2013年03月08日 14:00 〜 15:00 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」黒川清 元国会事故調委員長

会見メモ

元国会事故調委員長の黒川清さんが、「国会事故調:これまで、そしてこれから」のテーマで話した。日本の憲政史上初めて立法府がつくった調査委員会の意味をあらためて強調した。自分が委員長として米国科学団体から表彰されるなど、海外の注目度も高く、委員会が政府(行政府)から独立し、日本人に耳の痛い報告書を出したことが評価されたのだろう、と語った。国会事故調が出した7つの提言については、衆議院に原子力問題に関わる特別委員会を設置することが決まったとして、提言のうち1つはメドがたった、とした。このように実現していくことが、三権分立が機能していることを示すことになる。ただし、メディアが報道して、国民が知らなければ、このプロセスはすすんで行かない、とも。

司会 日本記者クラブ企画委員 倉重篤郎(毎日新聞)


会見リポート

国会が機能果たせるか ジャーナリストも監視を

菅野 篤司 (福島民友新聞社東京支社報道部)

「私どもが国会事故調を通じて問われていることは何かというと、日本は三権分立という制度になっているが、これが本当に機能しているかということ」。黒川氏の思いはこの一言に凝縮されていた。

国会事故調は、東京電力や政府(行政府)から独立した調査を、国会(立法府)の下で行うために設置された、憲政史上初の独立調査委員会だった。調査結果に基づく7つの提言が国会に提出されたが、「規制当局に対する国会の監視」について、衆議院に特別委員会が設置された以外は、全く国会での議論が進んでいないのが現状だ。

つまり、国民の代表である国会が、他ならぬ自分たちで設置した委員会が可能な限り真実に迫って導き出した結果と提言について何もしないことは、行政府を監視する立法府の役割を放棄しているのではないですか─と指摘しているのだ。

黒川氏は、会見で「英国の人に日本での独立調査委員会はこれが初めてだというと驚かれた。(海外では)立法府が政府のチェック機関として働いていることが民主主義の根幹にあると認識している」とのエピソードを明かした。提言に盛り込まれた国会による電気事業者の監視や原子力法規制の見直し、エネルギー政策や使用済み核燃料処理についての独立調査委員会の活用─を実行しなければ、ますます世界に「日本の民主主義」は驚かれるだろう。

黒川氏は、国会が機能を果たせるかどうかについて「ジャーナリストがどう監視するかということ」とも指摘した。震災から2年、被災地以外では日常生活が戻っているように見えるが、原発の地震・津波に対するリスクは解消されたとは言えない。報道機関は「3・11」で見えた問題にどう向き合うか、もう一度、真剣に考えなければならない。


ゲスト / Guest

  • 黒川清 / Kiyoshi Kurokawa

    日本 / Japan

    元国会事故調委員長 / Former Chairman, The National Diet of Japan Fukushima Nuclear Accident Independent Investigation Commission

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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