2016年06月13日 15:00 〜 16:30 10階ホール
江戸城天守を再建する会 会見

会見メモ

「江戸城天守復元報告書」をまとめた三浦正幸・広島大学教授(城郭復元建築研究 写真左)と太田道灌第18代の子孫にあたる太田資曉 再建する会会長(右)が会見し、記者の質問に答えた。
司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

城は平和の象徴 今こそよみがえれ江戸城天守

中井 良則 (日本記者クラブ顧問)

江戸城には三代将軍家光が寛永15年(1638年)に建てた史上最大の天守がそびえていた。明暦の大火(1657年)で焼失し、再建計画はあったが実現しないまま明治を迎える。幕府の命で前田家が築いた石垣の天守台だけが残り、いまでは本丸跡を訪れる観光客が上って往時を想像する場所となった。

 

寛永時代の天守を、木造でもう一度建てようと運動を始めたNPO法人が「江戸城天守を再建する会」。城郭建築研究を専門とする三浦正幸広島大教授に依頼した「寛永度江戸城天守 復元調査研究報告書」が完成したのを機に、日本記者クラブで会見を行った。

 

太田道灌の子孫でもある太田資暁会長は①国の宝として後世に伝える②観光立国のシンボル③クールジャパンの中心④木造伝統技術の継承――と天守再建の意義を数え上げた。さまざまな角度から撮った完成予想図を紹介しながら「パリのエッフェル塔、ニューヨークの自由の女神。世界都市には歴史、伝統、文化を代表するモニュメントが必ずある」と力説した。

 

三浦教授は江戸城天守の資料を分析し、後世に作られた図面を排除、東京都立図書館所蔵の「江府御天守図」こそ幕府に提出された計画段階の設計図の控えと推定した。ほかの信頼できる資料も検討しながら、縮尺や書き込みを細かく調べ、各階平面図、断面図、正面図など復元図を初めて完成した。再建が決まれば、これをもとに、実施設計図が書ける。

 

天守は地下1階地上5階で天守台上の高さ約44.84㍍。現代の14階建マンションに相当する。天守台を含むと58.63㍍もあり史上最大の天守だった。

 

「日本の木造技術の美しさ、強さがわかる。再建すれば、日本が過去においても技術大国であったことがわかり、世界的にも高い評価を受けるでしょう。城は軍事建築ではなく平和の象徴なのです」と城マニアの小学生が城郭研究者になった三浦教授は語った。

 

本当に実現するのか。費用は。建築基準法は。皇居なのに大丈夫か。質問が飛び交う。

 

「ゼネコンに計算してもらったら工費250億円、付帯工事に別に50億円かかると見積もりが出た。新国立競技場より安い」「建築基準法には国指定の国宝や重要文化財は法適用除外の規程がある」「場所は宮内庁管理の皇室財産。当然ながら、国家プロジェクトでないと実現できない」「寄付金や投資といった新しい形で資金を集めたい」「世論の支持にかかっている。世論が動けば政治も動く」

 

二人は「よみがえれ江戸城天守」と力を込めて訴えた。


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  • 江戸城天守を再建する会

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