2013年04月15日 14:30 〜 15:30 10階ホール
ラスムセン NATO事務総長 記者会見

会見メモ

NATOのラスムセン事務総長が、国際治安支援部隊(ISAF)のアフガニスタンからの撤退後の治安問題やアジアでの防衛協力などについて語った。NATOはこの地域でのプレゼンスを求めているのではなく、共通の安保課題をかかえるアジアのパートナーと協力していきたいと、と述べた。

司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)

通訳 小松達也、澄田美都子(サイマル・インターナショナル)

日本記者クラブホームページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2013/04/r00025672/


会見リポート

NATOの存在感 時代とともに変化

三好範英 (読売新聞編集委員)

かんでふくめるような丁寧な語り口。エストニア・タリンでの北大西洋条約機構(NATO)外相会議などの折、事務総長の記者会見に参加したことがあるが、今回も私の受けた好印象は変わらなかった。
冒頭のスピーチは20分弱。北朝鮮情勢、グローバル化する世界でのNATOの役割変化、アフガニスタンなどNATO域外活動に対する日本の貢献への謝意、さらなる貢献への期待表明などが内容だった。
最初の質問者として指名されたので、事務総長が言及しなかった中国に対する認識、姿勢を聞いた。
記者は3月までベルリン特派員だったので、日本と欧州における対中国認識の差異について、皮膚感覚として認識しているつもりだ。当然のこととはいえ、欧州において中国の台頭を脅威と受け止める見方は薄いし、領土問題についても、どの当事者の肩を持つことも慎重に回避する。
ただ、今回の訪日では共同宣言も用意されているし、極東情勢は日々変化している。若干踏み込んだ発言、ニュアンスの変化への期待もあった。
回答は、「中国の軍事予算の増大には注目しているが、NATO加盟国への直接的な脅威とは考えていない。私は中国指導部が、国際平和維持、安定が自国の利益になることを理解していると信じている」。
こんなところがせいぜいなのだろうな、というのが正直な感想だ。事務総長は、欧州・大西洋地域の多国間安保機構の存在が、同地域の安定の基礎となっているとして、アジアでも多国間機構の設立を、と慫慂(しょうよう)したが、我々はその困難さを日々感じている。
ただ、私には全く違う視点で発見があった。かつてNATOは「軍事」同盟ゆえに、日本の言論空間では継子扱いされるようなところがあった。記者会見ではそうした予断に基づく質問は皆無だった。時代相の大きな変化を物語っているのだろう。

ゲスト / Guest

  • ラスムセン / Anders Fogh Rasmussen

    NATO事務総長 / NATO Secretary General

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