2016年10月20日 15:45 〜 17:00 9階会見場
平井伸治 鳥取県知事 会見

会見メモ

総務官僚から知事に転じ3期目。人口最少県トップの知名度アップ戦略は「だじゃれ」。会見でも笑いで関心を引き付け、観光情報、行革実績を幅広くPRした。最後は旬の松葉ガニをネタに笑顔で「鳥取にウェルカニ!」。クスッと笑える場面満載。
司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

地方創生の実践版

泉 宏 (時事通信出身)

平井伸治鳥取県知事の『小さくても勝てる』という著書が霞が関界隈でも話題になっている。副題は「砂丘の国のポジティブ戦略」。安倍政権が経済再生の柱の1つと位置付ける「地方創生」の実践版でもある。これを踏まえた記者会見で平井氏は、「小さいは『知・意・彩』だ」などと得意のダジャレも交えて「人口最少県の挑戦」に熱弁を振るった。

 

鳥取県の人口は57万人。過疎に悩み、地場産業の育成にも苦労がつきものだ。平井氏はその弱点を逆手に取り、「一種の卑下自慢」ともみえる手法で同県の農産物や観光、文化の国内、国外への売り込みの先頭に立ってきた。著書の副題にも絡む「スタバはないが、スナバはある」は平井氏が発した最も有名なダジャレで、ほかにも「ドンキがなくてもノンキに暮らせる」などダジャレ知事の異名はいまや“全国区”だ。

 

ただ、平井知事の生い立ちは「お江戸のど真ん中」だ。千代田区外神田で生を受け、超名門の受験校から東大法学部を経て自治省(現総務省)に入り、米国留学も経験した“超エリート”でもある。キャリア官僚の修行の場として鳥取県に出向したのが縁で、史上最年少の副知事(6年間)を経て、2007年に鳥取県知事選に出馬、当選した。ちなみに前任者は改革派で鳴らした片山善博慶応大教授だ。

 

平井氏の手腕とアイデアで、過疎対策のための同県への移住者は年々増え、平成21~26年度の総数は4344人で全国1位となり、平成27年度は1952人で年2000人超も目前だ。平井氏の機知に富んだセールストークが多くのメデイアやネットで取り上げられた結果ともみえる。ただ、会見翌日には鳥取県で震度6弱の地震が発生し、平井氏もダジャレ封印で陣頭指揮にあたった。

 

ゲストブックには「惜福・分福・植福」(幸田露伴の幸福三説が出典)と書いた。平井氏は知事3期目だがまだ55歳。控室で国政転身の可能性を問うと「私は行政が好き、(政治家は)向いていませんね」と笑った。


ゲスト / Guest

  • 平井伸治 / Shinji Hirai

    日本 / Japan

    鳥取県知事 / Governor, Tottori Prefecture

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