2014年04月02日 10:30 〜 11:30 10階ホール
坂茂 建築家・プリツカー賞受賞者 記者会見

会見メモ

紙管を使った作品で知られ、今年のプリツカー賞受賞者に選ばれた、建築家の坂茂さんの会見を行った。災害支援で世界各地に建設した仮設住宅などの写真を紹介しながら説明し、建築家の社会的役割について考えを述べた。

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

被災地で活動 建築家も社会的役割果たしたい

黒澤 綾子 (産経新聞文化部)

会見当日も、中国・四川地震の被災地で仮設幼稚園を建てる活動から帰国したばかり。建築界最高の栄誉に輝いても、喜びにひたる時間はない。


住宅やオフィスビル、美術館といった建築作品と災害支援活動。その「両輪」を評価されての受賞となった。独立して間もない1980年代後半から現在進行形のものまで、主なプロジェクトをご本人が駆け足で紹介。坂建築の主な素材である「紙管」「木」についても解説が加えられた。


ほぼ毎年どこかで起きる大災害に対し、ボランティアで仮設建築に取り組む原点には、建築家の職能に対する疑問があったという。「建築家の顧客は歴史的に財力、権力のある人。でも弁護士や医者が問題を抱えた人に向き合うように、建築家にも経験と知識を生かす社会的役割があるはず」。加えて「地震で人が死ぬわけではない。建築が崩れて人は死ぬ」という厳しい現実認識が、家を失った人々への支援の背景にあるようだ。


受賞を機に仕事のオファーは急増しそうだが、「一つ一つの建築にかける時間とエネルギーをそがれないよう、仕事は注意深く選び、事務所は大きくしない」。冷静な態度が印象に残った。


ゲスト / Guest

  • 坂茂 / Shigeru Ban

    建築家(2014年プリツカー賞受賞者) / The Pritzker Architecture Prize Laureate

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