会見リポート
2014年03月07日
15:30 〜 17:00
10階ホール
研究会「揺れる通貨 ビットコインの先にあるもの」1 岡田仁志 国立情報学研究所准教授
会見メモ
「揺れる通貨 ビットコインの先にあるもの」をテーマに話し、記者の質問に答えた。
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
ビットコイン 仮想通貨は規制できるか
竹田 忠 (企画委員 NHK解説委員)
実体のない、インターネット上の仮想通貨が急拡大している。1年で100倍も値上がりしたり、中国の規制で急落したり、その後もバブルの様相を呈している。最大手の取引所はなぜか渋谷にあり、もともとの仕組みを考えたのは、日本名を名乗る謎の人物だという。と、ここまでくれば、そのビットコインとは一体何なのか、クラブで研究会を開くしかない、と準備を始めたのが1月。
ところがその後、渋谷の取引所が経営破たん、時価にしておよそ500億円が喪失する大騒動となり、政府もしぶしぶビットコインについて見解を出すという、まさにその日に第1回の研究会開催となった。
電子商取引に詳しい岡田さん(写真上)は、ビットコインの最大の特徴は国家に管理されない独立した通貨を目指していることであり、中央銀行などの発行者が存在せず、プログラムに従ってコインが誕生・流通し、その取引に不正がないかどうかは参加者みんなが確認しあうという、民主的な仕組みになっていることだという。
しかし、ドルや円などリアルな通貨と交換してもうけようという取引所が生まれたことで、投機的な金融商品と化してしまい、本来、考案者とされるサトシ・ナカモトが論文で提唱した理想からは、かけ離れた存在になっていると指摘した。
一方、取引所の破たんはビットコインのシステムの外で起きたことであり、仮想通貨が実社会に与える影響を軽視してはならないと警鐘を鳴らすのが野口さん。ビットコインを使えば海外への送金や決済のコストがほぼゼロとなるため、企業の利用が拡大する可能性がある。また利用者は次々とアドレスを作れるため、課税も難しい。このため、たとえば法人税を外形標準課税にするなど、税制の変更も議論する必要も出てくると指摘した。
【この会見リポートは、3月19日開催の同研究会②(野口悠紀雄・早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問・一橋大学名誉教授)との統合版です】
ゲスト / Guest
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岡田仁志 / Hitoshi Okada
国立情報学研究所准教授 / Associate Professor, Information and Society Research Division National Institute of Informatics
研究テーマ:揺れる通貨 ビットコインの先にあるもの
研究会回数:0