2013年03月27日 11:00 〜 12:00 10階ホール
パウロ・ポルタス ポルトガル 外相 記者会見

会見メモ

ポルタス・ポルトガル外相は、ポルトガル経済が回復してきており、投資対象国しての利点を列挙した。

2年前には金融危機のために、780億ドルの再建プログラムを受けなければならなかった。現在は、経済改革がすすみ、公的支出も削減するなど、危機を脱しつつあり、投資環境が整備されてきた。ギリシャとではなく、アイルランドの例と比べてほしい。両国は一万キロも離れているが、交流は470年前に始まり、古い友人としてつきあってきた。日本語の、パン、コップ、ボール、ボタン、テンプラ、おんぶ、ビードロなどはポルトガル語の起源をもつ、と。それだからこそ、緊密な経済・貿易関係を築いていかなくてはと、日本からの投資をよびかけた。キプロスの財政問題については、キプロス固有なものなので繰り返されることはない。背景には、預金の安全性、銀行の信頼性といった家庭や企業にとって、非常に大切と考えられている西欧的価値観があると思う、と。

司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)

日本記者クラブホームページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2013/03/r00025582/


会見リポート

欧州に南北はない

松尾 圭介 (時事通信外信部)

ポルトガルは、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインと並びユーロ圏の高債務5カ国「PIIGS」と呼ばれ、欧州経済危機の元凶としてブタ扱いされてきた。最近はこれにキプロスも加わっている。アイルランドを除き、いずれも欧州連合(EU)の南に位置するが、ポルタス外相は会見で「南の欧州が悪徳ばかりで、北の欧州が有徳ばかりだと語るのは、歴史をまるで知らない者の言葉だ」と強く反発した。

経済危機に絡め欧州の南北を「勝ち組」「負け組」と色分けしたがるここ数年の傾向に対し「大衆迎合的な見方」と切り捨てた。こうした考えを抱く者は「欧州統合がそもそも平和への試み、繁栄への試みであることを忘れている」と語り、EUの基本が分かっていないと批判した。

欧州統合は「責任感と連帯感を持って結束し(ポルトガルの首都)リスボンから(リトアニアの首都)ビリニュスまで南も北も一緒になって進めようというものだ」と強調。EUの一体性について「南欧、中欧、北欧のどこを欠いても欧州ではなくなる」と主張した。

ユーロ圏離脱の可能性もささやかれるキプロスの混乱については「特殊な事例だ」と意に介さない。ポルトガルを含め「他で繰り返されることはない」と何度も強調した。その根拠として「EUは欧州の価値観、西欧の価値観を共有している」からだと説明。その共通の価値観とは「預金の安全性確保、銀行への信頼」だと解説した。

2月の総選挙後、新政権を発足させられないでいるイタリアについても「政治的洗練という点では雄大で長い歴史を持っている」と指摘。イタリア政治の混乱は今に限った話ではなく「最後は必ず解決策を見つける」とラテン系同士の妙な信頼感を満面の笑顔で紹介した。


ゲスト / Guest

  • パウロ・ポルタス / Paulo Portas

    ポルトガル / Portugal

    外相 / Foreign Minister

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