聞・テレビ・WEBは何をどう伝えたか

山田健太(日本新聞協会出身・専修大学教授)
 
▽震災報道 問題点と可能性
 
 新聞やテレビといった伝統メディアの役割を、新興メディアで個の集合体たるネットがどこまで担えるのか。具体的な取材・報道事例の検証と、現場に通い続けたなかで見えてきたものから、震災報道の功罪とともに、日本のメディアが抱える問題点と可能性を探った。さらにこの間に明らかになった、行政広報や文書管理、緊急事態対応といった法制度とその運用実態から、政府とメディアの危険な関係がもたらした市民の不幸を追った。こうした危機を救うのは、公共メディアに違いあるまい。その現場におられる皆さんからの、厳しい批判・反論を待っています。


トランスビュー / 2100円 / ISBN 4798701343

■中国に立ち向かう日本、つき従う韓国

鈴置高史(日本経済新聞編集委員)
 
▽韓国の「離米従中」の先にあるものは?
 
 2012年、韓国は米国から締結を求められた日韓軍事協定を署名当日に拒否、代わりに中国に同じ協定を申し込んだ。「日本の過去への反省が足りぬ」ことを理由にしたが、恐ろしい隣人、中国に脅されて怯んだのは明らかだった。北朝鮮の核開発についても、韓国は米国よりも中国にその抑止を期待する──。急速に外交姿勢を変える韓国を徹底的に観察したのがこの本です。日経ビジネスオンラインの「早読み 深読み 朝鮮半島」をベースに大幅に加筆、修正しました。


日経BP社 / 1470円 / ISBN 4822274144

■原子力報道 5つの失敗を検証する

柴田鉄治(朝日新聞出身)
 
▽原子力報道50年の歴史をたどる
 
 日本の科学報道は原子力に始まります。その原子力報道50年余の歴史をたどり、私なりの視点で分析したものです。福島原発事故のような重大事故を起こしてしまった結果からいっても、原子力報道の歴史は「失敗に次ぐ失敗」だったと考える私は、「5つの失敗」を具体的に挙げて検証したつもりです。この私の見解には異論も多いと思いますので、科学報道に関心を持つ人たちからのご批判を期待します。


東京電機大学出版局 / 2520円 / ISBN 4501628006

■『パトリ 〈祖国〉の方へ─一九七〇年の〈日本発見〉』

柴崎信三(日本経済新聞出身)
 
▽1970年は戦後の分水嶺
 
 三島由紀夫の自決、大阪万博を包んだ熱気、田中角栄の列島改造と蹉跌─。1970年を戦後社会の分水嶺ととらえて、日本人のなかに息衝いてきた〈パトリ〉(祖国)の像が融解してゆく過程を、文化や社会的な表象を読み解きながら問い直してみました。若い世代には遠い歴史上の出来事ですが、40年以上も遡る懐かしくも活気に満ちたこの時代が50代以上の人々にいまなお生々しいのは、そこに失ったものの大きさゆえとも思えます。


ウェッジ / 2100円 / ISBN 4863101074

■第二句集「風に人に」─帰郷─

岡 正実(時事通信出身)
 
▽風に人に帰巣本能ヨットの帆
 
 一巻のタイトルを掲句から採った。定年後の帰郷をテーマに、第一句集「奥羽の時代」以後6年間の386句を収めており、自然詠を中心に老いと健康のことなども詠んでみた。
〈新緑やひかりの檻に入りたる〉
〈生きてある証日ごとの茄子の紺〉
〈さば雲やひとにそれぞれ隠し味〉
〈大根干す月の雫の形にかな〉〈雪後の天紺の観音開きかな〉〈あぢさゐの売文業に戻りたし〉〈降る雪やおとなくひとは老いゆける〉


自費出版

■言論の自由──拡大するメディアと縮むジャーナリズム

山田健太(日本新聞協会出身・専修大学教授)
 
▽表現の自由のあり方を考える
 
 裁判員制度や通信放送の融合といった社会の制度変更は、取材・報道の自由にも大きな影響を与えている。ネットの存在感が増し、新聞・テレビを基幹メディアと意識しない人々も増えた。
 規制緩和や権利の拡大というわかりやすい政策遂行のもとで、表面上は一見、表現の自由が拡大しているように見えるものの、果たして実際はどうか。
 いまの日本社会に求められる表現の自由のあり方を、喫緊の具体的課題をもとに理論と実務の両面から切り込んだ。消費税軽減税率の要求根拠もここにあり。


ミネルヴァ書房 / 2940円 / ISBN 4623062627

■米中冷戦と日本─激化するインテリジェンス戦争の内幕

春名幹男(共同通信出身)
 
▽インテリジェンスの深い意味
 
 オバマ米大統領は現実主義者で、秘密主義者です。実は米国は、中国の覇権拡大を抑える戦いで成果を挙げています。
 ミャンマーの民主化は「脱中国」とともに動き、中国への重要な石油供給国だったスーダンから油田のある南スーダンが米国の支援で分離独立、石油輸出が停止しました。しかし、オバマ政権が成果を誇示しないのはなぜか。
 日米中関係をインテリジェンスを基本に把握し、日本独自の立場について考えたい。


PHP研究所 / 1680円 / ISBN 4569808360

■中華万華鏡

辻 康吾(毎日新聞出身)
 
▽中国人も分からぬ
 
 「中華万華鏡」の姿 ある時は革命国家、ある時は開発途上国、ある時は世界の工場──外から見た中国の姿は目まぐるしく変わるし、その内実も千変万化、一体中国ってなんなんだろう。「中国は大変複雑で分からないでしょう」と中国の友人が同情してくれたので、「中国人も分からぬことを外国人の私が分かるわけがないでしょう」と答えた。そんな中国をなんとか分かろうと書き綴ったのが本書である。いろいろ書いてみたので、万華鏡の楽しさを味わっていただきたい。


岩波現代文庫 / 1071円 / ISBN 4006032501

■卒翁 回想の旅日記

田中洋之助 (毎日新聞出身)
 
▽心に残る旅を記して

 題して「卒翁回想の旅日記」。趣味は?と問われたとき多くの日本人は読書と並んで旅行をあげるのではないか。
 昔、ギリシャの哲人は「美しかな回想、人生はその大半を回想のうちに過ごすものなり」と喝破したが、旅を回想というスタイルで書き上げたのが良かったのではないかと思っている。率直にいって日本人の神風旅行の中で毎日、日記を書くのはしんどい仕事である。60代、70代だからできたのだろう。90歳のいまではお手上げだ。


自費出版

■尖閣、竹島、北方四島―激動する日本周辺の海(増補新版)

中名生正昭(読売新聞出身)

▽領土問題の背後にある世論

 日本周辺の領土問題を憂え2010年刊行した『尖閣、竹島、北方四島』を最近の安倍晋三、習近平体制にも触れ増補新版としました。すでに1996年小著『北方領土の真実』、97年『アジア史の真実』で指摘したように尖閣、竹島、北方四島が日本国有の領土である理由、相手国の主張と根拠も含め歴史的、国際法的観点から考察しました。領土問題について政府は国民の意識、世論を無視できません。その世論の基盤となる相互理解の形成を解決の道としたいものです。


南雲堂 / 1470円 / ISBN 4523265143

■グローバル知の仕掛け人―もう一つの国際関係論

小池 洋次(日本経済新聞社出身)

▽チェンジメーカーの秘密に迫る

 自らのアイデアで世界に大きな影響を与えた人々の魅力と秘密に迫ってみたいという思いで作りました。取り上げたのは、ノーベル賞を受賞したモハマド・ユヌス氏や、ソフトパワー論で知られるジョセフ・ナイ氏ら16人です。筆者が必ず会い話を聞くという条件を自分に課しましたので、結構しんどい作業でした。副題にも付けましたが、人物を軸にした国際関係論でもあります。日本がグローバルな「知の仕掛け人」を輩出することを願ってやみません。


関西学院大学出版会  / 1950円 / ISBN 4862831273

■外交プロに学ぶ 修羅場の交渉術

伊奈 久喜(日本経済新聞特別編集委員)
 
▽言葉を武器とした交渉

 言葉の意味を辞書にさかのぼって政治・外交を解説するウイリアム・サファイアのコラムが好きだった。言葉はジャーナリズムだけの武器ではない。政治・外交とは要するに言葉を武器とした交渉であり、他者を説得しようとする営みである。ビジネスの現場も同じだろう。外交の世界をのぞきながら得た話を題名のような切り口で整理してみた。サファイアがあらわした「政治辞書(Safire’s Political Dictionary)」に比べれば、恥ずかしいほど薄い。


新潮新書 / 714円 / ISBN 4106104946

■中国危機─巨大化するチャイナリスクに備えよ

八牧 浩行(時事通信出身)

▽急拡大する中国─日本の取るべき道

 一触即発の危機に直面する日中関係。「尖閣海域を平和友好の海にしたい」との思いで書き下した。隣り合う世界第2、第3の経済大国は、偏狭なナショナリズムを排除し、平和と繁栄を共有するという大局に立ち、領土問題というトゲを一刻も早く抜かなければならない。その方策は何か?経済、軍事面で急拡大する「異形の大国」中国の光と影をえぐり出し、日本の国・企業・個人の取るべき道を提案したつもりです。


あさ出版 / 1470円 / ISBN 4860635728

■「経済大国」中国はなぜ強硬路線に転じたか

濱本 良一(読売新聞出身、国際教養大学教授)

▽自制を逸したかのような巨龍の背景を探る

 尖閣問題を巡る中国の対応は、大方の日本人の想像を超える激烈なものだった。経済力と軍事力を増強させ、自信に満ちた中国が、歴史的怨念をも晴らそうとしている点に問題の深刻さがある。本著は公式報道を中心にして、過去数年間の中国の動きを追ったもの。ジグゾーパズルを合わせる作業のように事実を丹念かつ克明に積み上げ、中国政治・社会の実相に迫った。習近平・新政権に代わったが、その構造に変化はないだろう。


ミネルヴァ書房 / 4200円 / ISBN 462306347X

■善人はいない。一人もいない。─この社会はモラルを取り戻せるのか

秋山 哲(毎日新聞出身)

▽私の幸福」と「他人の幸福」は両立するのか

 東日本大震災で日本人の規律正しさが世界の注目を集める一方で、政官財界から一般社会にいたるまで、モラルの欠如が広まっている。そこで、人間の発生以来、求め続けられてきたモラルとは何なのか、それをふり返りつつ、現代社会を考える本である。私も他人も幸せになるモラル的社会は実現できるのだろうか。モラルの専門家ではないが、ある専門学校で3年間担当した「現代社会とモラル」という講義をベースにして執筆した。


文芸社セレクション / 735円 / ISBN 4286130487

■田中角栄─戦後日本の悲しき自画像

早野 透(朝日新聞出身)


▽取材メモ再現 角栄一代記


田中角栄が世を去って20年、いつまでも懐かしさが去らない。番記者だった私の取材メモを再現して、角栄一代記を書いた。


書き始めたら、角栄が勝手に動き始めて、新書としては厚すぎる本になってしまった。角栄は喜劇だったのか悲劇だったのか、私は悲劇だったように感じている。


「番記者」というと政治家とマスコミの癒着のように思われている昨今の風潮に一矢報いたく、「角栄本」をまた一冊付け加えた。



中公新書 / 987円 / ISBN 412102186X

■女性記者─論説委員室の片隅で

千野 境子(産経新聞出身)


▽元論説委員長45年間の記者人生


前半「私の記者人生」は書き下ろしました。46年前、大学の就職課で「男子に限る」新聞社ばかりの中、唯一見つけた「女子も可」の産経新聞との運命的?出会いに始まり今日まで。丸谷才一氏の『女ざかり』よろしく、知られざる論説委員室の紹介や論説委員長になって間もない歴史教科書をめぐる朝日新聞社説との論戦の舞台裏も、ちょっぴり〝本邦初公開〟です。後半「論説委員の仕事」は過去7年ほどの一面コラム「遠い響近い声」などから43本を再録しています。


産経新聞出版  / 1575円 / ISBN 4863060998

■ゼロからの古代史事典

壱岐 一郎(九州朝日放送出身)


▽日本古代史通史


古代史研究者・藤田友治教諭急死を受けて伊ケ崎淑彦との主編著刊行。岩波古代史に対するカウンター市民派史学(ひとり考古学プロ)14人執筆。関東在住2人、関西在住12人、北部九州・長期調査経験は2人。


巨大古墳と岡山から北部九州の広大山城20基以上を並列的にとらえた。紫式部や西園寺公望が批判した日本書紀を徹底批判、前3世紀の徐福集団渡来、6世紀の倭国、扶桑国を正面から肯定した、通史事典。



ミネルヴァ書房 / 3990円 / ISBN 4623050572

■大統領でたどるアメリカの歴史

明石 和康(時事通信解説委員長)


▽米大統領のリーダーシップに焦点


4年に1度の米大統領選挙の年は、アメリカを考える良いチャンス。ブッシュ(共和)とゴア(民主)の対決になった2000年大統領選の大混乱を取材して、選挙の仕組みを不思議に思い、先の展開を予測するために憲法も詳しく読んだ。その経験を生かしつつ、建国から南北戦争、大恐慌、そしてレーガンやオバマの時代までを歴代大統領のリーダーシップに焦点を合わせてたどってみたい。そんな思いで書き綴った若者向けの本です。



岩波ジュニア新書 / 924円 / ISBN 4005007236

■政治家の胸中 肉声でたどる政治史の現場

老川 祥一(読売新聞グループ本社取締役最高顧問)


▽歴代首相の肉声に迫る


 読売新聞政治部に1970年に配属されて以来、実際に見聞きした歴代首相らの肉声や取材秘話を通じて戦後政治史を総括しました。佐藤政権以降の「三角大福中」による権力闘争、「安竹宮」の時代、五五年体制の崩壊、そして民主党政権に至るまでを書き下ろしたものです。混迷を深める民主党政権の課題なども指摘しています。政治家のあるべき姿や政治を考える一助になれば幸いです。若い記者にもぜひ読んでいただきたいと思います。



藤原書店  / 2940円 / ISBN 4894348748

■江戸しぐさ事典

桐山勝編著(日本経済新聞出身)


▽江戸しぐさとその背景

江戸の豪商たちが生み、江戸の人々が育んだ「江戸しぐさ」とその背景にある江戸の暮らし、文化、芸能、政治、経済などについてまとめた。子育て、人財教育、マーケティング、経営理念、リーダー学など江戸しぐさが培ったビジネス哲学とノウハウは実に様々。


約430語、図版50点を収録した。「知る」「考える」「磨く」「育てる」「楽しむ」「しぐさ」など関連項目を拾い読みするうちに、全容が見えてくる。新生児を持つ親、新社会人、企業幹部などの読者別索引も付けた。



三五館 / 2、100円 / ISBN 4883205665

■志高く WORK HARDでがんばらなあかん 玉井義臣─あしなが運動のすべてを語る 「メディアウオッチ100」編

仮野忠男(毎日新聞出身)

 ▽戦後最大のファンドレイザー
 このブックレットは、あしなが育英会会長(元財団法人交通遺児育英会専務理事)の玉井義臣氏の半世紀におよぶファンドレイジング(募金活動)の軌跡をまとめたものである。

 これまで玉井氏は計900億円の義援金を集め、9万人以上の遺児の高校・大学進学を応援。今は3・11津波遺児やアフリカ・サブサハラ地域の遺児支援へと活動の幅を広げている。「戦後最大のファンドレイザー」「天才的な社会運動家」と評される玉井氏のすべてが、これでわかる──。


同時代社 / 735円 / ISBN 4886837301

■鄧小平秘録(文庫版)上下

伊藤正(産経新聞、共同通信出身)


▽鄧小平改革の虚実

1970年代末、鄧小平が毛沢東に代わり、二代目の“皇帝”に就いてから、中国の躍進が始まった。いまや世界第2の経済大国となり、米国支配に挑戦している中国。その急成長の謎を解き、中国の今後を占うカギは、鄧小平時代にある。2009年度日本記者クラブ賞受賞の連載記事をまとめた単行本の文庫版。長年中国報道に携わった経験と豊富な資料を生かし、鄧小平改革の虚実を描いた。産経中国総局の矢板明夫記者の解説を収録、薄熙来事件の背景を探った。



文春文庫 / 各740円 / ISBN 416783815X

■日中の壁 日中ジャーナリスト交流会議編

北海道大学大学院教授 元読売新聞編集委員 藤野 彰


▽日中恐れるべきは無知と誤解

この5年ほど、日中の記者たちが両国間の懸案について本音で議論する日中ジャーナリスト交流会議に、日本側の一員としてかかわってきた。昨年9月までに両国で開いた会議は計6回。熱い舌戦の体験を踏まえ、日本側関係者15人が日中の現状と課題を論じたのが本書である。日中関係は不惑(国交40周年)を迎えたというのに、尖閣問題など摩擦が絶えない。書名には「お互いが壁を乗り越えるべく、対話を深め、知恵を絞らなければ」との思いを込めた。メディア報道は双方の国民感情に大きな影響を及ぼす。記者同士がきちんと話しあえずに、国民レベルの相互理解を望めるのか。隗より始めよ、である。恐れるべきは論争ではなく、無知と誤解であることを訴えたい。


築地書館  / 2100円 / ISBN 4806714437

■敗戦真相記─予告されていた平成日本の没落 永野護・著

日本経済新聞出身 田勢 康弘


▽立ち往生する日本の姿を予言

「敗戦真相記」と題された古いコピーを手にしたのはもう一昔前のことだが、一読したときの衝撃は忘れられない。たくさんコピーして方々へ配った。なんとか書物にならないかという願いが叶ったのが10年前。ずいぶん評判になったが、やがて在庫がなくなってしまった。今回、改訂版が出た。敗戦に至った理由が、そのままこの平成の国家凋落につながっている。敗戦の翌月、しかも被爆地広島での講演録である。これほど幅広く、具体的に敗戦の原因を指摘した本はおそらくないだろう。東日本大震災、福島原発事故、普天間基地問題、オスプレイ配備、消費税、そして領土問題。いま立ち往生している日本の姿を67年前に予言しているかのようである。



バジリコ / 1050円 / ISBN 486238191X

■切手が語るヴァイオリン

髙村壽一(日本経済新聞出身)


▽名器へのレクイエム 

戯れに世界の音楽関係の図案の切手を集めていたが、新興国も参入して多彩大量に発行されるので、あるときからヴァイオリン関係に限った。曲線美を誇るヴァイオリンの姿は見飽きない。中央アジアの草原で生まれ多様に進化しながら16世紀ころ完成され、以後基本的な形態、機能は変わっていない。約70種の切手を厳選して、カラーページに収録、さらに楽器の発展史、形状・構造、演奏者などに区分けし、それぞれに解説を加えた。アンティーク楽器には寿命がある。切手も実用面での存在がやがて問われるだろう。レクイエムを聴く思いで一本にした。



草場書房 / 1890円 / ISBN 4902616491

■朝日新聞の危機と「調査報道」 原発事故取材の失態

谷 久光(朝日新聞出身)


▽原子力村の構造悪に調査報道で迫ろう

福島第一原発で起きた地震と津波による炉心溶融事故に際し、大手メディアが誰一人として事故現場を取材していない。フリーが防護服姿で建屋内に潜入しているのにである。 朝日が大本営発表を垂れ流して、一次情報もルポも調査報道もゼロに近かったのはなぜか。東京報道局の現役記者に聞いた。「決死隊を」の局内からの声に、トップが記者の御身大事と政府規制に従ったからだ。歴史的失態を衝き、原子力村の構造悪に調査報道で迫るよう訴える。


同時代社 / 2100円 / ISBN 4886837247

■東日本大復興 東北の復興で日本経済はよみがえる KHB東日本放送編

伊藤裕造(東日本放送会長 元朝日新聞)


「仙台はバブルだそうですね」―東京へ行くとよく聞かれる。確かに消費は堅調だ。しかし、「復興バブル」という言葉でくくるのはどうだろうか。東日本大震災の復旧・復興に5年間で18兆円が投入される。この予算が、「食料基地」「環境・エネルギー基地」「新しい産業集積基地」の3つの有用性を兼ね備える東北に適切に配分されれば、日本経済の再生にもつながるのではないか。昨年5月から今年3月まで放送した、経済番組「東北ビジネス最前線」(08年スタート、月1回)の内容をまとめた。政財界のキーマンたちが、東北再生のチャンスを語る。地域に根ざすメディアとして、積極的に提言を続けたい。 


KHB東日本放送  / 1470円 / ISBN 4990493176

■新エイズ予防指針と私たち―続けよう、HIVとの闘い エイズ予防財団編

宮田 一雄 産経新聞特別記者


わが国のエイズ政策は、感染症法が施行された1999年以降、同法に基づくエイズ予防指針に沿って進められています。「予防」と銘打ってはいても、エイズの原因ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した人たちへの支援や医療提供体制、偏見・差別の解消までを含む総合的な政策指針です。世界のエイズの流行が30年の節目を迎えた昨年、ほぼ1年がかりで見直しが進められ、厚労省は今年1月、改正指針を告示しました。エイズの流行はいまも続いています。社会の関心が薄れれば流行が下火になるわけではないのですが、えっ、そんな指針があったのと驚かれる方も多いはず。改正指針の概要と背景、最近のエイズ対策の現場の動きを分りやすく報告しました。


連合出版 / 1,365円 / ISBN 4897722705

■今だから言えること 歴代総理大臣の姿が語る、日本の光と影

 国正武重(朝日新聞出身)


▽歴代総理の生身の姿に肉薄

電子書籍に挑戦した。朝日新聞政治記者時代に行った歴代首相へのインタビューや、オフレコも含めたおびただしい量の取材記事をもとに執筆した政治ドキュメントである。初めて明かす内幕や秘話もある。時に翻弄する歴代総理の生身の姿に肉薄した文章から、日本政治の光と影が浮かびあがる。インターネットストアでどうぞ。
http://www.artislong.jp/works/ima.html


電子書籍版 / 400円

■テレビは何を伝えてきたか 草創期からデジタル時代へ

植村鞆音(テレビ東京出身)


▽民放60年のオーラルヒストリー

本書は一昨年から今年にかけて民放連の機関誌「月刊民放」に連載された座談シリーズ「放送の未来に向けて」の再編集、文庫版である。内容は番組を中心とした民放60年のオーラルヒストリー(口伝)。私は聞き手で、主役の語り部は大山勝美さんと澤田隆治さん。草創期以来テレビ番組の制作に関わり続けたおふたりの証言は鮮やかにテレビ文化の盛衰を浮き彫りにしている。私にとっては長い間世話になったテレビ界への遺言の意味もある。



ちくま文庫  / 998円 / ISBN 4480429573

■風と風車の物語──原発と自然エネルギーを考える

 伊藤章治(中日新聞出身)

 
▽風のエネルギーの可能性

江戸時代の帆船「北前船」に惹かれ、以前から民衆の暮らしと風をテーマに「風の社会・文化史」を書きたいと思っていた。「風の街をつくる」「風仕事」などの章立てで書き始めたところにフクシマ原発事故が起こる。急遽、「風に代表される自然エネルギーは原発に取って代われるか」の章を加えた。北海道や東北の地では、十分すぎるほどの風が吹き、人々のやる気も十分。「自然エネルギーの普及を妨げているのは政治の無策」と、改めて痛感した。


論創社  / 2100円 / ISBN 4846011496

■生きてやろうじゃないの! 79歳・母と息子の震災日記

武澤忠(日本テレビ・チーフディレクター)母・武澤順子との共著

▽家族の絆の物語

「被災地の一軒一軒に、それぞれに違った苦悩や悲しみがある」…そのことを伝えようと、被災した実家の母を撮り続けた1年間。その模様をまとめ3月に放送した「リアル×ワールド 母と僕の震災365日」は大きな反響をいただきましたが、中でも注目されたのが母の震災日記でした。そこに綴られた、79歳で被災地に生きる女性の、赤裸々な想い。絶望、葛藤、そして希望…これは震災の記録ではなく「家族の絆の物語」。



