2024年01月19日 11:30 〜 12:00 10階ホール
「能登半島地震」(2) 茶谷義隆・七尾市長

会見メモ

発災からまもなく3週間を迎えるのを前に七尾市の茶谷義隆市長がリモートで会見に臨んだ。

最大の課題は断水が続いていることと説明。避難所での生活が長期化することで災害関連死が増えることに懸念を示した。

またメディアへの要望として「復興の状況を発信し続けてもらいたい。そのことが住民の励みにつながる」と話した。

 

司会 元村有希子 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

 


会見リポート

復興見守り発信して

菅沼 舞 (毎日新聞大阪本社科学環境部)

 2024年の元日に起きた能登半島地震の被災地では、上下水道の復旧の遅れが顕著だ。被害がひどかった自治体の一つ、七尾市の茶谷義隆市長は「一番の要望は水の関係。とにかく早い水の復旧を」と、国や石川県に訴えた。

 「能登はインフラに関する投資があまりされてこなかった。県の送水管が1本。そこが7割ぐらいを占めており、途絶えてしまうと水がこない」。茶谷市長は、断水が続く理由を会見で明かした。

 発言には、県の南北格差がにじむ。石川県は金沢市を中心に、南は南加賀地域、北は能登地域に広がる。南部は小松空港があり、2024年3月の北陸新幹線の延伸開業を控えて振興機運が高まっているが、能登地域は地震前から社会基盤整備が進まず、医療確保も困難な状況に陥っていた。「災害は弱い人・所にしわ寄せがいく」という言葉が当てはまる。

 災害のたびに「過去の教訓は生かされたのか」が問われる。1995年の阪神大震災時、茶谷市長は大阪にいたが、情報網が寸断して苦労したという。今回の地震では、全国の首長有志で作るSNSネットワークが機能し、速やかに支援物資や情報が届いた。「つながりが効いた。大震災の経験は生かされている」との言葉に、一筋の希望を感じた。

 七尾市は能登半島の中央に位置し、1200年以上の歴史を誇る和倉温泉を抱え、港もある。茶谷市長はこの地の利を生かして、市を復興の拠点にしたいと意気込む。復興を支える人を受け入れる体制づくりには早い復旧が必要と主張。技術者の配置も国や県に求めている。

 政治と金の問題や日々起きる事件・事故などに紛れ、被災地は忘れられがちだ。「災害の復興を見守って、発信してほしい」。メディア関係者に向けられた茶谷市長のメッセージを、心にしっかりと刻んだ。


ゲスト / Guest

  • 茶谷義隆 / Yoshitaka CHATANI

    七尾市長 / Mayor of Nanao city

研究テーマ:能登半島地震

研究会回数:2

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