2013年08月29日 12:00 〜 13:30 10階ホール
田中俊一 原子力規制委員会委員長 昼食会

会見メモ

田中俊一・原子力規制委員会委員長が会見し、記者の質問に答えた。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)

代表質問 日本記者クラブ企画委員 服部尚(朝日新聞)

原子力規制委員会のウェブサイト

http://www.nsr.go.jp/


会見リポート

重責担う委員長 手腕発揮に期待

井田 徹治 (共同通信編集委員)

旧日本原子力研究所の研究者、原子力委員会委員長代理などを経て、初代の原子力規制委員会委員長に就任して9月で1年。反原発派からは「原子力ムラの人間だ」「再稼働のために新規制基準策定を拙速に進めている」と糾弾され、原発推進派からは「活断層の評価などで独善に陥っている」「議論の進め方が強引だ」などと批判される立場に立つ。


スピーチでは、東京電力福島第一原発事故の反省に立つ新規制基準のポイントを分かりやすく解説してくれた。静かな口調で、過酷事故対策や「バックフィット」と呼ばれる既設炉の改良が事業者の自主的な取り組みに任されていたことなどの問題点を指摘し「バックフィットは世界では当たり前だったが、日本は数十年、世界に遅れていた」「安全文化確立の責任は事業者にあるとの認識が経営者に欠けていた」との厳しい指摘が再三、飛び出した。


委員会発足以来、毎日のように開かれる会議の中でも、歯に衣着せぬ言葉で事業者をやり込める。その硬骨漢ぶりが垣間見えるスピーチと質疑応答だった。


だが、就任当時「何よりも重要だと考える」と話した福島の被災住民の安全と安心を実現するための取り組みはようやく緒に就いたばかりだし、海洋への流出が国際問題となりつつある汚染水問題への取り組みの遅れも指摘されている。「今、一番心配なのは、いまだに自宅に帰れない人が15万人もいること」と苦渋の色をにじませた。


諸外国に大きく遅れを取った原子力安全規制のレベルを引き上げ、事故で地に落ちた安全規制への市民の信頼を回復するまでの道のりはまだ遠い。揮ごうの言葉は「今の歴史を生きる」だった。後世の歴史的評価に足る委員長となり得るか。その手腕を見つめていきたい。


ゲスト / Guest

  • 田中俊一 / Shunichi Tanaka

    日本 / Japan

    原子力規制委員会委員長 / Chairman of the Nuclear Regulation Authority

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