青志社  / 1365円

■昭和、平成を「食」とともに歩んだ 岸朝子の命の食卓

知野恵子(読売新聞編集委員)


▽日本人の食の変化と料理記者 
人気テレビ番組「料理の鉄人」の審査員をつとめ、「おいしゅうございます」で一躍有名になった岸朝子さん。88歳の今も、食ジャーナリストとして活動を続けている。専業主婦だった岸さんは、30歳を過ぎてから料理記者になり、以来、日本の食を見つめてきた。様変わりした食の話はもとより、記者生活の体験談が面白い。「鍋釜記者」と揶揄されながらも、歩いて、自分の目と舌で確かめ、わかりやすく伝えることに腐心した。時代や追いかけるテーマは違っていても、記者の心は共通だと感じさせられる。「料理の鉄人」の裏話も楽しい。



主婦の友社  / 1365円 / ISBN 4072841676

■欧州のエネルギーシフト

 脇阪紀行(朝日新聞論説委員)

 
▽エネルギー革命最前線の現場報告 
「3・11」を機に日本ではエネルギー政策が論争テーマになったが、欧州では1970年代からエネルギー問題は市民運動の焦点だった。ただ国民投票で脱原発を決めたスウェーデンに今なお、10基の原発が稼働しているように、脱原発実現には周到な政策的準備が必要だ。原発依存から脱却しようとする日本に何が必要か。ドイツや北欧などの現場ルポからヒントを得ていただきたい。



岩波新書 / 840円 / ISBN 4004313708

■喪われたレーモンド建築 東京女子大学 東寮・体育館 東京女子大学レーモンド建築 東寮・体育館を活かす会編

報道する立場で長年働いたこともあって、多種多様な運動を見るとき常に距離をおいて観察する癖が身についていた。それが6年前、母校東京女子大学キャンパス内の歴史的建造物を解体する計画が公表されると、突如自分が言いだしっぺになり、渦中に立ってしまった。素人集団が仲間を募り、建築史や構造学などの専門家に支援を仰いで、微力を尽くしたが、ついに不首尾に終わった行動の顛末を綴った報告書である。人口減少社会での大学の経営問題がからんでスクラップ&ビルドでの対応例は多い。立派な中層ビルの快適な大教室で、学生はどんな空間の記憶を抱いて巣立つのだろうか。今も考えさせられている。


同会代表 日本経済新聞出身 藤原房子


工作舎 / 2,520 円 / ISBN 4875024436

■キッシンジャー回想録 中国 上下

松尾 文夫 共同通信出身 

久しぶりに古巣の共同通信外信部の後輩たちと、一緒に仕事をする幸運に恵まれた。あのヘンリー・キッシンジャーが1971年7月の北京秘密訪問以来の米中関係を回顧し、大国化した中国との「相互進化」の道を説く英文で約600ページの大作の全訳を、元北京支局長の塚越敏彦氏を総括に松下文男、横山司、岩瀬彰、中川潔各氏の翻訳、私の解説で3月末、岩波書店から上下2巻(各2940円)で出版することができたからである。キッシンジャーは89歳。しかし、習近平次期国家主席とも対話する対中外交の「現役」で、日本には持ち得ない米中関係の素顔を赤裸々に語っている。売れ行きは良いようで、昨夏からのチームワークが実った感じだ。クラブに一部寄付したので、一読いただければ幸いです。



岩波書店 / 各2940円 / ISBN 4000238744

■日本経済復活、最後のチャンス 変化恐怖症を脱して「3K立国」へ

三橋 規宏(日本経済新聞出身) 

▼成長神話と決別した新しい日本人に


東日本大震災と深刻な原発事故が、人の痛みが分かる日本人を復活させるきっかけになった。GDPの増加が人を幸せにするという成長神話が、お金万能主義の冷たい社会を生み出してしまった。経済合理主義一辺倒から抜け出し、郷土愛、弱者に対する同情など多様な動機で行動する日本人の登場が温もりのある社会をつくる。そのための手っ取り早い方法は、成長神話と決別した新しい日本人に生まれ変わることである。これが本書のメッセージです。



朝日新書 / 798円 / ISBN 4022734523

■待ったなし!エネルギー&カーボンマネジメント

藤井 良広編著(日本経済新聞出身)


▼エネルギー効率化が新たな成長を


本書の視点はエネルギーと気候変動対策の両方にある。福島原発事故後、日本のエネルギー政策は崩壊するとともに、国際的責務の地球温暖化対策への対応も急務となっている。にもかかわらず、政府も企業も、伝統型の縦割り政策、経営手法から脱しきれない。化石燃料から再生可能エネルギーへ、エネルギー効率化こそが新たな成長につながる。業際、知際の視点で、両分野の専門家の方々の知見を集めた。今を読み解く一冊として一読願いたい。



日刊工業新聞社  / 2100円 / ISBN 4526068543

■高橋是清と井上準之助─インフレか、デフレか

鈴木 隆(日本経済新聞出身)


▼命を懸けた国債との戦い


ギリシャ国債市場の動揺は全世界に波及しそうな勢いである。歳入の過半を借金で頼っている我が国にとっても他所事ではない。


この本は昭和初期、命を懸けて国債と戦った井上準之助と高橋是清の政争の物語である。井上の非募債主義によるデフレ政策か、高橋の日銀引き受けによるインフレ政策か。解答は読者に任されている。消費税─国債増に政治生命をかける野田か。全てを捨てて反対する小沢か。現代の問題でもある。



文春新書 / 872円 / ISBN 4166608584

■自衛する老後 介護崩壊を防げるか

河内 孝(毎日新聞出身)


▼介護危機の実像に迫る


「とうとう『野たれ死に』ならぬ『家(や)たれ死に』の時代が来てしまった。これから始まるのは恐ろしい(介護)戦争ですよ。介護・医療は、本当に総力戦ですから」。「高齢社会をよくする女性の会」の樋口恵子理事長は最近のセミナーで、こう声を震わせた。世界保健機関(WHO)は4月、地球規模で進む高齢化により、「2050年には人類100人中、1人が認知症に侵される」と発表した。その先頭を疾走するのが、わが国である。ところが「総力戦」を戦い抜く武器になるはずの介護保険の先行きが危うい。制度設計が右肩上がりの経済社会を前提に作られているから土台が崩れ始めているのだ。


「自衛する老後」では、これら危機の実像に迫り、「在宅介護はいいことだ」という厚労省発の常識に疑問を提起した。ご一読あれ。



新潮新書  / 756円 / ISBN 4106104709

■ユーラシア・ブックレット「論点整理 北方領土問題」

石郷岡 建毎日新聞出身)


▼もう一度領土問題を見直す 


戦後半世紀も過ぎると、記憶のすべてがあいまいとなってくる。日露間の領土交渉も例外ではない。政府やマスコミでさえ、事実経過があやふやで、ずさんな取り扱いが目立っている。長年、領土問題を見てきた立場からみても、危ういと感ずる。そこで、日露双方の基本的な立場を整理し、初心者でも分かるガイドブックを書いてみた。結論は意識的に出していない。



東洋書店 / 840円 / ISBN 4864590400

■日本体育協会 日本オリンピック委員会100年史 1911-2011

西田善夫(NHK出身) 記念誌部会長

ロンドン・オリンピックは7月27日に開幕します。日本が初めて参加した第5回ストックホルム大会(大正元年)から百年目になります。オリンピック出場には国の組織が必要で、その1年前に日本体育協会が発足しました。百周年の祝賀式典は昨夏、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、祝賀会にはロゲIOC会長も来日しました。各地でシンポジウムも開催、内容も豊富でした。それらを含めて本書を発行しました。

本誌は見る年史を目指しました。文字アルよりビジュアルです。多くの新聞社、写真家の協力もありました。従来の年史では国民体育大会の記録は優勝者のみでしたが、本書は初めて表彰の8位まで、それも昭和21年の第1回京都大会からの入賞者を掲載しました。

記録はDVDに収めました。当クラブには取材経験のある会員も多いことでしょう。新たに名前が載った往年の国体入賞選手が何人もいるでしょう。会員の皆さん、往年の国体名選手の自慢、いや思い出話にしばらくはお付き合いください。


20,000円

■東北への眼差し―藤原作弥のマルチ・エッセイ

藤原 作弥(時事通信出身)

 

▼故郷・東北の再生願って

 

時事通信の定期刊行物の「カラムコラム」は週1回1200字のコラム。シコシコ書いて40年、お堅い政治・経済・外交だけではなく、読書・映画、音楽などソフトなカルチャーも含めテーマは森羅万象、マルチ・エッセイたる所以である。数年に一度、1冊にまとめているが、今回、タイトルを『東北への眼差し』としたのは、大震災で被害を受けた出身地・東北の再生を願い、「帰りなんいざ、田園まさに蕪れんとす」の思いもだし難く―。


愛育社 / 2、415円 / ISBN 4750004022

■桜守三代 佐野藤右衛門口伝

鈴木 嘉一(読売新聞出身)

▼三代にわたる「桜道楽」の系譜 

「桜は守りをせな、手入れではあきませんのや……」。京都市で造園業を営む16代目佐野藤右衛門さんは、全国の名桜や老桜を見守る「桜守」として名高い。パリのユネスコ本部や京都迎賓館の日本庭園などを手がけながら、祖父の代から始めた名桜の保存・育成活動を受け継いでいる。昨春、23回連載した聞き書きを基に、自ら「阿呆の相続」と呼ぶ系譜をたどるノンフィクション。日本人と桜のかかわり、桜の文化史、桜から見た昭和史・戦後史も書き込んだ


平凡社新書 / 840円 / ISBN 4582856349

■兵隊先生 沖縄戦、ある敗残兵の記録

松本仁一(朝日新聞出身)

▼敗残兵と沖縄県民の友情 1945年の沖縄。部隊が全滅し、瀕死の重傷を負った日本兵が、地元の人々に助けられて避難民キャンプにかくまわれた。そこで彼は「比嘉」と姓を変えてキャンプの学校の先生になり、子どもたちを育てていく。「沖縄を踏みにじった日本」vs「踏みにじられた沖縄」という構図でとらえられる沖縄戦だが、その裏には、「国家に踏みにじられた兵卒」と「踏みにじられた沖縄県民」の友情と信頼の関係もあった。


新潮社 / 1、470円 / ISBN 4103321113

■「安南王国」の夢 ベトナム独立を支援した日本人

牧 久(日本経済新聞出身)


▼ベトナム独立の夢にかけた男たち 戦争と革命、夢と挫折。100年にわたる日越交流秘史。大南公司創業者、松下光廣。明治末、故郷の天草からベトナム(仏印)に旅立ち、一大商社を築いた彼が出会ったのは、フランスの苛烈な支配に喘ぐベトナム民衆の姿だった。独立闘争のために日本に亡命してきた「安南の王子」クオン・デを、密かに支援し続けた松下を中心にした日本人たち。歴史の裏に埋もれたベトナム独立の夢にかけた男たちを追ったノンフィクション。以上が出版社の宣伝文句です。


ウエッジ社 / 2、520円 / ISBN 4863100949

■春夏秋冬 鎌倉めぐり

宮田一雄(産経新聞編集委員)

渡辺照明(産経新聞写真報道局長)


▼鎌倉の魅力を凝縮 中世から近代を経て現在に至るまで、鎌倉の町を歩いていると、長い時間の蓄積があちらこちらに顔をのぞかせる。横浜に住みながら週末になると写真を撮りに鎌倉を訪れる渡辺照明と鎌倉在住の宮田一雄の二人がSANKEI EXPRESS紙で続けている連載は、あれが面白い、ここに行ってみようと町中を歩き回っているうちに4年が過ぎてしまった。振り返ってみればこの間、最も精力的に仕事をしたのは週末だったようにも思う。その鎌倉の魅力を凝縮した一冊です。


新人物往来社 / 2、520円 / ISBN 4404041543

■世界が日本のことを考えている 3・11後の文明を問う──17賢人のメッセージ 共同通信社取材班

杉田弘毅(共同通信編集委員)

 
▼地球を揺さぶった大震災 共同通信の記者たちが世界を歩いて問い続けた「東日本大震災は人類にどんな意味を持つのか」のインタビュー17編を書籍にしました。アントニオ・ネグリ、フランシス・フクヤマ、ベネディクト・アンダーソン、バルガス・リョサ、レベッカ・ソルニット、アピチャッポン・ウィーラセタクン、鄭浩承など、時代と向き合う賢人たちの言葉はいずれも刺激的で意表を突き、震災は日本だけでなく地球を激しく揺さぶったことを実感させます。


太郎次郎社エディタス / 2、100円 / ISBN 4811807545

■メディアとジャーナリズムーこれから学ぶ人のために

山本泰夫(産経新聞出身)

 

 

わかりやすく、コンパクトな入門書 大学でメディア論やジャーナリズム論を教えているが、意外にわかりやすい教科書がないことに気がついた。メディアを論じた本はたくさんあるが、これから学ぼうという若者にとっては、現状批判ばかりで難し過ぎる。それでは自分で書こうと、2年がかりで新聞、テレビ、出版などメディアの歴史や課題を分かりやすく、コンパクトにまとめてみた。後半では調査報道などについても触れた。教科書、入門書として最適、とPRさせていただこう。


産経新聞出版 / 1、785円 / ISBN 4863060890

■大村智 2億人を病魔から守った化学者

馬場錬成(読売新聞出身)

異色の化学者の実像を記録  夜間高校の教師から研究者に転じ、世界トップの化学者になった大村智博士の実録伝記である。静岡県の土壌から見つけた細菌産出の化学物質が、盲目になるオンコセルカ症から守る抗寄生虫薬となり、熱帯地方の2億人の人々を毎年守っている。書いた論文約1000報のほとんどは英文。国内より海外でよく知られており、ノーベル賞に最も近い一人である。美術品にも造詣が深く、女子美術大学理事長も務める異色の化学者の実像を記録したものだ。


中央公論新社 / 2、205円 / ISBN 4120043266

■さかな記者が見た大震災 石巻讃歌

高成田享(朝日新聞出身)


奮闘と復興の展望
 東日本大震災の直前まで石巻支局長をしていたこともあり、震災後の復興に向けた石巻の人々の奮闘ぶりを伝えようと思いました。政府の復興構想会議の委員になったり、震災孤児・遺児基金を立ち上げたり、自分自身も復興にかかわってきたので、あわせてその体験も書きました。震災から1年、復興の足取りは重いのですが、何が問題なのか、何に力を入れるべきなのか、復興の焦点や展望も記したつもりです。


講談社 / 1、500円 / ISBN 406217359X

■あぜみち逍遥─都を離れて世相を観る

横島庄治(NHK出身)
上州高崎からの発信 放送現場を定年で離れ、上州高崎の在に居を移してから15年。スタジオから不特定多数の人々に語りかけ、地方大学で学生と語り合い、最後にNPOで実社会と渡り合うという変化の中で視点が変わり、別の視界が開けてきました。


その折々に書き留めた中から最近のものを中心に68篇をつまみ上げ、7章にくくり直して出版しました。ほとんど手作り本ですが、俳画を能くする友人の表紙と挿絵で味が加わり、ふんわりとした風合いに仕上ったつもりです。


NPO法人環境システム研究会 / 1,890円

■ジャーナリストの現場─もの書きをめざす人へ

岩垂 弘(朝日新聞出身)


現場からの報告 初任地赴任から定年退職までの37年間にわたる記者生活での経験を書きました。入社早々、先輩記者から「新聞記者は現場にこだわれ」とたたきこまれましたから、在任中はできるだけ現場取材を心がけました。いわば、記者としてニュースの現場で何を見、何を考え、どう感じたかの報告です。ですから、タイトルも『ジャーナリストの現場』としました。とくに若い記者諸君に読んでいただけたら幸甚です。


同時代社 / 2,940 / ISBN 4886837069

■周防人月性 謹んで申す─維新回天へ錫を飛ばす

秋田 博(読売新聞出身)


2人の勤王僧 安政ノ大獄の年、2人の勤王僧・月性と月照が死去しました。月照は西郷隆盛と錦江湾で入水死しドラマ等で有名です。もう一人の月性は「男児・立志」の詩僧として知られますが、二人を混同する例も多く、月性の姿が見えません。維新回天の魁は、月性でした。西欧列強の侵出を「神州陸沈」の危機と先覚し、長州毛利藩を勤王・倒幕に先駆させたのです。一読くだされば幸いです。 (自費出版)


■攻めの保護農政―直接支払で「TPPに負けない日本農業」

村田 泰夫(朝日新聞出身)

*TPPと国内農業の両立策* 環太平洋経済連携協定(TPP)反対運動が農協を中心に高まっている。関税が撤廃されれば農産物価格が下がって、農家の所得が減るからである。だが、TPP反対の先に日本農業再生の展望が開けるわけではない。市場は開放するが、国内農業も守る「両立策」はないものか。実はある。米国やEUの農政が採用している「直接支払制度」である。農産物価格は下げるが、農家の所得は財政で補填し再生産を維持する。一方、価格引き下げで国際競争力がつき輸出も可能となる。関税引き下げは「攻めの農政」でもある。


農林統計協会 / 1、575円 / ISBN 4541037777

■戦後日米交渉を担った男 外交官・東郷文彦の生涯

伊奈 久喜 日本経済新聞特別編集委員


*圧倒的存在感の外交官* 日米安保条約改定と沖縄返還のふたつの交渉に外務省の担当課長、局長としてかかわった東郷文彦氏は、多くの記録を書き残しました。「密約」をめぐる調査で機密解除された膨大な外交文書に目を通すと、東郷茂徳元外相の女婿でもある、この外交官の圧倒的存在感に気づきます。記録を読み、ともに仕事をした人々や当時の記者たちの話を聞いて、彼の生涯の再現を試みました。岸、佐藤時代に懐かしさを感じるという読後感を寄せてくださった方がいます。


中央公論新社 / 1、995円 / ISBN 4120042863

■ジャーナリズムの行方

山田健太(日本新聞協会出身)

「伝統メディア」の存在意義を問う 新聞・放送・出版等の伝統メディアに期待されてきたジャーナリズム性とは何か。ジャーナリズムを取り巻く法・社会制度を議論の基本に据えつつ、編集(ジャーナリズム論)と経営(メディア産業論)の双方の立場から、あるべき姿を現在進行形のさまざまな個別事案を通じて検証する。序章では、世界でもユニークな「マスメディア」社会である日本の状況を説き、終章では、グーグル的世界を前にデジタルがもたらす知の公共空間の今後を問う。


三省堂 / 2310円 / ISBN 4385365377

■ゴーンさんが学んだ日本的経営

長谷川洋三(日本経済新聞出身)

日産改革の徹底検証 ゴーン本というより日本的経営を改めて考える本である。筆者は日経時代から自動車業界を中心に長年企業取材をしており、ゴーンの着任直後から12年にわたって密着取材をしてきた。そのインタビュー記録や関係者の証言を丹念に積み上げ、ゴーンが学んだ日本の経営の強みと日本が学ぶべき経営の課題を浮き彫りにした。トヨタ自動車の大量リコール問題の教訓なども織り込みながらトヨタとの企業文化の違いなどにも踏み込んでおり、日本企業を支えてきた「家の文化」のこれからのあり方を考えるうえでも面白く読める。


日経ビジネス人文庫 / 750円 / ISBN 4532196043

■国が共犯! 日中米4大謀略事件+3・11

壱岐一郎(九州朝日放送出身)

元テレビ記者が国家犯罪を追う テレビの側から新聞の人にぜひ言っておきたいというのが本音。満州事変の年に生まれ、東京で真珠湾攻撃を知り、松川列車転覆の前後に金沢から仙台に遊学、控訴審にかかわる。


福岡でケネディ暗殺を疑い、9・11前年に沖縄からダラスを訪問、現場に立つ。9・11では先輩の令息が犠牲に。「同時多発テロ」はアラブ青年だけの犯行か、3大事件と対比、疑い続ける。


かもがわ出版  / 1890円 / ISBN 4903882381

■最後の民権政治家 立川雲平

田川 五郎(読売新聞出身)


埋もれた手記を発掘 最近、親類の家で自由民権運動に取り組んだ人の手記を発見しました。読んでみると、波乱に満ちた生涯だけでなく、希望に溢れた明治といふ時代が生き生きと描かれてゐるのに驚嘆しました。遠い昔の親族に、かういふ人がゐたことをはじめて知り、その評伝を書く気になつたのです。


四百部ほど刷り、関係者に配布したところ、意外に反響があつたので、意を強くしてクラブの書棚に置かせていただいた次第です。少々残部がありますので、ご希望があれば贈呈いたします。

(非売品)


■東電帝国 その失敗の本質

志村嘉一郎(朝日新聞出身)


東電の仮面をはぐ 東日本大震災で、東京電力福島第一原子力発電所が破壊された。8万人もの住民が追い出され、巻き散らされた放射性物質による被害は、とどまるところを知らない。東京電力は、想定外の事故として、補償金の大半を税金と電気料金値上げでまかなおうとしている。38年前に電力担当になり原発安全神話を信じ込まされてきた筆者は、大震災後の東電の経営者の対応が、あまりにも驕りに満ちたものであると感じた。「東電の仮面をはがねば」と思ったのが、この本を書く動機だった。


文春新書 / 798円 / ISBN 416660810X

■絵筆のナショナリズム フジタと大観の〈戦争〉

柴崎 信三(日本経済新聞出身)

美術をめぐる歴史の神話作用 日本画壇の巨匠とされる藤田嗣治と横山大観が戦時中、「彩管報国」と呼ばれる戦争プロパガンダ美術の指導的立場にあったことは、これまでも知られてきたことですが、戦後の二人が祖国での「追放」と「復活」という、対照的な道を歩んだ背景を国民の美意識と社会のかかわりのなかで考えてみたものです。

虚心に作品と向き合うことから美術をめぐる歴史の神話作用の一端を浮き彫りにする、という意図を読みとっていただければ幸いです。


幻戯書房 / 2、940円 / ISBN 4901998765

■ロシア革命で活躍したユダヤ人たち-帝政転覆の主役を演じた背景を探る 

中澤孝之(時事通信社出身)

革命100周年を念頭に執筆 6年後のロシア革命100周年を念頭に執筆した。この世紀の革命は「ユダヤ人の革命だった」ことを、トロツキーら有名無名のユダヤ人革命家一人ひとりの生涯を調べたうえで、立証した。取り上げた「非ユダヤ的ユダヤ人」は約500人。彼らが革命運動に走った動機、19世紀5人のツァーリのユダヤ人政策、最後の皇帝ニコライ2世一家の虐殺犯はユダヤ人一味、ラスプーチンのユダヤ人秘書の暗躍、秘密警察のユダヤ人革命家たちの苛酷な運命など。興味あるエピソードを盛り込んだ読み物に仕上げた。


角川学芸出版 / 4、725円 / ISBN 4046537515

■国家と政治-危機の時代の指導者像

田勢康弘 日本経済新聞客員コラムニスト
 

この国のすべてが変わるために かなり前から出版の話があったが、どうも最後の筆が進まなかった。何か大変なことが起こるのではないか、という漠然としたいやな予感があった。あっこれだ、と大震災で思った。被災地へ行き、同時にこの国の危機管理、原発政策等を徹底的に取材し、結局、本の3分の1を新たに書いた。この国のすべてが変わるために、この機会を活かさなければ、という思いを込めたつもりである。


NHK出版新書349 / 819円 / ISBN 4140883499

■ウィリアム王子とケイト・ミドルトン

渡辺みどり(日本テレビ出身)

新プリンセスに注目 ダイアナ妃の忘れ形見、ウィリアム王子の結婚相手は、学友ケイト・ミドルトン。王子はケイトを含めた4人でのルームシェアを提案・実行した。9年の交際を実らせてのゴールイン。


新プリンセス、ケイト妃はどんな女性か。婚約指輪は亡き母の形見だ。6月には初の海外公務、カナダ公式訪問が待つ。王家継続の努力を続ける世界一の旧家英王室にとって、ケイト妃は初の大学卒の嫁だ。来年は女王陛下の在位60年、ロンドン五輪とお祝い事が続く。ご一読をお勧めしたい。


新人物往来社文庫 / 700円 / ISBN 4404040008

■ジャーナリズムに生きて─ジグザグの自分史85年

原 寿雄(共同通信出身)


自己流ジャーナリズム哲学 大正デモクラシーの末期、小作農家に生まれた私の昭和前史は、軍国主義一筋だった。戦後は自由を求めて記者への道を選び、「すべてを疑え」「いい答えはいい質問から」をモットーに、ジャーナリズムのあり方を模索し続けた。本書はそんな自分史の苦い記録である。


警察の謀略による菅生冤罪事件の教訓、「デスク日記1~5」の狙いや新聞・放送の第三者委の問題点を指摘、最後に自己流のジャーナリズム哲学21カ条をまとめてみた。


岩波現代文庫 / 966円 / ISBN 4006032129

■気骨の人 城山三郎

植村 鞆音(テレビ東京出身)


少年のような無垢な人柄を 晩年親しくしていただいた城山三郎さんの評伝を書き終えた。7年前サラリーマンを辞めて著述業を目指したが、著作はこれが4作目である。第1作が伯父の評伝『直木三十五伝』、第2作が父の評伝『歴史の教師 植村清二』、第3作が老人と若いOLの恋を描いた小説『夏の岬』。


量の点からいってやや不満足だが力量不足なので仕方がない。文学の素養の乏しい私は、この評伝では、城山さんの文学は思いきり切り捨て、人物を掘りさげることを心がけた。あの少年のような無垢な人柄が描けていればいいのだが。


扶桑社 / 1、890円 / ISBN 4594063969

■政権交代狂騒曲

浅川 博忠 (山形新聞客員論説委員)


漂流の5年間を問う! 小泉純一郎が退いて5年。自民党から民主党への歴史的政権交代は実現したが、それは日本漂流の時代の始まりでもあった。安倍、福田、麻生、鳩山、そして菅…。彼らと小沢が何を語り、どう行動したかを徹底再検証。未曾有の国難に襲われた今、有権者としての必須の記憶と知識を1冊に! 


