会見リポート
2013年07月24日
15:00 〜 16:30
10階ホール
研究会「サイバーセキュリティー」 ブライアン・パルマ 米ボーイング社バイス・プレジデント(サイバーセキュリティー担当)
会見メモ
ボーイング社のブライアン・パルマ・バイスプレジデント(サイバーセキュティー担当)が、サイバー技術者の訓練やシミュレーション分野などにおける同社の取り組みやサービスについて話した。
司会 日本記者クラブ企画委員 杉田弘毅(共同通信)
通訳 高松珠子
会見リポート
サイバー戦争 防御と攻撃は表裏一体
杉田 弘毅 (企画委員 共同通信編集委員室次長)
米ボーイング社と言えば、軍用、民間問わず航空機メーカー、あるいは世界のトップ防衛産業として知られる。今は防衛の喫緊の課題であるサイバーセキュリティにも力点を置く。
パワーポイントを使った話は分かりやすかった。政府組織や企業に対するサイバー攻撃の80%は一般的なソフトウエアで阻止できるが、残り20%をどれだけ食い止めるかで、「勝者と敗者が決まる」。
ボーイング社の企業向けサイバーセキュリティ・サービスはこの20%の対策のために、①攻撃の評価②攻撃を予測した訓練③実際の攻撃の予防─を提供する。特に重要なのは②の攻撃を予測した訓練だ。徹底したシミュレーション訓練で予防するスキルを身に付ける。
米大統領らを守るシークレット・サービスの特別捜査官をしていた経歴を持つだけに、「訓練こそが上達の手段」という言葉は迫力がある。
しかし、この20%の阻止は簡単ではない。対策を新たに打ち出しても、敵はさらに新しい攻撃方法でそれを打ち破るというイタチごっこの世界だ。
実際に攻撃があったことが分かるのは、攻撃初日から平均して156日後。この間被害者は攻撃されたことも分からずに、ネットワークは機能を失いデータを盗まれる。
悪化するサイバーセキュリティ環境を改善する決め手は教育だ。サイバー教育、サイバー倫理などを子どもの頃から教えることで、サイバー攻撃の犯罪性を意識させる。ボーイング社も福島県・会津大学のサイバーセキュリティ人材育成講座に、人災トレーニング演習装置「クライアブ」を提供し、技術協力を行う。
「サイバー戦争」といった感のあるデジタル空間では、「防御という名の下でほとんど攻撃と呼ぶべき行為も行われている」と語った。「攻撃と防御の線引きが難しい」この世界の出現に向き合う新たな安全保障政策づくりが迫られている。
ゲスト / Guest
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ブライアン・パルマ / Bryan Palma
アメリカ / USA
米ボーイング社バイス・プレジデント(サイバーセキュリティー担当) / Vice President, Cyber & Security Solutions, Boeing
研究テーマ:サイバーセキュリティー
研究会回数:6