2012年11月22日 10:00 〜 11:00 10階ホール
IEA世界エネルギー展望2012年版 会見

会見メモ

世界エネルギーアウトルック2012年版

11月12日にロンドンで発表した国際エネルギー機関(IEA)の最新報告書について、マリア・ファン・デル・フーフェン事務局長が詳細を説明し、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ企画委員 小此木潔(朝日新聞)

通訳 池田薫、大野理恵(サイマル・インターナショナル)

同席者:アモス・ブロムヘッド上級分析官(Amos Bromhead)


国際エネルギー機関(IEA)のホームページ

http://www.iea.org/

11月12日に発表された報告書のリンクは下記。

英文プレスリリースへのリンク

http://www.iea.org/newsroomandevents/pressreleases/2012/november/name,33015,en.html

日本語のエグゼクティブサマリー

http://www.iea.org/publications/freepublications/publication/Japanese.pdf

英語のエグゼクティブサマリー

http://www.iea.org/publications/freepublications/publication/English.pdf


日本記者クラブのページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2012/11/r00025044/


会見リポート

エネルギー効率化が温暖化にも貢献

会川 晴之 (毎日新聞編集委員)

「不可能ではないが、大変な取り組みとなるだろう」

国際エネルギー機関(IEA)のファンデルフーフェン事務局長は、民主党政権が掲げた脱原発政策に疑問を投げかけた。

その理由はいくつかある。

例えば、再生可能エネルギー促進に不可欠な補助金制度の問題だ。従来型エネルギーよりも発電コストが高い再生エネルギー導入には「固定価格買い取り制度」などの補助金制度が必要となる。しかし、再生エネルギー先進地域の欧州では、財政危機を背景に補助金を減額する動きも出ている。事務局長は「価格が高すぎる買い取り制度は持続不可能だ」と、問題点を指摘した。

さらに、送電線網の強化や、万が一に備えた予備電力の整備、液化天然ガス(LNG)輸入増などに伴うコスト増や、地球温暖化への影響などにも触れた上で、「日本のエネルギー安全保障にも影響を与える」と踏み込んだ。

ただ、IEAといえども、一国のエネルギー政策に介入することはできない。事務局長は、脱原発政策は「日本政府が決めること」と述べ、総選挙後に発足する新政権の政策を見極める姿勢を示した。

一方、世界有数の「省エネ大国」である日本が、新技術開発に注力すれば、国内総生産(GDP)を0・4%押し上げる効果があると強調、この分野で日本が世界のリーダー役を果たすことに期待を寄せた。

IEAは、各国がエネルギー効率化に注力すれば、世界のエネルギー消費量の伸び率が「半分にとどまる」と見ている。2035年までにこれを実現すれば、サウジアラビアの産出量を上回る量の石油を節約することが可能となる。資源の有効活用が図れるほか、地球温暖化にも貢献する。「世界はこれにもっと注目すべきだ」と、取り組み強化を訴えた。




ゲスト / Guest

  • マリア・ファン・デル・フーフェン / Maria van der Hoeven

    国際エネルギー機関 / IEA

    事務局長 / Executive Director

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