2011年11月02日 15:00 〜 16:00 10階ホール
オーロフ・アメリーン ノーベル博物館館長 記者会見

会見メモ

司会 日本記者クラブ企画委員 坂東賢治(毎日新聞)

通訳 高松珠子 (サイマルインターナショナル)


国立科学博物館 ノーベル賞110周年記念展のページ

http://www.kahaku.go.jp/event/2011/11nobel/


日本記者クラブのページ

http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2011/11/r00023461/


会見リポート

ノーベルの生涯たどる記念展

野田 武 (毎日新聞科学環境部)

科学や文学の世界でもっとも権威のあるノーベル賞。100周年を記念し、2001年にストックホルムに開設されたのが「ノーベル博物館」だ。ダイナマイトの発明で築いた財産で賞を創設したノーベルの生涯や、過去の受賞者を紹介している。今年、東京・上野の国立科学博物館で開催中(1月22日まで)の記念展に合わせ、オーロフ・アメリーン・ノーベル博物館長が来日、会見で内容を紹介した。名前とは裏腹にさほど知られていない、彼自身に焦点を当てた展示だという。


幼少期に過ごしたサンクトペテルブルクで、ダイナマイトの発明につながるニトログリセリンと出会った。その後、各国で会社を設立し、事業のために旅して回る日々を送った。記念展ではこうした生涯や、それを物語る遺品の時計や旅行バッグなども見られる。


一方、過去の受賞者に、ノーベルに関する質問に答えてもらう映像を流し、多角的に人物像に迫ろうという試みもある。例えば「なぜノーベルは賞を設けようと思ったのか」。ある受賞者は、「発明した爆発物で多くの人が命を落とした罪悪感からではないか。彼は平和な未来を願ったと思うが、今の世界を見ると100年前とそう変わっておらず幻滅するのでは」と語っている。


アメリーン館長は「世の中に、優秀な科学者をほめたたえようという雰囲気があった。死去した1896年は近代オリンピックが初めて開催された年でもある。これらに共通点があるのではないか」と述べた。ちなみに今もノーベル賞はスウェーデン人にとっても最大のお祭りで、「多くの国民が、晩餐会を何時間にもわたってテレビ中継で見ている」のだという。


受賞の業績に目がいきがちなノーベル賞だが、記念展を見れば少し違った楽しみ方もできそうだ。


ゲスト / Guest

  • オーロフ・アメリーン / Olov (Olle) Amelin

    ノーベル博物館館長 / Museum Director, The Nobel Museum

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