2014年09月02日 14:00 〜 15:30 宴会場(9階)
研究会「地政学から考える東アジア情勢」ジェレミー・ブラック 英エクセター大教授

会見メモ

英エクセター大学のジェレミー・ブラック教授が、19世紀後半からの地政学の興隆を国際情勢の変化とともに解説し、現在の国際情勢について分析した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 澄田美都子(サイマル・インターナショナル)

会見リポート

地政学上「重要な位置」占める日本 中国との対峙で再び注目

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室長)

欧州の地政学研究の第一人者であるブラック教授は、日本は地政学上、常に「決定的に重要な位置」を占めていると言う。


地政学とは大英帝国にとってロシア封じ込め戦略だった。その英国の結論は、日本とインドを拠点にユーラシア大陸の包囲を目指した。その策の1つが日英同盟だ。


次に地政学はナチス・ドイツの対外拡張政策の理論となった。ナチス地政学の設計者ハウスホーファーは日本滞在歴があり日本を愛した。世界を支配するのはドイツと日本だと、日独同盟を推進した。冷戦中も米国はソ連封じ込めという地政学戦略で、日本にソ連の太平洋進出を阻止する重要な役割を担わせた。


冷戦後しばらく地政学は出番を失った。グローバリズムの時代に国境や地理は意味を失ったと信じられた。しかし、中国の海洋進出、ロシアのウクライナへの介入を見れば、いま起きていることはナイーブな見立てに対する地政学の逆襲だ。


さて、中国と対峙する民主主義連合の最前線にある日本は、再び地政学的に決定的な位置にある。難しいのは「中国と常に交わる」必要がある点だと言う。しかも頼りの米国は相対的な衰退のさなかにある。こんな濃密な話には、1時間半は短過ぎた。


ゲスト / Guest

  • ジェレミー・ブラック / Jeremy Black

    イギリス

    英エクセター大学教授 / Professor, University of Exeter

研究テーマ:地政学から考える東アジア情勢

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