2013年11月25日 10:30 〜 12:00 10階ホール
研究会「高レベル放射性廃棄物処分」杤山修・原子力安全研究協会処分システム安全研究所長

会見メモ

10月下旬、経産相諮問機関の総合資源エネルギー調査会専門部会の「地層処分ワーキンググループ」委員長に就任した杤山修原子力安全研究協会処分システム安全研究所長が、個人的見解と断った上で、「放射性廃棄物の地層処分を考える」と題して話した。廃棄物を処分せずにいつまでも地表に置いておくことはできない。すでに存在するものを科学的だけでなく社会的にも国民に納得してもらい、安全に処分することを現世代の共通目標とすべきだ、と。

司会 日本記者クラブ企画委員 服部尚(朝日新聞社)


会見リポート

原発バックエンド問題 汚染水・廃棄物処分を考える

大牟田 透 (朝日新聞論説委員)

国内の原発をめぐり、眼前の最大の問題はもちろん福島第一原発事故の収束、なかんずく放射性物質による大量の汚染水の処理であろう。


一方、ぐっと引いて俯瞰してみると、使用済み核燃料を含む放射性廃棄物の処分問題が巨大な壁となってそびえていることがわかる。


タイプは異なるが、現在、原発の将来を論じる上で避けて通れない2つの大問題が、日本記者クラブの研究会で相次いで取り上げられた。時宜にかなったテーマ設定だ。


福島第一原発の汚染水に関して、産業技術総合研究所の安原さん(写真下右)と塚本斉さん(同左)は、現地の地質構造と地下水の実測データに基づいて水文学的な考察を披露した。


結論からいうと、原発敷地内に流れ込んでいる地下水は、敷地を含む台地に降り地中に染み込んだ雨が起源と考えていいという分析だ。


つまり、原子炉建屋などに流れ込んで新たな放射能汚染水になる地下水を減らすには、まず台地から雨水が染み込まないように表面を遮水処理することが有効というのである。


一方、原子力安全研究協会の杤山さん(上)は放射性廃棄物を地中深くに埋める「地層処分」について「国内にも適地はある」と強調し、「廃棄物は原発への賛否とは別にすでにあり、いつまでも地表に置かれている状態は好ましくない」と述べた。


いずれも純科学的観点からは、それなりに合理性があると聴いた。


ただ、汚染水では考察を裏付ける観測井戸さえ高い放射線に阻まれて思うように掘れない。地層処分は果たして民主的な手続きで処分場を決め得るのか、大きな疑問が残った。


(この会見リポートは安原正也・産業技術総合研究所主任研究員/塚本斉・同研究所長期変動研究グループ長記者会見との統合版です)

ゲスト / Guest

  • 杤山修 / Osamu Tochiyama

    日本 / Japan

    原子力安全研究協会処分システム安全研究所長 / Director, Radioactive Waste Disposal Safety Research Center, Nuclear Safety Research Association

研究テーマ:高レベル放射性廃棄物処分

ページのTOPへ