2015年07月17日 10:30 〜 12:00 10階ホール
「戦後70年総理談話に関する歴史家、国際法学者、国際政治学者の声明」会見代表・大沼保昭氏(明治大学特任教授)三谷太一郎氏(東京大学名誉教授) 

会見メモ

歴史、国際法、国際政治の学者・識者74人が、政治的信条の違いを超え「安倍談話」についての声明を発表した。呼びかけ人代表の三谷太一郎氏(東京大学名誉教授 日本政治外交史)、大沼保昭氏(明治大学特任教授 国際法)らが会見し、記者の質問に答えた。
壇上は左から波多野澄雄氏(筑波大学名誉教授 日本政治外交史)、毛利和子氏(早稲田大学名誉教授 中国政治)、三谷太一郎氏、大沼保昭氏、小此木政夫氏(慶応大学名誉教授 韓国・朝鮮政治)、石田淳氏(東京大学教授 国際政治)
司会 橋本五郎 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

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会見リポート

学者の良心と責任とは何か

橋本 五郎 (企画委員 読売新聞特別編集委員)

学者が学者である所以はどこにあるのか。記者会見の司会をしながら、そのことがずっと頭にあった。国際法学者、歴史学者、国際政治学者74人による「戦後70年総理談話について」と題した声明は、そのひとつの姿を示したと言っていい。

 

歴史的事実に基づきながら、国際的な視野に立って過去の戦争と戦後日本の歩みを考え、未来につなげていく。それは憲法をどう解釈するかを第一義にする憲法学者などとは自ずと違ってくる。政治的信条や学問的立場の違いを超えてわれわれの最小限の意志を示そう。そういう熱意が伝わってくる記者会見だった。

 

代表は三谷太一郎さんと大沼保昭さん。三谷さんのような文化勲章受章者が署名の先頭に立つのは珍しいことだろう。署名者はその道のエキスパートであり、2つの明確なメッセージを発している。

 

ひとつは日本が1931年から45年まで遂行した戦争は、国際法上違法な侵略戦争であったことは国際社会で確立した評価であること、もうひとつは「村山談話」や「小泉談話」を「全体として継承する」という安倍首相に対し、具体的な表現によって明らかにするよう求めていることである。

 

記者会見では、特定のイデオロギーや立場に基づく質問も予想されたが、大沼さんらの真摯な対応で落ち着いた会見になった。声明を読めばよくわかるが、ある特定の言葉を使うかどうかで総理の談話の良し悪しを論ずることの是非や、後世の私たちが侵略かどうかを論断することへの逡巡にも言及している。異論にも配慮した苦心の文章であることを参加者も感じ取ったことだろう。全文を読むことをお勧めしたい。


ゲスト / Guest

  • 三谷太一郎氏、大沼保昭氏、毛利和子氏、小此木政夫氏、波多野澄雄氏、石田淳氏 / Yasuaki Onuma / Taishiro Mitani / Kazuko Mori / Masao Okonogi / Sumio Hatano / Atsuhi Ishida

    日本 / Japan

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