講談社文庫 / 710円 / ISBN 4062769794

■店員さんの英会話ハンドブック

原島 一男 (NHK出身)

シンプルで役立つ表現集 日本を訪問する外国人の数は、この10年で倍増して900万人近く。そうした中で、日本語のできない外国人との接点となる店員さんが「きちんとした英語」で対応してほしい。江戸の3大美味は寿司、天ぷら、そば、でしたが、今は世界の人々が興味を持つ食べ物です。ラーメン、牛丼、洋食も人気の的。それに、ハイテク製品、化粧品、スーパー、美容室、旅館、病院などで、人々の出会いから別れまでのシンプルで役に立つ表現を集めました。


ベレ出版 / 1、680円 / ISBN 4860642848

■日露戦争の裏側 “第二の開国”─日本列島に上陸したロシア軍捕虜七万人

大熊 秀治(東京新聞出身)

露捕虜たちとの出会いと交流 7万2000のロシア将兵が日本列島に上陸、全国29カ所に滞在した──日露戦争時の捕虜たちだ。その大量の外国人の出現に驚き、戸惑いながらも、受け入れ対応していった明治の庶民たち。彼らにとっては“第二の開国”であったろう。その両者の出会いと交流の跡を追った。この後の時代、傲慢になり、無謀な戦争にのめり込んでいった日本。捕虜虐待のとがでも多くの戦犯を出した。一時とはいえ、人道主義の花を咲かせたことは記憶されていい。


彩流社 / 2、310円 / ISBN 477911604X

■紅茶が動かした世界の話

千野 境子

産経新聞特別記者

近代化の隠し味 古くは英蘭戦争から現代のティーパーティー(茶会)運動まで。日々、何気なく飲んでいる紅茶にこれほど逸話や物語があったとは目からウロコでした。


日本でも明治の殖産興業の一翼を担い、いま再び国産紅茶ブームとか。ジュニア向けに書きましたが、シニアの教養書としても楽しめると大先輩に褒められ、気を良くしています。


国土社  / 1、365円 / ISBN 4337187537

■明石元二郎大佐 日露インテリジェンス戦争を制した天才情報参謀

前坂 俊之(毎日新聞出身)

明治、昭和のリーダーシップとは 日露戦争で明石元二郎がヨーロッパを股にかけてロシア革命家たちを支援、武器提供して後方撹乱した破壊工作はよく知られている。日露戦争はなぜ起きたのか、どう戦ったのかを明らかにすると同時に、明石の極秘報告書『落花流水』を初めて現代訳で紹介し、陸軍参謀本部のインテリジェンス工作の全容を解明した。いま、日本の外交敗戦が続く中で、明治、昭和のリーダーたちのリーダーシップを知るには格好のテキストである。


新人物往来社 / 1、680円 / ISBN 4404039646

■松川事件六〇年の語り部

堀越 作治(朝日新聞出身)

歴史の真実に迫る 戦後国鉄の3大事件(「下山」「三鷹」「松川」)から60年もたったのに、真相はなお謎に包まれたままだ。米軍占領下で起こされた「冤罪事件」「権力犯罪」と推定されるだけで、決定的な証拠がない。そういう困難を承知のうえで、歴史の真実に迫ろうと努める人たちがいる。少なくとも「三鷹・松川事件」については、米ソ冷戦が激化する中で日本の左翼労働運動を徹底的に弾圧しようという権力の意図が働いたことが、多くの状況証拠から立証できるという。それを紹介する。


東京図書出版会 / 1、260円 / ISBN 4862234909

■人生は自燃力だ!! 私の日本経済新聞社生活37年

坪田 知己(日本経済新聞出身)
自分らしい仕事の世界作り 「社長のために仕事をするな!」が最初のタイトルでした。ヒラメになりがちな社員が、どうすれば自分らしい仕事の世界を作れるか、それを「自燃力」と名付けて、ノウハウを公開しました。「ジャーナリストの仕事の価値は歴史が決める」と考えて、上役にも譲らなかった。アナログとデジタルの境目の時代だからこそ、創造的な仕事を次々にやれた。多くのサラリーマンに「元気」をプレゼントしたいと思って書いた本です。


講談社 / 1、575円 / ISBN 4062950618

■万年筆国産化一〇〇年―セーラー万年筆とその仲間たち

桐山 勝(日本経済新聞出身)

筆記具が持つぬくもり 直してもらったお礼に手作りのおはぎを届けたおばあちゃん。野球の万年補欠の坊やに敢闘賞として贈った両親。万年筆という筆記具が持つぬくもり、味わいを感じながら書いた。世界の文化史や政治史に重ねるもよし、ものづくりの視点から科学史や匠たちの物語に耳を傾けていただくもよし、である。マニアック本とは一味違い、本書は入門書、趣味本あるいはビジネス本とそれぞれの立場から楽しく読んでいただけるよう心がけた。


三五館 / 1、680 / ISBN 4883205274

■唐家(セン)外交回顧録 勁雨煦風

加藤 千洋(朝日新聞出身)

対日外交に多くの紙幅を 国際社会における中国の存在感が増した1998年から10年間、外相、国務委員として中国外交のかじ取り役だった唐家セン氏の外交回顧録だ。


突発事件で危機に陥った対米関係やロシアとの国境交渉を語り、小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題で揺れ動いた2000年代初めの時期の日中関係の内幕なども明かしている。中国きっての知日派だけに対日外交に多くの紙幅を割いている。とかく不透明な中国政府の政策決定プロセスを知る上でも興味深い資料といえる。


岩波書店 / 4、410円 / ISBN 4000227807

■メディアの地域貢献 「公共性」実現に向けて

森 治郎(朝日新聞出身)
メディアの「新しい公共性」を提言 筆者が座長を務めている早稲田大学メディア文化研究所「地域とメディア研究会」の調査、研究、討議の成果を軸に16人が分担執筆した。冒頭章で、ともすれば「言論報道」の側面でのみ考えられてきた「メディアの公共性」が実は営業、事業、総務部門など全組織、全機能を挙げて実現されるべきものであることを明らかにし、続く各章で各メディア分野での公共性意識と地域貢献の現状を点検、全国の先駆的な実例を紹介しながら地域貢献実現の手法を提言している。メディアの「新しい公共性」の発見と実践のススメである。


一藝社 / 1、995円 / ISBN 4863590253

■実録 龍馬討殺 京都見廻組今井信郎士魂録

長谷川 創一(テレビ朝日・広島ホームテレビ出身)

龍馬と闘った幕臣の実像を追う 龍馬討殺は近年、京都見廻組が公務として実行した事件として認識され、実行者・今井信郎の名も定着してきている。混迷の時代に興味を覚え信郞の生涯と事件の真相を尋ねる旅に出た。今井家に残された古日記の追跡調査から明治25年の横浜毎日新聞に信郎が匿名で手配犯を追った事件の詳細を報告している事実を発掘した。後半生を基督教徒、農業指導者として生きた幕臣と龍馬の対決は瞬時の出会いに過ぎないが、激動の時代と信郎の実像を知る上で事件の解明は欠くことのできないパズルの一片になる。


静新新書 / 1、200円 / ISBN 4783803633

■記者クラブ 情報カルテル

橋場 義之訳(毎日新聞出身)

記者クラブの歴史と社会システム 米カリフォルニア大准教授による本格的な研究書で、原題は「Closing the Shop」。民主党による政権交代を機に再び噴き出したクラブ批判だが、歴史や実態、本音とかけ離れた議論がまかり通る。肝心の日本でクラブ問題を正面から取り上げた研究書がなかっただけに、役に立つ一冊となるはずだ。ここ10年余りのクラブ問題をめぐる具体的な動きを訳者が解題として加えている。


緑風出版 / 3、150円 / ISBN 4846110184

■「門司港」発展と栄光の軌跡 夢を追った人・街・港

羽原 清雅(朝日新聞出身)

歴史の突端にあった興亡の地を追う 小倉・博多在勤9年、この門司に2回住むうち、気になったのは80年前に建った旧料亭三宜楼。木造3階で老朽化したが、なお外観は往年の色香をとどめている。この保存運動にごく少し関わったことから、書き出すことになった。本土や植民地渡航の要衝、出炭地、再三の戦争などの歴史を踏まえ、そこに一攫千金を夢見て集い、その遊興を支える人たちの跡をたどった。そしていま、レトロ再生を狙う。関門海峡はいいところ。ぜひこの本を持ってお出かけください。


書肆侃侃房 / 2、100円 / ISBN 4863850433

■アジアの潮流と中国 半世紀の変動から見えるもの

田所 竹彦(朝日新聞出身)

体験的アジア論 外国特派員をした経験などをもとに、「体験的アジア論」式のものを書いてみた。出来栄えのほどは、本人にはよく分からない。

個人の予測や経験は、もとより実際の動きとは別物である。ベトナム戦争も、中国の文化大革命も、結果は予想とは異なった点が少なくなかった。こうして見ると、歴史とは存外移り気なものだが、脇道にそれるようで実は本道を進んでいることもある。禍福はあざなえる縄の如し、とはうまいことを言ったものだ。


里文出版 / 1、575円 / ISBN 4898063659

■監査法人を叱る男─トーマツ創業者・富田岩芳の経営思想

早房 長治(朝日新聞出身)
日本初の国際監査法人を創った男 日本企業の会計報告書と監査報告書の透明度は欧米先進国に比べて低い。企業経営者が真実の提示を嫌い、監査法人が独立性を欠いているからだ。このような状況に生涯をかけて闘ってきたのがトーマツの創業者・富田岩芳である。粉飾決算の撲滅に貢献しただけではない。トーマツを国際的な監査法人に育て上げ、欧米主導の巨大会計事務所グループが支配する世界に「デロイト・トーシュ・トーマツ」と、唯一、日本人の名を刻んだ。


プレジデント社 / 1、680円 / ISBN 4833491222

■報道再生 グーグルとメディア崩壊

河内 孝(毎日新聞出身)

新時代の報道スタイルを探る 2010年は電子書籍元年といわれた。しかし、それはインターネットをベースにしたデジタル情報化時代の現象のひとつにすぎない。より深刻な問題は、この産業革命によって引き起こされるアナログ情報生産システムの崩壊(新聞印刷、流通過程など)と価格破壊がジャーナリズムの世界に何をもたらすのか、である。

米のジャーナリスト、研究者の中には、新聞やネットワークテレビがなくなっても、ジャーナリズムが死ぬことはない、と考える人が少なくない。しかし既存の新聞社やテレビ局が経営困難に陥り、彼らが担ってきた調査報道や、スクープのための人員や経費がさけなくなったら、誰が、どのようにその空隙を埋めてゆくのだろう。

金平茂紀・TBSテレビ「報道特集」キャスターとの共著。


角川oneテーマ21 / 760円 / ISBN 4047102679

■消防官になるには

菅原 順臣 (産経新聞出身)

ファイヤーマンの世界をのぞく 厳しい就職難が続いている。しかし、次代を担う青少年にはあくまでも目指す道というものを抱いてほしい。

例として「消防官」にスポットを当てた。火災の消火、救急搬送、防火指導、原因調査…。すべては市民の財産や生命を守る崇高な任務である。

そのための心身の鍛錬、専門知識の習得に賭ける努力は並大抵ではない。「人のために役立ちたかった」。第一線で活躍するプロたちの就職動機は極めて明快だった。


ぺりかん社 / 1、260円 / ISBN 4831507547

■現代ロシアを見る眼

山内 聡彦(NHK解説主幹)
プーチン10年の総合的な分析 メドベージェフ大統領の北方領土訪問をきっかけに日ロ関係が風雲急を告げる中、ロシアで何が起きているのか再び関心が高まっている。本書は「プーチンの10年」をキーワードに現代ロシアを読み解こうとする試みである。KGB出身の無名のプーチンが連邦崩壊後、混乱を極めたロシアをいかにして立て直したのか、そしてその功罪をどう見るのか。本書は新生ロシアの方向性を決定づけたプーチンの10年の総合的な分析に挑むものである。木村汎、袴田茂樹両氏との共著。


NHK出版 / 1、260円 / ISBN 414091162X

■朝鮮半島201Z年

鈴置 高史(日本経済新聞編集委員)
不気味なアジアの近未来を小説で メディアはニュースが発生した後に「なぜ、起きたか」を説明する。だが、それではもう間に合わない。物事の展開が速くなり、解説を読んでもらった時には「手遅れ」だからだ。
そこで「近未来」をフィクションの形式で書き「そんなことが起こりうる」現在の危うい構造を説明した。
書き終わった瞬間に尖閣と延坪島の事件が起きた。中国が韓国の社債を大量に買っていることが判明した。我ながら不気味な物語になった。


日本経済新聞出版社 / 1、995円 / ISBN 4532167698

■法とジャーナリズム 第2版 

山田 健太(日本新聞協会出身)
日本の表現の自由のあり方 2004年の初版の全面的な改訂版。有事法制、裁判員裁判、憲法改正手続き、通信と放送にかかわる法制度などのほか、新たな法と40を超える条文改正を含み、表現にかかわる領域をカバーした。右ページには法条文や判例のほか、詳細解説を配し、報道の一線においても教育現場においてもハンドブックとして活用いただける。民主党に政権が変わっても、相変わらず表現の自由への「脅威」は続いている。日本の表現の自由はどのような形がありうるのか、考える一冊でもある。


学陽書房 / 3、150円 / ISBN 4313340203

■特務機関長 許斐氏利─風淅瀝として流水寒し 

牧 久(日本経済新聞出身)
昭和の“怪物”に辿りついて 北一輝のボディガードを務め、戦時下の上海・ハノイで100人の特務機関員を率いて地下活動に携わる。戦後は銀座で一大歓楽郷「東京温泉」を開業、クレー射撃でオリンピックにも出場した昭和の“怪物”がいま歴史の闇から浮上する(本の帯から)。前著『サイゴンの火焔樹』で書いたベトナム残留日本兵を追ったらこの男に辿りついた。東条英機が絞首刑にならなかったらこの男、終生、彼の暗殺を狙い続けたのではないか。


ウエッジ / 1、890円 / ISBN 4863100752

■ソニー、パナソニックが束になってもかなわない サムスンの最強マネジメント

(申元東著) 前坂 俊之監修(毎日新聞出身)
世界最強のカギは人材開発 今世界で最も注目されている企業のサムスン。その世界最強の秘密は人材開発にある。サムスン人事部で18年間働き人事部長まで務めた著者・申元東がそのグローバリズムに最適化された人事マネジメントを公開したのが本書だ。サムスンだけではなく、他の企業、政治、スポーツ、文化の面でも韓国の躍進は日本を凌駕しつつある。本書を読めば、韓国のグローバル時代の勝利の方程式を学ぶことができる。


徳間書店 / 1、680円 / ISBN 4198630038

■サツマイモと日本人──忘れられた食の足跡 

伊藤 章治(中日新聞出身)
進化しつづける「未来食」 3年ほど前、『ジャガイモの世界史』(中公新書)を書いたがそのとき、「日本の場合、ジャガイモだけでは〝貧者のパン〟の物語は語れない。サツマイモと併せて初めて、食の民衆史となる」と痛感した。そんなわけで、「二番煎じ」の批判を覚悟で本書を書いた。サツマイモが飢饉や戦乱の時、民衆を救ったのは周知の事実だが、いまやこのイモは宇宙食のエースだという。限りない進化を続ける「未来の食」でもある、と実感した。


PHP新書 / 798円 / ISBN 4569791921

■白球の絆─稲門倶楽部の100年

生原 伸久 (産経新聞出身)
早稲田精神を繋いだOB達の生涯 早稲田大学野球部には正史として『野球部百年史』があるが、本書は早大野球部の歴史を繋ぎ、支えたOBたちの生涯を人間ドラマとして描いた。「伝説の名選手列伝」のほか、大正3年ごろ米国プロ野球でプレーした日本初のプロ野球選手・三神吾朗の〝証拠写真〟や特捜検事、国際線パイロットなど、各界で活躍するユニークなOBも紹介している。


早稲田大学野球部稲門倶楽部発行 / 非売品/希望者には送料込み2000円で郵送。

■「真面目に 強く 上品に」 反骨校長 吉川昇の日記 

秋山 哲(毎日新聞出身)
祖父の教育姿勢と反骨精神 関西で進学校として知られる私立・高槻高校・中学校(大阪府高槻市)が今年創立70周年を迎えた。初代校長として20年間つとめた吉川昇は私の母方祖父で、1日も欠かさずにつけていた日記を解読、復刻し、読み物に仕立てた。開校と同時に太平洋戦争に巻き込まれ、戦後の教育改革にも苦闘する彼は、書名になっている教育モットーを掲げ、戦中・戦後を通じてぶれることのない教育者だった。その教育姿勢と反骨精神が浮かび上がる。


発行 「吉川日記」刊行委員会(電話072─671─0001 高槻高校内) / 頒価1、900円

■イランはこれからどうなるのか 「イスラム大国」の真実

春日 孝之 毎日新聞前テヘラン特派員
イランと中東を読み解く イランは国家レベルでは反米・反イスラエル・パレスチナ支持だが、国民は米国にもイスラエルにもユダヤ人にも悪感情を持っていない。むしろアラブ人(パレスチナ人を含む)への差別意識が極めて強い。本書は、イランの民族性に着目し、サブカルチャーの状況にも力点を置いたルポ的要素を交え、核開発問題や対米関係、イスラム体制の行方に至るまでを分析した。


新潮新書 / 777円 / ISBN 4106103842

■アジアから時代を読む─北聞南望・百稿─ 

高木 暢之 (毎日新聞出身)
アジアの変化を見通すカギに アジアは今日、世界で存在感を強めていると同時に、混沌たる状況にある。中国の経済興隆と軍事力強化、そして北朝鮮の「核」を軸にした北東アジアにおける日本、米国、中国の駆け引き、さらにアフガニスタン戦争の先行き不透明などだ。この本は、海外の邦字紙に2005年後半から09年末まで連載した地域の時事小論文をまとめた。アジアの急激な変化は、10年後、20年後の日本の立場、そして国民生活さえも変えるだろう。多少でもそれを見通すカギを本書が秘めているならば幸いだ。


露満堂 / 1、260円 / ISBN 4434147714

■素顔の首相と大物政治家~戦後篇

清宮 龍 (時事通信出身)
戦後政治史彩る42人の政治家たち 吉田首相の番記者を振り出しに時事通信政治記者として、政治評論家として、直接取材した政治家たちを描いたのが本書。
登場するのは小泉純一郎氏までの自民党出身者に吉田茂氏を加えた歴代首相と日本の戦後政治史を彩った大物政治家計42人。病に倒れる直前まで財政再建について語っていた小渕恵三氏らの姿は、今の政治家に欠けているものを考えさせられる。


善本社 / 1、400円 / ISBN 4793904548

■Basic公共政策学第10巻『政策形成』 

小池 洋次編著  (日本経済新聞出身)
実務家による入門書 各分野の実務に通じた専門家による初の本格的な政策形成論。数々のエピソードが盛り込まれており、読者は政策に関する実務をより具体的に理解することになろう。このシリーズの多くが理論や手法を解説しているのに対し、本書は現場からの視点を堅持しているのが特徴だ。政策形成に関わろうとする人々だけでなく、政策から多大な影響を受ける多くの市民に読んでいただきたい。大学のテキストにも最適の書であると確信している。


ミネルヴァ書房 / 3、675円 / ISBN 4623056597

■新世界 国々の興亡 

船橋 洋一  朝日新聞社主筆
新世界の動態と力学を解析 世界は、第一次大戦後、第二次大戦後、冷戦後のいずれをも上回る国際政治の大地殻変動期に突入している。中国とインドの台頭は、こうした「新世界」幕開けの序幕にすぎない。新たなパワーゲーム「国々の興亡」が始まっている。その動態と力学を解析すべく、世界の戦略知性11人の胸を借りた。この挑戦の下、日本は、バランス力、グリーン力、財政力、開かれたネットワーク力、グローバル人材力の構築が不可欠であると論じた。


朝日新書 / 819円 / ISBN 4022733586

■二・二六事件とは何だったのか

前坂俊之 (毎日新聞出身)
70年経った今でも、日付をもって呼ぶ以外に名づけられていない昭和11年の「2・26事件」。国内外のメディアの報道と、同時代人の受け取り方を総合的に検証したもの。私の担当は朝、毎、読、時事などの日本の新聞の報道、雑誌の特集などの分析で約50頁。同事件が言論の自由に完全にトドメをさした経緯を明らかにした。世界のメディアの報道ぶりも各国10紙を紹介しており興味深い。昭和史研究の必読書。


藤原書店 / 3150円 / ISBN 4894345552

■角栄伝説 番記者が見た光と影

増山栄太郎(時事通信出身)
星の数ほどある田中角栄モノにこれ以上付け加える必要があるのか、と著者の私は思った。だが、田中氏に会ったこともない人が、あたかも見てきたようなことを書く。その上で「巨悪」とか「偉人」とかの評価を下す。そんな田中論に番記者の私は違和感を感じていた。その上、番記者仲間たちのなかに鬼籍に入る人もでてきた。「私自身がやらなければ」そんな思いで筆を執ったのが本書だ。


出窓社 / 1680円 / ISBN 4931178553

■シアトル日刊邦字紙の100年 

有馬純達(朝日新聞出身)
1902年、米西海岸のシアトルで在留邦人向け日刊邦字紙『北米時事』が創刊された。日米開戦で廃刊、しかし戦後『北米報知』が後継紙として登場し、通算100年を超えた。この新聞にかかわった古きジャーナリストたち(わが祖父・父・叔父)のコラムなどを収録し、そのリベラルな論調を紹介するとともに、購読者であった在留邦人が戦前・戦中「排日」の嵐のなかを生き抜いた苦難を描いた。ささやかながら日米関係をめぐる現代史の一断面。


