2016年11月07日 14:00 〜 15:00 10階ホール
朴柱奉 バドミントン日本代表監督 会見

会見メモ

韓国で「ダブルスの神様」と言われた名選手。日本代表監督歴も12年間の長期になる。リオ五輪女子ダブルス決勝では「相手の疲れを読み、体の遠くに打つよう指示」して逆転につなげた。事前メモを作成し、質問にも丁寧に対応、誠実な人柄が伝わってきた。


司会 山本勇二 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)
通訳 長友英子(サイマル・インターナショナル)
日本バドミントン協会  


会見リポート

朴監督の12年間が実った金メダル

大和田 佳世 (報知新聞社編集局運動第2部)

「ダブルスの神様」と呼ばれたバドミントン日本代表の朴監督をしても、「タカマツ」こと女子ダブルス高橋礼華、松友美佐紀ペアがリオデジャネイロ五輪決勝でみせた大逆転劇は「2人が完全に調和していた」と評する時間だった。

 

最終ゲーム、16-19と追い込まれ、サーブ権がタカマツに回ってきた。絶体絶命の場面で朴監督の指示はこうだった。

 

「デンマークは体力が落ち、動きが鈍くなっていると感じた。しかし守備で、体に近いところやネットプレーはできていた。そこで、それまでは球がセンターに集中していたが、体から遠いところに打ち、ミスを誘う作戦に出た」

 

対戦相手として見ていた日本人選手は「能力はあるけれど勝負力、目標意識がない」と映った。2004年に日本代表を率いる立場となり、国際大会で負けても笑っている選手に対して怒るところから始まった。メンタル、フィジカル、技術の強化はもちろん、選手を抱える会社と衝突しながら、徐々に強化体制を作り上げていった。タカマツが獲得した日本バドミントン史上初の金メダルは、結成10年目の2人が織りなす絶妙なコンビネーションが1つの実になっただけでなく、朴監督が12年かけて積み上げたものが1つ実ったものでもあった。

 

揮ごうの「日本のバドミントンが世界の中心になれ」に近づいた今、4年後の東京五輪で「タカマツは連覇が期待できる」という。そして、もう1つ、「言いづらいが」と前置きしながら「桃田が人間的にも成熟して戻ってこられれば、男子もメダルに近づくことができると思う」と話した。桃田賢斗は男子シングルスでメダル候補と期待されながら、違法カジノで賭博行為に関与し、リオ五輪出場の道を自ら閉ざした。監督責任を問われ、自らも日本バドミントン協会から処分を受けた朴監督の、異例ともいえる言及。世界の中心どころか隅にも身を置けない22歳の耳に、どう響いたのだろうか。


ゲスト / Guest

  • 朴柱奉 / Joo Bong Park

    韓国 / Korea

    バドミントン日本代表監督 / National Coach / Badminton

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