2013年11月01日 15:00 〜 16:00 10階ホール
槇文彦 建築家

会見メモ

建築家の槇文彦さんが、2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場が巨大すぎて神宮の森の美観を壊すとして現計画の見直しを求める自身の論文(「JIAマガジン」8月号掲載)について話した。

司会 日本記者クラブ企画委員長 会田弘継(共同通信)


会見リポート

成熟社会にふさわしい五輪施設を

柴田 文隆 (読売新聞編集委員)

ひとつの建築のありようが、これほど社会の関心を呼ぶのは近年珍しい。2020年東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場のデザイン(高さ70㍍)が巨大過ぎ、「神宮の森の美観が損なわれる」という声が上がっているのだ。


論議に火を付けたのが、幕張メッセなどを手掛けた世界的建築家の槇さん。建設場所は東京の風致地区第1号で「都内に残された貴重な景観」と指摘し、「何も競技していない時には『単に巨大なだけ』という土木的建築を、なぜこの大事な所にもってくるのか」と懸念を示した。


隣接する東京体育館は自身の設計だが、厳しい環境制限を受けボリュームを抑えるのに苦労したという。「建築は建ったら50年、100年そこに居続ける。好きでも嫌いでも」「五輪の後、ジョギングする都民にこの建築が優しく語りかけてくるだろうか。それは非常に疑問なんですね」


敷地が狭く、非常時に観客が無事避難できるのか、8万人収容の施設に需要があるのか、といった問題も気になる。「成熟した社会に見合った五輪施設の在り方を考えるべきだ。今後も強く情報公開を求めていく」と明快に述べた。


ゲスト / Guest

  • 槇文彦 / Fumihiko Maki

    日本 / Japan

    建築家 / Architect

研究テーマ:オリンピック・パラリンピック関連

研究会回数:0

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