築地書館 / 2100円 / ISBN 4806713228

■グローバル通貨戦争 

山田伸二(NHK解説主幹)
昨年はプラザ合意からちょうど20年、プラザ合意は日本の経済や社会を大きく変えた歴史的な出来事でした。当時取材現場で立ち会った生き証人として、通貨問題を軸にこの20年間に日本と世界がいかに変わったか、私たちはいかに多くの問題を先送りしたかを検証しました。小著は経済について、国際金融についてどう考えたらよいか、私の試行錯誤の過程を振り返ったものでもあり、特に若い方々に読んでもらえればと願っています。


東洋経済新報社 / 1575円 / ISBN 4492681272

■ジハードとフィトナ イスラム精神の戦い

早良哲夫(訳)(NHK出身)
なぜテロが…それもイスラム世界を拠点にして……繰り返されるのか。その原因はイスラム世界に内蔵されている。著者(ジル・ケペル)は、ジハード(聖戦)がイスラムと非イスラムの対立であるのに対して、フィトナはイスラム世界の心臓部を揺るがす内部対立であり、これがイスラム世界の混迷を呼んでいると結論づけている。イスラムの心をめぐって、アメリカとは一味違うフランスの鋭い見方を紹介したいと願って翻訳した。


NTT出版社 / 3360円 / ISBN 4757141203

■「うたかたの恋」の真実─ハプスブルク皇太子心中事件

仲晃(共同通信出身)
ハプスブルク王朝史、とりわけ美人皇后エリーザベトの一代記の出版は、翻訳を中心に後を絶たないが、本書は王朝崩壊の出発点となった皇太子の死の真相に初めて焦点をしぼった。妻との冷え切った結婚生活に絶望して可憐な少女との「天国に結ぶ恋」を選んだという通説を、いわば調査報道の手法で次々と崩し、心中事件の真相はハムレット、ドンファン、ドンキホーテの三重性格を持つ皇太子が、自らの政治的無力と自堕落な生活に絶望したあげくの自裁と見る。


青灯社 / 2100円 / ISBN 486228003X

■メディアコントロール

前坂俊之(毎日新聞出身)
昨年は昭和戦後60年。歴史認識をめぐりメディア界は揺れたが、満州事変、日中戦争、太平洋戦争へ至る15年戦争からベトナム戦争、湾岸戦争、9・11テロ、イラク戦争までの日本のメディアの戦争報道の歴史をたどったのが本書である。アルジャジーラも現地取材し、その報道姿勢に心を打たれた。戦争報道はジャーナリズムのオリンピックといわれる。日本のメディアは健闘したのかどうか、その通信簿でもある。


旬報社 / 2415円 / ISBN 4845109441

■広告─ものと人間の文化史130

八巻俊雄(日本経済新聞出身)
フランスの広告クリエーター、ロベール・ゲランは「広告がなければ、われわれはまだ洞窟の中で暮らしているだろう」と書いている(原書はフランス人は広告が嫌い ”Les Franais n’aiment pas laPublicit”)広告は人に代わって媒体が情報を伝えるので、情報の伝達は無限に広く、また到達者当たりの費用が安くなった。本書は広告の発生から、今日の多様化した消費生活ができあがっていく過程をくわしく述べている。


法政大学出版局 / 2835円 / ISBN 4588213016

■世界のスターデザイナー43

堀江瑠璃子(朝日新聞出身)
昨年末刊行したこの本、年が明けてうれしいことに日経、週刊朝日、ブレーン、フジテレビなどで取り上げていただいた。そんな中で面映ゆいながら、私のお気に入りのレビューはネットの本屋アマゾンの「きうぴい」さんのもので、「日本最強のファッションジャーナリスト堀江瑠璃子さんによる彼女にしか綴れない裏話&トップデザイナー43人の紹介とインタビューがぎっしり。マークジェイコブスのようなノリノリのデザイナーの行き先明るそうな紹介、そして先行き不透明なジルサンダーの隠れたエピソードなど。分厚い本ですが、これだけ濃い内容がつまっているとお買い得……」。ファッションに疎い新聞社の調査部や資料室にも、ぜひ。


未来社 / 2940円 / ISBN 4624710894

■木鐸=平成の風に聴く= 

田中洋之助(毎日新聞出身)
私はこのたび、コラム集「木鐸」を出版した。目次を一目見ればわかる通り、過去10年にわたり国民の興味を集めた政治、経済、外交問題など硬派のテーマだけでなく、人物論、書評、映画評など、私がそのつど興味と関心をいだいた文化的問題にも触れ、これらを通じて、平成日本の風向きを占った本である。日本丸という船は一体どの方向に針路を向けて走っているのか。私が願うのは、再び針路を誤り、世界的に孤立するようなことは絶対繰り返さないことです。これはやさしいようで意外と難しいのではないかと思っています。


ライフ社 / 1995円 / ISBN 4897300533

■アカシアの町に生まれて 劉鴻運自伝

田所泉(訳)(日本新聞協会出身)
翻訳とはいえ、自筆原稿からの訳し下ろし、つまり初ものです。著者は現在76歳、大連の資産家の嫡子に生まれ、日本人の「国民学校」卒業まで同学年でただひとりの中国人男生徒であり、1948年から人民解放軍の一兵士として解放戦争に参加しました。除隊後は教師。「右派分子」とされて入獄9年、文革では一家で農村に「下郷」すること13年、と辛酸をなめました。一介の無名の市井人にすぎないのですが、革命戦争を生き延びた阿Qが語ればこうもあろうかとは、著者と同級生だった訳者の感想です。


風濤社 / 1890円 / ISBN 4892192759

■日本のコンテンツビジネス ネット時代にどう変わる 

猪熊建夫(毎日新聞出身)
アニメ、漫画、ゲームソフトだけではない。放送、新聞、出版、音楽、映画……と、コンテンツビジネスは幅広い。本書は、このインターネット・ブロードバンド時代に、多様なコンテンツビジネスがいかに変わっていくかを、論述しています。ただし、高速道路(ブロードバンド)ができても、そこを走る車(コンテンツ)がなければ、無用の長物になってしまうでしょう。「問題の本質はコンテンツにある」ことを、強調しています。


新風舎 / 1680円 / ISBN 4797483105

■あの戦争を伝えたい 東京新聞社会部編

菅沼堅吾(東京新聞社会部長)
東京新聞社会部が「戦後還暦」という節目の年に、通年で連載した企画「記憶 新聞記者が受け継ぐ戦争」を基に加筆し、再構成した。東京大空襲、原爆投下、中国・韓国への加害、戦時下の記者、シベリア抑留、BC級戦犯などをテーマに、無名の庶民、一人一人の身に起きた事実の記憶をもって、あの戦争の実相を伝えることが目的。「戦争を知らない世代」の17人の記者が、戦争体験者の記憶を心に刻む決意で取材した。命が軽くなっている今の日本社会のありよう、日本の針路について考えるきっかけを提供できれば、と願っている。


岩波書店 / 1680円 / ISBN 4000220330

■軍国少年”Fe”の日記 

堀越作治(朝日新聞出身)
あの戦争は自分にとって一体何であったのか─戦後60年を機に改めて自問した人も多かったに違いない。昭和一ケタの私もそうで、旧制中学一年以来の日記をもとに戦争体験をまとめた。天皇を現人神と仰ぎ、宮城遙拝、靖国参拝、軍事教練、勤労動員に励んだ軍国少年。空をつんざく爆弾の音に肝を潰し、焼夷弾の笠であわや真っ二つかということも。敗戦の夜は切腹まで思い詰めたが、やがて新憲法によって蘇生する。 知人の勧めで北九州市の「森鴎外記念自分史文学賞」に応募したら最終候補に残ったが、結局は次点に。


東京図書出版会 / 1365円 / ISBN 4862230695

■いまを読む名言 昭和天皇からホリエモンまで

轡田隆史(朝日新聞出身)
陸軍の愚鈍さと「闘う」昭和天皇の発言や、「ヤミ金融」東大生社長の自殺の遺書などにはじまる、ざっと90人の発言を集めて、拙い解説をつけた。7年前にハードカバーで出したものに、ホリエモンの
「人の心はお金で買える」など新発言を加えて文庫化した。 作為なしに選んだのに、半世紀の行動と発言が、深いところでつながり、繰り返されているのに驚く。


講談社文庫 / 620円 / ISBN 4062753707

■ユビキタス・コンテンツ ビジネスのすべて

前坂俊之(毎日新聞出身)
「ユビキタス」とはいつでも、誰とでも、どこからでも、どのような端末からでも、自由自在に情報のやりとりが可能になるネット世界をさす。パソコン、ケイタイ電話、ICチップの進化でインターネットの世界は今、「ユビキタス」に突入しており、日本は世界最先端のユビキタス社会が幕開けようとしている。その中でテレビ、映画、放送、ゲーム、通信業界など、コンテンツビジネス産業の問題点や未来図を「Q&A」方式で解説した。


PHP研究所 / 1575円 / ISBN 4569648290

■企業スキャンダルと監査法人 なぜ不祥事 は続発するのか

早房長治 (朝日新聞出身)
今日、大企業のトップは「コーポレートガバナンス(企業統治)こそ企業の命です」「内部統制システムづくりに全力を注ぎます」といった言葉を常に口にする。ところが、大企業のスキャンダルが続発している。昨年から今年にかけて、東京地検などが摘発した官製談合事件では、三菱重、新日鉄、石播などの日本の代表的企業までもが登場した。不祥事続発の原因はモラル低下、ルールなき規制緩和に加えて、マスコミの無力化がある。


彩流社 / 1890円 / ISBN 4779111714

■マリー・ルイーゼ─ナポレオンの皇妃からパルマ公国女王へ

塚本哲也 (毎日新聞出身)
脳出血に襲われ、右半身右手が麻痺、何とか左手でと、パソコンをいじっているうちに本になった。国を救うためにナポレオンの二番目の皇妃に売られたウィーンの皇女の話である。この時代は、戦争が20年も続き、皇女はじめ人々は苦労する。やっと平和がきてほっとしたものの、平和を維持するには問題も多く、やがて平和の功労者メッテルニヒ宰相は失脚し、激動が始まる。昭和平成の戦争と平和を思いながら、平和の舵取りは危機と紙一 重というのが教訓。


文藝春秋 / 2600円 / ISBN 4167574055

■ニッポン偉人奇行録 

前坂俊之 (毎日新聞出身)
伊藤博文、吉田茂、川端康成、南方熊楠、内田百閒…明治、大正、昭和の日本を作った各界の代表的偉人たち約50人の思わず噴出す面白いエピソードを満載した。 「偉人は天才、奇人、変人なり」との視点から、その栄光の裏に隠された人間味あふれる奇行、ジョークの数々を白日の下にさらした抱腹絶倒の人物記。コラムを執筆する記者にとってはニヤリ、ピリ辛の隠し味となるネタ本になること受け合いの1冊です。


ぶんか社 / 660円 / ISBN 4821150549

■自民党幹事長   

浅川博忠 (山形新聞客員論説委員)
平成8年に橋本首相で自民党が政権政党に復帰して以来、安倍新首相は5人目の首相となる。この中で幹事長ポストを経験していないのは小泉前首相のみ。やはりこのポストは最高位への登竜門なのだ。しかも安倍氏は祖父、実父と3代に及ぶ幹事長経験者。300億のカネと800のポストを握る強大な権力と職務。この椅子の変貌ぶりや辞任後の明暗。歴代幹事長の総てを本書で探るのはそのまま結党51年の自民党史にも通じよう。


講談社文庫 / 620円 / ISBN 406275388X

■針路を海にとれ 海洋国家日本のかたち

大山高明 (日本海事新聞社代表取締役社長)
「この国を駄目にしているのは大手メディアではないか」という一部の人がいる。時代のすう勢、時の指導者、見えざる手等々に責を帰する意見もある。「所詮国家はその国民のレベルにしかなれない」のが実態ではなかろうか。このままでは民族の自覚と誇りを失った日本になりかねない。縄文の祖先が持っていた日本海洋民のDNAと勇気を取り戻す時が来た。専門新聞の親父の静かな咆哮にも耳を傾けてもらいたい。


産経新聞出版 / 1470円 / ISBN 4902970686

■安倍政権の日本

星 浩 (朝日新聞編集委員)
戦後では最も若い52歳の首相が誕生した。自民党総裁選は、福田康夫氏の出馬断念で「消化試合」となり、盛り上がりを欠いた。それでも、安倍政権の誕生は、日本政治の一つの転換点となるだろう。憲法改正、アジア外交、構造改革はどうなるのか、そして小沢民主党との対決は……。政権発足の経過をたどるとともに、さまざまな政策課題の行方を占った。学者との対談も収録。朝日新聞が創刊した12冊の新書の一冊。


朝日新書 / 735円 / ISBN 4022731125

■写説 占領と単独講和

前坂俊之(毎日新聞出身)
占領中の昭和24年から、サンフランシスコ講和条約締結(26年)を経て29年まで計6年間の政治、国際状況、経済、社会などの出来事を写真と文章で記録したもの。ちょうど吉田茂首相の6年間の在任期間中で、いま問題となっている米国の押し付け憲法、朝鮮戦争、再軍備、日米安保条約など吉田が戦後日本のフレームを決める重大な決断をしたわけだが、その背景をしっかり解説した。ワンマン総理の歴史的評価を下す通信簿でもある。


ビジネス社 / 1785円 / ISBN 4828412999

■ウェルチの哲学「日本復活」  

長谷川洋三 (日本経済新聞出身)
経済記者として39年。企業を動かすのは人だという確信を得た。その一人が、米GE(ゼネラル・エレクトリック)会長のジャック・ウェルチだった。初めは近づくのが難しかった。日本の記者とのインタビューに興味を示さなかった。何度も手紙を出し、時には体当たり取材を試みた。ウェルチを知る有力者の推薦が糸口となって出会いのチャンスが生まれた。出た記事を見てウェルチが納得した。それから始まった約15年にわたる交流からできたのが本書である。 「ミスターハセガワがカーペットの下からでてくるのではないか」─。そんな冗談がウェルチの口から飛び出したことを聞いて、苦い時代を思い出した。


講談社+α文庫 / 820円 / ISBN 406281059X

■わが終わりにわが始めあり

上下   エリザベス・バード著  大藏雄之助・訳 (TBS出身)
男子の世継ぎがない場合に女王を認めているヨーロッパでも女性の元首は久しく歓迎されなかっ た。プリンセス誕生と聞くと、国王も王妃も国民もみんな嘆いたという。女性の王位継承者に有力な外国の王子を配偶者に迎えれば相手国の影響を受ける。国内の貴族から夫を選べば周辺の嫉妬で王権は安定しない。何よりも女王は妊娠中は行動が制限されるし、出産で死亡することも少なくなかった。エリザベス一世はあえて独身を貫くことによってイングランドを強国に導くことに成功した代わりに、当然直系の子孫はなかった。 当代随一の美女とうたわれたスコットランド女王メリー・スチュアートは恋のままに生きてついに王冠を失い断頭台に消えたが、何とその息子はイングランドの玉座についた。


麗澤大学出版会 / 各2520円 / ISBN 4892055166

■自治基本条例をつくる 「みたか市民の会」がめざしたもの

内仲英輔 (朝日新聞出身)
自治体の憲法といわれる自治基本条例を地元市に制定させる運動に参加した。行政に先駆けて「市民案」を提示して働きかけるというユニークな運動だったが、市民参加を皮相的にしか理解しない行政と、旧態依然たる運営を続ける議会の壁を突き崩せなかった。 そのてん末を反省をこめて記録し、いくつかの問題提起をしたのだが、この際「自治基本条例」というものの入門書を兼ねようと二兎追った試みは成功したかどうか。


自治体研究社 / 1680円 / ISBN 4880374733

■小泉純一郎とは何者だったのか

浅川博忠 (山形新聞客員論説委員)
郵政造反議員の復党は参院選にどのような影響を与えるのか! この問題の根源のすべては小泉前首相の05年8月8日の決断に立脚していることになる。変人と呼称される彼の改革や政治手法・政局運営は安倍首相以降の日本政治に何を残し、どこを変えていくのだろうか。そしてその功罪とは?これらを点検しつつ、内外に難問山積みの政治の進路を模索していく必要もあろう! この視点で前首相と抵抗勢力とは何者だったのかを解明。


講談社文庫 / 500円 / ISBN 4062755777

■コーポレート・コミュニケーション 国際シンポジウム(一九六八─二〇〇四)

八巻 俊雄(日本経済新聞出身) 
コーポレート・コミュニケーションには広告とPRが含まれる。私が最初に参加したコーポレート・コミュニケーションの国際シンポジウムは1968年に、電通PRセンター(現在電通パブリック・リレーションズ)の社長だった故永田久光氏が創立5周年を記念して行ったPRシンポジウムであった。アメリカで最も有名なPR学者ウィスコンシン大学のスコット・M・カトリップ教授が目玉であった。 この後、13の国際会議にスピーカーあるいは司会者として出席した。コーポレート・コミュニケーション関係が7つ、広告関係が5回、マーケティング・コミュニケーション関係が2つである。


プラトー出版 / 2100円

■介護保険の再出発 医療を変える・福祉も変わる 

宮武 剛(毎日新聞出身)
“長寿ニッポン”は、まもなく「大量死の時代」を迎える。年間の死亡者総数は100万人台から160万人台へ跳ね上がっていく。 その死亡場所は病院が82%(一部診療所を含む)、自宅死は13%(03年)。病院に頼るならベッド数を増やすほかないが、政府・厚労省は病院自体を大幅削減しつつある。 私たちはいったい、どこで看取ってもらうのか。それ以前に、どこで最晩年を支えてもらえるのか。現場をあるきながら介護保険の大幅見直しや一連の医療制度改革は、この深刻な問いに答える内容なのか、検証した。


保健同人社 / 2000円 / ISBN 483270317X

■急成長する町 淘汰される町─全市町村の5年後10年後

佐貫利雄
日本の全市町村2、217を成長と衰退の5段階にランキングしたところ、衰退都市が72・4%に達している。とくに東北は89・3%が衰退している。そこでは自殺率が最も高い。 他方、成長都市が多いのは、関東などの大都市地域であるが、そこでは凶悪犯罪比率が高い。この現実を直視するかぎり、経済の論理だけでは解決できない政治の課題があることを見失ってはなるまいと論じている。


大和書房 / 880円 / ISBN 4479300694

■自白の理由 冤罪・幼児殺人事件の真相

里見 繁(毎日放送報道局次長)
幼児殺しの汚名を着て8年の刑期を終え、出所した男は雪冤を誓って再審を申し立てた。当時の恋人が自白しているにもかかわらず、なぜ男は犯人に仕立てられたのか。これまで10本近く冤罪のドキュメンタリー番組を作ってきたが、テレビでは言い足りないこともあり一冊の本にまとめた。「どんなミステリーも冤罪にはかなわない」と言った人がいる。この事件も正しく、事実は小説よりも奇なり、の連続である。


インパクト出版会 / 1785円 / ISBN 4755401682

■裏中国史 墓どろぼうは金持ちへの道

山本展男 (毎日新聞出身)
中国政府は墓泥棒の横行に手を焼いている。中国は昔から厚葬の国である。人知れず眠っている古墓を掘り当てれば、副葬品のお宝が驚きの高値で日本や欧米の愛好家に売り飛ばせる。墓ドロは大昔からいたのだが、人民中国でも1980年代後半から、開放政策に乗じて復活してきた。貴重な文化遺産の流出に政府は頭が痛い。墓泥棒の暗躍は中国史の点景ではあるのだが。深刻だが卑しく、どこか滑稽な墓泥棒…。


講談社 / 1575円 / ISBN 4062131722

■サステナビリティ経営

三橋規宏 (日本経済新聞出身)
最近、サステナビリティ(持続可能性)という言葉が叫ばれるようになった。その理由は現在の地球がサステナビリティを失ってしまったからである。地球は有限な存在だし、生態系が破壊されれば、きれいな空気や水も失われてしまう。未来世代への利益配慮も必要だ。企業が永続するためには以上のようなサステナビリティの視点を経営の中に組み込まなければならない。これからは、社会に必要とされる企業だけが生き残れる。そのためには、明確な企業理念の提示とそれに基づく透明度の高い環境経営の実践が不可欠だ。


講談社 / 2310円 / ISBN 406282034X

■さようなら、みなさん! 鳩山日ソ交渉五十年目の真相 

堀 徹男 (NHK出身)
“領土はなくならないが、シベリア抑留者の生命には限りがある” 半身不随の鳩山一郎首相が河野一郎と共に、「日ソ国交回復交渉」に命を賭した。国交正常化後50周年目に公開された日本側とソビエト側との会談記録を対比させながら、ギリギリの交渉を再現。冷戦時代の中、アメリカからの脅しと自民党内の反対派による党議拘束にあいながらも、拘留者の帰還・国連加盟を果たし、玉虫色扱いに持ち込んだ北方領土問題の原点を抉る。


木本書店 / 1680円 / ISBN 4905689007

■歴史の教師 植村清二

植村鞆音 (テレビ東京出身)
第二の人生は、幼いころからの憧れだった著述業を一本の柱に生きてみようと思った。第一作が、一昨年上梓した伯父の評伝『直木三十五伝』(文藝春秋)。第二作が、このたびの『歴史の教師 植村清二』である。これは、昭和の初めから終わりにかけて、61年の長きにわたり一教師をとおした父の伝記である。ひとりの教師の生き方をとおして、今日の日本をもたらした戦後の教育を考えてもらえば、著者としてそれ以上のことはない。


中央公論新社 / 1890円 / ISBN 4120038114

■戦争指揮官リンカーン─アメリカ大統領の戦争

内田義雄 (NHK出身)
アメリカの「自由と民主主義のための戦争」は南北戦争から始まった。軍事に素人だったリンカーン大統領は、当時の最先端技術であるモールス電信を駆使して将軍達を動かし北軍を勝利に導いた。だが、戦死者62万という凄惨な戦争となった。南軍のリー将軍は語った。「戦争がむごたらしいのはいいことだ。そうでないと、我々アメリカ人は戦争が好きになり過ぎるかもしれない」。アメリカの戦争の原型となった南北戦争をひもとく。


文春新書 / 903円 / ISBN 4166605623

■笑って泣いて歩いて書いた ─女性ジャーナリストの五〇年

金森トシエ (読売新聞出身)
1960年代から80年代にかけて書いた署名原稿を中心に選んでまとめた。結婚・出産退職制、女子若年定年制など労働をはじめ政策参加、福祉、家族などさまざまな領域の女性差別が浮き彫りにされて、一種の女性史といえよう。 同時にサラリーマン家庭の専業主婦の日々に疑問を持ち、大学生に新聞記者にとチャレンジした自身の経歴や写真を加えて個人史ともなっている。


ドメス出版 / 1890円 / ISBN 4810706761

■ワーク・ライフ・バランスの実践─企業事例に見るその手法と実際

久谷與四郎 (読売新聞出身)
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が、経営者の間で一般化し始めている。背景にあるのは底の見えない出生率の落ち込みと、「次世代育成支援対策法」の施行。政府は企業に「家庭生活と両立できるような働かせ方」を求めている。とはいえ、「過労死」や「サービス残業」を国際語にしたわが国のこと、解決法が簡単にあるわけでない。試行錯誤が続いている企業の現場をルポし、その中から他の企業にも実務ヒントとなる情報を探し出して提供した。


