2024年02月06日 16:30 〜 17:30 9階会見場
アリザ・ビン・ノン イスラエル外務省政務局長 会見

会見メモ

イスラエル外務省のアリザ・ビン・ノン政務局長が、ハマスとの戦闘開始からまもなく4カ月を迎える中で会見に臨んだ。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

軍事行動を正当化する自衛権

田中 祥彦 (北海道新聞社論説委員)

 イスラム組織ハマスによる大規模な越境攻撃から4カ月となるタイミングで開かれた会見は、イスラエル軍による攻撃の正当性を訴えることが主眼となった。その根拠が国際法に基づく自衛の権利の行使という主張だ。パレスチナ自治区ガザの惨状に対する国際社会の懸念を踏まえつつも、ハマスの壊滅と人質解放の目的を達成することなく停戦することは「負けを意味する」と強調。その妥協を許さない姿勢はむしろ、事態を打開することの困難さを浮き彫りにする格好となった。

 すでに2万7千人以上が犠牲となり、食糧や医療資源の深刻な不足が続くガザの人道危機に対し、イスラエルの軍事行動が許容される余地があるのか。会見で最大の関心を集めた問いに対する答えは明白だった。「突然攻撃され、多数殺害されたのはイスラエルだ。安全保障と治安上の脅威であるハマスは解体しなければならない」と訴えた。

 雇用を提供し、大規模なインフラ整備の計画が進むなど、両者の関係が改善の方向にあった中でのハマスの攻撃だったと述べ、「(パレスチナ側にとって)テロを行う価値はなかったはずだ」と驚きを持って受け止めたという。あえてその衝撃に触れたのも「1200人が殺害され、約240人が連れ去られ、多くが家を追われた悪夢のような現実」に理解を求めるためだったのだろう。

 イスラエルに対し、ジェノサイド(集団虐殺)行為を防ぐあらゆる手段を講じるよう命じた国際司法裁判所(ICJ)の暫定措置についても、「停戦については触れなかった。自衛の権利があることを認めた」と指摘。ICJが求めた人道状況の改善の方策も「現在は1日何百台ものトラックが物資を輸送している。最大限の支援は行われている」と懸念の払拭に努めた。

 印象的だったのは、会見でガザの窮状にもたびたび言及したことだ。その配慮が真に人道危機の解消に結びつくか。注視したい。


ゲスト / Guest

  • アリザ・ビン・ノン / Aliza Bin-Noun

    イスラエル外務省政務局長 / Political Director, Ministry of Foreign Affairs of the State of Israel

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