会見リポート
2013年09月06日
16:00 〜 17:00
10階ホール
林芳正 農林水産相
会見メモ
林芳正・農林水産相が会見し、「攻めの農林水産業」を完成するための政策について説明した。
司会 日本記者クラブ企画委員 村田 泰夫
会見リポート
「攻めの農政」に意欲
村田泰夫 (企画委員 朝日新聞出身)
農政のかじ取りがいまほど難しいときはない。TPP(環太平洋経済連携協定)、RCEP(アールセップ=東アジア地域包括的経済連携)、日中韓FTA(自由貿易協定)などで、わが国の農産物市場の開放が迫られているからだ。
市場開放つまり関税の撤廃や引き下げで打撃を受ける農業団体は、「絶対阻止」の構えを崩していない。彼らは自民党農林族と一体であり、政治的な影響力も侮れない。
市場開放と国内農業の維持を、どのように両立させるか。これがいま直面している農政の課題である。
林大臣は、「攻めの農林水産業」について説明した。生産面では農地を集約して効率化し、需要面では輸出市場に活路を見いだす。さらに、農業者が自ら加工や販売に乗り出し付加価値を手にするなど。
これまで聞かされてきた政策で、率直にいって新味に乏しい。生産コスト削減の抜本策を打ち出し、国内農業の体質を強化しなければ、市場開放に対応できない。農業団体など既存の利害関係者を粘り強く説得し、改革を断行してこそ、真の「攻めの農政」といえる。
TPPをめぐる農業団体の反対運動を見ていると、20年前のウルグアイ・ラウンド(UR)農業交渉で、関税化に反対した判断ミスと、その後の6兆100億円のUR対策の愚策を思い起こさせる。TPP交渉で、同じ轍を踏む危惧はないのか。大臣は「日本農業のあるべき姿をしっかりもっていれば、大丈夫」と答えたのだが、懸念は残る。
自給率が下がっているのに、米の生産調整(減反)をやめる考えはないのか、鋭い質問が飛んだ。明言は避けたが、大臣は「現行の助成策を見直していけば、生産調整も変わっていく」として、フェードアウトしたい考えをにじませた。
ゲスト / Guest
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林芳正 / Yoshimasa Hayashi
日本 / Japan
農林水産相 / Minister of Agriculture, Forestry and Fisheries