日本リーダーズ協会 / 1300円 / ISBN 4890170057

■映画で学ぶおしゃれな英語 

原島一男 (NHK出身)
「英語を話せるようになる一番良い方法は、映画のセリフを覚えることだ」と気がついたのは50年も前のこと。映画には、心に響く言い回しがあちらこちらに出てきます。人生の機微に触れていたり、微妙で繊細な感情が込められていたり。  この本では、「タイタニック」から「ミリオンダラー・ベイビー」まで45本を選んで、それぞれの映画から印象的なフレーズを取り上げました。また、そのフレーズが、ほかの映画ではどう使われているかにも注目し、TPOによって使い方の違いを比べられるようにしました。


NHK出版 / 1260円 / ISBN 4140350733

■反骨の記者 松林冏

堀越作治 (朝日新聞出身)
数ある記者の中でも、これほど波乱に富んだ人がいただろうか。小学校を出るか出ないかで大杉栄に入門、無政府主義を叫んで駒込署にぶち込まれた。 苦学の末、時事新報の記者になるが、「満州事変に出兵するな」という反戦ビラを撒いてクビに。地方紙の通信員としての活躍が見込まれて朝日新聞に拾われるや、二・二六事件などで特ダネを連発。 中国戦線では従軍記者として何度も死線をくぐり、南方でも活躍。 戦後は各地の支局長として後進を育成。今年満102歳を祝った。


東京図書出版会 / 1260円 / ISBN 4862231659

■高松塚古墳は守れるか 

毛利和雄 (NHK解説委員)
地下から現れた飛鳥美人に日本国民は驚嘆した。ところが34年後の今、古墳は解体に追い込まれている。保存修復の過程のどこに問題があったのか探ってみると危機管理の態勢に欠ける霞が関の通弊が浮かび上がってくる。それでは現地で保存する方策はあったのか、保存科学の面から探ってみた。高松塚壁画の保存問題を100年を超える日本の文化財行政の歴史の中に位置づけて論じた。


日本放送出版協会 / 1124円 / ISBN 4140910828

■マスコミ生存の条件 Web2.0が変えるメディア地図

吉村久夫 (日経BP特別参与)
清華大学で「日本のメディア・現状と課題」を6回に分けて講義した。優秀で熱心な学生に教えるために、半世紀近く過ごした日本のメディアの実態をあらためて勉強した。   マスメディアはインターネットの登場によって世界的に歴史的な岐路に立たされている。だが、既存メディアの重要性はむしろ高まっている。情報氾濫のネット社会にあって、マスメディアは今こそ本来の使命を再確認し、高い志を持って、より良質の情報を提供すべき責任がある。


日経BP企画 / 1470円 / ISBN 486130248X

■「青森・東通」と原子力との共栄 

渡部 行 (日本工業新聞出身)
原子力発電が世界的に再評価されているなか、日本で原子力関連施設が集中立地されているのは、青森県下北半島だ。3つの原発、原子燃料のサイクル施設、中間貯蔵、核融合実験施設などが揃い、今や世界一の原子力平和利用センターに発展している。 総投資額は5兆円に達する見込みで、地域振興でも大きな成果を上げている。現地取材を中心に、この雄大な国策プロジェクトをリポート。多くの関係者にもインタビューしている。


東洋経済新報社 / 1890円 / ISBN 4492800751

■ユーラシア観察60年

木村 明生(朝日新聞出身)
19歳で当時の大阪外国語学校(現大阪外大)に入ってロシア語を学んだ私は、その後京大を経て新聞記者になり、さらに大学教授やフリージャーナリストとして、80歳を越えた現在までロシアを中心に広くユーラシア各国を歩き回ってきた。足跡はストックホルムからウラジウォストーク、シンガポールからヤクーツクに及んだ。その体験をまとめて少部数自費出版したのが本書である。初めて書いた裏話がミソだ。幸い近く商業出版の運びになりそうだ。


■権力の病室─大平総理最期の14日間

国正 武重(朝日新聞出身)
1980(昭和55)年、大平正芳首相(当時70歳)が急死してから、今年6月12日の命日で満27年を迎える。現職の首相が死去したのは戦後初めてのことで、国内的にも、国際的にも衝撃を与えた。 本書は、大平首相が80年5月30日深夜、東京・虎の門病院に入院してから死去するまでのドキュメントを軸にまとめたもので「政治と権力」の実相を浮き彫りにした。「器」が小さくなり、人材も「枯渇」した今日の政治状況の対極を意識した。


文藝春秋 / 1750円 / ISBN 4163690808

■人物で綴る労働運動一世紀

山崎 光平(毎日新聞出身)
日本で近代的労働組合運動が始められたのは、1897(明治30)年高野房太郎が労働組合期成会を結成したところからとされる。明治初期から繊維や炭鉱などで労働争議が多発していたが、この会とその指導を受けて結成された東京鐡工組合の運動からであった。期成会は事実上の機関紙として「労働世界」を発行、片山潜がその責任者となった。それから100年、本書はこの1世紀を振り返る壮大な企画で、時々の政治・経済情勢とともに大まかな動きをまとめた「読物」である。


労働問題研究会議 / 21000円 / ISBN 4901426303

■太平洋戦争と新聞

前坂 俊之 (毎日新聞出身)
満州事変から5・15事件、2・26事件、日中戦争、太平洋戦争開戦、そして敗戦に至るいわゆる15年戦争でエポックとなった各事件を『朝日』『毎日』がどう報道、論評したのか、その記事、社説の内容を詳細に分析したのが本書である。日中対立こそが太平洋戦争へ発展していった最も大きな原因であり、今、再び日中間の対立が深まり、コミュニケーションギャップが広がっている時、現役の新聞人に「戦争と新聞」の歴史を知ってもらいたいとの願いをこめて書きました。


講談社学術文庫 / 1313円 / ISBN 4061598171

■クリーンカー・ウォーズ

長谷川洋三(日本経済新聞出身)
なぜトヨタ自動車とホンダは、ハイブリッドカーの開発競争で先行することができたのだろう。環境技術こそが世界制覇のカギを握ることを証明した両社の経営力を多角的に検証したノンフィクション物語。 「すべては米マスキー法への対応策から始まった」。トヨタの張富士夫会長の発言は明快である。米マスキー法に対応できる環境技術の開発に企業生命をかけて取り組んだ両社は、やがて高燃費の自動車の開発力で米ビッグスリーを凌駕し、トヨタの世界最大規模の利益実現につながった。しかし、このまま両社の独走が続くのか。環境技術開発競争は多様化の時代に入っており、各社とも将来をにらんで模索が続いている。突然の技術開発で、トヨタ一強時代が終わる可能性も示唆したおもしろさもある。


中央公論新社 / 1680円 / ISBN 4120038068

■世界中を「南極」にしよう

柴田 鉄治(朝日新聞出身)
昔の取材現場にもう一度立ってみたい。そんな思いから昨年、40年ぶりに南極を再訪した。本書はその再訪記である。最近の南極の様子を詳しく伝えると同時に、国境もなければ軍事基地もない、まさに人類の理想を先取りした地であることを、それを支える南極条約などの背景とともに紹介する。そして、地球と人類の未来のために、世界中を「南極」にしよう、という夢を語り、南極は国境を超えた視点を育てる最高の教材なのだと説く。


集英社新書 / 714円 / ISBN 4087203913

■敗戦六十年の思い出

八巻 俊雄(日本経済新聞出身)
自叙伝・広告の世界へ 
昭和20年2月に米軍は硫黄島を占領し、その後は艦載機グラマンだけでなく、ムスタング戦闘機も飛来した。20年6月19日、都立第十中学校(現在西高)に入学して2カ月後だった。自転車で逃げ出した。第2章は8月に敗戦を知らず、故郷の八ヶ岳山麓まで5日間かけて歩いて帰ったことを書いた。第3章と第4章は日本経済新聞で広告の仕事をするようになった経緯、広告の仕事が誇り高い仕事と思い32年を経過した。


高井戸文庫 / 小冊誌

■なんといってもメルセデス

原島 一男(NHK出身)
ベンツの本当の姿を カール・ベンツが世界ではじめて自動車を発明して120年。1960年代から現在まで新旧5台のメルセデス・ベンツを乗り継ぎ、30万キロを走った経験を元に、シュツットガルト本社/工場を取材した。乗り心地から安全対策までの技術的側面や今後の方向を分析し、年代順の発展史も加えた。このクルマの本当の姿をユーザーの立場から語ってみようという試みだ。


マネジメント社 / 1260円

■新版 国際機関ってどんなところ

原 康(朝日新聞出身)
国際関係論3部作完結 この本は、IT革命下の21世紀はグローバル・ガバナンスの時代と展望し、9・11テロ以後、厳しい国際社会の現実に直面している国際機関の姿をとらえながら、世界の人々が共生していく道を切り開こうと活躍するその役割を実証的に解説したもの。これで旧版、新版、それに『国際関係がわかる本』を合わせて、国際関係論3部作が完成した。 幸い、シリーズ2作目の『国際関係がわかる本』は12刷を重ね、中学、高校、大学の入試問題、予備校の模擬試験問題などに抜粋、採用され、若い世代が世界で活躍してほしいという希望が少しは伝わるのではないかと期待している。


岩波ジュニア新書 / 819円

■ロシア闇の戦争

中澤孝之・監訳(時事通信出身)
アパート爆破事件の真相を追及 昨年11月23日、英国亡命中に毒殺された元ロシア連邦保安庁(FSB)中佐リトヴィネンコらの共著の監訳。99年9月、全ロシアを震撼させた一連のアパート爆破事件(99・9テロ)が起きた。チェチェン人の仕業と断定され、報復の名目で第2次チェチェン戦争が始まり、知名度を上げたプーチンがエリツィン後継大統領に当選した。真犯人は本当にチェチェン人なのか。著者たちは事件の真相追及を試みる。衝撃的な内容だ。ロシアでは発禁処分となった。


光文社 / 1890円

■世界まちづくり事典

井上 繁(日本経済新聞出身)
海外取材のヒントに活用を 世界29カ国、120都市のまちづくりを現地調査し、魅力的なまちをつくる発想と手法をまとめた。そのジャンルは環境共生、景観・まち並み、市民活動、福祉、文化、芸術、都市再生など多岐にわたっている。別項の「この事例から日本は何を学ぶか」では、学ぶ点だけでなく、留意点や反面教師とすべき点にも触れている。キーワードで検索しやすいように、詳細な事項索引と地名索引を付けた。海外取材のヒントに活用していただければ幸いだ。


丸善 / 15750円

■テレビニュースは終わらない

金平 茂紀(TBS報道局長)
他人事にしない試みとして  「あるある問題」以降のテレビに対する風当たりをまともに感じながら、心の片隅で「こんな叩かれ方じゃ何も解決しないよな」と思っていた。つまり、同じメディアの抱える病気から惹起した出来事なのに、まるで他人事のように非難している。そうすれば免罪符を得られるかのような、さもしい心根の持ち主たちがいる。米国で「イラク戦争報道」「大統領選挙報道」に接して考えた。他人事にしないための試みとして本書を上梓した。乞ご意見。


集英社新書 / 714円

■金融NPO

藤井 良広(日本経済新聞出身)
新しいお金の流れをつくる 膨大に膨れ上がった世界の富。グローバル金融は、そうしたお金を市場を通じて、“適正配分”するはずだが、現実はどうか。銀行を利用できる人は、世界人口の3分の1しかいない。本書は、お金を必要とするところに流すためには、人間の知恵と行動が不可欠であることを、内外の金融NPOの活動を通じて紹介している。欲望が原動力となる営利の金融システムとは別に、人間の創造力を基盤とする「非営利金融」の世界を提示する。


岩波新書 / 819円

■2011年7月24日─テレビが突然消える日

岡村 黎明(朝日放送出身)
地デジ問題からテレビを考える  家庭のアナログ受像機がデジタルに転換をせまられるまで4年を大きく切った。行政や局ではなく視聴者の視点からみると、とり残される“弱者”の姿が浮かび上がる。 期日のPRだけでは無為無策に等しい。ハードルが高い日本特有の状況にメス。  総務省、
菅大臣(当時)、審議会の反応は、5000円のチューナー、無料配布、日本方式を南米へなど。
個別の対応も重要だが、テレビをどう考えるかだ。ご意見を乞いたい。


朝日新書 / 777円

■この国の姿─藤原作弥のマルチ・エッセイ

藤原 作弥(時事通信出身)
三角形の視座からの日本のアイデンティティー  私にとっては15冊目の著作だが、45年間にわたるジャーナリスト生活の“卒論”的な成果物でもある。私の場合、“満州体験”が人間形成の原点となっており、昭和史に関するノンフィクションも何冊か書いてきた。さらに特派員としてのアメリカ体験も長かった。そうしたバックグラウンドから常に日中関係と日米関係を主軸とした三角形の視座で「世界の中の日本」を考えてきた。その視座で「日本および日本人」のアイデンティティーをテーマにまとめたのが本書である。


愛育社 / 2415円

■つながる日本海─新しい環日本海文明圏を築くために

武藤 誠(朝日新聞出身)
先人が築いてきた智慧 「表裏一体」というとき、表も裏も同じ価値をもっている。 日本には表と裏があり、裏は暗く劣っているといった使われ方がされた時代が、つい最近まであった。 でもそれは、数千年つづいた日本海をはさんだ大陸や朝鮮半島との豊かな交流の歴史からみると、ほんの一瞬に過ぎない。 日本の風土や日本人とは? 目から鱗の物の見方や先人が築いてきたさまざまな智慧に興味のある方には、お奨めだ。


現代企画室 / 2、625円

■英国王室の女性学

渡辺みどり(日本テレビ出身)
男性にこそ一読を 史上初、チャールズ皇太子の後妻に納まったカミラ夫人。特技は皇太子が一目惚れしたという「馬あしらい」。世論の逆風を受けながら30年に渡る不倫を続け、次期国王の妻の座を射止めた。この不倫関係に悩み苦しみ続けたダイアナ妃。彼女は王室と国民に2人の後継者を与えた。ダイアナ妃の悲劇は本気で夫である皇太子を愛してしまったことから始まる。見て見ないふりができず、カミラ夫人に敗れたダイアナ妃。 一方、初恋を貫き今秋ダイヤモンド婚を迎える、現エリザベス二世女王陛下。産業革命の時代に麻酔で出産、9児の母として育児室を持ったヴィクトリア女王。古くは「女王の時代は栄える」を体現したエリザベス一世。妃たちは500余年の英国王室を血のリレーで継承してきた。血統を守る義務とプレッシャー、夫の不倫を見て見ぬふりする度量、死と隣り合わせの出産。男性にこそ一読をお薦めしたい。


朝日新書 / 756円

■晩年長寿の達人たちー生涯現役の秘訣

前坂 俊之(毎日新聞出身)
歴史的な偉人、達人の知恵 日本は世界一の“超高齢社会”で、いまや誰もが人生80年以上を謳歌する時代。明治以来、90、100歳以上の健康長寿を保ち、生涯現役で最後まで活躍した歴史的な偉人、達人80人をリストアップし、その精神力、創造力、健康法、食生活などに迫ったものです。佐藤一斎の『言志晩録』に「壮にして学べば、則ち老ゆとも衰へず。老いて学べば、則ち死すとも朽ちず」とある。日本人の遺産とも言うべきこうした達人・超人の知恵、教えから大いに学び、目指せ!元気な『セントナリアン』(百寿者)です。


別冊歴史読本 / 1680円

■メディア・イノベーションの衝撃 ─爆発するパーソナル・コンテンツと溶解する新聞型ビジネス

橋場 義之(毎日新聞出身)
近未来のジャーナリズムのヒント ブログ、掲示板、SNS、WEB2.0…技術もシステムも実態も分からないことが多すぎるネットの世界。しかし、そこで情報を発信し、仕事をし、楽しんでいる人たちは、われら旧マス・メディアを「マスゴミ」とあざけり、不信感を露骨に表す。「敵(?)を知り、己を知れば…」。そんな気持ちから、彼らに参加してもらって始めた約1年の連続討論会の記録をまとめました。すぐそこに来ている近未来のジャーナリズムを考えるヒントがみつかるはずです。


日本評論社 / 2835円

■私の後藤田正晴─57人の証言

栗原 猛(共同通信出身)
「ちょっと待てよ」が大事だ 後藤田正晴元副総理といえば、「護憲と平和」「権力の自制」などを説いたことで知られるが、晩年はよく「日本人は付和雷同しやすいところがあるから、『ちょっと待てよ』という勇気が大事だ」と言っていた。政治家や財界人が若手将校や右翼の活動家に次々に暗殺され、軍国主義に流れていく時代に中学、高校時代を送ったことがバックボーンになっている。 中曽根康弘、村山富市,佐々淳行、加藤紘一、ジェラルド・カーティス氏ら57人が後藤田論を寄せており、現代史の生きた資料でもある。 編纂委員は北原健児、瀬下英雄、福家康宣の各氏と私。


講談社 / 1890円

■平和構築の仕事──フィンランド前大統領アハティサーリとアチェ和平交渉

脇阪 紀行・訳 (朝日新聞論説委員)
和平交渉と武装解除の舞台裏 インドネシア・アチェ紛争をめぐる和平交渉が05年に終結し、約30年ぶりの平和が訪れた。独立派ゲリラと政府との交渉を仲介したのは、フィンランド前大統領アハティサーリ氏だった。なぜ、北欧の政治家が調停に成功したのか。日本は役割を果たせなかったのか。和平交渉と武装解除の舞台裏を描いたフィンランド人記者カトゥリ・メリカリオの著書を翻訳し、そんな疑問が氷解した。理屈ばかりの平和構築論はうんざり、という方に一読をお薦めしたい。


明石書店 / 2940円

■日本の選択のモデルへ

小島 明 (日本経済新聞社顧問)
21世紀新たな成長への課題 日本がバブル景気崩壊後の経済停滞のなかで内向き指向になって「眠っている間」に、世界は地経学、地政学的に歴史的なパラダイムシフトをした。まず、ようやく長期不況から脱して目覚めた日本のグローバル化する世界における立ち位置を確認し、21世紀の日本の新たな発展・成長への課題を点検する。同時に、日本が様々な制約要因を発展・成長要因に転換させてきた歴史の教訓を確認する。そこから「適者」のモデルが浮かび上る。


NTT出版 / 2310円

■中国デスク日記

藤村 幸義 (日本経済新聞出身)
中国の悪戦苦闘ぶりを観察 中国が今後どうなるか、いまほど見方の分かれている時はありません。いま求められているのは、先入観を交えずに中国で起きている様々な出来事をあるがままにとらえ、分析していくことではないでしょうか。 そのための材料集めを兼ねて、「中国デスク日記」を書き始めました。かつて共同通信の記者が「デスク日記」を何年にもわたってまとめていたのを思い出して、ちょっとまねてみる気になりました。気が付いてみたら、5年間(2002年~2006年)も書き続けていました。この時期の中国は、高成長の半面、様々な問題が噴出して対策に追われた時期でもあります。悩める中国の悪戦苦闘ぶりをじっくりとご覧いただけると思います。


桜美林大学北東アジア総合研究所 / 3150円

■世界を不幸にする原爆カード ヒロシマ・ナガサキが歴史を変えた

金子 敦郎  (共同通信出身)
原爆の真実に迫る 原爆投下は人類史上、最大(悪)の出来事なのに、その「真実」はあまりにも知られないできた。トルーマンは最高機密のヴェールをかぶせ、徹底的に隠ぺいを図った。日本側でも、原爆で「一億玉砕」を免れたとの思いが「寛容」を生んだ。 だが、少数の歴史家やジャーナリストの執念が、隠された資料を掘り起こし、つなぎあわせ、半世紀かけて真実を引き出した。広島・長崎に始まる愚かな「原爆カード」が今も世界を危機にさらしている。


明石書店 / 1890円

■読み直そうルソーの「自然」 ─J.-J.ルソーにおける自然界とその思想─

荒井 宏祐 (NHK出身)
ルソー研究に新しい光を 18世紀ルソーは環境問題の進行を告発し、環境倫理を説いた。彼の教育論は現代の環境教育の、文学は環境文学の主張と重なる。ルソーの環境思想は、フランス啓蒙思想が環境思想を含みつつあったことを告げている。彼の自然界観を読み直すことを通じて、ルソー研究に新しい光を当ててみたい。中央公論3月号に紹介広告掲載。


中央公論事業出版 / 3780円

■地球温暖化問題と森林行政の転換 

滑志田 隆 毎日新聞人口問題調査会
行政の針路を森林にとれ! 21世紀は環境の世紀。地球規模の環境破壊に私たちはどのように対処すべきか。将来世代に大きなダメージを与える地球温暖化防止の決定打は、石油などの化石燃料への過剰依存から脱却することです。それと並行してCO2を吸収する森林保全の国際ネットワークを編成することが求められます。 国際的に森林の重要性が叫ばれるとき、日本の現状はどうか。手入れを怠って荒れ放題の森が増えています。人が森にかかわり、生態系を守っていくはずの林業はいまや崩壊の危機。行政の針路を森林にとれ! 温暖化問題を契機として森林保全の重要性を再認識し、林業を再興し、自然との共生を実現しようと訴えます。


論創社 / 3990円

■追いやられる日本

潮田 道夫 毎日新聞論説委員長
日本の存在感の希薄さ 毎日新聞の隔週日曜日、経済面に「千波万波」というコラムを書いている。そのコラムを再録し、若干加筆してできた本である。 社説を仕事にしているから、コラムは逆に「お説教をしない」よう心がけている。ネタの鮮度と切り口で読み手を飽きさせない。それが理想だが、うまくいきませんね。 雑多な話がつまっているが、普段、日本の存在感の希薄さが気になっている。書名にそういう問題意識を反映させてみた。


毎日新聞社 / 1575円

■いろんな英語をリスニング 「英語のなまり」に強くなろう!! 

