会見リポート
2016年01月08日
15:30 〜 16:30
9階会見場
シリーズ企画「国連と日本人」① 野田章子 モルディブ国連常駐調整官兼国連開発計画(UNDP)常駐代表
会見メモ
国連のモルディブ常駐調整官、UNDP常駐代表を務める野田章子氏が会見し、記者の質問に答えた。
会見リポート
モルディブで海岸浸食対策・女性の地位向上等支援
原田 健男 (山陽放送出身)
学生時代、ダイビングに行ったフィリピンのセブ島でストリートチルドレンを見たのが後の国連入りのきっかけになったという野田章子さん。民間企業を経て国連に転身し、国連開発計画(UNDP)の職員として、コンゴ、パキスタン、モンゴル、ネパールを経ておととし10月からインド洋の島国モルディブで勤務している。野田さんの仕事は国連開発計画モルディブ常駐代表のかたわら、他の国連機関や政府・NGOなどとの調整を図る国連常駐調整官だ。
モルディブは美しい海のリゾート地だが、首都マレは東京ディズニーリゾートより少し狭いくらいの島に10万人がひしめき人口密度が高い。また2008年に憲法改正後初めて民主的に大統領選挙が行われるなど民主政治の歴史は浅い。国民はイスラム教徒だ。
野田さんらが取り組む国連の事業は、この国の民主化と女性の地位向上や若者・子供の支援、そして環境問題支援等。モルディブは海抜の最高が2.4mと低く、温暖化で海面が1m上昇すると国土の80%が消滅するといわれている。海岸線の浸食食い止め工事や、埋立地への移住政策も支援しているそうだ。また雨期には熱帯特有の豪雨で洪水になり農業等被害をもたらす一方、乾期には飲料水不足ともなる水の管理も重要な開発課題だ。
日本人が国連で働くことについては、国連は競争も厳しく自己主張も必要なので、そういうことに慣れていない日本人がこれをどう克服してゆくかが課題とのことだが、多くの日本人に挑戦してもらえればさらに上に立つ日本人も増えるのではと呼びかけた。
世界は、米国の紛争地への関与を弱める政策でロシア・中国が台頭、ISなども勢力を拡大し、難民が押し寄せるヨーロッパは排外主義が力を増している。こうした中、紛争の火種となりやすい発展途上国の厳しい生活環境を少しでも改善しようとする野田さんらの熱情に心が救われる思いだ。
ゲスト / Guest
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野田章子 / Shoko Noda
国連 / UN
モルディブ国連常駐調整官兼国連開発計画(UNDP)常駐代表 / UN Resident Coordinator and UNDP Resident Representative to the Maldives
研究テーマ:国連と日本人
研究会回数:1