2013年02月15日 15:00 〜 16:00 宴会場(9階)
マリキ パレスチナ外相 記者会見

会見メモ

「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」(2月13、14日)に出席のため来日した、パレスチナ自治政府のリヤード・マリキ外相が会見し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 高畑昭男(産経新聞)

通訳 大野理恵(サイマル・インターナショナル)

日本記者クラブのページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2013/02/r00025396/


会見リポート

瀕死の2国家 解決策を危惧

貫洞 欣寛 (朝日新聞国際報道部)

 日本が東アジア諸国を巻き込んでいったパレスチナ支援会合に出席するため来日したパレスチナ自治政府のマリキ外相が、パレスチナ側から見た中東和平問題の現状を、当クラブで1時間半にわたり語り続けた。

 1993年に成立したオスロ合意は、イスラエルとパレスチナ双方が長年の対立と戦争に背を向け、平和のため交渉し、紛争の解決を図るというものだ。世界中が歓迎の声を上げた。だが、それから20年経った今もパレスチナの苦悩は続く。

 なぜか。「オスロ合意は、5年後のパレスチナ建国に向けて最終的な合意を目指すものだった。我々はオスロを、国造りに向かう橋だと思っていた。一方、イスラエルは、これを最終地点にしようとした」

 パレスチナ側はオスロ合意を「紛争解決の手段」と理解していたが、イスラエル側は「危機管理のプロセス」ととらえ、状況を管理しながら現状維持を図ろうとした、と指摘する。イスラエルにとって、占領を続けるほど入植を拡大し、パレスチナを併合できる可能性が高まっていく。さらに、パレスチナはイスラエル製品にとって欧州連合に次ぐ規模の市場に成長した。「占領にはメリットがあるのだ」

 昨秋、国連のオブザーバー国家承認を求めた理由を「この状況で我々が仲裁を頼むとすれば、そもそも、今の問題を生み出した国連総会に立ち戻り、正当性を主張するしかなかった」という。

 瀕死の2国家解決策を「なんとか救済しなければ。何も得られないまま交渉を永遠に続けることはできない。もし2国家策がつぶれたら、どうなるか。あまりにも危険な答えしか、そこにはない」。マリキ氏の指摘に、イスラエル側からは反論があろう。だが、平和的解決のため残された時間が刻々と減っていることは、疑いようがない。


ゲスト / Guest

  • リヤード・マリキ / Riad Malki

    パレスチナ自治政府 / Palestine

    外相 / Minister of Foreign Affairs

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