ジョセフ・コールマン (AP通信社東京支局長)
個性に富んだ実践的な英語を 記者がインタビューをするときは、相手は有名人か、何か面白い情報を持っているか、あるいは非常に特殊な何かを目撃したかのいずれかだ。 この本の場合はそうではなかった。相手は誰でもいいし、何を話してくれても結構。条件は「英語を話すこと」だけ。 ただ書く中で、ジャーナリストがときとして忘れがちなことを発見した。普通の人は誰でも面白い話題を持っているということだ。会計士であれ、エンジニアであれ、高校生であれ、である。 トムはコロラドの牧場で初めて自分の馬を捕まえたときの話をしたし、キャロリンはスコットランドの伝統を、サブヘンドゥはインドで行方不明になった家族のことを話してくれた──。 また、日本で英語を学ぶ学生ならほっとするようなことも発見した。いわゆる「ネイティブ」もしょっちゅう文法的な間違いをするということである。


研究社 / 1、890円

■狐と狸と大統領~ロシアを見る目~

小林 和男 (NHK出身)
名探偵ポアロの気持ちでロシアを考える このところロシアは怖いひどい国ですねとよく言われる。プーチン独裁はもう定着した言葉だし、多くの人はプーチンが批判派の殺人の元凶だと考えている。その大統領がなぜ8年間も70%を超える国民の支持を得ているのだろう。 ロシア人の目は節穴か。名探偵ポアロの気持ちでロシアの「?」を考えたのが本になりました。売りは「ユニークな男たちがロシアを揺るがした。ゴルバチョフは変革を、エリツィンは混乱を。そしてプーチンは…?」。  『エルミタージュの緞帳』で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した著者がプーチン時代と次のロシアを複眼で見
る。 目から鱗のジャーナリスティック・エッセイです。


日本放送出版協会 / 1、470円

■ジャガイモの世界史 歴史を動かした「貧者のパン」 

伊藤 章治 (中日新聞出身)
歴史の転機の隠れた主役を追って 日本の公害の原点・足尾鉱毒事件を調べていて、北海道に集団移住した鉱毒被害民がジャガイモで生命をつないだことを知った。さらに調べていくと、次々と興味深い事実が浮かんできた。フランス革命、産業革命、戦争と飢饉、北海道開拓、ソ連(当時)の保守派のクーデターなど歴史の転機でいつも、ジャガイモは隠れた主役を演じていたのだった。
  そんなジャガイモの歴史を追って国内外を旅し、近代民衆史にたどりついた。本書はその旅の報告である。


中公新書 / 882円

■世界広告行脚 

八巻俊雄 (日本経済新聞出身) 
世界50カ国の広告事情 世界50カ国の広告事情を探る。広告の仕事を始めて50年。当初、広告の仕事に科学は乏しかった。そこで、経済の先進国アメリカに習うことから始めた。こうして広告の科学化がやがて経済産業省から関心を呼び、広告の経済効果を証明してほしいということになった。5年ほど、世界の広告データを収集し分析するうちに、直接これらの国々の広告事情を見てこようと思った。こうして1990年から世界の広告行脚が始まった。本書では世界50ヵ国、100都市を訪問、30カ所で講演する機会を得たことをまとめた。


高井戸文庫 / 小冊誌

■頭にちょっと風穴を ─洗練された日本人になるために─

廣淵升彦 (テレビ朝日出身) 
ユーモアと食を通して世界が見える 「アイスクリームは民主主義の象徴」「砂のまじったオマーンのカレーには現代のすべてが凝縮されている」「冷戦の時代、部屋に仕掛けられた盗聴器を取り外すためにカーペットを安全カミソリで切っていったBBCモスクワ特派員を待っていたものは?」など、意外性のある具体例がいっぱい。食べ物とユーモアで、世界の今を浮かび上がらせようという野心的な試みのつもり。   「カダフィが老通訳の額の汗を拭った話」などの現地リポートも。


新潮社 / 1365円

■事故と災害の歴史館  ─“あの時”から何を学ぶか─

久谷與四郎(読売新聞出身)
労災の現場を検証 駆け出し記者のころ、労働災害現場の取材を何度もした。そのたびに思ったことは、「死ぬのは何時も底辺の労働者…」ということ。そんな思いもあって、現役時代に経験したり、発生した労働災害の現場をもう一度歩いて、今度は労働専門記者として検証してみた。災害が起きた時代背景とともに、トップの怠慢、イベントを意識しての無理、効率を優先した安全無視等々、様々な姿があらためて見えてきた。「人間はなんて想像力の乏しいことか」。書き終わっての感想だ。それでも、過去の経験から学び、少しずつでも進歩していくしかない。


中央労働災害防止協会 / 945円

■キャラバン・サライのロシア─歴史・民族・地政学 上・下

植田樹( NHK出身)
ロシア民族問題の深層 ソ連体制下でタブー視されてきたロシアの民族問題と民族精神の深層を源流にさかのぼって真正面から書いた。ロシアは西(ヨーロッパ)なのか、東(アジア)なのか、ロシアは今も東西世界の間で揺れ続けている。ユーラシア大草原の中で、タタールの頚木、スラブ対ゲルマンの宿命の対決、聖なるロシア、ロシア革命とユダヤ人、甦るロシアなど。ロシアはなぜ“普通の国”にならないか─ロシアの現在を理解し未来を読む鳥瞰の書。


東洋書店 / 上下巻 各1、890円

■小沢一郎 独走す 

浅川博忠 (山形新聞客員論説委員・東京駐在)
政界生活39年の総決算 民主党内の8割の賛成を無視してかたくなに渡辺日銀副総裁案に反対した小沢一郎。以前から彼に対する評価は“改革者”と“壊し屋”に二分されている。彼も今年で66歳。短期決戦での大勝負を強いられるに至った。そこで小沢本人へのインタビューを含めて、彼の心情や軌跡を再点検してみたり、恩師・田中角栄との比較論も加えてみた。総選挙前後の政界再編の予測が高まる昨今、小沢は何を目指しつつ、どのような独走ぶりを示すのか…。


東洋経済新報社 / 1、470円

■「中国問題」の内幕  

清水美和 (東京・中日新聞論説委員)
中国共産党政策決定の内情 8月の北京五輪開幕を控え、チベット騒乱やギョーザ事件で再び中国に注目が集まる。しかし、共産党最高指導部の意思決定の内情は、うかがいしれない。昨秋の党大会人事で、胡錦濤総書記の後継本命候補とみられていた李克強が、なぜ習近平の後塵を拝することになったか。靖国問題で強硬だった中国の対日姿勢が突然変化した理由は。 波乱に富んだ政策決定の内情を公式報道や、ニュースソースなどからの情報を基に明らかにすることを試みた。今後の中国情勢の展開で本書の真価は問われるだろう。


ちくま新書 / 777円

■宗教に揺れる国際関係─米国キリスト教の功と罪   米キリスト教界の地殻変動

時事通信出身 蓮見 博昭
米キリスト教界の地殻変動 アメリカが他の諸国にとって非常に付き合いづらい国になり、世界各方面で反米主義が高まってきた背景には、アメリカ・キリスト教界の地殻変動があるというのが本書の核心。 かつてのアメリカではリベラルなプロテスタント主流各派が文字通り主流だったが、1970年代ころからキリスト教原理主義者を中心とする超保守的なプロテスタント福音派が主導権を握ってしまった。 この国が国連嫌いになったことなど、多くの事情はその結果にほかならない。


日本評論社 / 2、415円

■イランの核問題

NHK出身 早良 哲夫(訳)
平和目的か軍事目的か 世界は核拡散の時代に入った。核技術の軍事利用は平和利用の延長線上にあり、転用は容易だという。イランが平和目的の核開発だと主張するならば、なぜ国際機関の査察を拒否したり開発の実態を隠そうとしたりするのだろうか。イスラム革命をテヘランで直接取材した訳者としては、イランの動きに無関心ではいられない。本書は、核をめぐるイランと国際社会の動きを、アメリカとは違う視点に立って簡潔かつ明確にまとめている。


集英社新書 / 735円

■占領期の朝日新聞と戦争責任─村山長挙と緒方竹虎

朝日新聞出身 今西 光男
「新聞の内幕」を徹底検証 敗戦による占領統制で、いまの新聞・放送の枠組みが決まった。GHQの支配下、新聞社内ではその覇権をかけて、「資本」、「経営」、「組合」による三つ巴の激しい攻防があった。公職追放、読売争議、レッドパージ、そして共販解体・再販導入までの激動期を徹底検証し
た。 「新聞の危機」がいわれるいまこそ、新聞経営者はもちろん、第一線の記者にも、是非とも読んでほしい。


朝日新聞出版 / 1、470円

■アラブはなぜユダヤを嫌うのか─中東イスラム世界の反ユダヤ主義

藤原 和彦(読売新聞出身)
中東の反ユダヤ主義 本書では、中東イスラム世界に広がる反ユダヤ主義(アンチ・セミティズム)の実態を幾つかの視点から紹介した。また、ユダヤ人国家イスラエルを絶対に認めない同主義は再三の軍事衝突に煽られ、今や中東の支配的なイデオロギーになった観がある。 しかし、日本のマスメディアは宗教アレルギーのせいか、その有り様をほとんど伝えない。このため、実は反ユダヤ主義こそ中東和平プロセスの最大の障害という事実も、見落とされがちだ。


ミルトス / 1、470円

■宗教が分かれば中国が分かる

清水 勝彦 朝日新聞ジャーナリスト学校シニア研究員
中国現代宗教を解説  『中国年鑑』で10数年来、その年の中国の宗教動向の執筆を続け、あまり関心のもたれないこの分野から中国をウオッチする珍しいジャーナリストになった。その立場から今回のチベット騒乱を見ると、民族問題と表裏一体である宗教問題や政府の宗教政策に対する基本的な理解がないと、ことの本質がなかなかつかめないことを痛感させられる。イスラム教徒のウイグル人独立問題も、いまだ関係正常化が実現しないバチカン問題もある。中国の全体像を理解する一助になればと、中国現代宗教のAからZまで解説した。


創土社 / 1、785円

■組織ジャーナリズムの敗北─続・NHKと朝日新聞

共著 柴田 鉄治(朝日新聞出身) 川﨑 泰資(NHK出身) 
事件をOBが再検証 2005年1月、突然始まったNHKと朝日新聞の『大喧嘩』は、その後どうなったのか。NHKは、内部告発者の訴えもにぎりつぶして謝罪など一切なし。一方、朝日新聞は、基本的には間違っていない記事なのに「取材の詰めが甘かった」と謝って別件で社内処分も。なんとも不可解な対応だが、両者ともジャーナリズムより「組織」を守ろうとしてのことらしい。 日本を代表するメディアのこの劣化ぶりはどうしたことか。この事件を両社のOBが検証しなおしたのが本書である。


岩波書店 / 1、890円

■憲法改正試案集

井芹 浩文(共同通信出身)
「改正案」を平易に解説 憲法改正という大舞台で、大向こうをうならせる、新たな名せりふを吐こうという気はない。既に各方面の識者が十二分に考究し尽くした試案を発表しているからだ。本書のヒントは、現憲法を分かりやすく解説した東京新聞の連載記事。憲法改正案についても平易に解説して国民が身近に憲法改正問題を考える参考資料になればという思いで書いた。蛇足。改憲案全部を見ての所感は、戦後日本の原理をひっくり返すような革命的な改憲案はないという単純な事実である。


集英社新書 / 777円

■世界遺産と地域再生 問われるまちづくり 

毛利 和雄 NHK解説委員室専門委員
世界遺産とまちづくりを取材 世界遺産が全国的にブームだ。その背景には、世界遺産によって地域を再生させたいという切なる願いがある。  昨年逆転登録で世界遺産になった「石見銀山」、今年登録をめざす「平泉」、試行錯誤のまちづくりをつづける「尾道」、道路建設が景観を破壊し世界遺産への道を閉ざすとして訴訟が起こっている「鞆の浦」を取材し、世界遺産へ向けてなされている取り組みと、それがこれからの“まちづくり”にどのようにかかわるのか考察した。


新泉社 / 1、890円

■水俣から、未来へ

熊本日日新聞社編  高峰 武 熊本日日新聞社論説委員長
水俣病の「これまで」と「これから」 1956年に公式確認された水俣病は、今なお未解決の問題として私たちの目前にある。熊本日日新聞社は、世界的にも例をみない環境破壊、健康被害である水俣病問題の地元紙として、長年向き合ってきた。水俣病は多面体で、見る人の立場と角度によって、さまざまな姿をみせる。それは、私たちがこの事件から何を読み取るかという力が試されていることも意味している。 「これまで」の水俣で何があったのかを刻み、「これから」のために何を学ぶかを探る。胎児性患者を「宝子」と呼び慈しむ人がいる。逃げずにただただ向き合い続ける医者がいる。本書は、未来への希望の種がこういう人たちの中にあることを示す。


岩波書店 / 2、520円

■天下りシステム崩壊─「官僚内閣制」の終焉

屋山 太郎 (時事通信出身)
官僚制の改革を キャリア官僚の平均退職年齢は55・8歳である。これを処遇するために無用の天下りポストが創られる。06年の天下り法人は4600。ここに28000人が天下り。そこに流される補助金、助成金は12兆6000億円だ。キャリア制度を止め、全員定員まで在籍できるシステムにするのが今回の公務員制度改革基本法の狙いだ。いかに無駄な金が使われていたか。改革をやらなければ日本の国が駄目になる、という思いでこの書を書いた。


海竜社 / 1、680円

■風天 渥美清のうた 

森 英介 (毎日新聞出身)
寅さんは詩人だった 映画「男はつらいよ」シリーズの人気俳優渥美清が「風天」の俳号で人知れず楽しんでいた「俳句人生」を辿った初めての書。俳句は心の日記とも五七五の私小説とも言われる。往年の人気雑誌「話の特集」や朝日の「アエラ」句会など4つの句会で詠んだ218句には、がんと闘いながらフーテンの寅を演じ続けていた渥美清の孤独な素顔がくっきりと刻まれている。
  この8月は彼の13回忌。山田洋次、小沢昭一、和田誠、早坂暁、矢崎泰久など名だたる関係者の証言ルポと全句解説で蘇る渥美清の「最後の贈り物」。


大空出版 / 1、800円

■私は世界一素晴らしい第二の人生を送った─玉生道経 画家に転身した元官僚

早房 長治 (朝日新聞出身)
元法務官僚の第二の人生 ジャーナリストは人と会う仕事である。私も約50年間で5万人近い人と会った。その中には、無名だが、世の中に尽くした人、私を教え導いてくれた人もいる。そういう人を何人か、書いてみたくなった。玉生道経氏は法務官僚として「仮面の人生」を送った。定年を迎えて、絵画への情熱が爆発する。描きまくり、絵のためなら、他人に迷惑をかけることも厭わなかった。そういう人生があってもいいのではないか。


彩流社 / 2、100円

■38度線・非武装地帯をあるく 

小田川 興 (朝日新聞出身)
「非戦平和」の願い込めて 最後の「冷戦の現場」は苛酷な歴史と地政学が交錯し、「矛盾」のマグマはなお熱い。だが、いまそこで「雪どけ」を肌で感じる。金剛山、開城での北朝鮮ガイドとの会話。弾痕に覆われた労働党舎跡に育つ「統一の樹」。一方で離散家族の慟哭はやまない。植民地支配から分断に至る隣国と日本の「痛史」を思うと、ガラス細工のような南北和解を結実させるプロセスに日本の参加が欠かせない。在韓被爆者問題を契機に朝鮮半島を取材して40年。何よりも国家でなく「民草」の絆が平和の源泉だと思う。


高文研 / 1、680円

■主役なき世界─グローバル連鎖危機とさまよう日本

岡部 直明 (日本経済新聞専務執行役員主幹)
多極化する世界と日本の針路 グローバル経済は米国のサブプライム問題を震源に戦後最悪の危機に直面する。それはドル不信を招き原油高騰、食料危機に波及する。環境危機は深刻化し、核拡散の不安も消えない。連鎖する危機のなかで米国一極時代は終わりを告げる。 大欧州の台頭と中国など新興国の発展は多極化時代を裏付ける。そのなかで、日本は改革を先送りし地盤沈下を続ける。「主役なき世界」にあって、日本の針路を示す。日経コラム「核心」を中心に再構成した。


日本経済新聞出版社 / 1、995円

■科学技術記者クラブ名鑑

(財)新技術振興渡辺記念会発行
省庁再編で2001年(平成13)1月に科学技術庁と文部省が「文部科学省」になると同時に、「科学技術記者クラブ」は45年間の幕を閉じた。科技庁が発足した1956年(昭和31)5月当初、記者クラブは「原子力記者会」といい、首相官邸の中にあった。「科学技術庁記者クラブ」と称したのは翌年、通称“馬小屋”と言われる科技庁だった。以来、記者クラブ員は述べ約1100人にもなる。そのような科学技術記者の足跡を残した「記者クラブ名簿」が出てきたが、貴重な資料である。どんな方がクラブの歴史を築いてきたかが分かる、というので何らかの形で残したいと思った。 個人情報やプライバシーのわずらわしい時代だが、単なる名簿である。思い出話も加えて大げさだが「名鑑」とした。各社に記者への配布方を協力してもらう予定だ。浅井 恒雄(日経出身)


非売品

■百寿者百話─生き方上手の生活法

前坂俊之(毎日新聞出身)
90・100歳生涯現役の秘訣を解明 日本を代表する健康長寿・生涯現役の達人たち70人の生き方、創造力の秘訣を名言百語にまとめたもの。平櫛田中(107)、大西良慶(107)、小倉遊亀(105)、三浦敬三(102)、瀬島龍三(95)、山本玄峰(95)、徳富蘇峰(94)、松下幸之助(94)と多士済々の不老長寿の天才たちです。粗食・腹7分、食わなければ創造的な長生きができる。また、高齢になるほど体力・筋力が大切という健康訓、それ以上に気力・精神力・持続力こそ天寿の秘訣という生活習慣など、高齢社会の真っただ中にいるわれわれには元気のでる指針です。


海竜社 / 1500円

■凛として潔く   桑野美栄子の生き方  

武藤 誠 (朝日新聞出身)
波乱万丈の生涯 激動の昭和とともに、波乱万丈の人生を生き抜いた女性に出会った。嬰児で捨てられた一人息子の母への思いが、一冊の本を産んだ。 取材をしながら、残すべき記録にはぎりぎりの期限があることを思い知らされた。 また巻末の発起人名簿は、一枚で時代を物語っている。安保闘争の頃には、大学教授、作家、侍従長、裁判官、編集者、新聞記者らが、新宿の一つの飲み屋に集まって侃々諤々 の議論を繰り広げていたのだと。


自費出版

■アフリカ・レポート ─壊れる国、生きる人々

松本 仁一 (朝日新聞出身)
アフリカ政府の批判を事例で報告 「独立の時代」から半世紀がたつのに、アフリカが貧しいのはなぜか。それは指導者が人々を食い物にしているからだ。これまでタブーだったアフリカ政府批判を、本書は具体的な事例をあげながら報告する。すぐれた農業力を、自らつぶしたジンバブエのムガベ政権。貴重な石油資源を中国に売り渡して平気なアンゴラ政府、スーダン政府……。その結果、食えなくなった国民は母国を捨て、世界に散っていく。ロンドンへ、パリへ、そして東京の歌舞伎町へ。


岩波新書 / 735円

■反米主義  

近藤 健 (毎日新聞出身)
ブッシュ政権を超えて まっとうなアメリカ批判を反米主義ときめつけるレッテル貼り、無分別なアメリカ・バッシングという反米主義が流行している。この両方に牽制球を投げる意図で書いた。 反米主義と反米感情は同じではない。アメリカニズムに反対するという本来の意味での反米主義の内実とはなにか、現在の反米現象の源であるブッシュ政権を超えて考えてみた。結論的にいえば、それは資本主義システムのなかでよりましな資本主義を模索する自分探しであるというのが、私の解釈である。


講談社現代新書 / 777円

■地球の風 港のバラード101日  

宇咲 冬男 (産経新聞ウエーブ産経幹事)
赤道や銀河は海へなだれ込み
虫聴くや戦車の墓場見て来し夜

俳句と連句の普及で西欧の主要国のメインは巡った。一昨年、安い船で地球一周の船旅の話が舞い込んだ。千載一遇のチャンスだった。101日間、19の寄港地で23カ国の裏街道が歩けた。地元民との交流、船の仲間のシニア、ヤングのへだてない友情。ドラマがあった。記者の目に戻った。「SANKEI EXPRESS」にコラム風紀行を半年連載。それが目に止まり文芸社から『地球の風』が出版された。紀行文であってそうでない文。本名・小久保誠


文芸社 / 1、470円

■惜別 仕事人生  

大倉 文雄 (朝日新聞出身)
正史に残らない記録 朝日新聞東京本社の有楽町から築地への移転、マリオン建設、六本木ヒルズ再開発の秘話。新聞記者としてスタートしテレビ朝日、静岡朝日テレビと移った48年間の「仕事人生」をまとめた。 南極観測やアフリカのチンパンジー調査を取材し、テレビ事業ではブロードウェー・ミュージカルでトニー賞を取り、地方テレビ局の経営。そしてデジタル化の放送政策に携わった18年間の記録。学生時代から憧れた中国の大自然と文化遺産を訪ねた旅行記を加えた。


近代文芸社 / 上巻 2、625円   下巻 2、415円

■追跡・アメリカの思想家たち  

会田 弘継 (共同通信編集委員)
近代性と格闘した11人に焦点 現場ジャーナリストが思想を語るとこうなる。そんな本です。学者が書く概論とは違います。思想が生まれる裏の思想家や家族たちのつぶやきにも触れながら、近代国家アメリカの中でその「近代性」と格闘してきた11人に焦点を当てました。 多くは日本では知られなかったが、重要な意味を持つ思想家たちです。エピローグは自信作。漱石の『こころ』の翻訳が生まれた背景にあったアメリカ思想史のドラマ。F・A・ハイエクはなぜ『こころ』に魂を揺さぶられたのか。ぜひ、ご一読を。


新潮選書 / 1、155円

■西太后とフランス帰りの通訳

渡辺みどり(日本テレビ放送網出身)
西太后の素顔を浮き彫りに 西太后が逝って100年になる。20世紀初頭、外交官令嬢として西欧で近代的な教育を受けた帰国子女、裕徳齢は英・仏、堪能な語学力を駆使、通訳兼女官長として西太后に仕え寵愛される。日清戦争、義和団事件に相次いで敗れ、滅亡寸前の清朝宮廷にあって若い徳齢が体験した祖国での異文化ショックの数々。その中から知られざる西太后の素顔を浮き彫りにする。徳齢はアメリカ外交官と結婚。1944年カナダで交通事故で逝った。


朝日文庫 / 693円

■新 現場からみた新聞学

天野勝文・橋場義之編著    橋場義之(毎日新聞出身)
新聞の課題を4つの側面から  『現場からみたマスコミ学』シリーズのひとつで、6年ぶり3回目の全面改稿版。15人の筆者は、新聞記者出身の研究者や大学で教鞭をとっている現役の新聞記者が中心。現場での新聞ジャーナリズムの実践経験を踏まえた論考が特徴だ。今回は21世紀に入ってインターネットや携帯電話が急ピッチで進化する中、「取材と報道」「言論の役割」「新聞産業の変容」「読者の目」の4つの側面から現代日本の新聞が抱えているさまざまな課題を多角的に取り上げ、
<新聞>の役割を改めて捉え直している。


学文社 / 2730円

■シンプル英語で話す 映画に学ぶ上品な88フレーズ 

原島 一男(NHK出身)
シンプルな88の日常表現を紹介 これから英会話を学ぼうとする人たち、あるいは自らの英語を見直そうとする人たちに向けて、日常の表現をシンプルにした88のフレーズを紹介します。
  「よろしくお願いします」(Nice to meet you.)、「念のために」(just in case…)、「そんな余裕はありません」(I can’t afford it.)、など。どれも、これも、どこに出しても通用する上品な表現です。そうした表現が“言葉の宝庫”といわれる新旧の映画の中で、どのように使われているか、も実例として示してあります。映画にでてくるフレーズは,監督やシナリオライターが効果的なシーンを作るために選び抜いた表現です。きっと、お役に立つと思います。


荒地出版社 / 1、470円

■地球をかけめぐる 

堀越 作治(朝日新聞出身)
とびきり珍しい旅の記録 未知のものに対する好奇心が人一倍強く、地球儀とにらめっこしつつ世界をかけまわっているうちに、いつの間にか未踏の地域が少なくなってきた。もちろん、広い地球を隅なく踏破することなど夢物語だが、これまでまわった旅の記録だけでも優に数巻の大冊になる。そのうち、とびきり珍しい体験だけを選んだのが、本書である。 女人禁制の島、古寺巡礼、名城めぐり、今様「出世払い」の珍談。はてはアジアから北欧、西欧、東欧とソ連、中東、南北アメリカ大陸とアフリカの雄大な自然、人情の機微等。写真つきで楽しみながら、裏側の貧困、飢餓、温暖化にも光を当て
る。


東京図書出版会 / 1、365円

■炎の森へ 

砂原 和雄(産経新聞出身)
陶芸家目指した元銀行マンの物語 「小説の使命は、『人間の證巻』と『文明批評』とにある」(佐藤春夫)といいます。この小説は、10年前、まさかの自行の破綻を機に、「充実した人生を─」と、陶芸家を目指し、夢を実現した中年夫婦の物語で、充実した人生を目指す人への応援歌です。街の書店で、初めて読んだ小説雑誌を手に、作者に会ってみたいと、やみくもに佐藤春夫の門を叩いて50年。今、「書くことが自分の楽しみであり生活である」(同)の毎日です。願わくば、本書をお買い上げのうえ、次の作品にご期待あれ。


