2016年11月04日 16:00 〜 16:30 10階ホール
アウンサンスーチー ミャンマー国家顧問兼外相

会見メモ

当クラブの会見は3年半ぶり。前回は反政府リーダー、今回は事実上の政府最高指導者として登壇した。「現行憲法は真に民主的ではなく改憲に努力する」「中国を含めすべての国と仲良くしたい」。毅然、時に微笑みを交えての30分余の会見となった。
司会 伊藤芳明 日本記者クラブ理事長(毎日新聞)
代表質問 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 西村好美、大野理恵(サイマル・インターナショナル)

YouTube会見動画

会見詳録


会見リポート

国家背負うリーダー にじむプライド

吉岡 桂子 (朝日新聞社編集委員)

安倍首相や岸田外相との会談、天皇皇后両陛下との会見、そして80年代半ばを過ごした京都大学からの名誉博士号の授与―。8千億円規模の日本からの支援にも合意した5日間の滞在を「真の友好関係の頂点に立つような経験」と振り返った。

 

3年半前は、民主化に向けて闘う野党・国民民主連盟の指導者として来日した。今回は、山積する課題を抱える国家を担う、指導者としての姿があった。

 

軍事政権下に成立した現行の憲法を「真に民主的なものではない」。「確約はできないが、改憲のため、懸命に努力する」と述べて、新政権の5年の任期中に改正を実現する意欲を、あらためて示した。

 

政権に就いて真っ先に訪問した中国との関係を「極めて良好であり、もっと良くなってほしい」と言い切った。「敵対的な国は作りたくない。日本を含む全ての国と友好的な関係を築きたい」とも。「また、この質問ね」という表情をにじませながら「全方位外交」を強調した。

 

軍・警察によるイスラム教徒ロヒンギャへの弾圧問題については、「調査し、法に基づき対処する」と繰り返した。

 

見出しにならないようなやりとりにも、こだわりがうかがえた。最高指導者と呼ばれると即座に否定し、「私は与党の党首。最高指導者は国民です」。訪日のメリットを聞かれると、「何かもらおうと思って来ているわけじゃない」。日本の男女格差については、「経済の豊かさが達成されれば変わるはずなのに、日本はそうではない。どうしてなのか、教えてほしい」とチクリ。

 

日英同時通訳で会見は進んだ。ミャンマー語による記者の質問には、自ら通訳し、自ら答えた。恐縮する司会者に「慣れていますから」。国際社会に対する「報道官」をも長く兼ねてきたスーチーさんの歴史を、思わずにはいられなかった。


ゲスト / Guest

  • アウンサンスーチー / Aung San Suu Kyi

    ミャンマー / Republic of the Union of Myanmar

    国家顧問兼外相 / State Counsellor and Union Minister for Foreign Affairs

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