2013年05月16日 15:00 〜 16:15 宴会場(9階)
堀江正彦 地球環境問題担当大使 記者会見

会見メモ

堀江正彦・地球環境問題担当大使が「気候変動をめぐる国際交渉」と題し、気候変動交渉の現状や今後の課題などについて話した。2011年に開催されたCOP17の成果として、新たな枠組みをつくることが合意された(ダーバン・プラットフォーム)。これは、全ての加盟国に適用可能な議定書をつくり、2015年にパリで開催するCOP21で採択を目指すものだとした。世界の二酸化炭素排出量削減での日本の役割については、約60%を排出する開発途上国に日本の環境技術を普及させ、低炭素成長を支援していくことにある、と強調した。

司会 泉宏 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

「同じ船」に乗る新しい枠組みが必要

泉 宏 (前企画委員 時事通信出身)

地球温暖化による危機が叫ばれる中、地球規模での対応を探る気候変動枠組条約をめぐる国際交渉は遅々として進まない。1997年12月に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)で温暖化の原因とされる温室効果ガス(二酸化炭素)削減を義務づけた京都議定書が採択され、2005年に発効した。しかし、米国の離脱などで各国の温室効果ガス削減は思ったより進まず、先進国と開発途上国の利害対立などがその後の交渉の進展を阻んできた。

日本政府は09年秋の政権交代で誕生した鳩山内閣が温室効果ガスの削減目標として、前提条件付きながら「25%」という大胆な数字を国際公約として打ち出したが、11年3月11日の東日本大震災による福島原発事故などでこの公約は実現困難となり、安倍内閣はゼロベースでの見直しを進めている。

こうした現状について、気候変動国際交渉の前線指揮官である堀江氏は「先進国と開発途上国の双方が同じ船に乗れるような新しい枠組みが必要」と力説。京都議定書の意義は高く評価しながらも、先進国と開発途上国の削減への義務、責任が大きく異なることから「参加するすべての国が削減義務を負う枠組みにしないと、本当の国際協力には結びつかない」と指摘した。

堀江氏は鳩山元首相が公約した「25%削減」についても、「それだけにフォーカスが集中しているが、世界全体でみると日本の排出量は09年時点でわずか3・8%。それよりも、世界で一番先に公害を克服した国としての経験と技術を世界に提供することが大切」と強調。〝ポスト京都議定書〟となる「新しい枠組み」を「これまでのトップダウンからボトムアップにして、互いに努力を評価する交渉にレジームチェンジする」ことを目指し、次のターニングポイントとなる15年のCOP21(フランス)での合意に向け、国際交渉の最前線で戦い抜く決意を示した。

ゲスト / Guest

  • 堀江正彦 / Masahiko Horie

    日本 / Japan

    地球環境問題担当大使 / Ambassador for Global Environmental Affairs

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