日本経済新聞出版社 / 1、890円

■4Bと自転車とお寺   

宇咲 冬男(ウェーブ産経幹事)
冬霧や離りて住めば深む愛 10月に船で地球一周のエッセイ『地球の風』が出たばかり。続けてのエッセイ。私の更新前のホームページに春・夏・秋・冬の四季に分け『宇咲冬男の歳時記』を5年間連載。前著の編集者が、その文章に目を留めて出版を促された。目的は若い人に季語の素晴らしさを教えるためだった。次第につまらなくなり、記者時代などのエピソードを季語に絡ませたらアクセスが急増した。本名・小久保誠


文芸社 / 1、260円

■闘う社説 朝日新聞論説委員室 2000日の記録

若宮 啓文(朝日新聞コラムニスト・  前論説主幹)
言論戦インサイド・ストーリー 「イラク戦争、靖国参拝、小泉郵政解散、安倍氏との大バトル、対『読売』『産経』社説ウォーズ、憲法改正議論…。ニッポンを動かした言論戦のインサイド・ストーリー!」。これが出版社の宣伝文句です。バトルはともかくウォーズとはオーバーな…とも思いますが、私の狙いがイラク戦争や靖国問題をめぐる言論戦の紹介にあったのは事実。そして、憲法などをめぐる社内論議の披露。ここまで書いていいのかと、自分でもまだ自問しています。


講談社 / 1、575円

■派閥の終焉と日本の針路 小泉政治の遺産

本澤二郎
小泉政治を徹底総括 「小泉チルドレン」が出版社の依頼でしたが、ついでに小泉政治を徹底して総括することにしました。郵政民営化の隠された背景やらワシントンが操作した市場原理主義、ブッシュ戦争への加担などなど。完璧なマスコミ対策も。80余人のチルドレンの当落が国民の小泉採点になります。また本来、中曽根バブル経済の崩壊で沈没したはずの自民党も、公明党を抱き込むという延命装置でここまできましたが、それも時間の問題でしかないでしょう。


長崎出版 / 1、890円

■社長の仕事作法 伸びる社員をつくる経営者の発想

長谷川洋三(日本経済新聞出身)  
大不況時代に健闘する社長たち 「成功するには、地道な努力とコツコツと積み上げていく忍耐力が必要です」─。「福島一のラーメン店を目指す」という目標を「東北一」「全国一」へと進化させてきた幸楽苑の社長の言葉だ。日本企業は多かれ少なかれこの「積み上げ」の原点を持っている。サブプライムローン問題の本質はある意味で、「地道な努力」を怠ったツケでもある。大不況時代でも健闘している社長たちにインタビュー。共通する仕事作法は「人を大事にする経営」と「粘り強い経営」だった。おもしろく読めるビジネス書であり、産業史の証言でもある。


講談社+α文庫 / 720円

■威風堂々の指導者たち 昭和人物史に学ぶ

芳賀 綏
戦後史キーマンの全人物像 素顔の吉田茂はシャイな人、豪放な石橋湛山は池田勇人の「酒豪」を買って蔵相にした、芦田修正の法学博士芦田均は浪曲に感泣する純な人、西尾末廣はダンスと洋画批評、河上丈太郎は野球解説…。意外史もからませて戦後史のキーマンの全人像を描き直し、日本国の課題の再検討も試みた。
 「骨太の政治家の骨太評伝」「本物を考えさせる知的刺激の書」と一識者の評を得た小著が、求心力不在の漂流日本に目からウロコのヒントになれば…とも念願。巻中23人を描いた拙筆の似顔絵はお笑い草に。


清流出版 / 1、890円

■ゾルゲ事件の謎を解く 国際諜報団の内幕

白井久也(朝日新聞出身)
ゾルゲ事件研究の入門書 日本の特高警察が戦前、摘発したゾルゲ事件は、翻訳物も含めると、200冊前後出版されている。だが、ゾルゲ事件について総合的に捉えた本が見当たらない。ならば、ゾルゲ事件とは何なのか?私見によれば、過ぎ去った20世紀の象徴である「世界戦争」と「革命」と「植民地解放」のすべてに、深い関わりを持った国際スパイ事件であった。ゾルゲ事件研究の過去と現在を集大成した本書は、我々が今生きている21世紀の現在と将来を考えるうえで、色々な示唆を与えてくれるに違いない。15年前に出した『未完のゾルゲ事件』(恒文社)の改訂増補版。


社会評論社 / 3、885円

■日本の国家戦略 アメリカの21世紀国家戦略をめぐって

高畑昭男 (産経新聞編集委員兼論説委員)
日本戦略構築のあり方を探求 90年代末に書かれた超党派の国家戦略報告。それが同時テロを「予期」していたと知ってビックリしたのが勉強を始めたきっかけです。同盟のほころび、有志連合、国際テロ等々、ブッシュ外交の裏シナリオ?とも見える未来想定。それでも世界秩序構築をめざす強烈な国家意志。国益の階層化。そんな「帝国の深謀」を日本も少しは見習えたらと思いながら書きました。直接引用ばかりで気がひけますが、ささやかな資料にでもなればと思っております。


駿河台出版社 / 2、310円

■いまだに続く「敗戦国外交」─「衆愚」の時代の新外政論

鈴木美勝(時事通信解説委員) 
日本外交2012年が分岐点 国際政治のパラダイムが転換した中で日本外交には2つの難問がある。ひとつは、運命的に付きまとう米中「暗黙の同盟」への対応。直近の事例として、05年、日本が敗北を喫した安保理常任理事国入り問題を取り上げ、徹底取材を基に検証する。第2は、自立し得ない国家の根っ子にある「米中コンプレックス」。親米派・金丸信、親中派・伊東正義が抱いていた対米・対中心理を描出し、国民の多くが同様に引きずってきた対外心理を考える。この視点を踏まえ、ネットや画像を軸にグローバル規模に形成された「衆愚」の時代の外政論を展開。日本が「流浪の国」に堕するか否かの分岐点は2012年にあると説く。


草思社 / 1、995円

■新聞・TVが消える日

猪熊建夫(毎日新聞出身)
メディアを浸食するネット テレビ、新聞、出版、音楽、ゲーム……などのコンテンツ産業は、ネットの攻勢に大きく揺さぶられている。音楽、ゲームはネットと親和性があるが、新聞、出版の紙メディアとTVは、ネットによってその存在がおびやかされる状況になってきた。
  折しも、世界的な大不況で広告収入が激変し、新聞・TV業界は赤字に転落しつつある。既存メディアは新たなビジネスモデルを構築できるのか。ジャーナリズムの将来はどうなるのか。こうした動きを俯瞰した概説書である。


集英社新書 / 735円

■国際ブランドに押し上げる広告戦略

八巻俊雄(日本経済新聞出身)
広告の表現・媒体・効果測定 1987年から2000年まで、世界9カ国の「広告とマーケティング学会」で発表した15の論文をまとめた。発表はアメリカとカナダが7回、ヨーロッパが3回、アジアが5回である。研究に取り上げた資料は50カ国余り。広告戦略の内容としては消費者問題、広告表現、広告媒体、広告の効果測定を中心としているが、1回だけ広告の歴史を取り上げた。2004年には中国で2回研究発表を行ったが、これは前著「コーポレート・コミュニケーション国際シンポジウム」(プラトー出版)で取り上げた。


戎光祥出版 / 2、500円

■「津和野」を生きる─四〇〇年の歴史と人びと─

羽原清雅(朝日新聞出身)
小藩から離れがたい人々の近現代  政治取材から解放され、先祖の墓を頼りに津和野藩の周辺にデータを求め、あちこちに寄り道をしつつ、10年かかりました。 ひそかに郷里に戻っていた?鴎外。創藩時のお家騒動。殿様を相手に横領容疑で告訴した旧藩士たち。大判小判を庭に隠して財力をつけ、左翼闘士を生んだ旧藩主家。伊能忠敬に先立ち北海道航路を探索した堀田仁助。仲間の才人を暗殺後出世した維新期の藩士たち。そんな話を掘り起こし、小藩のあがきと、中級士族の系譜を350ページにまとめました。埋もれた歴史を大いに楽しみました。


文藝春秋社・自費出版 / 2、500円

■雑誌よ、甦れ──「情報津波」時代のジャーナリズム

高橋文夫(日経BP社参与)
雑誌編集者や読者へのエール 雑誌がいま、危うい。『読売ウイークリー(旧週刊読売)』『論座』(朝日新聞社)『月刊現代』(講談社)─かつての花形誌・人気誌が相次いで休廃刊、雑誌全体の売り上げも、急坂を転げ落ちるように減る一方だ。雑誌がダメになれば、本もおかしくなる。活字文化そのものが形無しになってしまう。雑誌を甦らせるすべはないのか。編集者や読者など、雑誌にかかわる人すべてに捧げる「エール」として、ウェブ時代の雑誌のあり方について書き下ろし。


晶文社 / 1、680円

■不都合な生命 地球二億二千五百万年銀河の旅

チャールズ・S・コケル著   大藏雄之助・訳(東京放送出身)
定説で説明できぬ生命の不思議 地球が太陽の回りを公転していることはどなたもご存じですが、太陽系自体が銀河を周回しているということは私は知りませんでした。そういう点では翻訳は勉強になります。 われわれが意識しないこの惑星の動きは地球の生物の生活環境に大きな影響があります。その中で微生物は20億年前に「発生」して以来ほとんど「進化」もせず、あるいは高圧に耐え、あるいは高熱を愛し、氷結すれば何万年でも冬眠状態で生き延びてきました。太陽はあと50億年で膨張爆発して死滅しますが、その際には微生物は他の銀河系に移住するらしいのです。その謎が今明らかに。


麗澤大学出版会 / 2、310円

■これでいいのか、21世紀!

伊波新之助(朝日新聞出身)
混迷の現代を解明し対策を提起 21世紀を迎えて「これからは」と期待していたのに戦争は無くならず政治も経済も混迷を極めている姿に素朴な正義感で立ち向かった1冊。 日本記者クラブでの記者会見の内容も各所にちりばめられており、新聞社や放送局が舞台になったインサイダー取引。一流企業の社長の「みんなで謝ればこわくない」現象。追いつめられた子のリストカットや引きこもり。秋葉原事件の真相。金融危機や石油も。何でもかみ砕く記者精神横溢、警世の発信。


TKC出版 / 1、680円

■響き合うコラム 

髙村 壽一(日本経済新聞出身)
記事にならなかった知名人・先輩の素顔 忘れかねるエピソードを収録した。仏像の衣紋からオートバイの流麗なデザインを発想した本田宗一郎さん。女房役の藤澤武夫さんは浄瑠璃常磐津に打ち込み、浅草公会堂で仮名手本忠臣蔵大序を熱演。「骨まで抜かれた。行革末だし」と慶大で講演中に倒れた鈴木永二さん。「タダ酒は飲むな」─父(大工棟梁)の言葉を守り通した佐々木久子さん。「定職はなかった。おかげさんで」と放浪歌人山崎方代さん。狼犬とともに北上した先輩布施道夫さん等々。


草場書房 / 2、100円

■新聞人福澤諭吉に学ぶ 現代に生きる『時事新報』 

鈴木 隆敏(産経新聞出身)
現代の新聞ジャーナリズムのさきがけ 半世紀も前に姿を消した『時事新報』が、実は現代も生きている。題号は昭和33年(1958)に消えてしまったが、時事新報株式会社は休眠状態のまま産経新聞社がお預かりして今日も存続している。時事新報は慶應義塾、交詢社と並んで福澤諭吉の3大事業といわれる。独立自尊の慶應義塾が昨年創立150年を迎えたのを機に、「独立不羈」をうたった“日本一の時事新報”の歩みを振り返ると、新聞各社の共通理念である「不偏不党」をはじめ、現代のメディアとジャーナリズムが学ぶべき事柄が数多く示唆されている。


産経新聞出版 / 1、500円

■夏の岬

植村 鞆音(テレビ東京出身)
初めての小説に挑戦 5年まえ、サラリーマンを退職して著述業を目指した。幼いころからの憧れだった。66歳になっていた。処女作が伯父の評伝『直木三十五伝』(文藝春秋)、第2作が父の伝記『歴史の教師 植村清二』(中央公論新社)。3作目は初の小説に挑戦した。老人と若い娘の恋を描いた『夏の岬』である。生きるということは表現することだと思う。書くことは楽しい。出版後反省することが多いが、性懲りもなく、これからも老人の恋を書き続けたいと思っている。


文藝春秋 / 1、800円

■恵里子へ 結納式の10日後、ボリビアで爆死した最愛の娘への鎮魂歌

鹿嶋 敬(日本経済新聞出身)
結婚控えた女性を襲った想像を絶する悲劇 最愛の娘、恵里子は昨年3月、海外駐在を終えて帰国し、結納式を行った。その10日後、独身最後の旅に出たボリビア・ウユニ塩湖で屋根にガソリンを載せて走る車同士の衝突で爆死した。なぜ悲劇は起きたのか。原因を探ると、世界的な観光地で無謀な運転を黙認してきたボリビア政府の無責任さがほの見える。さらに娘の結婚に至る愛、キャリア形成、婚約者や家族の苦しみなども慟哭を抑え、書きすすめる。最愛の娘への鎮魂の書であると同時に、事故後に家族が直面する絆崩壊の危機にも触れた再生の書でもある。


日本経済新聞出版社 / 1、680円

■こちら石巻 さかな記者奮闘記

高成田 享(朝日新聞石巻支局長)
魚を見れば世界が見える! 定年を機に三陸の港町に駐在する「さかな記者」となり、漁船に乗ったり、地場の魚を食べたりしながら、漁業の資源問題から食文化まで取材する日々の奮闘ぶりをまとめた。そのなかで、豊かな海の恵を国民に与えてきた日本の漁業が、環境の悪化や乱獲で危機に直面しているのにどうしたらよいのか、漁業だけでなく地域問題にも焦点を当て、知恵をひねった。魚を通じての日本論にもなっていると自負する。


時事通信社 / 1、680円

■首相の蹉跌 ポスト小泉 権力の黄昏

清水 真人(日本経済新聞編集委員)
なぜ自滅を繰り返すのか 安倍晋三、福田康夫と二代の首相はなぜたった1年で続けて最高権力の座を投げ出さざるを得なかったのか。麻生太郎首相も在任1年に遠く及ばないうちに3人目になりかねない土俵際まで追い込まれた。宰相たちの失敗の本質はどこにあるのだろうか。3氏に先立ち、5年5カ月も「強い首相」を演じて見せた小泉純一郎氏の権力操縦と対比しながら、首相という最高権力のマネジメントの検証を試みる。それを通して日本の政党政治のシステムとゲームのルールを読み解き、「なぜ」「どこ」の答えを探すのが本書の狙いである。


日本経済新聞出版社 / 1、995円

■木版画 万葉秀歌

宇治 敏彦 (中日新聞社相談役・論説担当)
趣味が高じて本に 「これは宇治ワールドだね」と友がいった。国文学者の中西進氏は「影を刻むことで形を描く。それが宇治さんの生き方でもある」と序文に書いてくださった。万葉集の一首一首をイメージしながら歌の文句とともに版画に仕上げる趣味が小著になった。作者としては望外の幸せだが、大伴家持の編纂から1250年の今年、言霊を信じた先人たちの思いを現代人の心にもっと響かせたいとの願いもある。恋に焦がれ片思いに耐え、歌に救いを求めた万葉人の姿をどこまで表現できたかは読者の判断に待ちたい。


蒼天社出版 / 1、890円

■新訂 新聞学

桂 敬一 (日本新聞協会出身)
新聞を新しい立ち位置へ 今は亡き稲葉三千男・新井直之両先輩とともに旧版『新聞学 第3版』(1995年)を編んだ私としては、この伝統の書を、東大新聞研・教授時代の同僚・浜田純一さん(東大総長)と畏友・田島泰彦さん(上智大教授)と一緒に編纂、新しい装いで再生できたことは、この上ない喜びだ。ネット時代、危機に臨む新聞の問題を考えるすべてがここにある。新しいジャーナリズムの基盤を構築し、中核となるべき新聞のあり方に関心を抱く若いジャーナリスト・研究者に、ぜひ読んでいただきたい。


日本評論社 / 3、150円

■プーチンと柔道の心

小林 和男 (NHK出身)
柔道を通して見た人物像 プーチン首相が訪日したが、記者クラブ幹部の皆さんが礼を尽くしたにもかかわらず会見にはやってこなかった。過密な日程を理由にしたらしい。そもそも彼は記者会見が嫌いではない。3時間もやることもある。行動に分からないところが多い。そんな人物を柔道を通して見ようというのが本書の狙いだ。プーチン首相と仲間が書いた柔道書に山下泰裕さんと私が解説などを加えた。不可解な人物が少し見えてくるかもしれない。


朝日新聞出版 / 1、680円

■だらぼち記者奮闘記─昭和~平成自分史

畠中 茂男 (毎日新聞出身)
新聞記者の抱腹絶倒自分史 だらぼちとはヤンチャな子どもに対する愛情表現の能登弁だ。波瀾万丈、ジグザグの私の軌跡を書いた。新聞記者とは“特種記者”だけではない。事業や催しで本社に貢献する“イベント記者”もいる。これをやりとげた先輩に学ぶこと多し。
  社の経営不振を立て直すために政治部から小さな支局長へ飛び出す。「いまやらねばいつできる、わしがやらねばだれがやる」の“平櫛語録”のとおりに大阪毎日ホール再建、毎日情報サービスセンター創設、アジア調査会再建に挑戦する。愛社精神を貫くことが大切だと悟る。現在の世界同時不況時代には愛社精神のあふれた記者を多く持つ社のみが生き延びるだろう。


自費出版

■グリーン・リカバリー 日本再生の新シナリオ

三橋 規宏 (日本経済新聞出身)
最速出版の記念の書です 「変化恐怖症─ニッポン」というタイトルの本の執筆を9割近く書き上げた時、リーマン・ショックが起こった。100年に一度の世界同時不況が日本にも押し寄せ、日本も生き残りのために思い切った変化を迫られた。執筆中の本は一日で陳腐化し、幻の本になってしまった。
  日本が大変身しない限り、今度の不況から脱出することはできない。そのための処方箋を書こう。気持ちを切り換え、一気に書き上げたのが本書である。5月初めに出版社に原稿を持ち込み、同月20日過ぎに書店に並んだ。私の最速出版の記念の書でもある。


日本経済新聞出版 / 1、680円

■オバマのアメリカはどこへ行く

蓮見 博昭 (時事通信出身)
宗教関係に力点置く アメリカの主な分野の近況とそれについてのオバマ新大統領ないし同政権の考え方・施策を簡潔・平易に紹介・解説し、近未来の展望を試みた。   日本でもオバマ本はすでに数多く出版されているが、その中で本書に特色があるとすれば、宗教(キリスト教)関係に力点を置いたことだろう。講演の記録や雑誌論文を集め、大幅に加筆修正して単行本化した。アメリカは今後も「相対的衰退」を続けていくものと予測、オバマの改革や危機対策が失敗すれば、本格的衰退も不可避なのではないか、と警告している。


梨の木舎 / 1、890円

■日本の基本問題を考えてみよう

中馬 清福 (信濃毎日新聞主筆)
若者たちに期待して 信濃毎日新聞に連載中の大型コラム「考」を読んだ編集者に、こんな調子で書いてみたら、と勧められてこの本はできました。自分のこれまでをさらけ出した、全文これ若者へのメッセージですから、現役やOBの記者のみなさまに読んでいただくのは恐れ多いことです。立ち読みされて、じゃあ、子か孫に買ってやるか、と思っていただければ幸いです。なお、「考」をまとめた本も2冊目が同じ新聞社から出版されました。


岩波ジュニア新書 / 819円

■ベトナム戦場再訪

北畠 霞 共著 (毎日新聞出身)
ゲリラ兵士との再会 ベトナム戦争を追いかけていた特派員時代、サイゴンのすぐ西方のところで、解放戦線のゲリラ兵士に一時身柄を拘束されたことがあった。身なりから彼らは地元の村の兵士と判断し、戦争が終わり、時間ができたら捜すことを長らく温めていた。 リタイアしてから、2年前にその一人を探し出し、当時のことを思い出しあうことができた。この話を基に、ゲリラの戦いぶり、ベトナム戦争の芽、米国敗退の背景をまとめたのがこの本である。共著者はカメラマンで多数の写真を収めている。


連合出版 / 2、310円

■記者風伝

河谷 史夫 (朝日新聞記者)
新聞の申し子たち 新聞が輝き、新聞記者たちが生き生きとしていた時代があった。見ると、新聞記者は血まみれだ。 抜いた抜かれたの現場で切った張ったの記者は、返り血も浴びて全身赤く染まり、コラムの現場に立つ記 者は文章に秘術を尽くして人知れず血の汗を流している。 「新聞の申し子」というべき記者たちである。そのうちの24人の略伝を書き、列伝では司馬遷に悪いから「風伝」とした。むろん、身の程をわきまえぬことである。


朝日新聞出版 / 1、890円

■米原万里を語る

金平 茂紀 共著 (TBSテレビアメリカ総局長)
さわやかな毒舌とユーモア 米原万里さんがこの世を旅立たれたのは、2006年5月。まだ56歳だった。 実妹の井上ユリさんと義弟の井上ひさしさんに加え、万里さんと「義兄弟」の盃を交わした吉岡忍さん、小森陽一さんのお二人、そして義弟というよりは「贋弟・偽弟・愚弟」であった小生の計5人が、万里さんを自分流に偲んだら、こんな本になった。さわやかな毒舌と研ぎ澄まされたユーモアが今という息苦しい時代にこそどんなに必要であることか。乞ご一読。


かもがわ出版 / 1、575円

■新版 マス・コミュニケーション概論

山田 健太 共著 (日本新聞協会出身)
デジタル・ネットワーク時代に対応 初版が1974年、3分の1世紀にわたって版を重ねてきた「マスメディア」の概説書である。その内容は、コミュニケーション理論から始まり、ジャーナリズム、世論、宣伝、広告・PR等の体系的解説、さらには表現の自由とメディア倫理の基本を万遍なく抑えてい
る。 こうした理論編とともに、新聞、放送ほか主要メディアの産業別構造と事業を、誕生から最新事情までカバーし、同時に欧米・アジアの国別マスメディア事情がコンパクトにまとまっている。今回はデジタル・ネットワーク時代に対応するために、大幅に改訂を施した。


学陽書房 / 2、730円

■日本長寿の記録

内田 啓明 (共同通信出身)
米寿記念に長寿本 7月14日に米寿を迎えた記念に出版した。20年ぐらい前に日本は世界一の長寿国になった。数字と歴史が好きなので長寿の歴史、原因、経過の研究に取り組み地方紙に3年間連載した。 医療の発展、食生活改善の効果が大きい。最大の死病、結核はほぼ消滅、脳卒中も減塩効果で激変した。 それでも、都道府県間には長寿順位の変動が大きい。背景に県民性と食生活改善度の大きな相違がうかがわれる。その究明に長い年数がかかったが、ようやく自分なりの答えがまとまった。まだ疑問が多いが、時間がないので米寿を機にまとめた次第である。


善本社 / 3、800円

■金正日の後継者

重村 智計 (毎日新聞出身)
ガセネタと真実を見分ける 30年を超える取材経験では、北朝鮮情報の90%は、ガセネタだ。情報提供者の背後に、記者を利用する「悪意」が、常に隠れている。ガセネタと真実を見分けるのが、記者の能力だ。 北朝鮮の後継者は、三男の金正雲氏だと全マスコミが報じたが、中国外務次官の否定発言で下火になった。誰かが、意図的に書かせたのだ。日米韓三国を揺さぶろうとしたのか。 この本は、金正日の後継者は、金正雲氏ではない可能性を示すとともに、「ステレオタイプな報道」を乗り越えるのが、ジャーナリズムだと説く。


KKベストセラーズ / 720円

■新版 検証・免田事件

高峰 武 (熊本日日新聞社論説委員長)
足利事件を生んだ構造の原点 免田栄さん(83)が、わが国初の死刑囚から再審無罪となったのは1983(昭和58)年のことだ。本書の中心部分は、判決直後から事件の地元紙・熊本日日新聞が半年以上にわたって連載したもの。連載は2度出版されたが、絶版となったため、再審無罪判決を言い渡した裁判長への初めてのインタビューや、マス倫懇全国大会での免田さんの対談などを新たに加え出版した。   再審開始が決まった足利事件を生んだ構造の原点がここにある。


現代人文社 / 2、100円

■サイゴンの火焔樹 もうひとつのベトナム戦争

牧 久 (日本経済新聞出身)
サイゴン革命の記録 面映いので、最近、楽天の商品ブログにのった一読者の声を紹介する。「元ベトナム特派員のサイゴン陥落後、数カ月の記録である。北ベトナムの占領下、情報鎖国の中にあって、非常手段で日本に送信した記事を挿入している。ベトナムの実態を描いた本は多いが、国外強制退去の最後まで残った日本人記者の記録は貴重である。(中略)また、当時のベトナムの宣伝にのせられず、それを掲載した日経新聞にも骨があった」。陥落後、閉ざされた国で何が起きたか。それを記録に残したかった。


ウェッジ社 / 2、520円

■民主党が約束する99の政策で日本はどう変わるか?

