2013年11月18日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「東電福島第一原発 汚染水処理」 安原正也 産業技術総合研究所主任研究員

会見メモ

産業技術総合研究所の地質調査総合センターの塚本斉・長期変動研究グループ長と安原正也・主任研究員が、東京電力福島第一原子力発電所周辺の水文地質構造 と地下水システム(涵養・流動・流出)について説明した。汚染水として関与しているのは、原発敷地周辺に降ってくる雨であり、対策として効果が出てくるのは時間がかかっても、フェーシング(表面遮水処理)や排水溝を掘るなどして、地下水の涵養を抑制する必要がある、と述べた。

司会 服部尚 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

原発バックエンド問題 汚染水・廃棄物処分を考える

大牟田 透 (朝日新聞論説委員)

国内の原発をめぐり、眼前の最大の問題はもちろん福島第一原発事故の収束、なかんずく放射性物質による大量の汚染水の処理であろう。


一方、ぐっと引いて俯瞰してみると、使用済み核燃料を含む放射性廃棄物の処分問題が巨大な壁となってそびえていることがわかる。


タイプは異なるが、現在、原発の将来を論じる上で避けて通れない2つの大問題が、日本記者クラブの研究会で相次いで取り上げられた。時宜にかなったテーマ設定だ。


福島第一原発の汚染水に関して、産業技術総合研究所の安原さん(写真下右)と塚本斉さん(同左)は、現地の地質構造と地下水の実測データに基づいて水文学的な考察を披露した。


結論からいうと、原発敷地内に流れ込んでいる地下水は、敷地を含む台地に降り地中に染み込んだ雨が起源と考えていいという分析だ。


つまり、原子炉建屋などに流れ込んで新たな放射能汚染水になる地下水を減らすには、まず台地から雨水が染み込まないように表面を遮水処理することが有効というのである。


一方、原子力安全研究協会の杤山さん(上)は放射性廃棄物を地中深くに埋める「地層処分」について「国内にも適地はある」と強調し、「廃棄物は原発への賛否とは別にすでにあり、いつまでも地表に置かれている状態は好ましくない」と述べた。


いずれも純科学的観点からは、それなりに合理性があると聴いた。


ただ、汚染水では考察を裏付ける観測井戸さえ高い放射線に阻まれて思うように掘れない。地層処分は果たして民主的な手続きで処分場を決め得るのか、大きな疑問が残った。


(この会見リポートは杤山修・原子力安全研究協会処分システム安全研究所長記者会見との統合版です)


ゲスト / Guest

  • 安原正也 / Masaya Yasuhara

    日本 / Japan

    産業技術総合研究所主任研究員 / Researcher at National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)

研究テーマ:東電福島第一原発 汚染水処理

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