神保 哲生 (ビデオニュース・ドットコム)
民主党の政策の全体像と理念を徹底分析 マニフェストは選挙用の広報資料であり、そこからは民主党の政策の本質は見えてこない。本著は過去に民主党が提出してきた法案や政策提言をもとに99の主要政策を徹底検証した上で、その底流にある理念を浮き彫りにすることを試みている。その民主党が政権の座についた今、これまで提案してきた政策を実行に移すことを監視する意味でも、ぜひ多くの人に活用してほしい。


ダイヤモンド社 / 1、500円

■血の政治 青嵐会という物語

河内 孝 (毎日新聞出身)
青嵐会の軌跡 血判で契りを交わし、武道館で決起集会を行い、全国紙に意見広告を出した。いつでも口角泡を飛ばし、胸ぐらをつかみ合い、灰皿や瓶を投げつけ、野蛮な極右とメディアに酷評され
た。1970年代半ば、戦後政治史上未曽有の熱さと厚かましさで一躍脚光を浴びた政治集団「青嵐会」。今、政治に求められている“何か”が彼らにはあった。太く、短く、謎多きその軌跡をあらためて現在に問う異色ノンフィクション。(本書カバーのことばから)


新潮新書 / 735円

■保守の劣化はなぜ起きたのか

花岡 信昭(産経新聞出身)
政権交代への軌跡は浮かんだか 2年間、古巣の産経新聞で「政論探究」という本音ベースの政治コラムを毎週書いてきた。新聞はナマモノだから、すでに賞味期限切れと思っていたが、この一大政変で「自民惨敗に至る予兆が浮かぶのでは」と勧めてくれる人がいて、1章だけ書き下ろしを加え、ばたばたと出版した。タイトルは仰々しいが、そういう事情だからあまり威張れない。編集側は1回分を見開きとし、読みやすいスタイルにつくってくれた。


産経新聞出版 / 1、500円

■松本清張 時代の闇を見つめた作家 

権田 萬治(日本新聞協会出身・ミステリー文学資料館館長)
清張の多彩な業績に光を当てる 『点と線』、『砂の器』、『ゼロの焦点』など松本清張が優れた社会派推理小説の書き手であることはよく知られている。しかし、氏の業績は、歴史小説から現代小説、『昭和史発掘』や米軍占領下の日本の裏面史の『日本の黒い霧』、さらには、『清張通史』に結晶する古代史研究などその守備範囲はきわめて広範囲に及ぶ。このため、これらすべてについて論究した評論はほとんど皆無だった。本書はその空白を埋めようとする試みである。清張ファンの方には是非ご一読いただきたい。


文藝春秋 / 1、600円

■消費税をどうするか─再分配と負担の視点から

小此木潔 朝日新聞論説副主幹
危機を超える改革へ 消費税問題には、連立方程式を解くような複雑さがある。「財政赤字が大きいから、増税は不可避だ」という論理だけでは解決しない。 「折り重なる危機をいかに克服するか」を考えると、所得再分配の必要性や「逆進性を消す集め方と配り方」が課題になる。さらに「景気を失速させない方法」はどうあるべきか、というふうに方程式を立てて解いてみると…。その作業に挑んだのが本書である。


岩波新書 / 735円

■国境なき大陸 南極─きみに伝えたい地球を救うヒント

柴田鉄治(朝日新聞出身)
南極の語り部に 私が初めて書いた子ども向けの本です。3年前、40年ぶりに南極を訪れ、国境も軍事基地もない姿にあらためて感動し、残りの人生を「南極の語り部」になろうと決心しました。そして「世界中を南極にしよう!」「愛国心でなく愛地球心を」「教育に南極を」と各地で講演していたら、たまたまその話を聴いていた人のすすめで生まれたのがこの本なのです。あちこちのページに出てくるペンギンの漫画の可愛いことといったら…。贈り物に最適ですよ。


冨山房インターナショナル / 1、470円

■人づくりと江戸しぐさ─おもしろ義塾

桐山勝(日経出身、NPO法人江戸しぐさ副理事長)
江戸しぐさで日本人論 「謙譲だが卑屈ではない」。明治22年、日本を訪れた英詩人、エドウィン・アーノルドがこう評している。豪商たちが生み、庶民にまで普及していた「江戸しぐさ」を指してのことだ。明治維新で江戸の良さはすっかり否定されてしまったが、最近の見直し機運は心強い。「傘かしげ」に代表される思いやりやお互いさまといった基本から「痩せ我慢」のリーダーの心得まで、川柳や落語、豪商の家訓などを引用、時代背景に立ち入って、わかりやすくまとめた。ささやかな日本人論でもある。越川禮子理事長との共著。


MOKU出版 / 1、575円

■日米開戦をスクープした男 実録・海軍報道戦記

後藤基治著 
前坂俊之編集 (毎日新聞出身)
戦時報道に命をかけた記者群像 昭和16年12月8日、「毎日新聞」は 〈国家最高機密の「開戦Ⅹデー」〉真珠湾攻撃をスクープした。この新聞史上に輝くスクープをはなったのが後藤基治記者。本書は後藤の戦時報道回想録「海軍報道戦記」の復刻版である。海軍記者クラブ「黒潮会」の担当として、東条内閣成立をスクープするなど数々の秘話と、海軍最大のスキャンダル「海軍乙事件」の謎にもせまっており、きびしい検閲と報道規制の中で、戦時報道に命をかけた記者群像を描く感動のドキュメンタリーである。


新人物文庫 / 700円

■現在窮乏、将来有望 評伝 全日空を創った男 美土路昌一

早房 長治(朝日新聞出身)
ANA創業者の物語 日本航空が破綻し、政府の全面支援による再建が成功するかどうかが、業界を超えた問題になっている。親方日の丸会社と対照的な存在が純民間の全日空。その創業者が戦前・戦中、朝日新聞幹部だった美土路昌一である。 旧民間航空関係者の救済団体が日本ヘリコプター輸送、全日空へと発展するのだが、発展の源は翼を奪われた飛行機野郎を大空に返してやろうという愛情と、絶対に政府に頼らず社会に貢献するという志であった。


プレジデント社 / 1、680円

■痛快無比!ニッポン超人図鑑

前坂 俊之(毎日新聞出身)
超人たちのケタはずれ人生 「日本人の知の限界値、ノーベル賞を超えた天才脳」といわれた南方熊楠を筆頭に明治・大正・昭和の歴史の中で、時代を大きくチェンジした超人、天才、奇人80人をピックアップし、そのケタはずれの人生を、思わず吹き出す抱腹絶倒のエピソードを交えながら紹介した本。この80人はある面では日本人の独創性、可能性の極限値を表わした人物ですが、近年このような破天荒な人物が少なくなっていることが日本人の創造性の衰弱ではないかと気になる。


新人物文庫 / 700円

■勉學の務め擲ちて 山高生の戦争体験

森脇 逸男(読売新聞出身)
旧制山口高校戦争体験の記録 戦争の時代の体験を次の世代に残すことは、今最も大切なことの一つだ。母校、旧制山口高校が昨年、創立90周年を迎えたのを機に、同窓生に戦争体験の寄稿を呼びかけ、物故者の文章も集めて、計81人の同窓生の文章83編と戦死者名簿、学徒動員記録などを収録し、424ページの記念文集を作った。
  初年兵時代の苛酷な訓練やしごき、紙一重の差で生死が分かれる前線の非情、何千キロにも及ぶ逃避行、木の根やカタツムリまで食べた飢餓、戦後の捕虜収容所での数々の屈辱など、壮絶な体験の数々は、まさしく本人でなければ語れないものだった。


東京鴻南会 / 非売品

■日本力

エバレット・ブラウン (epa通信社日本支局長)
JAPANSを語りつくす 日本は、ただ一つの日本ではない。かつて日本文学研究者のドナルド・キーンやジョン・ダワーが指摘したように、日本はもともと単数の「JAPAN」というよりも、実は複数形の「JAPANS」なのである。「JAPANS」は、今どういう形で現れているのか。また、「日本力」はどこに潜んでいるのか。日本文化研究者の松岡正剛と語りつくした対談本。いまを生きる「日本人」に勇気を与える一冊である。構成は、対談+引用+写真。松岡正剛氏との共著。


PARCO出版 / 1、680円

■核なき世界へ

岩垂 弘 (朝日新聞出身)
核兵器を廃絶するにはどうしたらいいか 09年4月にプラハで行われたオバマ米大統領の演説を機に、世界は「核兵器のない世界」に向けて動き出した。こうしたまたとない好機に、日本の市民は何をなすべきか。こうした視点から、これまでの日本の反核運動の変遷や現状を紹介しながら、運動の方向と課題を提案したのが本書である。運動団体や自治体は本年5月のNPT(核不拡散条約)再検討会議に向け核兵器廃絶署名に取り組んでいるが、運動やメディアの関係者にはぜひご一読いただきたい。


同時代社 / 1、995円

■東北ビジネス最前線

伊藤 裕造 (東日本放送社長 朝日新聞出身)
東北の強靱さと先進的取り組み 地方軽視の経済政策で、低迷を強いられてきた東北の新たな可能性を探る経済番組「東北ビジネス最前線」(月1回放送)を本にまとめました。トヨタグループの東北への本格的進出をきっかけに、弊社には経済記者がいなかったこともあり私自身も出演する形で始めたのですが、地球環境問題と戦後最悪の経済危機が重なり、東北には逆に大きな有用性とビジネスチャンスが生まれています。各分野のリーダーのインタビューをまとめたDVD付きです。東北の強靭さと先進的な取り組みは、今後の日本経済の進むべき方向のヒントになると思います。


東日本放送 / 2、625円

■ウィーン─多民族文化のフーガ

加藤 雅彦(共著) (NHK出身)
多様な視点からみた旧帝都 欧州統合の父クーデンホーフ=カレルギー伯。彼の思想の原点は、多民族文化の都ウィーンにあったのではないか。そんな問題意識も念頭におきながら、政治、音楽、建築、文学、思想、都市、市民生活など、多様な視点から旧帝都にスポットをあてた本です。中欧に関心のある方はもちろん、旅行への知的ガイドとしても役立てばと願っています。


大修館書店 / 2、520円

■検証 シベリア抑留 

白井 久也 (朝日新聞出身)
抑留問題の核心に迫る 戦後、大きな政治・社会問題となった関東軍将兵約64万人のシベリア抑留とは、日本人にとって一体、何だったのか?モスクワのロシア国立軍事公文書館で、約70万人分の名簿が新たに発見されて、にわかにホットな問題になった。 日ソ中立条約を一方的に破棄して、日本人捕虜に強制労働を科したソ連に最大の「非」があることは言うまでもない。では、日本は「無罪放免」か。そうではあるまい。明治以来の大陸侵略政策の破産が、結果的にシベリア抑留につながっていった歴史的事実を、見逃すわけにはいかない。 様々な文献や証言を駆使して、長年、棚ざらしになってきたシベリア抑留問題の核心に迫った本である。


平凡社新書 / 840円

■軍談 秋山真之の日露戦争回顧録 

前坂 俊之(編解題) (毎日新聞出身)
参謀・将校の貴重な証言を収録 NHK大型歴史ドラマ『坂の上の雲』の放送などで日露戦争への関心が高まっていますが、今の若い世代の理解を深めるために連合艦隊名参謀・秋山真之の幻の名著「軍談」とともに日露戦争30周年を記念した1935(昭和10)年に毎日新聞が行なった陸海軍の参戦将星、提督の大座談会を再編集して1冊にまとめて、詳細な解説をほどこしました。 奇跡的な大勝利となった日本海海戦を秋山が回想し当時の参謀・将校の貴重な証言を満載しています。


新人物文庫 / 700円

■現代ロシアの深層─揺れ動く政治・経済・外交

小田 健(日本経済新聞編集委員)
隣の大国を包括的に解説 エリツィン以降の現代ロシアを分野別に論じた書は多いが、政治、経済、社会、軍事、外交と総合的にかつ深掘りして取りあげた。このため600ページ近い厚い本になった。
  ロシアはソ連崩壊後、紆余曲折を経て西側諸国とは一線を画す独自の道を模索する国として台頭してきた。しかし、日本におけるロシアへの関心は低く、時にゆがみもあるとの問題意識もあった。エピソードを交え冷静にロシアの実像を描く試みに挑戦した。


日本経済新聞出版社 / 6300円

■ここに記者あり! 村岡博人の戦後取材史

片山 正彦 (共同通信出身)
不屈の生涯一記者 サッカー日本代表のゴールキーパーから記者になった村岡博人は、共同通信の社会部で私の先輩だった。村岡は定年まで、いや定年後も最前線の現場で記者活
動を続けた。文字通りの生涯一記者・村岡は、戦後史の様々な取材現場で権力とぶつかった。どんな誹謗・中傷にも屈せず、鋭い質問を権力に浴びせ続けた村岡。その足跡を伝えることで、記者の仕事とは何かを読者に、とりわけ後輩記者たちに考えてもらいたいという思いで本書を書いた。


岩波書店 / 1995円

■どうする情報源─報道改革の分水嶺

藤田 博司 共同通信出身)
情報源の扱いを見直す 「小沢・検察報道」に絡んで、「関係者によると」という情報の伝え方が政治問題にまでなりました。それに便乗したわけではありませんが、ニュース報道における「情報源」の扱いを見直しては、という問題提起をしてみました。とかく瑣末なことと考えられがちですが、ジャーナリストの意識に関わる問題と考えています。日本のジャーナリズムの改革に向けた議論を起こすきっかけになれば、と秘かに「大望」を抱いています。


リベルタ出版 / 1995円

■アメリカ大統領が死んだ日 一九四五年春、ローズベルト

仲 晃 共同通信出身)
カリスマ大統領急死の衝撃を追う 日本の終戦については、山のように本が出ているが、相手側のアメリカの終戦事情は今なお霧の中である。本書は、当時米国を指導したカリスマ的大統領が、余命1年の深刻な病状だったのをひた隠しにして立候補、当選(4選)し、わずか82日後の終戦4カ月前に急死した時の政治的、社会的衝撃をつぶさに追跡した。この時点から“戦後”がスタートしたとして、歴史観の転換を図る。長年の秘められた恋の軌跡も、本書で初めて明らかにされている。


岩波現代文庫 / 1365円

■明治三十七年のインテリジェンス外交─戦争をいかに終わらせるか

前坂 俊之(毎日新聞出身)
サムライ外交の知恵 日露戦争勃発。米国を味方につけるために、伊藤博文の密命を帯び金子堅太郎が米国に派遣された。ハーバード大でルーズベルト大統領と同窓生だった金子はその卓越した英語スピーチ、ディベート能力で獅子奮迅の活躍ぶりで、米世論を味方につけ講和斡旋にこぎつけた。新渡戸稲造以上のサムライ外交の勝利といえる。本書は日露戦争外交秘録「金子工作」の全容を明らかに、迷走する現在の日本外交に貴重な指針を与えるものと思います。


祥伝社新書 / 861円

■海外広告事情

八巻 俊雄(日本経済新聞出身)
38カ国の広告事情 広告の仕事を始めて、55年、この間、海外60カ国を回る機会があった。広告事情の視察、会議の出席、学会での発表などである。このうち38カ国の広告事情を、日本産業広告協会発行の「産業広告」に連載してきた。資料は国立国会図書館のほか電通のADMT(アド・ミュージアム・トーキョー)の吉野由麗さんの協力を得た。 回った国を世界地図で色付けをして表紙裏に付録とした。広告のサンプルはカンヌ国際映画祭の入賞作品、新聞、雑誌は国会図書館、不足分は駐日大使館を訪問して使用させていただいた。


高井戸文庫 / 非売品

■開戦前夜の「グッバイ・ジャパン」─あなたはスパイだったのですか?

伊藤 三郎(朝日新聞出身)
米記者の数奇な軌跡 日米開戦前夜、スパイ・ゾルゲからの情報で「ヒトラー、ソ連侵攻」などの歴史的スクープを連発した米紙東京特派員ニューマン。彼と偶然出会った著者は、日本の軍国主義を糾弾した彼の著作の日本語復刻版『グッバイ・ジャパン』を刊行(1993年)、ニューマンを幸運な無垢の記者として賞賛した。だが彼の死後「もしやスパイだったのでは」との疑念に苛まれる。そんな著者を「手直し」の執筆に踏み切らせたのは、ある歴史学者のひと言─歴史を追究するものは、死者に鞭打つことをためらうなかれ。第二次世界大戦の深い謎に迫る、スケールの大きいノンフィクションである。


現代企画室 / 2、310円

■レバノン杉物語―「ギルガメシュ叙事詩」から地球温暖化まで

伊藤 章治(東京新聞出身)
森と人間の共存を考える 10数年前、都内で開かれたレバノン杉保存の集まりで数葉の写真に接し、「貴婦人がスカートを広げたような」美しさに魅了された。同時に、人類最古の叙事詩「ギルガメシュ叙事詩」に登場するこの銘木が、乱伐で絶滅の危機にあることも知らされた。 カメラマン氏(鍔山英次会員)とともに現地レバノンに何度か通って危機の実相を追い、併せて同じ運命をたどっている秋田杉や屋久杉も訪ねて、「森と人間の共存」について考えた。 なお本書は、このほど創刊の「桜美林ブックス」の第一号である。


桜美林ブックス、発売元・はる書房 / 1、000円

■豪商と江戸しぐさ 成功するリーダー列伝 おもしろ義塾2

桐山 勝(日本経済新聞出身)
豪商にみるリーダーの心得 日本人の劣化が進んでいる─そんな危機感から昨年末、『人づくりと江戸しぐさ』を上梓した。「思いやり」や「お互いさま」の大切さを訴えた。年齢に関係なく、人間として身につけておきたい心得だ。 今回は豪商にみるリーダーの心得。15のケースを取り上げた。「信望と人望」「戦略と戦術」「優しさと勁さ」など、それぞれの違いがわかり、実践してこそリーダーといえまいか。 商人からみた「江戸の経済社会史」としても読んでいただける。


MOKU出版 / 2、100円

■石油国家ロシア─知られざる資源強国の歴史と今後

鈴木 博信訳(NHK出身)
核より物言うエネルギー兵器!  帝政ロシア時代、米露2国だけで世界の石油産出高の97%を占め、米国をしのいで世界一の産油国になったこともあるロシアが、石油大国として復活した。しかも今回は天然ガスという「新しい政治的武器」をあわせもつガス大国でもある。冷戦期も今も核兵器は「相互確証破壊」つまり使えば共倒れになる「使えない」手札であるが、ガスパイプラインはその気になれば「使える」手段である。 西側わけてもガス供給をロシアに大きく依存するEU諸国は「相互確証抑制」つまり相手を有効に抑止する手を欠いており、ロシアは潜在的にはソ連を上回る影響力を秘めた大国だ─と著者は主張する。


日本経済新聞出版社 / 2、310円

■放送法を読みとく

山田 健太ほか編(日本新聞協会出身)
“いま”の放送法の理解のために 先般の国会で廃案になった法案の一つに「放送法」がある。大臣自らが50年ぶりの大改正と呼んでいた、「放送と通信の融合」状況に対応するための法制度の整備である。 いったい放送がどう変わるのかを知るためには、「いま」の放送制度をきちんと理解することが必要だ。日本の放送の歴史と現行制度の仕組み、さらに後半では放送法の逐条解説を収録した本書は、そのための一冊としての役割を果たすことができるはずだ。未来の「放送」を語るために、ぜひ手にとっていただければと思う。


商事法務 / 3、465円

■命なりけり 特攻四たび生還の記 

堀越 作治 (朝日新聞出身)
生還特攻隊員二人の苦悩を追う 「死への片道切符」といわれた「特攻隊」で、いかに多くの若者が命を落としたことか。第二次大戦末期のあの悲劇には、まだ語り尽くされぬことが多々あるが、ここに取り上げたのは、特攻機のエンジン故障で4回も戻った元隊員の記録である。
  仲間が皆敵艦に突っ込んだのに、ただ一機基地に帰る時の苦悩。それが二度、三度、四度。そして軍の出撃記録にも載せられず「なかった」ことにされた二人の隊員の後を追う。


東京図書出版会 / 1、260円

■永田町の愛すべき悪党たち

髙橋 利行 (読売新聞出身)
取材者の生の感情を表に 政治の動きが世に出るのは、新聞でも、テレビでも、政治記者、放送記者という第三者が介在していることが多い。普段は見えない、その影や生の感情という「プロセス」を表に出してみたらどういうことになるのか。
  鼻持ちならない自慢話に陥りかねないし、関わらなかった動きは伝えられない。その試みを可能にしたのは、長年、政治を牛耳ってきた田中派という存在であり、著者が敢行した読みどころであるらしい。


PHP研究所 / 1、995円

■亡国のインテリジェンス ─「武器なき戦争」と日本の未来

仮野 忠男 (毎日新聞出身)
日本のインテリジェンス体制を検証 外務省上海領事館の館員自殺事件、海上自衛隊イージス艦の情報漏洩事件……。相次ぐインテリジェンスにかかわる不祥事の数々。
  「日本のインテリジェンス体制は一体、どうなっているのか」という疑問を出発点に、その欠陥や是正策について、中西輝政京都大学教授、大森義夫元内閣情報調査室長、岡崎久彦元外務省情報調査局長らインテリジェンス専門家19人と語り合った。問題提起型の画期的な対話集になったと自負している。


日本文芸社 / 1、680円

■日本まちづくり事典

井上 繁 (日本経済新聞出身)
低炭素社会から大根まで まちづくりは、生活の舞台である地域を元気にする活動である。都市再生や交通だけでなく、環境、景観、文化・芸術、産業・経済、コミュニティ、NPO、観光など多彩なテーマをそ上に乗せた。巻末に、全国のすべての市区町村のまちづくりの特徴をキーワードで示している。651ページの本書の3分の1はキーワードと索引である。3年前に上梓した『世界まちづくり事典』とともに、クラブの本棚に置かせていただいている。要覧とはひと味違った地域の姿を調べる際に、ご活用ください。


丸善 / 15、750円

■「沖縄と日米安保」~問題の核心点は何か

池田 龍夫・共著 (毎日新聞出身)
日米関係再構築を 「60年安保改定」50年を機に、記者クラブ同人の柴田鉄治、鈴木顕介、池田龍夫が分担執筆し、社会評論社からブックレットを緊急出版しました。柴田は「日本のメディアの驚くべき『変質』」を論じ、鈴木が「アメリカの世界戦略と日本」を分析、池田は「『日米密約』の背景」にメスを入れています。普天間問題の紛糾が続いている今、日米関係再構築を訴える私たちの願いを読み取っていただければ幸いです。


社会評論社/ちきゅう座ブックレット / 1、260円
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